猫は利き手の左右で精神状態や性格が違う!?あなたの愛猫はどっち?

人間では右利きと左利き、あるいは両利きの人がいます。猫にも利き手があるということを御存じでしょうか。

人間の場合は9割が右利きと言われています。猫の場合はどうなのでしょうか。

つい最近、ネットニュースなどで猫の利き手に関する実験の研究結果が報道されました。それによると、猫の性別により利き手の傾向があり、また猫の精神状態にも関係してくるかもしれない、というのです。

それはどういうことなのでしょうか。猫の利き手と、その結果がどういう事柄に関係してくるのかを調べてみました。


オスは左利き、メスは右利きが多い傾向にある

2009年、動物に関する学術誌「Animal Behaviour」に猫にも利き手があることが掲載されました。

しかも利き手は性別によって異なる傾向がありオスは左手を、メスは右手を使うことが多い、と発表されています。

これは猫の利き手に関する、ある実験によって得られたデータをもとに結論づけているそうです。

その実験とは、猫に行動をさせた時にどちらの手(前足)をよく反応させるか、というもの。猫に利き手があるならば、行動の中で利き手を使うことが多いはず、ということになります。

猫の飼い主達から利き手のデータを収集

実験は北アイルランドにあるクイーンズ大学ベルファスト校のデボラ・ウェルズ博士のチームが、北アイルランドに住む44匹のネコ(オス24匹、メス20匹)を使って行いました。

この44匹の猫達の飼い主達に、猫がそれぞれの自宅でのごく自然な行動の記録をつけてもらうというものでした。

その内容は

  • 寝る時に体のどちら側を下にするか。
  • 階段を降りる時どちらの足から踏み出すか。
  • トイレに踏み出す時、どちらの足から入っていくか。

この3つの状況において猫はどのような行動をとったのかを、飼い主達からデータを収集しました。これらの3つの行動は、普段から猫が行っている自然な行動です。

研究チームはこの行動の記録とは別に、1つの課題を飼い主達に依頼しました。

キャットフードが細い穴に入っている装置で、タワーは3段構造になっておりフード用の穴が3つ空いているというもの。穴の中に入っているフードを取るには、前足を穴に入れなければなりません。

猫が穴に手を入れてフードを取ろうとするときに、どちらの手を使ったかという記録を、飼い主達につけてもらうように指示しました。

性別による脳の構造の違いが利き手に影響している可能性も

この実験の結果はどうだったのでしょうか。

猫達のほとんどによく使う利き手が存在する事が判明しましたが、44匹のうち右利きと左利きの数は半々ぐらいだったようです。つまり人間のようにほとんどが右利きというような、偏りはなかったということになります。

しかしここで興味深いのはオス猫は左手、メス猫は右手を使う傾向が強いという結果が出たという事なのです。

そこで博士はオスとメスでは脳の構造の違い、それにより利き手にも影響が出ているのはないか、という仮説を立てました。

人間も男性と女性では、脳の構造が多少異なっていることが知られています。

例えば男性は理論的に考える人が多く、女性は直感的にものを判断する人が多いというのは、この脳の仕組みの違いからきているという説もあります。

猫も人間と同様に脳に性差があり、それが利き手にも影響しているのではないかと考えられているのです。また、性ホルモンが利き手にも影響しているとも考えられています。

どちらにしても、まだはっきりとした結論が出ていないため、研究チームはさらに研究を行う必要がある、と話しているそうです。

飼い猫の利き手を観察してみる

おもちゃで猫の利き手を観察する写真

我が家の猫はどうなのか、調べてみました。まずは玩具を出してみた所、どちらの手を出すことが多いのか確認してみました。

おもちゃで猫の利き手を観察する写真2

玩具を出すと、最初に左でねこパンチをすることが多いような気がします。とはいえ、もう17歳のおばあさん猫なので、若い頃よりも玩具に反応することは少なくなりました。

そこで、過去に撮影した動画を見てみましたが、やはり左を出すことが多いようです。

逆に、トイレに入る時や階段を上がる時は、右から入る事が多いように感じました。顔を洗う、トイレの砂をかく時は右で重心をとっていることが多いです。

我が家の猫は雌猫ですから、右利きの可能性は高そうです。

利き手が猫の精神状態をあらわしているという説がある

猫の利き手で重要なのは、どっちの手を使うかということではありません。

デボラ・ウェルズ博士は、猫の利き手が判明することにより、猫が感じている不安やストレスを知る事が出来るというのです。

それは一体、どういう事なのでしょうか。

猫の脳の構造は9割が人間の脳と同じと言われています。右脳と左脳、左右対称の脳の構造になっているのも同じです。

博士によると、利き手はその反対側の脳がコントロールしているというのです。右利きの動物は左脳が、左利きの動物は右脳が優勢になる傾向があると言います。

左脳は主にポジティブな感情を処理しており、右脳はネガティブな感情を処理していると言われています。

つまり左利きの動物は右脳がより強く働くことになるので、ネガティブな感情が強いということになります。

博士が過去に行った犬の実験では、左利きの犬は右利きの犬よりも強い恐怖を感じており、攻撃的になりストレスに弱い傾向があったそうです。

人間の脳と精神状態の関係性についての研究でも、左利きの人が統合失調症などの精神疾患にかかりやすい傾向がある事がわかっているそうです。

左利きの猫が全て精神不安定ということではない

ここであせってはいけませんが、自分の家の猫が左利きだと感じても、必ずしもその猫が精神状態がネガティブになっているということにはつながらないということです。

研究はまだ最終的な結論は出ていませんし、性別による脳の構造からきている場合もあります。また、全ての猫にこの考え方が当てはまる訳でもありません。

もし目に見えて猫がストレスをかかえていると感じたのであれば、まずはそのストレスを取り除くことから始めるべきでしょう。

不衛生な環境状態、大きな音、食事や病気やトイレまわりの状態など猫にストレスを与えるものは様々です。

飼い主に子供が生まれたり、引っ越しなど環境が大きく変わることもあるでしょう。病気は猫の体質もありますから、飼い主が注意してもかかってしまうこともありますし、取り巻く環境の改善がなかなか難しい場合もあります。

可能な限り1つでも多く猫のストレスを取り除くことが、飼い主の役割です。

利き手の判別が動物福祉につながる

この利き手による精神状態の判別は、とても重要であると考えられています。

言葉を話す事の出来ない動物の精神状態を知る事で、動物保護施設でのケアの指標にもなると言われています。

その猫が喜んでいるのか、寂しがっているのか、怖がっているのかなどを知る事はとても有用な事になります。

ペットをとりまく環境は数十年前と大きく変わってきています。ペットは家で飼育している単なる動物ではなく、家族と同様と考える飼い主が増えてきました。

ペットフードは猫の状態に応じた用途別のものが販売されていますし、添加物の少ない食事を与えようという考えは今や人間だけにとどまらず、ペットにまで広がってきています。

ペット用の玩具は日々新しいタイプのものが登場していますし、医療施設は人間並みの診療ができる病院も増えてきました。

そして、「動物福祉」という考え方も誕生しました。その動物がどんな気持ちでいるのかを考え、その子に合ったケアをし環境を整え幸せに過ごしてもらう、という考え方です。

これは1960年代にイギリスから始まったもので、今ではヨーロッパを中心に世界へ広がってきています。この動物福祉を進めていくうえで、猫の精神状態を知る事が非常に重要ということなのです。

猫のきもちを知る事が出来るのは飼い主だけ

日本の法律では現在の所、ペットは物扱いでしかなりません。

動物愛護法というものはありますが、ペットをアクセサリとか服のようなものと同じと考えている人が、現実に存在しているのは確かでそれはとても残念なことです。

法律がなかなか整備されないのは、どこまでペットとして認可するかという問題もあるでしょう。

犬や猫は人間のように特別扱いされて、豚や牛などの動物は食べ物扱いなのか、というように動物ごとに線引きするのも難しいとからだと思います。

その一方でペットを大事にする飼い主の意識は、確実に人間の家族への愛情と同じになっています。

法律上はもの扱いだったとしても、飼い主の意識が変わってくることでペットへの福祉の環境も整ってくるのだと思います。

利き手の研究もただの知識だけでは終わらず、このような福祉が進むことに役に立つはずです。

猫への愛情を持った飼い主であれば、その猫の精神状態がある程度わかってくるものだと思います。猫の利き手の判別は、精神状態を知る為の手段の1つです。

一番大事なのは、愛猫をよく観察して気持ちを受け取ってあげる事だと思っています。それができるのは、飼い主だけなのです。

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