虫が多くなってくる暖かい季節が近づいてくると、虫刺されが気になってきますよね。
夜寝るときに耳元で「ブゥーーン…」という、あの嫌な音がしたら気が滅入るという方は多いのではないでしょうか。「今夜は寝られないかも」という予想が頭をよぎるんですよね。
このように、人間でも手を焼くことになる蚊ですが、家で飼っている猫が虫に刺された場合にはどのような影響があるのでしょうか。
さらに、猫の虫除けにはどんなアイテムを使えばいいのかも知っておきたいですよね。
オーガニックとして人気の高いアロマのスプレーなども虫除けとして手作りしたりすることもできますが、これは猫の身体にとってはどうなんでしょうか。
猫と虫除けの関係について、色んな方面から掘り下げて考えていきましょう。
猫が虫に刺されたらどうなる?
「たかが虫に刺されたくらいだから、別に大丈夫でしょ」と思われる飼い主さんもおられるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
猫が虫に刺されることで引き起こされる病気も実際にあるので、注意が必要なんですよ。
猫は全身に毛が生えているので人間よりも蚊に刺されにくいということはあります。それでも毛が薄い耳やお腹、さらに毛がたくさん生えている背中などでも刺されることはあるんです。
人間は服を着ているところはあまり刺されませんから、そういった意味では猫は全身を蚊からさされるかもしれないリスクにさらされていると言えるのではないでしょうか。
それでは、猫が虫に刺されることで引き起こされるかもしれない病気を見ていきましょう。
フィラリア症にかかる
「フィラリア」というと、パッと思い浮かぶのは犬の病名ですよね。でも、実際には犬だけがかかる病気ではないんですよ。
フィラリアの正式名称は、「犬糸状虫症」といいます。フィラリアを体内に持っている蚊に刺されることで、猫の体内にフィラリアが入ってきてしまいます。
フィラリアは成虫になると25から38ミリにもなりますが、猫の体内だけでは成虫になることはできません。
ここで再度蚊に刺されることで、蚊の体内に戻ってそこである程度大きくなります。
そしてまた猫を吸血することで、猫の体内に寄生するのです。
この時に初めてフィラリアは成虫になり、肺動脈や心臓に居座ることになってしまいます。
そして、ここで毎日ミクロフィラリア(子どものフィラリア)を生み続ける…という恐ろしいサイクルが始まってしまうのです。
フィラリアの寿命は2年ほど。その間に自然に体内で死ぬことも多いのですが、上記のパターンで成虫になってしまうと大変なことになってしまうのです。
このようにして猫がフィラリアにかかってしまうと、次のような症状が現れます。
- 体重が減る
- 咳が続くようになる
- 呼吸困難になる
- 嘔吐を繰り返す
これらの症状は、ちょっと分かりにくいということもあって、飼い主さんが気付いたときにはかなり重症化してしまっていることもあります。
蚊が多い時期になって猫の体調がなんだかおかしいかも?と思ったら、早めに動物病院で診てもらうのがカギになるでしょう。
犬の場合にはフィラリアを駆除する薬剤を使用するのですが、猫にとってはきつすぎるため使用することができません。
そのためフィラリアがこれ以上進行しないようにしたりする治療をすることになるので、どうしてもリスクが高くなるのです。
蚊のアレルギーが起こる
猫が蚊に刺されることによって、アレルギーを引き起こすこともあるんです。これは、アレルギーの細胞である「好酸球」が出ることによって起こります。
かなり痛々しいことになってしまっていますね…。どうしても蚊に刺されやすい鼻や耳に出ることが多いのですが、肉球にもこの症状が出ることがあるんですよ。
これは猫の体質によるもので、蚊に刺されたことでアレルギーを引き起こして皮膚に炎症が起きてしまうことが原因なんです。
猫も痒いとかきむしったりしてしまいますから、それによって皮膚の症状がさらに悪化してしまうこともあるでしょう。
この場合、放っておくとさらに辛い状態になるかもしれないので早めに動物病院に連れていってあげましょう。
治療としては、ステロイド剤などを塗って完全室内で静養することになります。外に出してはいけませんよ。
もし毎日散歩をしている習慣があるとしても、この場合は治療のためにやめておいてくださいね。
室内で飼われているなら大丈夫、という訳ではない
猫を完全な室内で飼っているからうちは大丈夫と思われる飼い主さんは多いかもしれません。
しかし、昔に比べても猫がフィラリアにかかる確率はかなり上がっていきている、というのが現状なのです。
蚊というのは知らないうちに家の中に入ってきますし、一度入ってきてしまえば駆除するまでずっと居ることになってしまいますからね。
そうなると、室内で飼われている猫にとっては逃げ場がないとも言えるのです。ですから、蚊に刺されないための予防をしておくことはとても大切だと言えるでしょう。
猫の虫除けとして効果的で安全なものを知っておこう
それでは、大切な猫が蚊に刺されることがないように予防するためにはどうすればいいのでしょうか。
やはり室外にいると蚊に刺されるリスクは跳ね上がることになるでしょう。猫の安全のために、蚊が出てくる時期には必ず完全室内飼いにしておくことをオススメします。
猫にも安全な虫除けグッズをご紹介します。
蚊取り線香
昔から蚊を防ぐといえば、蚊取り線香ですよね。部屋に置いておくだけで、室内の蚊をやっつけることができる優れものです。
蚊取り線香の煙は、一般的に販売されている種類ならば猫が吸い込んでも問題はないとされていますが、動物用の蚊取り線香も販売されています。
蚊取り線香に含まれている成分はピレスロイドで、濃度もかなり低く設定されています。
冷血動物である蚊を駆除するというよりは「弱らせて飛べないようにする」ものなんですね。 なので、温血動物である猫にはほぼ害はないと言えるんですね。
ただし、猫が線香の燃えている部分を触ったり、本体をかじったりすることがないように注意してあげてください。
虫よけの首輪を付ける
こちらも、先ほの蚊取り線香と同様にピレスロイドが使われている商品になります。猫の首に付けるだけで、1週間経過すると効果が現れるのがすごいですね。
効果は6ヶ月と記載されています。蚊と同時にノミも寄せ付けないのはありがたいところです。
ただ、首輪タイプなので危険なことが起こったりしないために「何かあった時には切れる」ものを選ぶようにしておくと安心ですね。
蚊取りアース
こちらは電池で使うタイプの虫除けグッズです。1つ購入すれば、720時間使用することができるのでコスト的にもかなり良いですよね。
煙も熱も出ないので、猫にとっても安心です。このように、猫にも使える虫除けグッズはたくさんあります。
これらの虫除けグッズは室内で使用することになるでしょうから、ずっと締め切ったままにはせずこまめに換気をすることを心掛けましょう。
虫除け効果があっても、猫にとっては危険なものもある
オーガニックが好きな人なら、日頃から室内でアロマを焚いたりしている人も多いのではないでしょうか。
アロマの中にも色んな種類がありますが、ティートゥリーやミントやハーブなどは虫除けとしても効果があると言われていますよね。
しかし、アロマ自体が猫にとっては危険だとされているのです。
アロマというのは、植物の成分をギュッと濃縮したものになるので(1mlの製油を作るためにその100倍から1000倍もの植物を必要とします)、使い方によっては人間ですら害があることもあるほどなんですよ。
さらに、猫は人間と肝臓の代謝機能が異なるため、精油の毒性がどうしても出やすくなってしまうんです。
猫は人間と比べてみてもとても小さい生き物ですし、自分の身体を舐めることでグルーミングをしますよね。これによって精油を直接舐めることにもなるので、かなり危険なのです。
これらの理由から、猫がいる家庭で精油を虫除けとして使用するのは、やめておいたほうがいいでしょう。
猫の虫除けをしっかりすることで、蚊による被害を最小限にしよう
虫が多くなってくる時期になると、猫も虫の被害を受けることがあります。たとえ室内で生活していたとしても、その可能性はゼロではないんですよ。
猫を虫から守るために、飼い主として猫にとって効果的で安全なものを選びたいものですね。
そして、毎日の生活の中で猫がいつもと変わらず元気にしているか?ということも常にチェックしておきましょう。
毎日のふれあいをすることで、猫のちょっとした変化にも気づけるようにしておくと安心ですね。