猫の脂肪肝は飼い主が原因!?人間以上に怖い脂肪肝の症状と予防

人間が不摂生して内臓のあちこちに脂肪がついてしまうことがあります。肝臓に多量の脂肪が付着する疾患を「脂肪肝」と特に呼ぶことは、みなさんもすでにご存知かと思います。

脂肪肝は人間に特有の病気と思われがちですが、実はそうでもないんです。猫の脂肪肝をご存知でしょうか?近年脂肪肝に悩む猫が増えているんだとか。猫の脂肪肝も将来の深刻な疾患の呼び水となりうる疾患です。

症状や食事の見直しなど、猫の脂肪肝の治療法に迫ります。

猫の脂肪肝の原因と発症でみられる症状

どんな病気であっても何らかの原因があります。突然発症する原因不明の病気であっても、原因が「不明」というだけで、「原因がない」わけではありません。

当然猫の脂肪肝にも原因はあります。

猫の脂肪肝の原因?そんなの決まってるじゃないか。人間と同じでしょ?

  • 肥満
  • 運動不足
  • 脂肪摂取過多

・・・確かにそのとおりですね。そういう意味では、人間と同じところに原因はあります。

ただ、人間の脂肪肝とは決定的に異なる点があります。まずは猫の脂肪肝の症状から見ていきましょう。

猫にも脂肪肝があるのかと驚くかもしれませんが、脂肪を過剰に摂取し、なおかつ十分に燃焼させることができなければ、人間と同じく猫にも脂肪肝のリスクはおよびます。

人間の脂肪肝ははっきりした自覚症状がない疾患として知られます。だからこそ怖い病気であるといえるのですが、猫の脂肪肝についても同様です。脂肪肝になっても猫が痛みや苦しみを自覚することはまれです。

では、猫の脂肪肝にはまったく症状があらわれないのかというと、そうでもありません。猫の脂肪肝はかなり進行してから明確な症状としてあらわれ、その先はもう「肝硬変」という最悪な事態が待ち受けるばかりです。

猫の脂肪肝は、脂肪が肝臓を厚く取り囲むことにより肝臓を収縮させてしまう傾向があります。そのため肝臓は硬く縮まり、やがて肝硬変へと進行します。

人間の場合、脂肪肝から肝硬変まではある程度猶予があります。

しかし猫の脂肪肝は人間ほど悠長に構えていられないという意味で、人間の脂肪肝以上に怖い肝障害であると解釈する必要があります。肝硬変まで進行してしまうと、「死」が待ち構えています・・・

猫の末期的脂肪肝や肝硬変の症状
  • 黄疸(おうだん=皮膚の白っぽい部分が黄色っぽく変色する)
  • 食欲不振・元気がない
  • 下痢
  • 吐き気・嘔吐
  • 肝リピドーシス・・・極度の食欲不振ののち黄疸からの急性症状により死亡する症例が多い
  • 肝性脳症・・・有毒なアンモニアが代謝されず血中を運ばれ脳に至り発症

上記の症状は人間の肝硬変でもよく見られますが、人間と猫とでは、脂肪肝から肝硬変へと移行するまでの時間が違うという点に注意が必要です。猫の脂肪肝は、生活習慣を改めなければすぐに肝硬変の危険を招きます。

猫が脂肪肝になってしまったら、とにかく早期に治療する必要があります。ある程度進行した脂肪肝の場合、病院での点滴・投薬治療・食餌療法など、それ以上症状を悪化させない処置が必要になります。

初期の場合は、肝硬変までの猶予がないとはいっても、いきなり薬でどうこうするということではなく、とりあえず餌の成分や食べる分量などを見直し、猫の生活習慣を改善する必要があります。

もちろん初期の脂肪肝の場合にも、栄養療法やキャットフードの成分について病院でアドバイスを受けるなど、慎重な対応が必要になります。知識がない素人の判断は危険なので、一度病院にご相談ください。

健康な猫ちゃんであっても、かわいいからという理由で猫が欲しがるままに餌を与えると、脂肪肝や肝硬変を招く原因になります。そうならないような予防の意識も飼い主さんにとっては非常に重要です。

猫の脂肪肝はどのように治療されるのか

脂肪肝は肝臓を脂肪が取り囲む疾患です。ということは、猫に餌を与えなければ脂肪肝は自然と解消していくのではないか・・・などと安易に考えてしまうと、脂肪肝の治療としては逆効果です。

たとえば脂肪肝の猫に対し「絶食」を強いたりするとどうなるでしょうか?絶食すれば食べ物以外のエネルギーが必要になるので、大量に付着している肝臓周辺の脂肪を消費するのではないか、と想像しがちです。

ところがこれは大きな勘違いなんです。エネルギーが枯渇したからといって、理想通りに肝臓に付着した脂肪が消費されることはありません。絶食により消費されるのは「猫の体脂肪」です。

体脂肪がどんどん消費されれば、当然エネルギー不足に陥ります。肥満であるにもかかわらず栄養失調が起こるという不思議な状況に陥ってしまいます。猫にとってプラスになることは何ひとつないのです。

脂肪肝の猫に絶食を強いると、最悪の場合「肝リピドーシス」を発症して死に至ります。

猫の脂肪肝はこう治療する!
  • 点滴
  • 強制給餌(無理に餌を食べさせること=食餌(しょくじ)療法)

猫の脂肪肝完治への目標は、とにかく肝硬変へと移行させないことにあります。そのためには、まずは少しでも肝臓への負担を小さくすることが大切です。そのためには点滴や強制給餌によりグルコースを与える必要があります。

適量のグルコースを与えることによって、過度な脂肪を摂取することなくエネルギーを補給することができ、脂肪肝を改善させることができる確率が高いです。いずれにしても、深刻な状況に至る前の治療が肝要です。

猫の脂肪肝を予防するために飼い主さんが識しておくべきこと

また、猫の脂肪肝を予防するために必要な意識は、やはり猫の食事、運動などを見直すところが大切なポイントになります。ただ、そのためにはやはり「脂肪肝になっていないよね?」という確認も重要になります。

猫が脂肪肝になったかなっていないかを確認するためには、人間と同じく血液検査が必要になります。猫の脂肪肝の有無を血液検査からチェックするための項目は人間と同じ。

  • ALT(GPT)
  • ALP
  • ビリルビン(黄疸の色素)

といった血液検査の項目ですね。できることなら、定期的に血液検査をしていただきたいと思います。肝硬変になってしまったら、治療は不可能です。しかし脂肪肝の段階であれば、治療によりほぼ完治できます。

そういった意味でも、血液検査による日々のチェックはとても重要であるという意識を飼い主さんにはお持ちいただきたいと思います。

猫を脂肪肝にしてしまっているのは誰か・・・この視点が重要!

猫の脂肪肝は、食べすぎ、餌との相性(餌の脂肪分が多すぎる)、運動不足など、不摂生によって肥満に陥ると起こりやすくなります。まさに人間の脂肪肝とかなり似通ったプロセスで猫は脂肪肝を発症します。

だから人間の脂肪肝と同じなのか・・・と考えるのは、猫の飼い主としては安易すぎるといわなければなりません。人間は自分の意思で食べ物を食べ、運動をさぼり、肥満になります。

しかし猫は違いますよね?厳しい言い方をすれば、飼い主さんが大切な猫ちゃんを脂肪肝にさせてしまっていると言えます。

猫が欲しがるままに餌を与え、運動をさせず、餌の成分にも気を配らない飼い主が原因なのです。

ウチの猫は食欲が旺盛で・・・元気だから食欲旺盛なのです。脂肪肝から大きな病気を発症することになったら、食べたいものも満足に食べられなくなってしまいます。

かわいいがゆえについつい・・・かわいいからこそいつまでも元気でいてほしいと願うのが、本当の愛情というものではないでしょうか?脂肪肝は猫の元気を損なう重大な原因の1つであると認識すべきです。

昔住んでいた筆者宅の猫も、先天的な疾患(つまり原因不明)で長く苦しみました。原因がわからないもどかしさはいかんともしがたいものです。

大切な猫の病気の原因に「飼い主」がなってしまうようなことだけは、絶対に避けなければならないと考えますが、いかがでしょうか?

10年先の健康を考えて猫の脂肪肝を予防しよう

子猫の時期はほんとうにかわいいですよね。離乳食を口にするようになれば、そこからはもうふつうのキャットフードをモリモリ食べるようになるのも時間の問題です。

かわいいとついついフードを与えすぎてしまう気持ちはよくわかります。ついつい人間の食べ物もキャットフード以外に与えたくなってしまいます。しかしそれは、人間でいう間食のような「余剰の食事」です。

猫にはできるだけ「適量のキャットフードを与える」ことを意識しましょう。どうしたって猫はかわいい動物です。だからこそ、偏った愛情にならぬよう、飼い主さん自身を戒める必要があるといえるでしょうね。

なんとなく説教じみたお話になってしまい恐縮ですが、「10年先の健康」を意識して、食生活をはじめ、猫の脂肪肝を予防する意識は常々持っていたいものですね。自戒も込めつつ・・・

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