猫の目はなぜ光る?猫の目の仕組みと、注意するポイントを確認しよう

暗闇で光る2つの目が急に浮かび上がる。闇の中で光る目は猫だとわかっていながらも、急に見かけるとドキッとする物です。

猫を飼っている人なら、闇の中で猫の目が光っているのをみたことがあるでしょう。

この不思議な目は猫の魅力の1つであるとともに、肉食動物で生まれながらのハンターである猫にとって欠かす事の出来ない機能が備わっています。

今回はなぜ猫の目が光るのか、その目にはどんな機能がありどんな役割があるのかを解説していきます。

光を増幅されるため、タペタムという反射板を持つ

人間で目が光るというと、獲物を狙っているとか何かをたくらんでいる時の表現として使われますが、あくまで例えであって人間の目は光りません。

人間は光らずに猫の目が光るその理由は、目の構造の違いにあります。

猫の眼球81244

図で示されている通り、人間の眼球と猫の眼球では、基本的なつくりは大体同じです。

最も大きく違うのは、猫の目にはタペタムと呼ばれる、光を反射する性質をもつ組織層が網膜の下にあることです。

猫の目に入ってきた光はこのタペタムに当たって反射し、その光が増幅されるため暗闇の中でも視界が見える様になるのです。猫の目に入った光が眼球の中で増幅されて角膜から飛び出す為、目が光ってみえるわけです。

映画や写真を撮影するときに、銀色や白の反射板を持って、人や物に光が良く当たる様にしているのと似ています。

そのため、猫は人間よりも厚い角膜をもっています。

猫の目を横から見るとガラス玉のように、厚く透明な角膜を見ることができます。

角膜とは人間や猫の体で唯一透明な体の組織で、光をより屈折させて有効利用するために厚い角膜をしているのです。

外部の光の量を瞳孔で調節する事が出来る

猫の瞳が時間によって、細くなったりまんまるくなったりするのもそれに関係しており、光が強いお昼の屋外では瞳孔を狭くして余分な光が入って来ない様にしているわけです。

逆に夜になると目がまん丸くなるのは、光が弱くなる為、動向を大きくして光をたくさん取り入れようとするからです。

眼底検査をしたことがある方なら、薬で瞳孔を開いた時に検査の時の光がまぶしく感じたり、帰り際に車のライトや太陽がかなり眩しく感じたことがあるかもしれません。

また、トンネルから外に出た時や暗い映画館から外に出た時に、光がまぶしかったという経験があるかもしれません。

暗闇の中では人間も、瞳孔を開いて光を取り入れようとする為、外に出ると一瞬光が入り過ぎてしまうためです。瞳孔を大きく開くというのは、それだけ光が沢山入ってくるということになるのです。

だから猫に強い光は注意が必要です。

フラッシュ撮影には要注意。目を痛める可能性も

猫の目は入ってきた光を増幅させることができるため、特にフラッシュ撮影には要注意です。

猫の目が光っている写真を見かけることがありますが、私達が直接太陽を見てはいけないのと同じように、フラッシュの光は猫にとってかなり強い光となってしまいます。

最悪、フラッシュの光で目を痛めてしまう場合もあるので、フラッシュを使っての猫の顔を撮影する時は、フラッシュを直接猫の顔に向けないなど気を付けるようにしてください。

夜に獲物をとるというライフスタイルに合った目を持つようになった

顔の割に目が大きいのも、そのライフスタイルによるものです。眼球が大きい事でより多くの光を集めて、暗い中でも活動できるように進化してきたわけです。

闇の中でも獲物を取る為に進化した目が、人間にとっては猫をかわいいと感じるチャームポイントにもなっています。

もちろん、まったく光のない完全な暗闇では猫でもものを見ることはできなくなります。部屋の照明を消して完全な暗闇にした場合は、猫の目は光っていないはずです。

この場合は、人間よりもはるかに優れた嗅覚や聴力で獲物を捕らえるのです。猫は夜に活動をする夜行性の動物なので、目もそのように進化をしてきたわけです。

代わりに、人間のようにフルカラーで景色を見ることはできず、限られた色しか判別できません。しかも視力は人間の10分の1ほどしかなく、かなりの近眼といわれています。

しかし猫にはすぐれた動体視力や聴力がありますから、獲物を捕らえるにはそれで十分であり、人間と同じフルカラーでものを見る能力は必要なかったのでしょう。

このタペタムをもつ目の構造は、猫だけでなく犬も持っています。

獲物を捕らえるグループである食肉目はたいていの場合は夜行性で夜に狩りをおこなう為、ライオンや虎、熊や狼なども目にタペタム構造をもっています。

またウマやウシといった一部の草食動物も持っています。

光る目が不気味に見えて迫害を受けた時代もあった

夜に獲物を捕らえるために備わった猫の光る目が、ある時期において不吉だと迫害されるようになってしまった歴史もあります。

16世紀から17世紀のヨーロッパで教会が先導し起こった魔女狩りにおいて、人間でなく猫も犠牲になったことは有名な話でしょう。

猫は魔女の手先とも、魔女が変身した姿とも言われていましたが、この暗闇で光る目が人々にとって不気味に見えたことも一因とされていたようです。

犬など他の動物も目は光りますが、猫のミステアリアスな性格が拍車をかけたのかもしれません。

まだ電気がなく医療も未発達であった時期に、人々の先の見えない不安が猫にまで手をかけてしまったのかもしれません。

ちなみに魔女狩りはヨーロッパ全土で激しく行われたわけではなく、かなり地域差があったようで、疑いをもたれた人を次々に処刑した地域もあれば、魔女裁判だけで終わり処刑はなかった地域もあったそうです。

猫の目の仕組みを知り、猫のいる生活を楽しもう

魅力的な猫の光る目は、現代では私達を引き付けてやみません。ミステリアスでもあり、愛らしくもあります。

進化の中で備えた目ですが、強い光には弱いなどデリケートな面もあります。

写真撮影をするときにはそのあたりに注意し、猫との生活を楽しみたいものです。

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