猫の夏の対策まとめ。真夏でも暑くにゃ~い環境づくりのコツ

人間と同じように、猫も夏になるとなんだかバテ気味。涼しいフローリングの上でべったりと伸びていて、暑そうにしているのを見るとどうにか対策をしてあげられないかと悩んでしまいますよね。

特に近年は温暖化の影響もあり冬~夏への切り替わりが早く、温度差についていけず体調を崩す猫もいます。健康に過ごしてもらうためにも、室内環境や食事の与え方には特に注意が必要です。

そこで夏場におけるリスクと、暑い夏を乗り切るための、飼い主さんができる対策をご紹介します。

猫も熱中症になる!急にあらわれる症状に注意

意外かもしれませんが、涼しいところを探すのが得意な猫も実は熱中症になります。例えば室温の高い部屋にいると、猫も暑さで動くのがおっくうになり、水を飲むのも我慢してしまいます。

すると「つい10分前までは元気だったのに、急にぐったりしてしまった!」というようにいきなり熱中症の症状が現れるのです。

人間と同じように、猫も熱中症が重くなれば生命に関わります。熱中症のリスクを下げるためにも、夏場は早めの対策が必要です。

▼猫の熱中症の症状について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
猫の熱中症の症状別、応急処置。動物看護師が写真付きで解説します

水分不足に気をつけて!猫の脱水の見分け方

夏の時期、熱中症以外にもうひとつ気をつけておきたいのが脱水です。特に老猫など動きが鈍く水を飲む量が減ってしまっている猫は要注意。

お風呂場で目を瞑って涼んでいるな……と思ったら実は脱水で意識朦朧としていた、なんてこともあり得るので、夏場は特に元気や食欲、飲水量には充分目を光らせましょう。

万が一猫の様子がおかしい場合、脱水かどうかの簡単な見分け方は「皮膚が伸びやすい首の後ろをつまんでゆっくり引っ張り、指を離す」ことです

通常は指を離した途端ぴたんと元に戻りますが、もしも皮膚の戻りに数秒以上かかるようなら脱水を起こしています。

脱水症状となった場合、点滴などの処置が必要になります。おかしいと思ったらすぐに病院へ駆け込みましょう。

▼猫の脱水症状について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
冬にも注意したい猫の脱水。脱水症状の見極め方と水分補給の工夫

夏でも猫が過ごしやすい環境作りのコツ

猫が熱中症や脱水といった辛い症状に陥らないためにも、飼い主さんは夏でも猫が過ごしやすい環境作りを行っていきましょう。

基本的に夏の対策のポイントは

  • 室温28度前後、湿度50~60%程度の快適な環境を保つ
  • 水をよく飲ませる

という2点です。そこでこの2つに効果的な、おすすめの夏の対策をご紹介します。

エアコンをつけよう

一番手軽で効果的な対策が、エアコンの冷房です。温度設定は28度で充分。猫は人より体温が2~3度ほど高いので、人が少し暑いなと感じるくらいが適温です。また、湿度が高い時はドライモードにするなど調整して使います。

エアコンは猫がいる部屋では常につけてあげるとよいでしょう。ただし停電あるいは故障で突然動作しなくなる場合があるので留守中の過信は禁物です。

また、夜間もエアコンはつけっぱなしがおすすめです。実は夜も熱中症になることがあります。昼間日光で温まった壁が夜になって室内に熱を放射してしまい、室温が上がってしまうことが原因です。

電気代はかかりますが、猫の負担やいざという時の医療費を考えれば、割り切ってエアコンをつけっぱなしにした方が安心ではないでしょうか。

▼猫の快適な室温について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
猫のベスト室温は子猫と老猫で違う。夏と冬の快適な空間のつくり方

小型扇風機をつけよう

昔ながらの大型の扇風機ではなく、卓上に置ける程度のサイズで構わないので扇風機を設置するのもおすすめです。

これは室内の空気を循環させることが目的です。風を送ることで部屋の湿度を下げ、猫にとって部屋が冷えすぎるのを防ぐことができます。

ただし、猫の毛が扇風機にひっかかってしまうと大変なのでガードがあるものを、猫の来ない場所に設置するようにしましょう。扇風機の周囲を100均で売っているワイヤーネットで囲ってしまうという手もあります。

遮光カーテンをつけよう

日当たりの良い部屋では、ぜひ遮光機能のあるカーテンや遮光ライナーを吊るしましょう。これがあるのとないのとでは室温が全く違います!エアコンの省エネにも繋がるので非常におすすめです。

ブラインドタイプもありますが、カーテンの方が猫がひなたぼっこしたい時にカーテンにもぐって日光を浴びることができるので便利。

ちなみに、日当たりが良すぎて遮光カーテンでも効果が薄い場合は、最悪夏場は雨戸を閉めっぱなしにしておくという手もあります。この場合でも猫がひなたぼっこできるよう、閉めるのは一部の雨戸だけにしておくなど調整するとよいでしょう。

フローリングのある場所に行けるようにしておこう

夏場の猫のお気に入りスポットと言えば、廊下や階段などフローリングの上が定番ではないでしょうか。その他、風呂場や玄関の冷たいタイルの上も気に入って伸びている猫が多いようです。

このように、猫は夏の間涼しいところを求めて家中を移動します。できるだけ猫が好きに家の中を歩けるように、夏の間は積極的にドアを開けておいてあげましょう。

部屋のドアを開けておくことで、部屋の空気が循環し熱中症の予防にもなります。

暖かい場所も用意しよう

涼しく過ごしてもらうことばかりに頭が行きがちですが、猫が寒いと感じたとき避難できる場所も用意しておくようにしましょう。風の来ない場所にダンボール箱を置いたり、中に潜れる場所を作っておきます。

猫が自分で暑さ、寒さを調節できるような環境作りが大事です。

真夏の灼熱地獄を乗り切るためのおすすめアイテム

部屋全体についての対策に加え、局地的に寒暖を調整するのも有効です。夏の対策に役に立つ、おすすめのアイテムをご紹介します。

涼感マット

よくペットショップで販売されているのは、アルミ製あるいはジェルの入った、熱伝導率が良く猫が乗るとひんやりとした感触をキープしてくれるというマットです。

ただしこれは猫によって好みが分かれる他、サイズが小さいと上手く乗ってくれないことがあります。大判のベッドのようにして使えるものがおすすめです。

バスケットタイプのベッド

冬に使っていたお気に入りのベッドも、分厚い素材のものは夏になると全く使ってくれなくなります。ベッドも夏は通気性のよいラタンやメイズなどの素材で編んだバスケットにすると、猫は喜んで使ってくれます。

ちなみにバスケットは猫専用のものでなくても大丈夫。ランドリー用の大きなバスケットを購入して中にタオルを入れてあげるとベッドとして使用できます。

猫が暑さでぐんにゃり伸びても寝やすい、長方形のものがおすすめです。

▼夏の猫用ベッドについては、こちらで詳しく紹介しています。
夏の猫用ベッドおすすめ8選。これで暑い夏もひんやりぐっすり

保冷剤

局地的な冷房グッズとして、凍らせたペットボトルにタオルを巻き、あるいは巻かずに皿の上に載せて床に置いておくのも有効です。周囲に涼みに来たり、ペットボトルについた水滴を舐めて水分補給したりなど猫によって反応は様々。

ちなみに人間用にケーキを買うとついてくる通常の保冷剤は、かじって中身を食べてしまうと大変なのでペットボトル+水で作った方が安全です。

▼他にも便利でひんや~りな、おすすめ暑さ対策グッズをこちらの記事で紹介しています。
涼しい~猫の暑さ対策グッズ。熱中症予防におすすめの12選

大切なのはなにより水分!水を飲みやすい環境を整えよう

ご紹介したように、猫の夏対策として重要なのは室温管理ともうひとつ、水分です。

猫はもともと水を飲むのをつい我慢しがちな生き物ですが、夏は特に「暑くて動きたくない」とばかり水を飲むよりも涼しい場所でじっとしていることが多いようです。

気がつくと脱水気味になってしまうこともあるので、飼い主さんが注意して以下のように飲水量を増やす工夫をしてあげましょう。

水をあちこちにたくさん置こう

「暑くて動きたくない」という猫のために、短い移動距離で水が飲めるように水の設置場所を増やしましょう。猫がよくいく場所を中心に、寝床の横もおすすめです。

また、日の当たらない場所におけば水温を保ち、雑菌の繁殖を少しでも抑えることができます。逆に日当たりのいい場所に置くと真夏は水がすっかり熱湯になってしまうことがあるので注意しましょう。

氷水を置いてみよう

夏場は、いつもの水飲みボウルの隣に氷を浮かべた水飲みボウルも一緒に置いておくのがおすすめです。あまり冷たすぎる水は猫の胃腸によくありませんので、氷は1、2個で大丈夫。氷水には以下のようなメリットがあります。

  • 水がぬるくなるまでの時間を長くできる
  • 水が痛みにくくなる
  • 猫が好みの水温を選べる

氷が好きな猫だと水飲みボウルが置かれた瞬間に飲み始めますし、冷えた水が好きな子であれば氷が溶けた頃に飲みにやってきます。

猫が好む水の温度にはかなり個体差がありますので、氷の溶ける時間によって猫が好きな水温を選べるというのが一番のポイントです。

また、氷水しか選択肢がないというような事態を防ぐため、氷水を置くときは一緒に常温の水も置いておきましょう。

給水器を使おう

夏場におすすめなのが自動給水器です。水が自動で循環するため、常に冷えてたっぷりと酸素を含んだ美味しい水を猫に与えることができます。

通常、給水器はタンク式となっており、水やフィルターの取り替え無しで1週間程度持つように設計されていますが、夏場は衛生面を考えると週に2、3度取り替えた方が安心です。

普通の置き水は飲むのが面倒だから動かないという猫でも、給水器の水は気に入ってわざわざ飲みに来るということもあります。愛猫の飲水量が減って悩んでいる飼い主さんには特におすすめです。

▼おすすめ自動給水器はこちらの記事で紹介しています。
猫のおすすめ自動給水機。新鮮な水を届けるハイテクで便利な3商品

どうしても水を飲みたがらない場合はウェットフードを混ぜよう

水を直接飲んでくれることが一番なのですが、どうしても上手くいかない場合は普段食べているドライフードと一緒にウェットフードをあげるのが有効です。

ウェットフードは

  • 全体の7割~8割程度が水分で出来ている
  • 嗜好性が高く、食欲が落ち気味な夏でも食べやすい
  • カロリーが低いのでたくさんあげても体重に響かない

というメリットがあり、猫にとっては水分補給にぴったり。ただし、

  • 夏場は特に痛みやすいので食べ残しはすぐ下げる必要がある
  • 歯垢がつきやすいので歯のケアが必須
  • ウェットフードに慣れると、ドライフードだけの食事を嫌がる場合もある
  • ドライフードに比べて1食あたりの価格が高い

といったデメリットもあるので注意しつつ与えましょう。

またウェットフードは、老猫を飼っている場合は特におすすめです。年をとった猫にとって、夏の季節は

  • 歳と暑さにより動くのがおっくうで、水を飲まず脱水気味になる
  • 夏の暑さで食欲が落ち体力を維持できない
  • 歯が弱くなっており、ドライフードが食べにくくますます食欲が落ちる
  • 冬の終わり~夏の始めまでが短く寒暖差が激しいせいで免疫が落ちやすい

と辛い環境になりがちです。そこで食べやすいウェットフードを与えることによって、栄養と水分を同時に摂らせ、過酷な夏を乗り切るだけの体力を温存させることができます。普段からストックしておくと何かと便利です。

▼水飲みの工夫はこちらの記事で詳しく紹介しています。
猫の水飲みの選び方。ちょっとしたポイントで飲水量が激変!

その他飼い主さんが夏場にできる対策

猫の健康を守るために、暑さを和らげる対策だけでなく夏場特に飼い主さんが気をつけたい点を挙げておきます。

フードは置きっぱなしにせず取り替えよう

人間の食事と同様、夏場は猫のフードも痛みやすくなります。ウェットフードはもちろん、ドライフードであっても油断は禁物。食べかけは猫の唾液がつき雑菌が繁殖してしまいます。

置き餌はせずに猫が食べ終わったのを見計らって30分程度で下げるようにしましょう。また水も最低1日2回は取り替えてあげるように気をつけましょう。

トイレを涼しい場所に増やし、まめに掃除しよう

猫にとって理想のトイレの数は「匹数+1」と言われています。トイレの数が足りないようであれば、今ある使い慣れたトイレに加えてもう1箇所、涼しい場所に臨時で夏のトイレを設置すると動くのがおっくうな猫でもトイレに入りやすくなります。

また、夏はトイレがにおいやすい季節です。トイレのにおいがきついと、汚れていると感じて猫は排泄を我慢してしまいます。1ヶ月に1回はトイレの丸洗いや砂全体の取り替えを行いましょう。また、排泄物はすぐに取り除くようにしましょう。

それでもにおいがきついと感じたらシステムトイレを使うのも有効です。固まる砂タイプのトイレに対して、システムトイレは相当においを抑えることができます。

猫のベッドやよく行く場所を重点的に掃除しよう

日本の夏は高温多湿で、カビが繁殖しやすい環境が揃っています。そのため掃除を怠っているとカビや虫などによって猫が皮膚病にかかる可能性が高くなってしまいます。

掃除機で吸ったり、コロコロクリーナーで猫の毛をとるなど毎日少しずつでも掃除をして清潔にしましょう。余裕があれば洗濯や、アルコール消毒も有効です。

長毛種のサマーカットは最後の手段にしよう

ふわふわもふもふの長毛種は、冬は暖かそうでも夏はぐったりしてしまうことが少なくありません。ひどい場合は長い毛が蒸れて、皮膚病となってしまうケースもあります。

そこで最後の手段となるのがサマーカットです。専門のトリマーさんがいる動物病院やペットショップ、ペットサロン等に依頼すれば、猫の全身の毛を短くカットしてもらうことができます。

毛が短くなれば体感温度が下がるので、暑がっていた猫にとっては快適に過ごせるでしょう。

しかし、このサマーカットには注意すべき点があります。まずひとつは、猫の毛のカットは犬とは違うということです。

よく外で可愛らしく毛をカットされた犬がお散歩しているのを見て、「うちの猫もあんな風に可愛くカットしてもらいたい!」と思ったとしても、猫のカットスタイルは犬ほど種類がありません。

猫のカットスタイルは尻尾の先や顔を残し、ライオンのように毛を短く刈るのが定番です。しかし、この毛をカットされた猫の姿は飼い主さんにとってはかなり好みが分かれます。カットする前によく確認した方がよいでしょう。

もうひとつの問題は、このサマーカットが猫にとって大変な負担になるということです。動物病院での診察を猫が嫌がるのと同様に、トリマーさんに囲まれて毛をカットされるのも猫は嫌がります。

トリマーさんとしても猫に暴れられてしまうと毛をカットできないばかりか、お互いに怪我をしてしまうことにもなりかねないので、猫に鎮静剤や麻酔を使うこともあります。

猫に負担をかけてでも本当にサマーカットが必要かどうか、飼い主さんはよく検討してみてください。

猫のサマーカットは「暑さのせいで皮膚病になった」など、どうしてもやむを得ない場合に最後の手段として行うのがおすすめです。

▼サマーカットについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
猫にサマーカットは必要?メリットデメリットで優先すべきこととは

猫が夏バテしないために、早めの対策を心がけよう

夏というと早くても6月くらいからのイメージがありますが、近年は4月でさえ夏日となることも増えてきました。

夏に向けての対策も、7月、8月と夏の暑さが本格化してからでいいやと思っていると出遅れてしまいがち。気がつくとすっかり人間も猫も夏バテしてしまっていた……ということになりかねません。

飼い主さんは春のうちから計画的に水の置き場を増やしたり、猫が出入りできるスペースを広げたりして、夏が来ても猫が違和感なく快適に過ごせるように気を配りましょう。

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