子猫の時から保護されて譲渡される保護猫ちゃん達は、たいてい兄弟で一緒に保護されているものですよね。
そんな猫ちゃんの中から一匹を引き取る時に、「折角今まで一緒にずっと過ごしていたのだから、引き離してしまうのは可哀想!」と思ってしまう方も多いかも知れません。
とはいえ、血縁のある兄弟猫だからといって普通の同居猫よりも果たして仲が良いのでしょうか?性格も似通っているのか、はたまた全然別……?
なんて、兄弟猫の関係って意外と知らなかったりして。実際のところ、気になりますよね。
というわけで、今回は兄弟猫が一体どのような距離感で過ごしているのかを見ていきたいと思います。
生まれたときからずっと一緒。兄弟でも性別や環境で個体差が
冒頭で触れた、「引き離してしまうのは可哀想!」というのは、まさに筆者である私の経験からです(笑)
保護した当初は今まで猫を飼ったことすらなかったため、総勢4匹の内3匹は譲って、1匹だけを家に迎え入れようと思っていたのですが……。
やっぱり、4匹で戯れている姿を見ると引き離したくないという思いが強くなってしまい。
しかし、当時は4匹を同時に、と考えられなかったので2匹を家に残し、もう2匹はまとめて、猫を飼ったことのある友人の家に引き取ってもらうことにしました。
現在彼らの母猫を含め5匹がいる現状から考えてみれば、4匹引き取ってもあまり変わらなかった気がするんですけどね(笑)
ともかく、それが我が家の「もなか」と「プリン」、そして友人宅の「レオ」と「マーブル」です。
もなか(男の子)
プリン(女の子)
レオ(男の子)
マーブル(男の子)
柄は、母猫が茶トラ系に対して2匹が茶トラ系、1匹が白茶、更に1匹が三毛猫と結構カラフルです。もしかしたら父猫がそれぞれ違うのかもしれませんね。
最初はみんな同じように小さく、ケージから放すと4匹みんなでソファの下に潜り込んでしまい、それを引っ張り出すのが大変だったことを思い出します。
この子猫時代は、特に何の問題もなく、皆仲良く過ごしていました。
プリンだけは、お母さんと離れ離れになったことが寂しかったらしく、兄弟達の耳をおっぱいのようにチュウチュウ舐めていましたが。
他の3匹は皆オスで、プリンがメスなので、ここで既に性格の違いが出ていたのかも知れません。
ともあれ、保護してから1ヶ月ほどでレオとマーブルは貰われていき、うちにはもなかとプリンが住むことになりました。
この頃は、冬の寒い時期だけではなく、夏場でも2匹が一緒にくっついて仲睦まじい様子が印象的でしたね。
プリンは最初の頃と相変わらず、お母さん離れが出来ない様子でもなかの耳がよく濡れていました(笑)
それからすくすくと2匹は成長していき、もなかは茶トラらしくのんびり屋で素直な甘えん坊、プリンは三毛猫のメスらしく少し神経質でちょっと我が侭なツンデレさんに。
ここは本当にオスメスの性差という感じですね。全く同じ環境で育ったにもかかわらず、この性格の差は面白いです。
とは言え、2匹ともおもちゃの好みは同じで、キラキラ光るセロハンが貼ってあるおもちゃが大好きで、ボールや丸めた毛糸などに目がないなど、「兄妹だな~」とほっこりする場面も多かったです。
今でも驚いた時の表情が2匹共同じだったりして、思わず笑ってしまうこともあります。
また、食べ物の好みも同じようで、2匹共しらす干しをはじめ魚系のものが大好きで、キャットニップにはそこまで興味を示しません。
かと言ってそういった好きなものを我先にと取り合うことはなく、上手く過ごしていました。
そしてその頃、2匹の母猫であった「シナモン」をずっと保護する機会を伺っていたのですが……。
遂に!子どもたちが成猫になる前に何とか保護をすることが出来ました。
あんなに寂しがっていたプリン、さぞやお母さんのシナモンに会いたいだろうと引き合わせてみると……。
なんとすり寄るどころか逆に盛大に威嚇をし始める始末!
対するシナモンは威嚇はせずじっとプリンを見つめ返すところに、何とも母親の貫禄があります(笑)
もなかもプリンとは違う反応で、シャーっと威嚇をすらせず「知らない猫だ…」と言うかの如くさっさと別の場所に行ってしまいました。
この反応からお分かりの通り、悲しいことに、母猫と子猫は数ヶ月引き離されてしまうとなんとも他人行儀になってしまうものなのです。
もっと言うとやはり、外と中では生活している匂いが全く違ってきますからね。
メス猫であるプリンの警戒心が外猫だったシナモンの匂いに強く反応し、威嚇するに至ったということです。
しかし、母猫でもこの反応……もしかして兄弟猫でも同じなのでは……?
その考え、実は正解なんです。
それを裏付ける出来事である、「レオとマーブルに会いに行った話」と「プリンの長期入院の話」を次のテーマにしたいと思います。
猫には「肉親」という認識がない?
母猫に対する態度はそれぞれ違うものの、とても友好的とは言えないものでした。
同じように兄弟猫に対しても、一度離れてしまうと友好的ではなくなってしまうことがあるんです。
兄弟猫のレオとマーブルに会いに行った時の反応
シナモンを保護してからまた数ヶ月、もなかとプリンの1歳の誕生日を過ぎた頃、2匹を連れて久しぶりにレオとマーブルに会いに行くことになりました。
離れ離れになった4匹がまた仲良く遊ぶのを想像していたのですが、そんな期待もなんのその。
出会ってからすぐに遊びに来た方の2匹、もなかとプリンはソファの下に潜り込んで威嚇し、レオとマーブルはケージの中から同じように威嚇!
結局、最後まで昔のように4匹がじゃれ合うことはありませんでした……悲しい!
私達元家族の人間にはむしろ、フレンドリーに接してくれた上に抱っこもさせてくれたのですが……猫同士はそんなに上手く行かなかったようです。
手術&長期入院から久々に再会した2匹の話
季節は過ぎ去り3歳になった頃の冬、プリンが原因不明の病気で開腹手術をすることになり、数週間入院することに。
勿論もなかは家でお留守番、ずっと一緒だった2匹ははじめて暫く会えないことになってしまいました。
プリンが入院している間、そこはかとなくもなかは遊び相手がいないことに寂しそうな様子。
そして、ようやくプリンが退院してご対面……と思ったその時!
何とプリンが母猫シナモンにするように、シャーっと毛を逆立て威嚇するではありませんか!
もなかは喜んで近付いていったのにも関わらず、そんな敵対行動をされて困惑気味な様子でした。
結局、同じケージで一緒に眠れない程にプリンが威嚇をするため、それから暫くは新たな同居猫を慣れさせるかのごとく、徐々に2匹が一緒にいる時間を増やしていくことに。
私自身も、ずっと一緒に過ごしてきた兄妹ですから、まさかそんな自体になってしまうとは思いもしませんでした。
最終的には入院する前のように、一緒にコタツの中に潜り込むくらいの仲には戻ったのですが……1週間以上の時間は要しましたね。
この例では幸いなことに仲直りをしましたが、結論から言えば、兄弟猫であれ、子猫の時は仲が良くても一度離れてしまったりなどと様々な要因によって、不仲になってしまうことは多いです。
何故そんな事になってしまうかと言うと、そもそも猫にとって、「血縁」という関係性を認識することがないからなんですね。
兄弟猫、親子同士……なんて猫に対して思うのは、人間だけという訳なんです。
血縁関係よりも、例えば警戒心の強いプリンで言うと、「匂いが違うから部外者だ!」という認識が先立ってしまい、敵対行動をした、ということになるんです。
思い返してみれば、母猫も外の匂いですし、離れた兄弟達は当然我が家ではないその家の匂いがしますし、もなかと離れたときは、病院の匂いに慣れてしまって違う匂い=部外者、となって威嚇をしてしまったのでしょう。
犬は離れ離れになってもすぐ判別して仲良く過ごすことが多いですから、野生で群れで過ごしていたか単独行動で過ごしていたのかの名残なのかも知れませんね。
ということで、兄弟猫であっても性格や個性などによっては、相性の不一致が生まれてしまう可能性があるんですね。
だからといって、兄弟猫を複数飼う必要が絶対ないということではありません。
それぞれ個性があると言えど、やはり兄弟であるためか似ている部分を見つけると微笑ましいですし、複数飼いのメリットである遊び相手がいる、という環境はとても良いものだと思います。
ただ、相性に関して言うと、場合によっては全然関係ない同居猫同士を合わせたほうが良いこともある、ということになります。
兄弟猫同士であからさまに一緒に居てストレスになるような場合は、私のように、一度離して様子を見てあげるようにする必要もあるかも知れませんよ。
最近のもなかとプリンの兄妹仲
一時期は(一方的に)険悪になった我が家の2匹の仲。
最近はどんな感じかと言うと……。
毎日のように2匹でドタバタ追いかけっこをしていますが、最終的な立ち位置としては「お兄ちゃんであるもなかが、妹であるプリンに対して色々譲歩してあげる」という構図に落ち着いたようです。
毛繕いに夢中になっていたもなかが、プリンが何か鳴き声を上げると直ぐに動作をやめて「なんかあった!?」と言うかのように心配そうに駆け付ける様を見ると、「プリン専用騎士様だ…」と思う日もあります(笑)
毎晩寝るときも、私に一番撫でてもらえるベストポジションに最初もなかが居ても、プリンが撫でてほしそうに近付いて来るとプリンの場所を少し空けてあげる徹底した紳士ぶりに、我が猫ながら感心したりもしますね。
ただ、全く喧嘩はしないという訳ではなく、追いかけっこの途中で飽きたのか何なのか、プリンがいきなり「やめてよー!」と言うかのようにシャーッと声を上げるにも関わらずもなかがしつこい場合、プリンに一方的に猫パンチされている姿を見掛けることも。
まあ、もなかはそれでもめげないんですが……(笑)
大体は、最終的に和解してグルーミングをし合った後一緒に寝ています。問題はこの追いかけっこを飼い主の就寝後にやるってことなんですけどね!
このように、一度は仲違いしましたが、プリンがお転婆でももなかはおっとりなおかげで上手く個性が噛み合って毎日を過ごせているようです。
さて、ここまで兄弟猫の関係について見てきました。
兄弟猫だから、血縁がないから、という括りではなく、飽くまで猫の性格、個性を重視して相性を見てあげることが大切ですね。
猫ちゃん同士が過ごしやすい距離感や環境を見定めてあげるようにしましょう。
みんなのコメント
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興味深く拝見しました。
しかしながら、このエピソードは私が知りたかったこととはやや離れていました。
NPO法人のアニマルシェルターから生後6ヶ月の去勢済の雄猫を1頭引き取りました。
この子にはとても仲の良い兄弟猫がいてずっと2頭は一緒でした。
しかし将来的に雄同士はライバル関係になり、敵対して手に余ることを予想し1頭だけを引き取りました。
寂しがるのではないか?というのはあくまでも人間的な感情であり猫自身に備わっているかどうかは疑問です。
今でもその選択は正しかったと思っています。
仲良しというのは単に猫として未熟なだけで、ライバル心やテリトリー意識が芽生えていない状態であると考えています。
兄弟猫が全くのトラブルもなく、終生共存できる確率は果たしてどのくらいなのでしょうか?
先住猫と新入り猫の関係についてはいろいろと情報が得られましたが、兄弟猫の共存についてはもう一つこれという情報が得られませんでした。
御存知の範囲で構わないのでお教え頂ければ幸いです。