猫に刺身は与えても良い?マグロ、サーモンなど食材ごとの安全性

猫には魚、日本ではそんなイメージがあります。

猫のイラストには魚がセットで描かれていることが多いですし、実際にキャットフードを見ると魚を原材料にしているものが沢山あります。

そのように猫は魚が好きということは良く知られています。その上で魚料理の1つである、刺身を猫に食べさせても良いのかと迷う事があります。

肉食動物は生肉を食べますし、猫に刺身を食べさせても問題がないように見えますが、魚の種類によってはあまり食べさせない方がいいものもあります。

刺身の中で猫が食べても問題ないものと、食べない方が良い物をまとめてみました。

刺身は生のため寄生虫の危険性

人間にも同じことはいえますが、生の物を食べるという事はその分リスクも高くなるということになります。

最近話題になるのがアニサキスです。芸能人等がアニサキス症となり、酷い目にあったことをツイッターやインスタグラムなどSNSで報告したことから、一気に注目されるようになりました。

アニサキスは体長2,3センチほどの白いひものような寄生虫です。体内に入ると胃や腸の粘膜に潜りこもうとするため、激しい胃痛や腹痛を引き起こします。熱に弱いため加熱してしまえば撃退できますが、生で食べる刺身はアニサキスのリスクが高くなるわけです。

刺激に弱いため食べる時に良く噛むことでアニサキスを殺すことができますが、猫は食事を丸のみして食べる性質があるため、良く噛んで食べるということが出来ません。

特にサバやサンマに多いとされます。イカにも多いですが、猫にイカを与えるのは好ましくない為、アニサキス以外の理由もあり与えるべきではありません。詳しくイカの項目で解説しています。

またアニサキスは冷凍でも死滅するため、一度凍らせてから解凍して食べるという方法もあります。

青魚を食べ過ぎると脂肪が炎症する事がある

生の魚介類は寄生虫以外の理由で、刺身について注意するべき点もあります。

アジやイワシなどの青魚は与え過ぎると脂肪が酸化し、炎症を起こすイエローファットという症状を引きおこす可能性があります。

青い魚にはDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれており、健康に良いと耳にすることが多いです。これらには血液中のコレステロールを減らす効果がありますが、必要以上に摂取するとイエローファットという症状を引き越してしまうのです。

猫のお腹や胸に溜まった脂肪が酸化し炎症すると脂肪が黄色く見えるため、イエローファット=黄色い脂肪と呼ばれるのです。

刺身に限らないですが、猫は魚が好きだからと思い込み、偏食ばかりしているとイエローファットを起こしやすくなります。

マグロやカツオなど、キャットフードに良く使われる魚に多く含まれており、特に脂ののったサバやトロにはダントツに多く不飽和脂肪酸が含まれています。

猫の下腹部にはルーズスキンと呼ばれる柔らかくてタプタプした皮膚のたるみがありますが、この脂肪を触って堅い手触りだったり、触って痛がったりする場合には脂肪が炎症している可能性があります。

歩き方がおかしくなったり元気や食欲がなくなったりします。命の危険に及ぶ病気ではありませんが、魚のフードばかり与えずに、鳥や牛肉などの食事も与え魚ばかりに偏らないようにすることが予防になります。

脂ののったトロやサバ、ブリなどは猫にとってもおいしい食べ物と感じるかもしれません。毎日刺身を食べさせることはあまりないかもしれませんが、食べさせるクセをつけすぎないようにすることも大切です。

生の魚介類にはビタミンB1を壊してしまう働きがある

また生の魚介類には、チアミナーゼという酵素が多く含まれています。これは体の中のチアミン(別名ビタミンB1)を壊してしまう酵素です。

ビタミンB1は猫にとって人間以上に必要不可欠な栄養素ですから、ビタミンB1が欠乏することで深刻な問題になることもあります。

ビタミンB1が不足すると運動障害や知覚過敏といった障害があらわれ、病気が進行すると命に係わる事もあります。

生魚の他にはイカ、タコ、貝、甲殻類にも多く含まれている為、食事のバランスは非常に重要です。

チアミナーゼは熱に弱い性質がある為、生魚を与える場合には火を通して加熱する方が無難と言えます。

食材別に気をつけるポイントを抑えよう

続いて、食材別に食べても問題がないかを解説していきます。

イカは消化不良を起こしやすい

猫にイカを食べさせると腰を抜かす、という話を聞いたことがあるかもしれません。

これはイカを大量に摂取する事で引き起こされる、ビタミンB1欠乏症の様子を現しているのと考えられています。

前述の通りチアミナーゼを大量に摂取する事で、ビタミンB1欠乏症という症状に陥る可能性があります。

ビタミンB1は心臓・肝臓・腎臓など重要な臓器が働くための栄養素であり、これが不足すると疲労感・筋力の低下・歩行困難・視力障害・発作などの症状を引き起こし最終的に死に至ってしまうのです。

特に肉食動物である猫にはビタミンB1は重要で、人間の数倍のビタミンB1が必要とも考えられています。

イカにはチアミナーゼが多く含まれているので、食べ過ぎて筋肉の低下や歩行困難となってしまった姿を、腰を抜かすと表現したのかもしれません。

しかしイカにはタウリンという栄養素も多く含まれています。栄養ドリンク剤でタウリン1000ミリ配合、というようなフレーズを見たことがあるでしょう。

タウリンはアミノ酸の一種であり、魚介類に多く含まれています。特にイカ・タコ・貝と言った軟体動物に多く含まれていることがわかっています。

タウリンは食べ物でしか摂取できず、不足すると視覚障害や聴力障害と言った症状の原因となります。

そのためイカは絶対に食べさせてはいけないというわけではありません。

市販されているキャットフードには、イカが含まれているものもあります。食べる時は量や調理方法に注意が必要となります。

生を食べさせるのは極力控えた方が良いでしょう。加熱するとチアミナーゼは壊れてなくなりますが、タウリンも熱に弱く半分ぐらいは加熱により失われてしまいます。

イカはコレステロールも高いので、与える時は少量に留めておいた方が無難です。

タコは弾力による消化不良に注意する

イカと同様に、食べ過ぎるとビタミンB1欠乏症になってしまう可能性があります。消化はあまり良くないため、食べ過ぎると嘔吐や下痢の原因になることもあります。

タコは弾力があり老猫や子猫など、噛む力が弱い猫の場合はのどに詰まらせて危険性があります。食べるのであれば加熱し、少量にしておいた方が良いでしょう。

タウリンは必ずしもイカやタコから摂取しなければならないことはなく、一般に市販されているキャットフードでもタウリンを多く含むものが販売されております。

イカやタコを食べさせるのに不安を感じる場合は、キャットフードでタウリンを摂取する方が安全と言えます。

アジ・イワシ・サバなどの青魚はイエローファットに注意する

たまに食べる程度であれば問題ありませんが、前述したように不飽和脂肪酸によるイエローファットや、皮膚疾患の原因になります。

猫が味を覚えて食べ過ぎにならないように注意をしましょう。特に人間の食卓に刺身や焼き魚が出された場合、猫が食べてしまう場合があります。

醤油などで味付けしてある刺身は、塩分の取り過ぎにもなってしまうため、食卓の上に猫が乗って魚を食べないように見張っておきましょう。

もし食べようとしたら、食べてはいけないことをその場でしつけるようにしてください。

猫はその場で注意をしなければしつけの意味がありません。あとから叱っても何のことなのか判断できないからです。

ホタテは食べさせる量に注意しよう

刺身で貝と言えばホタテです。ホタテはキャットフードでも多く使われており、猫が食べられる食材の1つとなっています。

同じ貝でも、猫がアワビを食べると耳が落ちるという迷信があります。

これはアワビやサザエなどの内臓に貝特有の毒が溜まる事で皮膚炎となり、酷くなると耳をかき過ぎてとれてしまう事があるというところからきているのだと思われます。

貝は毒性を持ったプランクトンを食べることで、貝の内臓に毒がたまる貝毒と呼ばれるものです。この毒は人間には影響がないのですが、猫には皮膚炎などの症状を起こしてしまうのです。

ホタテはこれらの貝と違い内蔵ではなく貝柱を食べますから、猫でも安全というわけです。

ホタテの内臓には貝毒があることがありますので、猫に与える時は貝柱のみにしましょう。

イカやタコなどと同じくチアノーゼが多く含まれているため、食べる時には生ではなく加熱するようにしましょう。

ホタテが好物の猫は多いようです。あまり食べさせすぎると、ホタテがくせになってしまうこともあるようです。

あまり食べ過ぎないように中ぐらいのホタテであれば1日1,2個程度にし、必要な栄養素は他のフードからとる様にバランスにも気をつけましょう。

マグロ・カツオは量に注意すれば食べることが出来る

マグロやカツオはキャットフードでもおなじみの食材であり、猫にとっては安全な食べ物と言えます。

マグロやカツオも同じサバ科の魚であり、含まれている栄養素も大きな違いはありません。しかし生であればチアミナーゼによるイエローファットが心配になります。

与えるなら火を通すか、どうしても生で食べたがるのであれば、月に数回、量は2,3枚程度に留めておいた方が良いでしょう。

またマグロでもお腹の部分に当たるトロは脂身が多くカロリーも高い為、食べ過ぎには注意が必要です。

サーモンは脂肪分に注意

サーモンもキャットフードではよく使われる食材です。そのため与えるのは問題無さそうですが、これにも注意があります。

サーモンは養殖のものが多く、養殖のものは脂がのっているものがほとんどです。美味しくするために、養殖の段階でエサを沢山与えて脂がのりやすくしているのです。

そのため与える時には量に注意しましょう。

また、サーモンは加熱用のものもありますが、猫に与える時には必ず生で食べられる刺身用のものだけにしてください。加熱用の物は寄生虫がいる場合があるからです。

加熱用と生食用は見た目は同じように見えますが、サーモンの種類に違いがあります。

加熱用のサーモンはシロサケという種類で、川で生まれて海を回遊し産卵時期にまた川へ戻ってきます。

生食用のサーモンはニジマスという種類が使われており、基本的に川だけで一生を過ごす魚です。

生魚によく寄生するアニキサスは海にいる寄生虫のため、シロサケは加熱をして食べる必要性があります。

見た目が同じでも、加熱用のサーモンを生で食べるのは危険が高くなります。

それでは同じ海で取れるマグロやカツオは大丈夫なのかという話になりますが、カツオやマグロは捕獲した後船で冷凍して市場に運ばれるため、冷凍に弱いアニサキスはほとんど死滅してしまいます。

サーモンも出荷の途中で冷凍するので、アニサキスの危険性は他の魚と同じではありますが、表示された調理方法をちゃんと守る事が愛猫の健康を守る事にもつながるのです。

また、塩漬けなど加工してあるものは塩分が非常に高い為、猫には与えないでください。

ハマチ・ブリ・カンパチも脂肪分が多め

ハマチとブリは同じ魚です。出世魚といわれるもので、成長につれて呼び名が変わります。ハマチは成長途中のブリのことです。

カンパチはブリと同じくアジ科ブリ属の魚で、ブリとよく似ている魚です。味も似ていますが、カンパチの方が脂が少な目であり捕獲量が少なく、高級魚として扱われることもあります。

これらの魚は他の魚に比べて脂がのっていることが多いので、与え過ぎに注意するようにします。

最近は室内飼いの猫が増え、また避妊や去勢手術を受ける事が多く、肥満になりやすい要素が揃っています。

ハマチ・ブリ・カンパチは量に注意し、出来れば湯通しして熱を通し脂を落としましょう。生で与えるのであれば、月に数回程度に留めておく方が良いでしょう。

タイは小骨に注意し新鮮なものを

タイはマグロやカツオほど多くはないですが、キャットフードでも比較的使われている食材です。しかも脂が少ない為ヘルシーな食材でもあります。

刺身を食べること自体は問題はありませんが、小骨が多いので刺身に骨がついていないかどうかよく確認しましょう。

通常売られている刺身は骨を取り除いてありますが、たまにさばいた時に見落とされた小骨が残っていることがあります。

また「腐っても鯛」ということわざが示す理由として、タイは他の魚と比べると多少古くなっても食べることが出来るという性質があります。

だからといって、わざわざ古くなったものを与えるのは好ましくありません。当面感のあるものを選び、食べる量は一回の食事では半切れ程度にしておくのが良いでしょう。

エビは食べられるが消化が悪い食材

タコやイカと同様、チアミナーゼが多く含まれています。生で食べさせる場合はごく少量にしておいた方が良いでしょう。

加熱すればチアミナーゼは壊れますが、エビはもともと消化の悪い食材のため、食べ過ぎると下痢や嘔吐の原因となります。食べさせる量には注意したい所です。

エビは時々殻が残っているものもありますので、与える時には注意しておきましょう。

ウニは塩分が高く腎臓などに悪影響

ビタミンやたんぱく質が豊富なウニですが、塩分が多少含まれている為、人間には少量でも猫にとっては負担が大きくなります。

塩分は腎臓などの臓器に影響を与えてしまいますので、あまり与えるべきではないでしょう。

生のウニも塩分がありますが、瓶詰などの加工品はさらに塩分が高くなりますので、絶対に猫に与えないでください。

ふぐは身が堅いため喉に詰まらせる危険性がある

毒のイメージが強いフグは、刺身で売っているものは免許を持った調理師がさばいたものです。

フグの身は他の魚と比べて固めなので、刺身は皿が透けるほど薄く切ってあります。魚の中でも高級品であるため、頻繁に食べることはあまりないと思いますが、生の魚特有のチアミナーゼがあるため生で与えるのは好ましくありません。

また身が固いので喉に詰まらせてしまう危険性があります。

猫に限っての話ではありませんが、くれぐれも釣ったふぐを食べるようなことはしないでください。

フグは種類により毒がある部分が異なり、毒の強さも個体差があります。中には皮にも猛毒を持つ種類もあります。

釣れたからとって自分で調理して食べた結果、食中毒となり死亡したケースもあります。人間でもこのような事故になってしまうため、体の小さな猫に自分で調理したふぐを与えるのは厳禁です。

ウナギ・アナゴはカロリーに注意

生で食べることはありませんが、土用のウナギなど縁起として食べる機会が多い為、一緒に調べてみました。

この2匹の魚は両方ともウナギ目ですが、ウナギ科とアナゴ科で生物学的には親戚のような関係になります。

ウナギは産卵以外は川で過ごし、アナゴは海の浅瀬で過ごし産卵の時期になると深海へ行くという生態の違いもあります。

栄養素として両者に大きな違いはありませんが、ウナギの方が脂肪が多くトロっとした味わいになります。また両者ともに、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

スーパーなどで売られているものはほとんど人間用に調理されており、味付けがされています。

猫に与える場合は味付けされたものは塩分も高い為、そのまま与えるのは好ましくありません。

味付けを一度洗い流し、フライパンなどで熱を通して与えるようにしましょう。体重1キロにつき1グラム程度が目安です。特にウナギは脂肪分も高いので、量には十分に注意をしましょう。

ウナギもアナゴも小骨が多い魚です。喉に小骨が刺さってしまわないように、与える時は小骨をとり身をほぐしてあげると良いでしょう。

イクラは塩分とコレステロールが高めの食材

サケの卵です。猫が食べても問題はないのですが、卵だけありコレステロールが高く塩分も多く含んでいます。

与える量には注意が必要です。

かずのこは塩分がかなりある為、与えないようにしよう

メスのニシンから取り出した卵をそのまま塩漬けしたものです。そのため塩分が非常に高い食物です。

塩抜きしても、猫にとってはかなりの量の塩分を摂取することになりますので、絶対に与えないようにしてください。

食材は迷った時には与えない方が無難といえる

スーパーなどで売られている、代表的な刺身について猫に安全かどうかをあげてみました。

全ての食材に共通しているのが、生であればチアミナーゼが多くビタミンB1を壊してしまう原因になってしまうということと、寄生虫の心配があることです。

また食材によっては塩分が多かったり脂肪分が高かったりするので、与える時にはそれらの考慮も必要になります。

もし、刺身を猫へ与えていいか迷った時は、与えない方が無難と言えるでしょう。

一般的に売られているキャットフードは、素材は色々ありますが栄養や安全をクリアしたものだけが売られています。

確かに添加物などの問題はあるもの、それは人間の食事も同様で、添加物なしではキャットフードは痛みやすく腐りやすいものばかりとなってしまいます。

猫の平均寿命が昔よりも数倍伸びたのも、キャットフードが良質な物になったことが一因ともいえます。

人間には問題ないからと安易に考えずに、体の小さな猫にとってどんな影響が出るのかを考えた上で、猫にも刺身を食べさせるようにしましょう。

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