例えば冬の夜。いそいそとお布団に潜り込んだその時――なぜか、しっとりとしている足元、そして今夜に限ってお布団にもぐってこない愛猫。
例えばお買い物帰り。戦利品のお洋服を袋から出して置いておいた後、洗濯しようと持ち上げた時――なぜか、すでに濡れている服、そして満足そうにぐるぐる言ってる愛猫。
例えばお風呂あがり。洗い立てのマットに足を踏み入れた時――以下略。
室内で猫と同居されている皆様に、こんな経験はありませんか。私はとてもあります。布団、かばん、衣装ケース、洗濯物、泊まりに来てた友人、ありとあらゆるものに猫に尿を漏らされ続けてきました。
今この時、猫の尿に悩むすべての人に、この記事を捧げます。
猫のお漏らしに気づいた!その時飼い主さんがすべき行動
現場を押さえられなかった場合は「お漏らしを恨んで猫を恨まず」の精神で、一人で静かに後片付けをしましょう。あとから猫を叱っても、猫は「お漏らし」と「叱られたこと」を結び付けて考えることが出来ません。
粗相したものを鼻先に押し付けたりしても無意味です。本当に効果ありませんでした。むしろ、「急に意味不明なことしてきた。なんなのこの人、コワイ」そんなストレスから更なるお漏らしの呼び水ともなりかねません。
そして、尿の臭いが残っていると、猫はまたしてもそこを「ここはしてもOKな場所」と判断します。徹底的に洗浄しましょう。
市販の専用洗浄剤を用いる他、重曹&熱湯ペーストで丹念に拭き、消臭スプレーを拭くなどが効果的ですが、完全に乾くまでは近づけないこと。
幸運にも現場を押さえることができた場合には、そっと猫トイレに連れて行き、「ここでしてほしい、ここがトイレだ」と示してやりましょう。その後、きちんとトイレで排尿できた場合は褒めたたえておやつを献上するのもいいですね。
鞭より飴、気長に褒めて育てる心意気が求められます。
トイレは覚えているはずなのに、なぜ漏らすのか
猫の排尿行為は単なる生理現象にとどまらず、意思表示でもあります。トイレトレーニングは済んでいる、それなのに起きる猫のお漏らし、考えられるその原因を挙げました。
発情期
猫の恋愛アピールポイントは臭いであり、PR手段は主に、尿です。
いわゆるオス猫のスプレー行為であったり、メス猫もスプレーこそしないものの、普通のスタイルながらトイレ以外に排尿することで諸々のアピールを試みます。去勢・避妊手術は済んでいますか。あの独特の鳴き声で鳴いてはいませんか。
トイレ事情
最近トイレの砂を変えた、容器を変えた、置き場所を変えた、等の変化はありませんか。
静かにして通気が良く、行きやすい場所でプライバシーも守られており、トイレ容器自体が踏み込みやすい高さで、そして砂は足がすっぽりと埋もれない程度。猫はそんなトイレを求めています。
清潔が保たれていないのは論外ですが、逆に掃除しすぎて自分の臭いが残らないと、そこが自分のトイレなのか不安になり、トイレ外で粗相してしまうことも。一頭飼いならトイレ掃除は一日一回、砂の総入れ替えは月に一回で妥当です。
なわばりを侵された
来客があった、もしくは飼い主が外で得体のしれない臭いを付けて帰ってきた。とにかく慣れない臭いがワタシの家の中にある!猫はそれを我慢できません。
猫の基本は(相手の臭いを)上書き保存です。自分の臭いと自分の臭いを定期的に擦り付けてある飼い主の臭いが一番安心できるのです。というわけで、尿。
病気由来
腎臓・尿管・膀胱・尿道の異常などにより、トイレまで尿を我慢できないという場合があります。獣医さんで相談するとまずは尿検査で調べて頂けるようです。
我が家の場合は、獣医さんで尿検査キットを出して頂き、一旦帰宅して猫砂以外で排尿した時の液体状の尿を採取して持参しました。
また、老齢の猫の場合、気力や体力の衰えによってトイレまで間に合わない、という場合もあります。その場合、粗相したことに一番ショックを受けているのは本人(猫)なのは、人間でも猫でも変わりません。
決して騒がず、猫と相談しながら、トイレの位置の見直しを。
どうしてもお漏らしが止まらない場合の自衛法
病気でもない、去勢避妊手術も済ませている、トイレの位置もばっちりで基本的にはトイレを使ってくれている、それでもなぜかお漏らしが解決しない。こうなったらもう、自衛策をとるしか残された道はありません。
抜本的な解決策は、そもそも猫を居室やお布団に入れなければいい。しかし、私たちが求める解決策はそんなことではないはずです。
お布団・クッション系は防水シートで包む
ふわふわフカフカしたものを踏み踏みしていると子猫気分に返って、ついお漏らししてしまう子もいるようです。
そのため、お布団やクッションにビニールシートをかぶせてしまうと、シャカシャカした感触を嫌がってお漏らしされないそうですが、見た目的にも実用的にも無理があるように思います。
我が家では介護用の防水シーツを使っていました。これならお布団は守られますが、結局臭いを取るために防水シーツも洗濯しなければいけないので、洗い替え用に二枚は必要です。
フードを置く
食べ物が置いてある場所には排尿しません。
海外の飼育書によると「ドライフードが食べられないように皿に接着剤で固定して配置」とありましたが、接着剤が猫に良くなさそうですし、そもそも臭いが食べ物ではなくなりそうでしたので、我が家では普通にお皿に入れて置いていました。
フードがあるうちは、無事でした。
洗濯洗剤を変える
獣医さんに雑談の範囲でお聞きしたのですが、市販の洗濯洗剤の中によくある成分は猫にとって尿臭に近く感じられる臭いを放つそうです。
どの洗剤が猫にとってより尿臭として感じられるか、その猫次第の部分もありますので、洗濯済の物にあまりにも繰り返されるようでしたら、一度洗剤を変えてみてもいいかもしれません。
よく粗相される場所にサブトイレを
我が家では寝室に予備の猫トイレを設置したところ、真冬のお布団への粗相がほぼゼロになりました。寒くて寝室から出るのが嫌だったみたいです。
家庭内での動物たちの臭い抗争
宅の猫がいかに尻癖が悪かったかばかり書き連ねたように思いますが、本猫の名誉のために申しますと、前の飼い主のところでは粗相は一度もなかったそうです。
保護した時、我が家にはフェレットがいました。ご存知の方には合点がいったと思いますが、フェレットは相当に体臭の強い動物で、基本的にはケージ住まいでも、放牧時間には部屋のアチコチを飛び跳ねます。
持ち前の独占欲と我の強さがフェレットの臭いに対抗して、激しいお漏らしに繋がっていたのではないかというのが獣医さんと私の見解でした。その後、フェレットもいなくなり、引っ越して新居に移ってからは一度も粗相していません。
同居動物がいる場合、その行動範囲と照らし合わせてみるのも解決につながる糸口となるかもしれません。
尿臭で周囲を不快にさせないために
最後に、お漏らし癖のある猫と暮らす方にお伝えしたいことは「信頼できる周囲の人に、臭いを知らせてくれるよう根回ししておくこと」です。
日々共に暮らしているとどうしてもその臭いには鈍感になってしまいます。「ウチの猫はトイレだけはキチンとしていて助かるわ」と仰るマダムから強い猫の尿臭が、というのもよくある話です。
私はそのマダムに対し「漏らされてますよ…」と内心思いながら、しかし待ち合わせで友人に会うまでバッグに粗相されていたことに気づけませんでした。
あらかじめ「臭ったら教えて欲しい」と伝えておくことによって、臭いという指摘しづらい問題で相手に与えるストレスも軽減できます。教えてもらったら感謝を伝え、小走りで洗面所へ!
みんなのコメント
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すごく参考になりました。
特に餌周りには排便しないとか、
多頭飼いの場合自己主張のためとか、
当てはまりました。