「猫は肉食です」「猫にたまねぎを与えてはいけません」「猫草を与えましょう」このようなことを見たり聞いたりした方も多いでしょう。
そうなると、「肉食だから野菜は必要ないの?」「たまねぎはダメだけど他の野菜は大丈夫なの?」「猫草は野菜じゃないの?」と次の疑問がわいてくるかもしれません。あらためて、猫と野菜の関係について考えてみましょう。
猫に必要な栄養素と野菜の栄養素
猫に必要な栄養素は、たんぱく質、脂質、ミネラルです。この3つは必須栄養素となります。炭水化物、ビタミン類は必須ではありませんが、有益な栄養素となります。
野菜の栄養素は種類によって異なりますが、ビタミン、食物繊維が多く、豆類はたんぱく質が多く含まれています。
猫は本来、肉食動物でネズミなど生きた小動物を捕まえて食べていました。その肉からたんぱく質や脂質、骨からカルシウム、内蔵や血液からビタミン類を取って生きることができましたので、野菜は不要でした。
ただ、人間社会の中でペットとして飼われるようになり、自分の力で獲物を捕まえることはほとんどなくなりました。キャットフードや人間の手作り食を食べることが多くなり、猫も雑食化してきているという意見もあります。
猫にOKな野菜、猫にNGな野菜
OKは○、NGは×でまとめてみました。ただ、情報が多岐にわたっていて、NGになっていた野菜が他の情報ではOKになっていたり、OKになっていた野菜が他の情報ではNGになっていたりさまざまでしたので、ここでは、意見が2つに分かれている野菜は△にしています。
○ | トマト、きゅうり、じゃがいも、さつまいも、豆類、かぼちゃ、レタス |
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△ | アスパラガス、にんにく、なす、ごぼう、れんこん、しょうが、ほうれん草、キャベツ、白菜、ケール、ブロッコリー、カリフラワー、にんじん、大根 |
× | ネギ類(たまねぎ、長ねぎ、にら、ワケギ、らっきょう、にんにく等)、アボカド、じゃがいもの芽 |
△がとても多いことに驚かされます。その理由について次に説明していきます。
特に気をつけたい5つの野菜
△や×のなかでも、与え方次第ではOKな場合があります。
中毒になる成分を持っていたり、結石を作りやすい成分が入っていたり、生は危険だけどゆでるとOKだったり、それぞれ理由があります。
1. ネギ類
ネギ類に含まれる成分が赤血球を破壊して、貧血になる危険性があります。それにより血尿が出たりします。
2. アボカド
嘔吐、下痢、呼吸困難、胃腸の炎症を起こします。ただ、キャットフードにアボカドが使われている製品もあります。キャットフードに使われているアボカドは安全な部分だけを使用しており、中毒の報告もなく、毛づやがよくなったという意見もあるようです。
3. アスパラガス
植物毒があるので、腹痛、嘔吐、けいれんを引き起こす可能性がありますが、猫には大丈夫という説もあります。食物繊維が多く、生だとかたいのでゆでるとよいようです。
4. にんにく
ネギ類ユリ科の植物ですので、同じく赤血球を破壊します。にんにくアレルギーを持つ猫もいます。ただ、殺菌効果があり、にんにくを使ったサプリメントも発売されており、皮膚を守り毛づやをよくする効果もあるようです。
5. ほうれん草
膀胱炎や結石の原因になるシュウ酸を含んでいます。ゆでるとアクとして外に出ます。
中毒を引き起こす野菜は、全ての猫に当てはまるわけではありません。ほんの少しゆで汁に成分が混じっていただけでも中毒の症状を引き起こす猫もいれば、かなりの量を食べてもなんともない猫もいます。
これくらいの量を食べたからダメという判断基準がないのです。ですので、これらの野菜は危険なこともあるから注意しないといけないんだ、という知識を持っておくことが必要です。
食餌と一緒に与えるときはもちろんですが、何かの拍子に食べてしまう場合もあります。猫にとって危険な野菜は、保管する場所に猫が入り込まないように十分注意しましょう。
また、普段の様子と違う症状が出たら、危険な野菜を食べたのが原因なのかどうかすぐ分かるようにしたいものです。
あまりに興味を持っていたので、少しだけ与えると満足そうにシャリシャリ音をたてておいしそうに食べていました。ただ、夢中に食べ過ぎたせいか、その後吐いてしまい、少し反省した顔をしてその場を去りました。
そんな猫も数日後にはまたけろっとしておねだりに来ていたので、本当に野菜が好きな猫はいるものです。
じゃあ猫草はほんとに大丈夫なの?猫草の必要性とは
猫草はイネ科の「燕麦(えんばく)」という植物です。猫に猫草を与える理由は、毛玉を吐かせるため、食物繊維による便秘予防、食感を楽しむ、ビタミンの補給などが考えられますが、一番有力なのは毛玉を吐かせるためだと言われています。
ただ、猫草に全く興味を示さない猫もいます。毛玉予防には、猫草だけでなく他にも対策があります。ブラッシングをまめにする、毛玉を固めて便と一緒に出させる効果がある薬やフードを与える、などあります。その猫に合った対策を試みてみましょう。
猫が毛づくろいして飲み込んでしまった毛が胃にたまり、定期的に吐いて出しますが、その時に猫草の刺激を利用します。また、吐くだけでなく便と一緒に出すこともできます。
ただ、うまく吐くことができず、胃にずっと溜まったままでいると、毛が固まり毛玉になり毛球症という病気になってしまいます。食べ物の通過が悪くなり、何度も吐いたり食欲が無くなります。
細かく切る、ゆでる、少量が鉄則です
では、結局何を与えたらいいのでしょうか。これまで述べたように、本来野菜は必要ないものですので、無理して与えなくてもいいのです。
私の猫のように、欲しがったら少しだけ与える。もしくは、便秘がちな猫に食物繊維を取らせたいから、といった理由でトッピング程度で与えるといいでしょう。
野菜を与えるときの鉄則
- 細かく切る
- ゆでる
- 少量
この3つが守られていたら、特に問題ないでしょう。味付けは厳禁です。
人間も「塩分が多いものを食べると脳梗塞になりやすくなる」「ダイエットのためにりんごばかり食べていた」など偏った食生活をすると体調が悪くなります。
猫も生きるために必要な栄養素は決まっていますから、バランスを崩さないように野菜を与えることが必要です。さらに、カロリーオーバーにならないように気をつけなければなりません。
まとめると次のようになります。
猫に野菜は必要ありませんが、欲しがるようならあげてみましょう。または、あげてみたいならあげてみましょう。ただし、野菜の種類を見極めて、細かく切ってゆでて少量与えること。このことを守り、猫が満足できて健康でいられる食生活を提供してあげましょう。