猫が手から餌を食べると嬉しい!手から食べてもらうための手のかたち

動物に餌をあげる行為というのは、どうしてあんなに人をワクワクさせるのでしょうか。動物園では手から餌をあげられる”ごはんタイム”が子供たちに大人気ですし、猫カフェでもおやつを自分の手であげられるとなると別料金であってもついつい求めてしまいます。

猫がおいしそうに食べている姿はいつだって私たちの心を溶かしてくれますが、それがお皿からでなく手からとなると輪をかけて嬉しいものです。手から餌をあげる行為はやっぱりどこか特別に思われてなりません。

猫が人の手から餌を食べる時の気持ちや、猫に手から餌を食べてもらうようにする方法を考えてみましょう。

猫が手から餌を食べたがる理由

餌をお皿に入れても食べなかったのに、手に乗せて近づけてみたら食べてくれた、猫飼いの皆さまにはこういった経験もあるかと思います。野良猫は別にしても、家庭で飼われている猫たちは手から餌をあげると喜んでくれる子が多いですよね。

どうして手から餌を食べたがるのでしょうか。考えられる理由は3つあります。

温められて匂いが立ち上る

人間の手に乗ることで餌が温められ、匂いが立ち上って猫の食欲を刺激するため、手から餌を欲しがるのではと考えられています。

手に乗せただけでそこまで温度が変わるというのはにわかには納得いきませんよね。しかし、猫は鼻から吸い込んだ空気の温度を0.5度レベルで検知するほどの精度で測っています。

そもそも自然界で生きていたころの猫は、ジャッカルのように温度のない死肉でも気にならないタイプではなく、基本的には狩りたてをその場で食べる捕食スタイルでした。熱すぎず、冷たすぎず、人間の手に乗せて温められたくらいの餌は猫好みの温度になるのかもしれません。

私たちが前日のカレーの鍋をコンロにかけた時、温まるにつれて立ち上る匂いで一気にお腹が鳴ったりするようなものですね。

別のお皿が気になる・子猫時代を思い出す…気分の問題

猫は毎日の習慣やお部屋の風景の変化を好まない一方で、目新しいものに対する好奇心や探求心も強い生き物です。変わらない日常を愛しながらも、自分の気分が良くなるイレギュラーは大歓迎!といったところでしょうか。

隣の芝生が青く見えるのは猫も人も同じなようで、例えば多頭飼いや他のペットとの同居の場合、同じ水や餌なのに、何故か自分のお皿より他の子のお皿に入った水や餌から欲しがるという事もよくあります。

いつもと違うお皿、すなわち飼い主の手。一度食べたそれがお気に召したのなら、手から餌をもらうことは(例えそれが同じ中身だったとしても)いつだってスペシャルごはんとして猫の中で位置付けられてしまうのかもしれません。

また子猫の離乳期、母猫は自身の口を経由して、咀嚼した餌や弱らせた獲物を子猫の前に置きます。また人間が猫を撫でる行為を猫は舌を使うグルーミングと同等としてとらえているようです。

そう考えた時、それが母猫の口であれ人間の手のひらであれ、餌を与えられているという点については同じとして認識しているとも考えられます。つまり母猫に初めてのごはんをもらった時の気持ちになって甘えているというわけですね。

お皿から食べにくい理由がある

たまに「うちの子は手からしか餌を食べないの」といわれる猫がいます。

猫はこだわりが強くで頑固なところがある生き物なので、自分なりの理由でこうと決めたら寝床、トイレ、そして餌にしても”こうでなくっちゃ”を貫いて、通らない時は健康に影響の出るレベルでストライキを敢行することもあります。

甘えたい気持ち100%で手から餌を食べていることも十分に考えられますし、それは猫と飼い主の日々の満足度をアップさせる素敵なコミュニケーションです。

しかしながら、それが「手からしか餌を食べ”たく”ないの」ではなく「手からしか餌を食べ”られ”ないの」であれば飼い主さんは少し考えなければなりません。

餌皿はいつも床置きでしょうか、それとも台を使っていますか。床置きの場合、腹ばいの状態ではなくいわゆるお座りの状態で頭を下げて食べていませんか。

きちんと端座して頭だけを餌皿にまで下げて食べている場合、重力に反して餌を嚥下することになり、吐き戻しによる逆流性の食道炎の原因にもなります。(人間でも食べてすぐ横になるのは牛になるよりも深刻に、胃液の偏りが問題となるようです。)

また、ペルシャの系譜に連なる猫種全般に多いピークフェイス、鼻面が極端に扁平な顔立ちの猫は時としてフラットなお皿から餌をとるのが困難な場合があります。また、首や肩の関節が弱っているために屈むことで大きな負担を感じる高齢猫も然りです。

愛猫が手から餌を欲しがり続ける場合、そこに甘えたい以外の理由が隠れていないが注意深く観察してみて下さい。

猫に手から餌を食べて貰うには

飼い主の手ずから与える特別な餌、それを嬉しそうに食べる愛猫…キャットフードのTVCMに多用される構図であり、見ているこちら側としても一度のみならずと憧れる瞬間です。しかし、うちの猫にも手から餌をあげてみたい!そう思っても必ずしも上手くいくとは限りません。

例えば野良出身の猫は餌を食べる時に警戒する癖が抜けない、早くに親元を離れてしまった猫は”与えられる餌”というシチュエーションに慣れていない、などの理由でスムーズに手から餌を食べてくれない場合もあります。

手から餌を食べない猫に、手から餌を食べてもらうにはどうしたら良いのでしょうか。結論から言えば猫も人も「慣れる」より他にありません。

猫にとっては手から餌を食べていてもとられない、イヤなことはされない。人間にとっては餌と一緒に手を食べられてしまう心配がない。そうして双方が不安なく餌を出しつ出されつ出来るようになった瞬間にシームレスに成功するものです。

まだあまり人慣れしていない猫の場合、餌は咥えて持ち去って物陰でコソコソと周りを窺いながら食べるもの。まずは餌皿のそばに人間(飼い主)がいる状態でも気にしないで食べていられる状態を目指しましょう。

それができるようになったら、次はお皿を手で持ってコミュニケーションを取りながら食べさせます。ちゅーるやささみパウチのような手で持てるおやつなどもあげてみて、もう大丈夫と思えたらいよいよ手から餌を与えるフェーズに移行します。

最初のうちは手のひらにくぼみをつけず、指先までまっすぐにした上で無理のない量の餌を載せるようにしてください。

人間は不安や恐怖を感じると指先に緊張が走って内側に収縮しますが、すぼまって凹凸の出来た手のひらの上は猫にとって食べづらく、またこうした緊張感は猫にも伝わります。

こうして猫も人も心穏やかに手から餌を食べ、食べられたときに確かになる信頼感、それが手から餌を与える醍醐味ともいえるでしょう。

ちなみに私は多頭崩壊出身ゆえに警戒心や餌への執着心が異様に強い宅の猫に対し、半年かけてこのような馴致を続けた結果、昨晩もやっぱり指を噛まれました。

初日には目の前でちゅーるを開けた途端に襲い掛かってきた宅の猫ですが、餌は全部独り占め出来て誰かにとられる心配はない、と覚えてからは手のひらからも上手に食べられるようになりました。

しかし、食欲旺盛なので食べているうちに匂いのついた(例えば焼きいわしパウチをほぐした直後のような)指は見境がつかなくなってしまうようで、今でも油断するとぱっくり食べられてしまうことが非常にしばしばよくあります。

猫は猫なり十匹十色、上記の方法はあくまで一例ですので、ご自身の猫のタイプを考慮した上で注意深くお試しくださいね。

猫が手から餌を食べるメリット

前述した通り「手からしか餌を食べられない」のであればいささか心配な点もありますが、別に手から餌を食べなくても、きちんと毎日必要量の餌が摂れているのなら何ら問題はありません。

しかし、猫が手から餌を食べるのが好きだった場合、病気などの体調不良で食欲が落ちた時に役に立つ事もあります。手の温度で匂いの立った餌を食べるのに億劫でない位置に差し出せば食べられる、という場合は少なくないからです。

以前飼っていた猫は平素、特にお皿からも手からもこだわらない猫でしたが、腎不全でほとんど何も食べられなくなってしまった時、最後まで口にできていた食べ物は液体おやつを手のひらで温めたものでした。

そうして少しでも食べることで体調を持ち直したり、もしくはわずかながらもQOLを維持できると思えば、日頃から手から餌を与える事をスペシャルごはんとして習慣づけておく価値は充分にあるように思います。

それに何より、手から餌をあげるのはあげる方も嬉しいですし、貰う猫の方もきっと嬉しいはずです。飼い主が嬉しくて猫も嬉しければそれが正義、この上ないメリットと言えます。

手から餌をあげるという愛情表現

思えば食べ物を手ずから、あるいは口移しでもらう、というのは多くの哺乳類が生まれてまもなく親からしてもらうことであり、最初に与えられる愛情の象徴ともいえます。

生まれてすぐに独り立ちしなければならない爬虫類や魚類に比べ、親から母乳や餌をもらって育つ哺乳類は、その名残で生涯を通じて他の個体の体温やコミュニケーションを必要とし続けるといいます。

猫は適切な大きさと高さのお皿から必要な栄養が含まれた餌を食べていれば生きられますし、人間だって毎日必要栄養素を摂っていれば、理論上生きていけます。でも猫も人も哺乳類、食べ物によってのみ生きるのではなくふれあいだって大切に思う生き物です。

手から餌をあげることで飼い主と愛猫の仲はより一層深まることでしょう。

あなたの一言もどうぞ

ページトップへ