猫に塗り薬を使うときの注意点。舐めてしまうのを防ぐ5つの方法

猫が痒がっている姿を見かけるのは、それほど珍しい姿ではありません。アレルギーや外部的要因で、愛猫の体に痒みを生じてしまうことがたびたびあります。

痒みだけでなく怪我をしてしまい、傷口に痛み止めを塗る事も出てくるでしょう。

人間なら肌に薬を塗ることで多少抑えることが出来ますが、全身を被毛で覆われている猫の場合はどうするのでしょうか。また、薬を塗った後のケアはどうすべきなのでしょうか。

猫に塗り薬を使う上での注事点やケアの方法を考えていきます。

患部を舐めてしまう事の対策をする

内服薬と違い、猫に塗り薬を塗ること自体はそれほど苦労しないことが多いです。

口内炎など口腔に使用する場合は慣れが必要になってきますが、それ以外の場所であれば人間一人で塗る事も可能です。

問題なのはその薬を塗った所を、猫が舐めてしまうことです。猫は痒みや痛みを感じた時、患部を舐めて癒そうとします。

そのため、薬を塗ってもすぐになめとられてしまう事があります。これでは薬を塗った意味がありません。

体を舐めることは猫の習性の1つであり、体についたにおいを消したり、体温調整をしたりと様々な役割があると考えられています。

傷口を舐めるからと言って、無理やり舐めるのをやめさせるのはかえって猫にストレスを与えてしまう事にもなります。

猫が患部を舐めない様に気をそらす工夫をしてみる

猫が傷口を舐めない様にするための工夫としては、薬が浸透するまで猫の気を患部からそらすというものがあります。

塗り薬は通常、塗ってから30分ぐらいで皮膚から体の中へと浸透していきます。この間だけでも、猫の気を患部にいかないように紛らわすのです。

食事の直前に薬を付けることで、食事をしている間は幹部から気をそらしてくれるかもしれません。遊ぶのが好きな猫なら、薬を付けたあと遊んであげればしばらく気を紛らわしてくれそうです。

しかし、毎回そのようにしてあげられないこともあるでしょう。その場合は、患部を舐めない様に物理的に対策をするしかありません。

エリザベスカラーをつけて舐めない様に対策をする

傷口対策によく使われるのがエリザベスカラーです。プラスチックのものが主流ですが、布製のものもあります。

動物病院で治療を行う時につけることが多く、通信販売やペットショップなどでも扱っていますので、なるべく負担にならないものを利用したい所です。

我が家の猫は昔、真菌感染症になりかきむしってしまった結果、患部が剥げて赤くなってしまったことがあります。これは人間の水虫と同じような感染症で、治療には塗り薬を使い菌を退治していきます。

しばらくの間、エリザベスカラーをつけていましたが、エリザベスカラーをしたまま動くのであちこちにカラーをぶつけてしまっていました。隙間を通ろうとしても、カラーがぶつかってしまうのです。

仕方がないとはいえ、ストレスになってしまったのではと思い少し治癒してきた所で、カラーは外しました。

猫用の術後服も色々なタイプのものがある

最近では猫用の術後服というものも出てきています。名前の通りもともとは手術後に患部を保護するために着るもので、エリザベスカラーをつける代わりにこの服を着せる飼い主もいます。

服を着ること自体猫は嫌がるため、エリザベスカラーとどちらがいいか悩むところです。エリザベスカラーは寝る時にも邪魔になりそうですし、我が家の猫がそうであったようにあちこちにカラーがぶつかってしまうこともあるでしょう。

術後服は慣れるまでに時間がかかりそうですが、慣れてしまえばカラーよりも安心できそうです。

包帯やばんそうこうやガーゼは誤飲に注意

包帯やばんそうこう、ガーゼを巻くという方法もありますが、噛み切って飲み込んだりしないかどうかが心配なところです。また、しっかりつけないと外れてしまうこともあります。

どれを使用して、傷口のケアをするかは、その猫の性格や生活環境によって工夫するのが良いと思います。

また、複数の猫がいる場合は他の猫が患部を舐めてしまうことも考えられるので、薬を塗らなければならない当事者の猫を別室で過ごさせるようにします。別室への隔離が難しい場合は、ゲージを使う様にします。

口腔内への薬は、根気よく数をこなして慣れていこう

口腔につけるタイプの薬の場合は、同居の家族がいれば1人が抑えてもう1人が薬を塗るといった連携で塗っていきます。

1人の場合はエリザベスカラーを着用させ手足を片手でまとめて抑え、金属製のスプーンの柄の部分に薬を付けて口の中に入れます。少々可愛そうですが、数をこなして慣れていく様にしてください。

口の中に直接塗れなくても、口角につけるだけであとは猫が舐め取り、口腔内に広がっていくはずです。

口腔内に薬をつけるのは難しいことなので、猫の性格などを説明し一度医師のアドバイスを受けるのが良いでしょう。

いずれにしてもケアをしている間は、猫にとってもストレスになってしまうことが多いです。ケアする期間をダラダラを長引かせないためにも、短期間集中的にケアをして早く治癒をするようにしていきたいものです。

人間の薬を猫に使うのはやめた方が無難

ちょっとした傷だからと、人間用の薬をペットに使用する人が時々いるようです。

動物病院で処方される薬の中には、人間にも処方する薬もありますが、市販の薬を猫に使ってもいいのか疑問になることがあると思います。

内服薬はともかく、皮膚の薬ならいいのではないかと思うかもしれませんが、もし使うにしても必ず専門医に相談してからにしてください。

ノミに刺されたからと、家にあったムヒやキンカンを塗るようなことは絶対にしないでください。なぜなら猫や犬の皮膚は人間より薄く、副作用が出る危険性があるからです。

例えば人間用のハンドクリームでさえ、顔には使わないでくださいと注意書きがある場合があります。それは人間の手に比べると人間の顔の皮膚は薄い為、トラブルのもとになるからです。

それと同様、本来使用すべきでないペットの皮膚に使う事で、どんな副作用が起きるかわかりません。また猫はなめてしまう可能性も高いです。薬品が体内に入ってしまったら、最悪中毒死する可能性もあります。

人間に使っても大丈夫だからと、甘く考えない様にしてください。

猫は消毒よりも傷口を舐めさせない方が重要

野良猫や同居猫とケンカをしたりして、突然怪我を負ってしまうこともあるでしょう。爪切りの時に暴れて、深爪させてしまい出血してしまった、という経験もあるかもしれません。

この場合はどう対応したらよいでしょうか。猫が怪我をし体から血を流していたら、何か薬を!と慌ててしまうかもしれません。

まずはぬるま湯で患部を洗い流します。その後、患部を舐めない様にエリザベスカラーなどをつけておきます。

ちょっとしたひっかき傷なら猫の本来持っている治癒能力で治りますが、野良猫などに噛まれたりしている場合は感染症の可能性もあります。傷が深かったり膿んでしまっている場合は、早めに病院へいくようにしてください。

動物病院で、消毒用にイソジンを使う事があります。実際に我が家の猫の真菌消毒用に、イソジンが処方された事もあります。

これは人間のうがい用のイソジンと同じものですが、人間用のうがい薬の方には炎症を抑えるためにメントールが入っています。

そのため、猫の皮膚には不快な刺激になってしまうかもしれません。猫の皮膚の保護は、薬を付ける事よりも舐めさせない事の方が大事です。

猫の舌は小さな突起がありザラザラとしているので、傷を舐めることにより傷が広がる可能性があります。

もしものことに備えて、普段からエリザベスカラーを準備しておくのもよいでしょう。

傷や病気を負わない為の予防が一番大切

傷は舐めて治すという猫の本能があるので、それをやめさせてケアをしていくのは大変なことです。だからこそ、普段から猫を外部からの危険から守ってあげることも予防になります。

室内飼いを徹底させたり、皮膚病の原因になるノミやダニをつけさせないなど、出来る限りの工夫をしてあげれば心配も減っていきます。

自己判断での治療は絶対にやめるべきです。人間と猫では同じ薬でも、体への影響が全然違うことは頭に常に入れておくべきことです。

正しく対処していくことが、猫を守る事にも繋がります。日頃の疑問点をメモしておき、動物病院へ行った時に質問するのもよいでしょう。大抵の獣医さんは答えてくれるはずです。

緊急の時のために、夜間や休日でも対応してくれる病院をサーチしておくのも良いでしょう。

大事な愛猫を守ってあげられるのは、飼い主だけなのです。

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