猫が水をよく飲む時は病気の可能性も!体のサインを見逃さないで

猫は言葉が話せない分、愛猫の体調の変化には日々気を付けたいものです。

普段からよく観察していないとわからない部分も多く、病気が隠されているのかそれともただのきまぐれなのか、判断が難しい事もあります。

特に年を取ってくると、人間同様に様々な場面で、若い頃には感じられなかった行動や体調の変化を感じるようになってきます。

今回は猫が水をよく飲むなあと感じた時に考えられる病気と、その対処法について、我が家の猫での実際の体験を交えながらお伝えしていきます。

本来、猫は水を多く必要としない動物

大人の猫の場合、1日に必要な水の量は3キロの猫の場合は150から200ml程度となります。

体重が1キログラム増えるごとに、必要量が大体30から50mlずつ増えていきます。

犬の場合は犬種などによって異なりますが、それでも比較すると猫の必要な水の量は少なく感じます。

先祖は砂漠で暮らしていたため、水が少なくても生きられる体に進化した

イエネコの先祖は、砂漠の多い地域で暮らしているリビアヤマネコです。

砂漠地帯は日常的に摂取できる水の量が少ないため、リビアヤマネコは水をあまり摂取しなくても大丈夫なように体を進化させてきたと言われています。その体の構造が、リビアヤマネコの子孫であるイエネコにも受け継がれているのです。

▼イエネコのルーツとなったリビアヤマネコについては、こちらもご覧ください
イエネコの歴史とルーツ。ヤマネコとの違いや先祖の遺伝子のお話

水が少なくても活動できるその秘密は、腎臓の仕組みにあります。

腎臓は体の中にたまった老廃物をろ過して、尿と一緒に体の外へ排泄する役割があります。腎臓の中にはネフロンという構造があり、そこには毛細血管がたくさんあります。それぞれ独立して機能しており、これが尿を作り不要なものを外に捨てる、いわば浄水器のような役割をしているのです。

このネフロンは人間の腎臓には大体200万個ほど備わっているのですが、猫の場合は40万個程度しかなく、これが猫に腎臓系の病気が多く発生する原因なのではないかと言われています。

他の生き物よりもろ過装置が少ないので、腎臓の病気の耐久力が少ないということになります。

ネフロンの構造の中には糸球体という、糸が絡まったような形の毛細血管があります。ここで尿のろ過を行っています。

この糸球体は一度壊れてしまうと再生しないという性質があり、何らかの原因で糸球体が壊れて少なくなっていくと、腎臓系の病気を発症してしまうのです。

猫に、腎臓の機能が低下してしまう腎不全が多いのはこのことが原因と言われています。

上記の通り、猫は少ない飲み水でも活動できるように進化をしていきました。摂取した水分は有効利用できるよう、余計な水分は出さず、排出する尿の量は少なめになるようになっているのです。

その分尿は凝縮された老廃物が多く含まれています。

腎臓機能が低下していると水をよく飲む。腎不全は猫の死因の1位!

猫の腎臓のメカニズムはまだまだ研究の余地があり、完全には解明されていない部分もあります。

砂漠で生きるための体の構造そのものが、他の生き物に比べると腎臓に負担がかかり腎不全になりやすいという性質があると考えられています。

実際、シニア猫なら3、4割が発症し猫の死因の第一位が腎不全となっています(ただし1位はガンという統計もあります)。

しかもこの腎臓の病気ははっきりした症状がなく、気づいた時には病気がかなり進行している可能性もあります。

見た目ではわからないため、血液検査などで病状の進行具合を確認する事が出来ます。

2017年11月現在、この腎不全を完全に治療する方法は確立していません。今のところは、腎臓に負担をかけるミネラルであるリンを少なくした食事を与え、糸球体が壊れていく事を防ぐ食事療法が主流となっています。

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水をよく飲む事は腎臓が悪くなってきているサインかも

この病気になっている可能性を示すサインが、水をよく飲むこと、おしっこの量が増えたことが上げられます。

腎臓が悪くなってきた猫は、水をよく飲むようになります。これは、腎臓機能が低下したことで体に老廃物が溜まりがちになり、それを排出するために水を沢山飲んでおしっこで出して、と脳が判断する為に起こると言われています。

そのためおしっこを沢山するようになり、脱水症状を起こしがちになります。水をどんどん飲ました方が猫の体にとっては負担も軽くなります。

ただし、水を飲めば病気の進行を遅らせるという事にはつながりません。塩分のすくないごはんなど、食事療法が重要になりますので、水を沢山飲むなあと感じた時には、必ず動物病院に相談するようにしてください。

我が家の猫も、10歳位の時に水を沢山飲む様になってきました。動物病院で血液検査をし、腎臓の機能が低下していることがわかりましたので、その時から食事療法を行っています。

そのおかげで、16歳を超えた今でも元気にのんびりと暮らすことができています。常に様子を観察し、おかしなサインはわずかでも見逃さないことが大事です。

特に高齢の猫は発症しやすい傾向があるので、シニア期にはいってきた猫は気を付けてあげましょう。

▼猫がいつもより水を飲み過ぎている…と感じたら早めに対処していくことが大切です
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治療法は日々進化しているけど、一番の予防は病気の兆候を見逃さない事

猫にとっては代表的な病気であるため、腎不全に対する治療法は日々進化しています。

我が家でも治療の初期は腎臓への負担を少なくなるサプリメントと療養食が主流でしたが、2014年にはセミントラという腎臓に負担をかけるタンパク質を減少させる薬が登場しました。

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サプリメントの時は粉状で、これまでの普段の食事にかけて摂取するのですが、味の変化やにおいのせいかなかなか食べてくれない時もありました。

セミントラは匂いのないシロップタイプで、今まで通り食事も食べてくれます。

また、2016年10月には日本の東大グループで猫の腎臓が低下するメカニズムを突き止めたという報告があり、猫の腎不全に対する治療に対する期待が高まりました。

これらの治療法が確立するのはまだ先になるかもしれませんが、どんどん進化していく医療の力を借りつつ、愛猫の健康管理をしてあげたいものです。

水をよく飲む時には、甲状腺機能亢進症や糖尿病の可能性もある

また、水をよく飲む時には腎不全だけでなく別の病気の可能性もありますので、こちらも注意していきたいところです。

代表的な物が甲状腺機能亢進症と糖尿病です。

甲状腺機能亢進症は、食欲が増えて水を沢山飲むようになる

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。

甲状腺ホルモンは体の代謝を上げる役割がありますが、この甲状腺が何らかの原因で肥大化してホルモンが過剰分泌し、いわゆる元気すぎる状態になってしまうのです。

食事を多く食べたり、水もよく飲むようになります。そのことで臓器に負担がかかり、最悪命を落とすケースもあります。

シニア猫に特に多く発症し、血液検査で判断する場合が多いです。投薬や外科手術で治療しますが、早期発見することが重要になるので、普段の食事の様子に注意しましょう。

▼甲状腺機能亢進症は腎臓病に並んでシニア猫が最もかかりにくい病気だとも言われているので、しっかり注意してあげてください
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猫にも要注意。糖尿病でも水をよく飲むようになる事も

人間には多い糖尿病ですが、猫も発症する病気です。膵臓からつくりだされるインスリンというホルモンが低下してしまう病気です。

インスリンは体を動かすのに必要な糖を吸収する役割がありますが、これがうまく機能しなくなると糖が体に吸収されなくなり、必要な糖が尿と一緒に体から排出されてしまうのです。

肥満や高齢、ストレスなどが原因で発症すると言われていますが、詳しいメカニズムはまだわかっていません。

インスリンが機能しなくなると、糖が体は吸収されずに体の中で濃くなってしまうためそれを薄めようとし、脳がもっと水を飲むようにと体に指令を出します。

そのため、水を沢山飲むようになり、その分おしっこも増えてしまうのです。

この病気の治療はインスリンを注射したり、食事療法を行います。糖尿病と言っても様々なタイプがある為、その症状や猫の健康状態、年齢により治療法が異なります。

やはり早期発見し早くから治療を行う事が大切になりますので、水や食事の量に注意していきましょう。

▼猫の糖尿病の詳しい症状については、こちらもご覧ください
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日頃の行動に常に注意するようにすることが、早期発見につながる

水を飲むという、毎日行う行動だからこそ、それに異常が見られた場合は病気のサインになります。

多種多様な生き物がいる中で、猫の腎臓の仕組みは他の動物と比べて違う部分もあり、それが水の少ない環境で生きられるようになっている分、腎臓系の病気になりやすいという欠点にもなっていると言われています。

室内飼いの場合はわかりやすいですが、外に出る猫であれば水を飲むところを見られない事もあり、気づくのが遅れる場合もあります。

シニア猫には様々な病気にかかる事が多くなりますので、そのことを常に意識した上で、日頃からよく様子を見て、ちょっとした変化を見逃さない事が重要です。

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