2018年9(クル)月29(フク)日、愛知県瀬戸市にて第23回「来る福招き猫まつりin瀬戸」が開催されました。
瀬戸市は同県常滑市と並んで日本屈指の陶製招き猫の生産地です。それに因んで1996年から開催されるようになった招き猫まつりも今年で23年目、毎年多くの人で賑わい、第12回開催の時には「ふるさとイベント大賞」に輝いた、とっても盛り上がるイベントなんです。
市内が招き猫と猫モチーフで溢れ、老いも若きも男も女もまるっと楽しめる来る福招き猫まつりの様子をレポートします!
来る福招き猫まつりin瀬戸の開催地とアクセス
名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅から東へ1kmほどかけて、メインストリートを挟んだ一帯がまるごと会場となり、展示や出店、ステージや体験など様々な催しが行われます。
イベント用駐車場もたくさん用意されていますが、あっという間に満車になります。以前、車で来場した際には停めるのにも出るのにも苦労したため、今回は公共交通機関を利用してみました。
名古屋地下鉄「栄」駅と構内でリンクしている名鉄瀬戸線「栄町」駅から尾張瀬戸駅を目指します。
改札からすでに、招き猫まつり仕様になっており、気分が高まりますね!うまく急行を捕まえることができれば30分で到着です。
駅から一歩踏み出せばそこは既に招き猫ワールド!
出てすぐの建物(パルティせと)一階の観光案内所でマップをゲットして繰り出すとしましょう。
5ヶ所から無料のバスが20分おきに巡行していますので、のんびり体力温存して楽しみたい方はこちらもオススメです。
食べる【ご当地焼きそば、限定お弁当】
駅から徒歩10分ほどの文化センターに着いたのは、イベント開始からまだ30分ほどしか経たない頃でしたが、既にすごい行列となっていました。
ご当地名物「瀬戸焼きそば」のブースなので大人気なのも当然なのですが、理由はそれだけではありません。先着500名までイベント限定の瀬戸焼の絵皿がついてくるからなんです。
ここで瀬戸焼きそばについてご紹介です。
焼き物の町、瀬戸では古くから産業に関わる多くの職人さんが働いていました。長時間、熱い窯の前で汗をかき、忙しい作業の合間に手軽に食べられて塩分も補給できる定番メニューとして誕生し、愛されてきたのが瀬戸焼きそばです。
瀬戸焼そばアカデミーが掲げている「瀬戸焼そば」の定義は以下の通り。
- 麺は、蒸し麺を使用
- 味付けは、豚の煮汁や醤油ベースのタレを使用
- 具材は、豚肉とキャベツが主体
- せともの(瀬戸焼)の器を使用。ただしお持ち帰りは除く
見た目で一番の違いは麺です。かん水が焦げて茶色になるまでかっちり蒸しあげた黒麺。正直、鉄板の上で焼かれている麺を見ていても、ゴムみたいな麺だな…食感大丈夫かな…と不安になるくらいに固そうです。
しかしそこに、豚の煮汁ダレが大量に注ぎ込まれると印象は一転、蒸気と美味しそうな匂いが一気に立ち上りました。
受け渡しの際にはプラのお持ち帰りパックに入った焼きそばと、紙箱に入った絵皿とが別々に渡されるのですが、やはりここはひとつ瀬戸焼のお皿で食さねば…!というわけで早速その場でお皿に移して頂きました。
あんなにだし汁を注いでいたのに水っぽくなく、程よい弾力の食感です。具は豚とキャベツだけというのにふくよかなお味で、醤油ダレなのにまるでしょっぱくありません。見た目のシンプルさを良い意味で裏切る特徴的な美味しさでした。
お祭り開催中はイベント限定の陶製弁当箱で供されるランチ(内容はお店次第・容器はお持ち帰りOK・数量限定)や、イベントコラボスイーツ等の限定商品が数多く販売されます。あれもこれもと見比べているうちに、お目当ての容器付きお弁当は完売になってしまいました…。
ご飲食は、ご計画的に…!
観る【涅槃大招き猫、アート/ミュージアム】
焼きそばの列に並んでいる時からずっとソワソワ気になって、横目でチラチラしていたのはこちら。
寝ている長さが5.5mの「涅槃大招き猫」。フォトスポットとしてマップでも大変おススメされていましたが、SNS映えを気にするより先に、とにかくこの懐に飛び込みたい!この猫さまに抱かれたい!!そう思わせる貫禄と存在感と…包容力。
撮影待ちの列には子供さんしか並んでませんでしたけど。雨で地面がとっても濡れてましたけど。それでも、その胸に飛び込みたいと思わせる力が、この像にはあったんです。
さて、巨大猫さまも堪能し、お腹も満ちたところで存分に招き猫を観たいと思います。
イベント中は瀬戸蔵で現代作家による幅広い猫モチーフの作品を一堂に集めた「にっぽん招き猫100人展」が行われ、来場者は一般投票に参加できます。のみならず、文化センターや商店街内の小さなギャラリー、それはもう色々なところで、猫作品の個展も行われています。
展示即売の会場もあるので、ときめいたらその場で購入することも可能。食器やインテリアなどの陶芸作品が多いのですが、ファブリックやステーショナリー、中には和菓子なんてのもありまして、人気のお品はあっという間に売り切れて行きました。
予定ではステージイベントやパレードなど、見ごたえのある屋外での催しも企画されていましたが、この日は生憎の台風日和。一部は中止となったものの、ステージを屋内に移してご当地ヒーローショーや音楽の演奏、ダンスなどで盛り上がっていました。
瀬戸市観光協会のキャラクターせとちゃんも、ご当地ヒーローの陶神オリバーさんも、この日は特別に猫耳姿で記念撮影。私も今すぐ10歳以下に戻ってご両人の間に挟まりたかったです。
開催地内にある見どころとしては瀬戸蔵の中にある「瀬戸蔵ミュージアム」と、せと末広商店街に隣接した「招き猫ミュージアム」の2ヶ所があります。
とにかく見るものが多く、朝イチで乗り込んでも全部を見て回ることは不可能なくらいにボリューミーなスケジュールなので、この機会を逃しても逃げてはいかない常設展示施設は外そうかとも思ったのですが、やっぱり気になって入場しました。
瀬戸蔵ミュージアムは瀬戸の焼き物の歴史や製法を実物の展示で見る事ができます。詳しい内容は伏せますが、建築物の実物大再現系の展示がお好きな方と、レトロ電車が好きな方は必見です!
招き猫ミュージアムは招き猫専門店の2階にあり、招き猫の密度がスゴいです。来歴、成り立ち、様々な材質、様々なデザイン…ホクホクと1階に降りてくると「ウチも招き猫お迎えしなきゃ!」という気になります。
なんとか購買欲を振り切って表に出ると、招き猫まつりだからって猫グッズだらけのカプセルトイコーナーが燦然と立ちはだかっていまして。
なんて巧妙なトラップなのでしょうか。こんなことをされたらリュックの中が愛猫へのお土産でコロコロしてしまいます。宅の猫は被り物が苦手だというのにかわいそうなことです。
瀬戸市は将棋の藤井聡太氏の出身地ともあって、市を挙げて色々なところで応援されていました。そんなわけで、同ミュージアムの入り口でも藤井七段モデルの招き猫が来場者をお出迎えしています。
体験する【招き猫メイク、作陶体験】
会場内に複数ヶ所にあるメイクコーナーでは無料で招き猫メイクが受けられます。
ミュージカル「キャッツ」を思わせるキュートなメイクを担当するのはボランティアの皆様。文化センターでは美容学校の生徒さんたちが担当していました。
何日も前からこの日のために居残りして練習しあうので、イベントが近くなると学校内の廊下が猫メイク姿の生徒さんたちでいっぱいになるそうですよ!
例年は大変な行列になるのですが、この日は台風のため参加する人もいつもより控えめで、接近して眺めていたら成り行きで私もしてもらうことになってしまいました。
こういうのは子供がするから可愛いんじゃないかしら、せいぜい若い人くらいじゃないかしら…などと気恥ずかしかったのですが、やってもらうと意外なことに、まったく恥ずかしくありません…!自分の顔は自分で見えませんし、非日常感が割り増しされてむしろちょっとウキウキしました。
実際に歩きまわっていると猫メイクを楽しんでいる方は老若男女を問わずたくさんいます。
ぱっちんどめの猫耳や付け尻尾もそこかしこで売られていますので、猫耳猫メイクのお孫さんを抱いた渋いおじいさまがお揃いの猫耳猫メイクで歩いていたりしますが違和感なくイベントの風景に溶け込んでいます。
中には自作の猫のお面で闊歩されてる方も。自前の猫コスプレグッズを持ち込んで猫メイクと組み合わせるのも楽しそうですね!
ちなみに水性絵具ですので水で簡単に落とせます。ウェットティッシュを持参するのがオススメです。
また、素焼きの招き猫への絵付けや、手びねりによる招き猫の作陶など、陶器の町ならではの体験も盛りだくさん。
私たちは手びねり体験をしました。
一つの塊を決められた割合で分割して耳や尻尾などのパーツを作っていくため、誰でもバランス良く自分好みの招き猫が作れます。
作った招き猫は当日持ち帰ることはできません。乾燥と絵付け、焼成を経て後日完成品が自宅に届きます。イベント後も到着をワクワクと待つ楽しみが残るというのも乙なものですね。
さて。楽しかった来る福招き猫まつりの1日もそろそろ終わりに近づいてきました。折角ですので、お帰りの前には瀬戸蔵の展望台で少し休憩していって下さい。
小さな展望室なので、まるで自分たちが空中に浮いているように一望して見渡すことができます。
今回は大人が猫アートを楽しむのを目的とした行程でお送りしましたが、ご紹介した内容は100以上ある企画のほんの一部です。ミニSL列車やレトロなボンネットバス、子供さんが楽しめるものもたくさんあります。
猫グッズや瀬戸物をお買い回るもよし、ステージや古き良き時代の面影を撮って回るもよし。来場者がそれぞれの楽しみ方で楽しめるイベントです。
「来る福招き猫まつり」と冠されたイベントは瀬戸のほか、伊勢や島原でも開催されています。主催する日本招猫倶楽部は1995年に「9(クル)月29(フク)日を招き猫の日」に制定した団体で、他にも全国的に招き猫に纏わる展示やイベントを行っています。機会が合えば是非足をお運びくださいね。
公式サイトでは期日前からイベントのチラシがPDFで公開されていますので、回りたいポイントや気になる飲食店は現地に行く前にチェックしておくのがオススメですよ!(買い損ねたお弁当箱の写真を眺めながら)