冬にも注意したい猫の脱水。脱水症状の見極め方と水分補給の工夫

季節に限らず、愛猫が脱水症状になる事があります。

猫はもともと、同じペットの犬と比べると水をあまり必要としない生き物ではありますが、脱水症状は隠されている病気のサインの1つになることもあります。

猫は言葉を話すことが出来ませんし、具合が悪くてもそれを隠す傾向がありますので、飼い主がよく注意するほかはありません。

猫の脱水の判断の仕方や対処法、脱水症状で可能性のある病気をお伝えしていきます。

猫は少ない水分でも生きていける体に進化した動物

そもそもなぜ、猫は沢山の水を必要としないのでしょうか?

イエネコの祖先であるリビアヤマネコは、砂漠や水の少ない乾燥地帯を主な生息地域とする動物です。

どんな生物でも、その環境で生きていくために体を進化させて適応させることができます。リビアヤマネコの体も、少ない水分でも生きていけるように体を進化させていきました。

そのためその子孫であるイエネコも、水が少なくてもある程度の活動ができるような体の仕組みを持っているのです。人間のように汗はかかないため、汗によって水分が失われる事もありません。

もちろんまったく水分を取らなくてもいいというわけではなく、ある程度の水分は必要です。それでも同じく代表的なペットである犬と比べると、必要な水の量はいくぶんか少なめであるのが特徴です。

初めて猫を飼った人は、あまり水を飲まないので心配になる事もあるのです。

3キロの猫なら、必要な水は1日150mlから200mlが目安

大人の猫の場合、1日に必要な水の量は体重3キロぐらいであれば150mlから200ml程度となります。体重が1キログラム増えるごとに、必要量が大体30から50mlずつ増えていきます。

食事からも水分を取る事が出来ますので、必ずしもすべて飲み水から直接上記の水分量を取らなければいけないわけではありません。

猫の普段の様子から脱水を判断する方法

では、猫が脱水になっている可能性の判断はどのようにすればよいのでしょうか?

まずは猫の行動から判断が出来ます。近頃お水をやたら飲むなあと感じたら、脱水の疑いがあると考えてよいでしょう。また、嘔吐が続くとそれによって水分も出てしまう為、脱水になる可能性が高くなります。

おしっこの回数が増えている場合も要注意です。元気がなかったりよろよろと力がないような動きをする、ぐったりと寝ている事が多いといった行動がみられる場合にも、脱水を疑ってよいでしょう。

高齢の猫は腎臓が弱りやすくなる為、脱水になりやすくなる

また、高齢猫の場合は腎不全などの腎臓系の病気を発症する可能性が高くなります。

腎臓疾患がある場合は常に体が脱水状態となり、お水を沢山飲もうとします。

なぜ腎不全になってしまうのかはっきりした原因はまだわかっていませんが、猫にこの病気が多いのは砂漠で生きるために進化した、その腎臓の機能そのものに原因があると考えられています。

腎臓が悪くなると、働きが悪くなりすぐに尿として水分が出て行ってしまうのです。そのため、体が脱水状態になりがちになります。

水をよく飲む事が続いた場合は、腎臓の病気がある事を疑った方が良いでしょう。特に腎不全は早いうちから治療を開始する事が、その後の寿命を延ばすことにもつながります。

良く水を飲んでいることを、決して一時的なものだと思わずに、すぐに病院で検査し病気の判断をすることが重要です。

猫の皮下脂肪の状態で脱水を判断する方法

猫の行動とは別に、脱水状態になっている判断をする方法があります。

猫の脱水を確認する場所の写真

画像の丸で囲った部分、猫の首から肩甲骨にかけての部分を、少し引っ張って軽くひねります。ちょうど、母猫が子猫を運ぶ時に咥える部分です。

ここは皮下脂肪が厚くなっている為、軽く引っ張ることが出来ますが、絶対に強くひっぱったりねじったりしないでください。

健康な場合にはひねった皮下脂肪が1秒もかからずに元に戻りますが、脱水を起こしている場合には戻るのに時間がかかります。

我が家の猫は高齢で腎不全があるため、皮下脂肪がもどるのに大抵1秒ちょっとかかりますが、病院で腎不全の治療ための点滴をした直後はすぐにぷるんともとに戻ります。

脱水をしているのと、水分が十分にいきわたっていると目に見えて違いがわかりますので、判断の1つとして試してみるのも良いでしょう。

このようにいくつかの脱水の判断基準があります。腎不全の他に、脱水になる原因としてどんなものがあるのでしょうか。

脱水の原因は様々であるため、すぐに病院へ行くことも重要

まずは熱がある場合に脱水になる事が考えられます。

人間と違い汗をかかない猫は、熱を自分で下げるのが苦手な動物と言えるでしょう。ぐったりして体が熱くなっていたり、犬のようにハァハァと息をしている場合には熱がある可能性が高いので、すぐに病院へ行くようにしましょう。

冬場にこたつの中に長時間いる場合も危険です。こたつの中で熱中症になり動けなくなってしまう事もありますので、猫がこたつの中にいる場合には、時々様子を見るようにしてあげてください。

食中毒を起こしたり、胃や腸が炎症して嘔吐や下痢を重ねることで脱水になってしまいます。この場合は一度に水分が失われるため、早目の処置が大事になります。

水を飲んでもすぐに吐いてしまい、水分そのものを受け付けなくなりますので、病院へ行って点滴などで水分と栄養と補給するようにしましょう。

食虫毒や胃炎などの病気とは関係なく、猫は毛を舐めて清潔にする為、毛が胃に溜まりやすく健康な猫であっても吐くことが多いです。

人間であれば水を飲みなさいと聞かせることが出来ますが、ペットはそのようにするわけにはいきません。猫にも水分は毎日必要になりますので、水分を取るための工夫も必要でしょう。

最後に、脱水にならない様に日ごろから出来る水分を取らせる工夫をいくつかお伝えします。

水を飲んでもらうための工夫をする事も重要

まずは飲み水を置く場所を工夫します。猫は清潔な生き物ですから、当然ながらトイレのそばに置いた水はあまり飲みません。

また、ごはんの器のそばにおいても、あまり飲まないこともあります。このあたりは猫の性格もかなり影響しており、蛇口から直接水を飲むのが好きな猫もいれば、洗面器にたまった水を飲むのが好きな猫もいます。

飲み水の器を何か所かに分けて置くのも良いですし、噴水のように水が湧き上がる装置を購入するのも良いでしょう。

飲み水の器の材質や高さも工夫しよう

器は陶器のものやステンレス製のしっかりしたものの方が、猫が飲む時にひっくり返りづらくなります。

プラスチック製のものは軽くて値段も安いという利点もありますが、長期に渡り使用すると目には見えない傷が容器の表面についてきて、傷の隙間で雑菌が繁殖してしまう事があります。

また、小さくて軽いものですと猫がひっくり返してしまう事もあります。

飼い主が家にいればすぐ気づきますが、留守番中はひっくり返してしまう事で飲める水が亡くなる危険性があります。水飲み器を複数用意するのは、このような危険性から対処する事も出来ます。

器の高さも重要です。高さがあまり低いと、床のごみが舞い上がって水に入りやすくなりますし、高齢の猫の場合は首を下げて水を飲むのがおっくうになります。

高さは猫によって好みが様々なので、台の上においてあげたり、脚付きの食器を使うのも良いです。

高齢になってくると、自分で水を飲むこと自体もおっくうになってきますので、飼い主が水を近くにもってきてあげるか、猫を水飲み場まで運んであげるのも効果的です。

毎日取り換えて、清潔な水を用意する事を心掛けよう

容器に入った水は、循環式の水飲み装置でない限り、どうしても空気中のごみが入ってしまいます。毎日取り換えて、清潔な水を飲ませるようにしましょう。

この時、人間用のミネラルウォーターは絶対に与えてはいけません。

ミネラルウォーターはその名前が示す通り、ミネラルが多く含まれている水です。ミネラルとは、カルシウムやマグネシウム、リンといった栄養として必要な鉱物の総称です。

人間より小さな体の猫に、ミネラルウォーターを与え続けると、尿路結石や腎臓疾患といった病気になりやすくなります。

猫用の水もありますが、水道水でも大丈夫ですので、与える水には注意するようにしましょう。

ウェットフードからも水分を摂取する事が可能

水の工夫をしても、なかなか飲んでくれない場合もあります。この時は、ウェットフードで食事と一緒に水分を取らせるのも良いでしょう。

ウェットフードの成分表示欄の写真

ウェットフードは大抵一般食となっており、人間でいう所のおかずのような食事になります。ウェットフードは猫にとって必要な栄養素は十分ではありませんが、食べやすく加工されており水分が多いというのが特徴です。

大体水分が80%以上含まれていることが多いです。一般食ばかり食べさせてしまうと栄養が偏りますが、猫はかなり好みがきまぐれな部分がありますので、総合栄養食と合わせて与えるのも1つの方法です。

また、おやつで水分をとることも可能です。

おやつの成分表示欄の写真

猫に人気のこのおやつは、ほとんど水分といえます。

猫が食いつきやすいのが特徴ですが、あくまでおやつです。一般食よりもさらに栄養価は低くなってますので、おやつばかり与えるようなことはしないでください。

早目の対処が重要。様子がおかしい時は無理せず病院へ

脱水についての判断の基準や色々な対処法をお伝えしましたが、あくまでも応急的な措置になります。

嘔吐や下痢が続いたり、いつまでもぐったりして元気がないといったことであれば、すぐに病院へ連れて行く様にしましょう。

これぐらいなら大丈夫だろう、といった素人判断が一番危険です。

また、猫は野生の習性が濃く残っている動物でもあります。

野生の動物は、自分が弱っていることを見せれば、すぐに他の動物に狙われたりします。だから、弱くなってもそれを見せないようにする習慣があるのです。

安全な環境にいる飼い猫であっても、その習性は残りますので、具合が悪くても人間に見せない様にすることがあります。

だから判断が難しい部分がありますが、猫の行動をよく見ていれば、いつもと違う様子に気づくことが意外とあるものです。

猫の健康を守るためにも、普段とちょっとでも違うと感じたら、動物病院に相談するなどの早目の対処を心掛けましょう。

みんなのコメント

  • きびだんご より:

    こんにちは。昨日猫ちゃんが元気無かったので、動物病院につれていきました。
    結果、脱水だそうです。それと、末期と伝えられました?私自身理解するのに時間かかってます。亡くなってしまうのですか?確かに以前より、元気が無くフラフラしてます。

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