「猫」と聞かれて皆さんはどんなイメージを想像するでしょうか?
自由気ままで身軽、スマートでどんな狭いところにも入ってしまう…そんなイメージがあるかもしれません。
ですが、実際はそんな猫ばかりではありません。実は、猫も人間と同じく気をつけないと肥満になる恐れが…!?
という訳で、今回は大切な猫ちゃんが病気になるその前に!
どうやったら肥満体型かどうか分かるのか?体重と体型で見るチェック方法のお話です。
まず、猫の標準的な体重と適正カロリーを知ろう!
まずはこの調査の結果をご覧ください。
(出典:一般社団法人ペットフード協会)
ほぼ3頭に1頭が肥満という、今や他人ごと、もとい他猫ごとではなくなっている現代猫社会…。
チェック方法の前に、一般的な大きさの猫(小柄な猫やメインクーンなどの大型猫ではなく、いわゆる日本猫のような種類を指します)における標準的な体重と適正カロリーを見ていきましょう。
年齢別で見る、猫の標準体重
表を見ると分かる通り、成猫となった後の標準体重は3kg~5kgです。
また、猫が1歳になった時(成猫となった時)の体重が、その猫の理想的な標準体重だと一般的には言われています。
しかし、ラグドールなど種類によっては成熟するのが遅い猫もいるので、飽くまでも日本猫のような種類の場合と考えて下さい。
逆に肋骨がくっきり見えていたり、何だか軽くなったな?と感じる場合は、痩せ気味になっている可能性も。
どちらにしても、猫ちゃんが健康的な生活を送るためには良くない傾向には違いありません。
その体重に大きく作用するのが、猫ちゃんが毎日食べるキャットフード。
では、そのキャットフードをどのくらい食べてもらえば良いのか?続いては適正カロリーについても見てみましょう。
年齢別で見る、猫の適正カロリー所要量
子猫のほうが成猫の時よりも成長することにエネルギーを使うので、カロリー消費は多めです。
3~5ヶ月の猫の乳ばなれをした後の子猫は多めの130kcal~250kcal、6ヶ月から1歳になるまでは100kcal/kgが適正量です。
成猫になった後は子猫ほどのカロリーを必要としませんが、室内のみで過ごす猫と、外にも出る猫で必要なカロリー量が変わってきます。
室内の猫は60kcal/kgほどが一日の適正カロリー量になります。
しかし、外で活動する猫のほうが当然体力消費は多いので、外に出る猫は70~80kcal/kg必要になるというわけです。
妊娠中の猫はお腹の中に赤ちゃんがいるため、6ヶ月以上の子猫と同じ100kcal/kgが理想です。
更に、授乳中になると赤ちゃんにお乳をあげないといけないため、お母さん猫は250kcal/kgを一日に必要とします。
それが終わったら、元のカロリー量に戻すようにしてあげてください。
さて、一日のカロリー所要量が分かりましたが、どういう風に計算をすれば良いのでしょうか?
次でいくつか例を挙げて、簡単に説明していきますね。
カロリーの計算の仕方
そのほか、例えば5kgで去勢や避妊をしておらず外にも出る猫ちゃんの場合、
- 5(kg)×70~80(kcal)=350~400(kcal)
となり、350~400kcalが一日に必要な量になります。
また、7ヶ月の子猫で2.2kgの猫の場合、
- 2.2(kg)×100(kcal)=220(kcal)
となり、220kcalを一日に必要とすることになります。
このように、自分のおうちの猫ちゃんの体重と、その子に当てはまる状況で掛け算をしていけば、一日のカロリー量は算出出来ることになります。
いざ肥満度チェック!猫を上と横から見て、触ってみよう
それでは、標準体重と適正カロリーがわかったところで、実際におうちの猫ちゃんが肥満かどうかチェックしていきましょう。
猫の肥満度は、人間でいうBMI(ボディー・マス指数)のように正確に計ることは困難です。
そのため、身体を触ったり、体型を見ることで分かるボディ・コンディション・スコア(BCS)と呼ばれる方法が広く使われています。
表に書いてある指標の文では、実際にどういう状態が痩せなのか?肥満なのか?ということが少し分かりづらいかと思うので、以下で筆者なりに噛み砕いて説明していきます。
■BCS1:痩せ
- 見るからにガリガリ。
- 骨の形がくっきり見えてしまっている。背骨や、お尻周りと胸周りの骨が顕著。
- お腹のたぷたぷしている部分(プライモーディアル・ポーチ)に全く脂肪がなく触ると皮一枚。
- もしくはたぷたぷではなくお腹がへこんでしまっている。お腹の曲線の形がかなり急。
- 上から見ると腰部分のくびれの形がはっきり見える程深い。
■BCS2:やや痩せ
- 見るだけで肉付きがちょっと悪いなと感じる。
- 肋骨の形が見ただけでわかり、簡単に触れる。
- 横から見ると背骨のラインがくっきり見えて、触ると形がすぐ分かる。
- お腹のたぷたぷしている部分の皮が人の耳たぶより薄い厚さしかない。お腹の曲線の形が急で骨格が見える。
- 腰のくびれの形は見ただけであると分かる。
■BCS3:理想的
- 肋骨は見ただけでは分からないがそっと抱き上げた時に「あ、骨だ」と分かる程度に簡単に触れる。
- 背骨は僅かに形がわかる程度で、触ると皮の下に骨の突起があることが分かる。
- お腹のたぷたぷしている部分は人の耳たぶより少し厚いくらいの僅かな皮下脂肪。
- お腹の曲線の形がなだらかに右肩上がりの曲線~平行くらいを描いている。
- 上から見た時に腰回りに適度に分かる程度のくびれが出来ている。
■BCS4:やや肥満
- 見るだけでちょっとぽっちゃりだなと感じる。
- 肋骨は見ただけでも分からず、触る時も皮下脂肪に阻まれる。ただ、一応触れる。
- 背骨や肩周りにも肉がつき、骨には触りづらくなる。
- お腹のたぷたぷしている部分が明らかに脂肪が多く、触ると何だかかたく張っている感じがする。
- 横から見た時に、お腹の曲線の形が若干右肩下がりになってしまっている。
- 頭からお尻まで見た時に徐々に太くなっていく。腰にあるはずのくびれがない。
■BCS5:肥満
- 見るからにぼんっと存在感のあるでかさ。
- どの骨も容易には触れない。
- 肋骨がどこにあるのか分からないようになる。
- 顔まわり、足も脂肪がついてしまっている。
- お腹のたぷたぷしている部分は完全に皮というより脂肪を溜め込んでいて、お腹の曲線の形が右肩下がりどころか地面につきそう。
- くびれというよりも明らかに膨らんでしまっている。
こう見ていくと、肥満チェックのポイントは、
- 上から見た時にくびれがあるかどうか
- 触った時に肋骨に容易に触れられるかどうか
- 横から見た時にお腹の曲線の形が右肩下がりになっているか
ということが分かります。
因みに、ここで出て来る「お腹のたぷたぷした部分」というのは表でいう脇腹のひだのことを差しますが、これはプライモーディアル・ポーチ(直訳すると「原始的な袋」)と言い猫の種類によってはもともとない子も居ますが、正常な身体の部位です。
別名、ルーズスキンとも言います。
この場合は正常な部位というよりも、猫ちゃんのお腹が弛んでしまっている…ということです。
余談ですが、猫ちゃんはあんまり背骨部分を触られるのが好きではないので、確認する時は執拗に触りすぎないことを心掛けてくださいね。
猫ちゃんが肥満(やや肥満)だった!飼い主としての対処は?
では、実際におうちの猫ちゃんをチェックしてみたら、体重が平均以上だった!BCS4以上だった!という飼い主さんもいるかもしれません。
「もちろん痩せさせたい…けどどうすればいいの?」と思われるはず。
そこで、筆者から飼い主さんに、今日から出来る簡単な対処法のご提案です。
適正カロリー所要量内でキャットフードを与える
先程も出てきたこのカロリー量の表を参考に猫ちゃんのフードの量を調整してみてください。
例:今の体重が6kgで避妊をした室内飼いの猫ちゃんの場合、
6(kg)×60(kcal)×0.6(40%減の場合)~0.7(30%減の場合)=216~252(kcal)
となり、216kcal~252kcalがこの猫ちゃんに与える減量用の適正カロリーになります。
また、早くダイエットをしたいから、といって40%以上減らしてしまうと、身体に悪影響が出るおそれがあるので控えましょう。
キャットフードを与える時間を3~4回に増やす
キャットフードを与えるのは一日朝と夜の2回のみ、という飼い主さんは、全体量は計算で出したものから変えずに、それを更に小分けにすることをオススメします。
何故かというと、食事の間隔を狭め、空腹感をなるべく覚えないようにしてあげるためです。
空腹感があるほど、がっつきやすくなりますからね。
昼はお仕事や予定で居ない…と言う場合には難しい方法ですが、最近は自動給餌器なども登場しています。それで与えるのも一つの手です。
おやつを控える
猫ちゃんとのコミュニケーションの一環としておやつをあげている、という飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
ですが、ダイエットにはおやつは禁物。
もしどうしても与える場合は、フードからその量分を減らすようにしてください。
適度に遊んであげる
やはり運動量を上げることはカロリー消費のためには大事です。
特に室内飼いの猫ちゃん1頭を一室のみで飼っている、と言う場合は、キャットタワーなどを設置しても自分だけで遊ぶのは限界があったりします。
減量をする際は、人間のダイエットと同じように計画をきちんと立てて、かかりつけの獣医師さんとの相談も交えながら、無理のない減量を心掛けるようにしてください。
肥満は勿論健康に影響しますが、急激な減量も、同じく猫ちゃんにとっての負担になってしまうからです。
目安としては、体重が
- 5~7週間で15%~20%
- 7~9週間で20%~30%
- 10~13週間で30%~50%
の減量計画だと無理のない基準値になります。
それ以上の目標値は避けるようにしてください。
ちょっぴり小話~うちのキジトラの場合~
さて、ここまで猫の肥満のチェック方法について見てきました。
実際にうちにいる中の一匹、キジトラの“ちゃみ”は野良猫時代からBCS4…をちょっとはみ出ているくらいのデブ猫でした。
うちに来てからも食事のカロリーは抑えめにしていましたが、毎日おもちゃで遊んであげてもいかんせん外に居た時よりも運動量が少ないため、どうしてもシルエットがでっぷりしてしまっている…という感じでした。(それでもころころしてて可愛かったのですが)
とは言え、まだBCS3にはなりきれていないですが…。きっともう少しで上から見たらくびれが出来るようになるはず…!
やはり運動は何よりものダイエット法だと実感しつつ、飼い主と共にこれからも減量に励むことを誓う“ちゃみ”なのでした。痩せたらご報告する…かもです!
みんなのコメント
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家の猫は外にも少し出るので、遊んで来ては、食べ、遊んで来ては食べ、が日課になってしまってます…
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とっても参考になりました!
ちゃみちゃん可愛いですね!(ΦωΦ)