猫パンチと猫キックは、猫を飼ったことがない人でも猫に関する言葉として聞いたことがあるのではないでしょうか。猫を飼った事がある人ならば、猫キックを食らった事もあるでしょう。
その仕草自体は可愛らしいですが、見た目とは裏腹にかなり強力な蹴りであり、場合によっては飼い主が怪我をする事もあります。
猫キックを生み出す猫の足はどんな仕組みをしているのでしょうか。そして、どんな場面で猫キックをしてくるのか、その理由を考えていきます。
猫の後足はハンターとしての機能性を持っている
まずは猫キックがどんなものかを見ていきましょう。
猫キックは飼い主の足や腕、おもちゃなどを前足でがっちりとしがみつき、後ろ足で連続蹴りを食らわせるという猫の必殺技の1つです。
この猫キックは後ろ足の蹴りに鋭い爪が加わる為威力が倍増し、もし素肌に食らった場合は皮膚が傷つけられ怪我をする事も少なくありません。
また、高確率で噛みつき攻撃も同時に繰り出されます。しかも、腕や足などにじゃれついていたなあと思うと、急に猫キックを食らわせてくるため、不意打ち要素もあり油断ならない技ともいえます。
この猫キックの仕組みは、どうなっているのでしょうか?
瞬発力で獲物を捕まえる猫の能力は、飼い猫であっても失われない
猫の後足は前足よりも強力な力を持っています。狩猟動物である猫は、人間に飼われるようになっても野性的な本能を失うことはありません。
獲物を捕らえる時、猫を含むネコ科の動物たちは徐々に獲物に近づき、その前足から繰り出されるすぐれた瞬発力で一気に獲物を捕らえることが出来るのです。
つまり、猫の狩りを支えているのは後ろ足とも言えるでしょう。これは、仲間達との連携で徐々に獲物を追い詰めていく犬とは対照的です。
ネコ科の動物は持久戦は苦手ですが、その体から繰り出される一撃必殺で獲物を捕らえます。
猫は常に爪先立ち歩きをしている
猫や犬など狩猟動物の多くは、指行性(しこうせい)という歩き方をしています。これは人間に例えるなら、常に爪先立ち歩きをしているような状態です。
猫や犬の後ろ足を見てください。いつもかかとを大きく上げたまま、歩いたり走っていることがわかります。
人間でも、短距離走などでは、つま先で走り安定を犠牲にする分スピードを出していくという走り方をします。
動物園の熊が、後ろ足で立っているところを見たことがあるかもしれません。昔、後ろ足で立ち上がるレッサーパンダが話題になったこともありました。
これらの動物は、人間と同じように安定性に優れた足を持つため、実は立つのはそんなに難しい事ではなかったりするのです。
猫も後足で立ち上がる事もありますが、長く立っていることは出来ません。
そのような構造の後ろ足ですから、猫キックを食らったら痛いのは当然とも言えるでしょう。
猫は狩猟動物である為、遊びの中にも本能としての行動が隠されている
では、そもそもなぜ猫キックをしたりするのでしょうか?これには、いくつかの理由が考えられています。
理由1 狩りの練習を踏まえた遊び
前述したように、猫は生まれ持っての狩猟動物です。幼いころからの遊びの中でも、ハンターとして必要なことを学んでいくことを本能として知っているのです。親猫から教わらなくても、猫キックが出来るようになってくるのです。
我が家の猫は、元々野良猫だった子です。母猫があまり子育てをしない猫であったため、栄養状態が悪くなる前に我が家に引き取られたという経緯があります。
母猫がそのような親でありながら、セミやら小鳥やらネズミやらを捕まえてきたこともあったため、親に教わらなくても出来るようになるものだと思っています。
猫はそのような本能をもっていますので、飼い主にじゃれていたり、お気に入りの玩具などで遊んでいるとだんだん興奮してきて、猫キックを繰り出す事が多々あります。つまり遊びがエスカレートしたということです。
オス猫が喧嘩をして猫キックをしていることもありますが、子猫同士でじゃれあって蹴りを入れていることもあります。
戦いや狩猟に欠かせない猫キックは、猫の遊びの中から生み出されるものなのです。
理由2 嫌いな所を触られて嫌がっている
犬は比較的どこを撫でても喜ぶものですが、猫は触られると気持ちいい部分と嫌な部分があります。
特にお腹は猫が最も触られるのを嫌がる部分です。なぜなら、お腹には内蔵があるため、猫にとって急所と言える場所です。
触ってほしくないところをしつこく触られたら、拒否反応が起こるのは当然の事です。
例え大好きな飼い主であっても、嫌なものは嫌なのでしょう。耳の後ろや喉など、猫の喜ぶ場所を撫でてあげてください。
薬などで嫌がる猫を抑えていなければならない事もあるため、普段から慣れておく必要もある
ただし、薬を飲ませなければならない時など、嫌がる猫を捕まえていなければならない事もあります。
猫は頭を撫でられるのは好きですが、顔の正面から触られるのは嫌いで、薬を飲ませようとするとすぐに逃げてしまいます。この時に抵抗され、強烈な猫キックを食らう事があります。
私は薬を飲ませようとして猫キックされ、腕に10センチほどの長さの傷をつくった事があります。これはじゃれている時の猫キックと違い、本気で抵抗しているものなので、威力が全然違います。
動物病院でも薬の飲ませ方や付け方をアドバイスしてくれるので、相談してみるのも良いでしょう。
遊びのキックは猫のストレス発散の意味合いも。そのまま見守ってあげる必要もある
猫キックはじゃれていることが多いですから、そのまま遊ばせてあげたい所ですが、痛いのを無理する必要はありません。
時にはボロボロにされてしまう事もあります。猫を飼う以上、これは仕方がない事なのですが、最近は猫キック専用の玩具である、けりぐるみというものも発売されています。
猫にとって遊びであるとともにストレス解消の面もありますので、このような玩具を与えてみるのも良いでしょう。
無理やり止めたりせずに、猫の行動に合わせた環境作りが大切
猫キックは、猫が狩猟動物であるがための本能といえます。ものが傷つくからと言って、猫キックを無理やりやめさせたりすればかえって猫にはストレスになってしまいます。
室内飼いの猫は特にストレスを発散する必要があります。長年猫を飼ってきた私でも、最近は猫のライフスタイルに合わせた色々なグッズが揃っているなあと感じます。
大事な愛猫の健康を守るためにも、猫に合わせた生活空間を整えてあげるのが良いと言えます。
みんなのコメント
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我が家の三毛♀(1才)は、
胡座をかいて座るとほぼ、
膝を抱えてスネ辺りを猫キック
してきます。
急にスイッチが入るので
しばらくは放置してますが、
流石にカミカミしだすと
やめてもらいます。
が、また、スイッチが入り、
繰り返しキック&カミカミ攻撃。
大して痛くはないんですけど、
ストレスでも、溜まってるんですかね。 -
家の猫は朝仕事に行こうとすると、走ってきて太腿辺りまでジャンプしてホールド&猫キックが始まります。
置いてきぼりが淋しいのですかね?
多頭飼いで3匹飼ってるんですが、1匹だけ高確率で朝飛び掛かってきます。
可愛いですけどね。 -
ウチの子は私の足の間でゴロンと横になるのですが、うっとりと寝ているかと思いきや突然猫キックが始まります。もちろんカミカミも同時進行。遊んでいるんだろうと甘くみているとパワーアップしてきます。今日は傷だらけになったので制止しました。ほんとはとってもかわいいんですが。笑
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うちの子は、4ケ月。日中はゲージ飼いでストレスが貯まるのか、ゲージから放つと、ひと遊びした後、突然スイッチが入るのか、けりけりをします。
陰に潜んで、ダァーと走り寄り、私の足や腕をガッチリホールド…そして、そのままケリケリ&噛み噛み…次第に興奮し始めるのか、噛みつきが強くなり、離そうとすると、更に噛みつきがエスカレートし、流血です。
生後2ケ月でブリーダーさんから飼った純血のロシアンブルーなのですが、純血種で短毛猫は狩猟本能が強いと書いてありました。
ストレスによるケリケリなのか、社会性を身につけないまま我が家に来て、狩猟本能が爆発してるのか…と、頭を悩ませています。 -
うちのクロネコは、逆さまになって前足で足首をかかえこんで後ろ足でふくらはぎあたりを蹴りまくります。
お尻の穴丸見えで蹴るので笑えるのですが、素肌にされると血が出ます。
飛びついて、噛んで逃げるのも、得意技です。
普段は大人しいのですが、突然するのでびっくりします。