保護猫カフェめおまるけレポート。古民家の縁側で猫と一緒にのんびり

思い浮かべてみてください。

広々とした縁側があります。時間はそうですね、例えば昼下がり。日差しは充分に差し込んで明るく、外は風が出ているようですが、室内は静かで暖かく、とろんとした空気が流れています。

畳のお部屋ですから、座布団があります。ちゃぶ台もあります。こんなところで猫をお膝にのせて、お庭を眺めながらのんびりとお茶を飲んだらどんなに良い気分でしょうか。そんな幸せ妄想を叶えてくれるお店があります。

猫。縁側。陽だまり。座布団…猫とレトロ好きの心をわしづかむ、名古屋の古民家保護猫カフェ「めおまるけ」さんをご紹介します。

めおまるけはどんな猫カフェ?

名古屋市の中でも落ち着いたイメージの強い緑区、めおまるけはそんな緑区の中でも、里山にほど近い、静かで穏やかな住宅街にある猫カフェです。

めおまるけ、この不思議な語感の店名はタイ語で猫を意味する「めお」と名古屋弁で「〇〇だらけ」を意味する「まるけ」を組み合わせて命名されています。なんとなくフランス語っぽい響き♪と思っていたのですがまさかの名古屋弁でした。

名古屋弁では「たくさん」いることを指す言葉として他にも「ようけ」「ぎょうさん」という形容詞もあるのですが、これが「まるけ」になると「まみれている」ようなニュアンスが付与されます。例えば「観光客だらけ」などといった状況では「ようけ人がおる」と言いますが、セーターが猫の毛だらけになってしまった時などは「毛まるけだがや」などと表現します。「猫がぎょうさん」だと単に猫がたくさんいるね、ということなのですが、「猫まるけ」だとそこは猫まみれ空間!ということなのです。

このめおまるけ、ただの猫カフェではありません。古民家カフェでもあり、そして保護猫カフェでもあるんです。

お店の方の言葉を借りるなら「猫を飼っている親戚のおばあちゃんの家に遊びに来たような」、そんな気持ちにさせてくれるお寛ぎの店内で、たくさんの保護猫たちがのんびり暮らしながら新しい飼い主さんとの出会いを待っています。

さっそく行ってみましょう!猫カフェめおまるけへのアクセス

公共交通機関を利用する場合はJR東海道本線「大高駅」下車、北口から徒歩8分、あるいは名鉄本線「鳴海駅」下車、南口から徒歩12分です。

車の駐車スペースは5台分用意されています。

猫カフェめおまるけの駐車場案内看板の写真

このあたりは昔からの街なので道が細く入り組んでいますが、お店を中心に東西それぞれ100mほど離れたところに2台ずつの駐車場があるため、お店の前で看板を確認してからでも、どちらかで頑張って折り返さないといけない、ということが無くて有難いですね。

ちなみにベースになってる建物がそもそも昭和建築なので、お店の真横のガレージの大きさも当然ながら、ちょっと昔の車体を想定したサイズです。コンパクトカーでない場合は東西いずれかの駐車場に停められるのが無難かと思います。

猫カフェめおまるけの駐車場の写真

こちらは、お店の西側の駐車場です。

猫カフェめおまるけの店舗外観の写真

お店の外観はもう完全に、民家です。玄関先に立った瞬間、小学生の頃に友人宅へ遊びに行った時のことを思い出しました。(築47年ほどとの事ですので、なるほど、時代的にはドンピシャです)

完全に前時代的に鑑賞対象になってしまうほどの古民家というわけでもないこの雰囲気、入店時には思わず「おじゃまします」が口をついて出てきます。

猫カフェめおまるけのシステム

入店後、まずは洗面所に案内されますので、そこで手洗い、消毒を済ませてカフェスペースに移動、システムや注意事項の説明を受けたあと、ドリンクの注文といった流れになります。

猫カフェめおまるけのシステム写真

料金は滞在時間ごとのプラン+飲食代(ワンオーダー制)です。30分500円、1時間800円がスタンダードコースですが、平日限定では3時間2000円というお得なプランも。

猫カフェめおまるけのルール表の写真

最初に注文したオーダーが届くときに、猫じゃらしも貸与されます。

ドリンクメニューはコーヒーや紅茶などの定番どころをはじめ、自家製ジュースや日替わりハーブティーなどオーナーさんのこだわりが感じられる品揃え。ソフトドリンクの他に、海外ビールやカクテルなどのアルコールも楽しめます。

猫カフェめおまるけのメニュー表の写真

フードメニューは日替わりカレーのみです。辛口のタイカレーと甘口の日本カレーの2種類があり、いずれも平日限定となります。

猫カフェめおまるけのカレーの写真

こちらはタイカレーとホットうめ。サラサラでスパイシーなスープカレーの中でじゃがいもの甘みがアクセントになっていて美味しかったです。ホットうめにはお店の庭で採れた梅の実の自家製シロップ、と本当にお手間入りの一品です。

カレーもドリンクも蓋ができるようになっています。離席する時や食後に、飲食物と猫、双方が守られるようになっている配慮が嬉しいですね。

猫カフェめおまるけのドリンクの写真

カフェスペースは12席、玄関先のご自宅ムードから一変して、なんともオシャレな空間です。

猫カフェめおまるけのカフェスペースの写真1
猫カフェめおまるけのカフェスペースの写真2
猫カフェめおまるけのカフェスペースの写真3
猫カフェめおまるけのカフェスペースの写真4

卒業猫と在籍猫の紹介パネル、猫関連のブックコーナー、猫グッズの展示即売スペース、そしてキャットウォーク!こういったしつらいは眺めているだけで猫カフェ感が高くてワクワクしますよね。

猫ルームとカフェスペースを完全に分けているお店も少なくありませんが、めおまるけは完全に猫フリーですので、カフェスペースにいても猫と触れ合えます。

しかし、めおまるけの魅力はこのオシャレカフェスペースに留まりません。猫じゃらしを握りしめ、それではいざ、隣の和室へ参りましょう!

猫カフェめおまるけの和室スペースの写真1

(画像右寄りの黄色と白の棚は自由に使える荷物入れです。開けたそばから、かばんよりも先に猫が納まってしまうこともままあります)

落ち着いた癒しの空間。めおまるけ入店レポ

カフェスペースを抜ければそこは…

猫カフェめおまるけの和室スペースでへそ天している猫の写真

ヘソ天でした。

私もあまり猫カフェ通というわけではないのですが、お店に行くと大抵、猫は寝ていることが多いですよね。猫カフェで、猫が寝ているのは当然と言えば当然なんですが、しかし、それにしても。いきなりヘソ天に遭遇するだなんて!この時点で既に脳内は大興奮です。

しかもどこにいたのでしょうか。さっと見渡した程度では見つけられなかった子たちまでもが続々と集まってきまして、「わわわわ私のお出迎えのために!?」と喜びのあまりオロオロドキドキしていたのですが…。

猫カフェめおまるけの和室スペースにいたたくさんの猫の写真

ほどなくして沢山のごはん皿を持ったオーナーさんご夫妻が登場されました。それはみんな集まってきちゃうはずですよね。

猫カフェめおまるけの和室スペースでご飯を食べるたくさんの猫の写真

残念ながら私を熱烈歓迎してくれていたわけではありませんでした。しかしごはんタイムに居合わせられるなんてとても幸運です。

すごい勢いで平らげて、他の猫のお皿に顔を突っ込みに行く子、同じごはんのはずなのに、なぜかお隣のお皿を欲しがる子、のんびりゆっくり食べてる子…個性豊かな大勢の猫の食事風景は見ていて飽きる事がありません。

さて、ごはんが済んだらお次はお昼寝タイムですね。猫たちは思い思いの場所で転がったり丸まったり毛づくろいを始めたりと満足の食後を過ごし始めました。

猫カフェめおまるけの和室にいた食後の猫たちの写真

床の間はキャットタワーコーナー。

猫カフェめおまるけの和室にある床の間のキャットタワーと猫の写真

押し入れは秘密基地。

猫カフェめおまるけの和室にある押し入れの中の猫たちの写真

古い一軒家をオーナーさんご夫妻が手ずからリノベーションした店内には、他にも一本柱をロープで巻いてまるごと爪とぎ&登り棒にするなど猫のための様々なアイデアが詰まっています。

冬にはこたつが登場していました。めくってみたら、期待通りに中には猫がIN。

猫カフェめおまるけの和室にあったこたつの写真

保護猫カフェなので、在籍している猫たちはみんな野良出身、様々な境遇を経てここにやって来た子たちです。

そんな経験値のなせる業なのか、ここの暮らしでいっぱい大切にされているからなのか、猫たちがとてものびのびと過ごしていること、そして猫同士の仲がとても良さそうなのが印象的でした。

先日お邪魔した時には、ゴザの下に潜った誰かをみんなでむぎゅむぎゅして追っかける遊びがトレンドなようでした。

猫カフェめおまるけの和室で遊んでいる猫たちの写真

潜って踏まれて飛び出した子も、お目目キラキラで楽しそうにダッシュしていきます。

猫カフェめおまるけの和室で遊ぶ猫達の写真2

勿論みんながみんな、完全に懐っこいというわけでもなく、こうやってドタバタ遊んでいるすぐそばで、寝ていたい子は寝ていますし、構われたくない子は近寄ってきません。

じゃれついてきてくれたとしても触らせてもらおうとすると「遊ぶのはいいけど今は撫でられたくない気分かな」というそぶりを見せたりもします。

でも「今は遊ぶ気分じゃないし、構われるのもちょっと」みたいな雰囲気だった子が、カフェスペースで一人で過ごしていると対面に来てじっとこちらを見ているだけ、ということもあります。

たぶん猫たちにとっては縄張り巡回の一環なのかとは思いますが、ずっと一人でカフェスペースにいた私の同行者が「座ってるだけなのに猫が次から次へと相手しに来てくれる」ことに驚いていました。

つまり、みんなとても自然に猫をしています。お客としてその空間に立ち入ってもひときわ甘えられたりもしない代わりにことさら警戒される事もない、そんな距離感がとても心地よく、猫たちの寛いだ様子にこちらも心和む、そんな空間が出来上がっています。

居合わせた初対面のお客さん同士が自然に他愛ない会話を交わすひと時もありました。古民家の縁側と陽だまりと、ただそこにいるだけの猫には人の心をゆるめる力があるようです。

子供さんの入店をお断りしている猫カフェも多い中、めおまるけは保護者同伴を条件に歓迎しています。

幼いころから猫と親しむ事によって、猫への親和性を高め、将来的な猫飼いを増やす=引き取り手のない猫を減らす、という考えによるものだそうで、実際に自発的にお祖母様にお願いして来店されている小さなお客さんもいらしていました。

このお店では色々な部分で猫のためになるかどうか、という行動理念が感じられます。

めおまるけの猫スタッフたち

最初にヘソ天で私の心を射貫いてくれた彼は茶二郎さんと仰るそうです。御年9歳(推定)。

猫カフェめおまるけの猫スタッフ茶二郎の写真

小さな耳は手術でカットされた形跡があるそうです。ひどい歯肉炎を患った状態で保護され、全部の歯を抜くことを余儀なくされたそうです。それでも、人前で仰向けになって寝られる鷹揚さ、それができるお店の環境に心を揺さぶられました。

9年のニャン生はイージーなものではなかったでしょうに、それでも「次はここを撫でて」と甘えてきてくれます。やや強めのカシカシ撫ではお気に召したようですが、腰からお尻周りに及ぶと「イヤ」とはっきり発音されます。

年齢も高いので、ずっとお店で過ごすかもしれないと思われていた彼には最近運命の出会いがありました。常連さんのお話では新しい飼い主さんは今、猫可の新居を探されていて、彼はそれをのんびりと待っている状態なのだそうです。

猫カフェめおまるけの猫スタッフとらじの写真

初めてお邪魔した時、あまりの良い体つきに見惚れてしまった大きなトラ猫のとらじさん。彼は開店時からのメンバーの一匹だそうです。

誰にでもフランクにフレンドリー、といったタイプではなさそうなのですが、ツボにハマった時には遊んでくれました。(こんなに大きな子が猫じゃらしに合せてポーンと飛ぶのは壮観です)

オーナーさん曰く「猫じゃらしが振られていると、自分も遊びたいけど子猫たち優先で遠慮しているところがある」そうで、なんて気を遣う猫さんなんだろうと思っていたところへ、こんなシーンを目撃しました。

初めてのエリザベスカラーを付けた若猫ちゃん、イヤイヤパニックを起こして逃げ惑うことがありました。それを追っかけて行ったとらじさん。どうするのかな、と見ていたら話を聞くようにお鼻突き合わせてヒソヒソうにゃうにゃ、そして彼女が落ち着くまで顔を舐めてあげたりしていました。

…男前すぎません?

猫カフェめおまるけの猫スタッフあきととらじの写真

お店のHPでは”良い子なのに引き取り手が現れない”と紹介されている彼ですが、彼が指名されない理由はその魅力ゆえかもしれません。猫店長のあきさん(前出の押入れ秘密基地画像の一番手前の白地が美しい子)と並び、すごくマネージャー感があるんです。

「お宅の管理職を下さい」とはなかなか言いづらいものです。実に上司にしたいようなニャン材です。

お次はふぅちゃんです。2018年の秋に訪れた時には、お腹がぽんちょこりんになるまで際限なくごはんを食べ続け、隙あらば他の子のしっぽに絡みついたり、離席した隙に私のかばんを試着していたりとバイタリティ溢れていた彼は今、新しい飼い主さんの元で元気に暮らしているそうです。

猫カフェめおまるけの猫スタッフふぅの写真

保護猫カフェは基本的には譲渡前提でお店にいる猫さんたちです。次に来訪した時、同じ猫さんに会えるとは限りません。

気になっているあの子が次回来店時に居なくなってたらちょっと寂しい、でも譲渡されていて、幸せそうなセカンドニャイフの片鱗が聞けたらそれ以上に嬉しくなるのが保護猫カフェですよね。

めおまるけの猫たちは市の愛護センターや個人、団体で活動している保護主さんたちの元からやってくるそうです。

一匹が卒業して、また新たな一匹に、幸せなご縁がありますように。

オーナーさんご夫妻の想い

古民家と保護猫カフェ。この素晴らしいロケーションとアイデアはどこから湧いてきたのでしょうかというのはずっと気になっていまして、オーナーさんご夫妻にお聞きしてみました。

古民家であることや建物については猫にとって静かな環境を求めたことでの立地やその他からの結果論であり、最初から古民家をコンセプトにしていたわけではなかったそうです。

しかし、色々な事情で猫を飼えない人にも猫と暮らしているような気分を味わって欲しい、という思いからも店舗というよりは自宅のような内装づくりを心掛けられているそうです。

保護猫カフェであることのきっかけをお尋ねすると「一匹の猫に出会って、助けたいと思った時にどうするべきか」が根源にあるとお答え頂きました。

猫に見込まれた方々は本当に多くの”助けを必要とする猫たち”に次々と出会われます。きっとオーナーさんご夫妻もそのようにして猫に見込まれた方々なのでしょう。次から次へと目の前に現れる不遇の猫たち、その子たちを保護して、幸せにするためには何ができるか?

そう考えた時「例えば会社員をやりながらでは猫のための通院もその他もやりづらくて、猫のために夫婦でできることを考えた結果が保護猫カフェだった」のだそうです。

2016年7月1日のオープン以来、30頭以上の譲渡実績があるというめおまるけさん。まだまだです、と仰るご夫妻のコメントからはもっとたくさんの猫を幸せにしたいという熱意が伝わってくるようでした。

ドアのレジまわりの商品の写真

レジまわりではグレインフリーのフードなど、猫の健康を第一に考えた猫用品が販売されています。こうしたグッズや併設の猫ホテルの収益も保護猫活動費に充てられます。

保護猫カフェは譲渡が前提、運命の出会いを探したり、実際に触れ合ってみてお目当ての猫との相性をはかったりできる場所です。

しかし猫を飼えないので里親にはなれない、という人もお店に行ってお金を使うことで保護猫活動にちょっとだけ貢献できるというのも保護猫カフェの良いところのひとつです。

猫カフェめおまるけの店舗外観2

保護猫カフェ・ねこホテル「めおまるけ」の店舗情報

  • 住所:愛知県名古屋市緑区鳴海町前之輪149(ナビ検索では148)
  • 営業時間:水・金・土曜日10:00~22:00(LO21:30)/月・火・日曜日10:00~20:00(LO19:30)
  • 定休日:毎週木曜日/第1・第3水曜日(祝日は営業、前日が代休になります)
  • HP:保護猫カフェ&猫ホテル めおまるけ

興味を持たれた方は是非足を運んでみてくださいね。きっと懐かしい縁側と美味しい飲み物、可愛い猫たちが出迎えてくれるはずです。

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