ほとんどの猫は、水がきらいです。
もともと雨がすくない砂漠の生き物ですから、水に慣れていなくても当たり前ですよね。水が嫌いで困るのは、なんといっても、お風呂です。
猫は犬ほど汚れませんし、体臭もそれほどありません。
「お風呂嫌いな猫を、どうしても洗わなくてはいけない」状況になったとき、うまく洗い上げるコツを伝授します。
事前の準備をしっかりしておこう
なんといっても重要なのは、事前の準備です。使うものの用意はもちろん、お風呂場のセッティングも大切です。
猫のコンディションチェックも欠かさずにしておきましょう。
必要なもの
猫を洗うのに必要なものは、それほど多くはありません。必要なものを、箇条書きにしてあげてみましょう。
- ペット用シャンプー
- 洗面器
- タオルドライ用のタオル
- ドライヤー
- ブラッシング用のブラシ
- 飼い主さん用のカッパ
これだけあれば、十分です。
シャンプーは、人間用のものではなくペット用を用意してあげましょう。
ペット用シャンプーは、香りも人間用よりマイルドです。
タオルも、猫専用のものを用意しましょう。
猫を拭いたタオルには抜け毛がたくさんつくので、人間と共用にするのはお勧めできません。吸収率の良い、マイクロファイバーのドライタオルがお勧めです。
乾かしたあとには、ブラッシングをしてあげるとよいでしょう。
その他のものは、人間用のものを共用にしたり、省略したりしても大丈夫です。洗面器やドライヤーは、人間が普段使っているものを共用しても、大丈夫。
飼い主さん用のカッパは、飼い主さんが濡れてもよければ必要ありません。
猫を洗う場所のセッティング
何気ないことですが、これがとっても重要です。
「猫はちいさいから、洗面所でも洗えるんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。
ですが、お湯をかけられてビックリした猫は、パニックになって暴れだしたり、ビショビショのまま脱走したりするかもしれません。
洗われることによほど慣れている猫でなければ、洗面所などの開放空間で洗うことはやめましょう。
狭くて死角がなく、密閉空間をつくれるという点で、お風呂場がお勧めです。
万一猫が暴れても、物がなければそれほどの惨事にはなりません。湯船のお湯も、抜いておいたほうがよいですね。
あとは、寒くないように、浴室や脱衣所をじゅうぶんに暖めておいてあげましょう。
猫のコンディションチェック
洗われるということは、猫にとって大きなストレスになります。猫が弱っている時には、洗うことは避けたほうがよいでしょう。
- よくクシャミをしている
- 鼻水がたれている
- めやにが多い
- 食欲がない
- 予防接種を打ったばかり
こんな時には、猫の体は弱っています。
お風呂に入れたことがきっかけで、ますます体調を崩してしまうかもしれません。猫を洗うときは、猫が元気な時にしましょう。
また、お風呂に入れる前には、猫の爪切りをしておきましょう。
そんな時にうっかり爪が伸びていると、軽く引っかかれただけでも血を見ることになってしまいます。
猫をうまく洗い上げるポイント
さあ、準備が整ったら、いよいよ実践です。
- まずは洗面器に500cc程度のお湯を入れ、そこにシャンプーを溶かします。ポンプから出したシャンプーを直接猫の毛皮に擦り付けるより、手早く皮膚まで浸透させて洗うことができます。
- シャワーのお湯を、人肌よりやや温かい温度に整えます。飼い主の手で温度を確認したら、猫の体を濡らしていきましょう。
- シャワーヘッドはできるだけ猫の体に近づけましょう。お湯をかけられる衝撃が、ちいさくなります。
- お湯をかけ始めたら、片方の手は猫の体から離してはいけません。警戒心の強い猫は、一度手から逃げたら、捕まえるのが大変です。
- 猫の胸をしっかり手のひらで押さえ、身動きを封じておきましょう。
- 掌をぴったり密着させることが重要です。
全身をしっとり濡らしたら、お湯に溶かしたシャンプーを、猫の体にかけていきます。
お地蔵さんに水をかける時のように、やさしくかけてあげましょう。間違っても、洗面器ごとバシャっとかけてはいけません。
やさしく地肌を洗い上げたら、泡残りがないようにシャワーで流します。
手で押さえて水気を絞ったら、念入りにタオルドライをして、ドライヤーで乾かします。ドライヤーの音に怯える子も多いので、タオルドライをしっかりしましょう。
できるだけ手早く済ませよう!
猫は、個性豊かな生き物です。お風呂場に連れてこられただけでパニックになる猫もいれば、飼い主さんの入浴と一緒にお風呂場でくつろぐ猫もいます。
なかには、湯船に浸かるのが大好きな猫もいます。
ですが、やはり洗われるのが好きな猫は少数派です。初めて猫を洗う時は、「猫はお風呂が嫌いなものだ」と思っておいたほうが無難でしょう。
無理に慣れさせようとするのも、失敗率が高いので、やめておいたほうがよいです。
それでもお風呂に入れたあとには、特別においしい手作りおやつをあげて、猫のご機嫌をとるのもよいでしょう。
「猫が嫌がることは、なるべくしたくない。けれど、どうしても洗わなくてはいけない」という時は、できるだけ手早く済ませるようにしましょうね。