世界中の猫のことわざ集。おもしろい言い回しが盛りだくさん!

ことわざは、「取らぬ狸の皮算用」など、短い言葉で人生の教えや心理を表すもののこと。また、慣用句は、「足が棒になる」など二つ以上の単語でできていて、元の意味とはまったく違う意味になるもののことを言います。

猫が出てくることわざや慣用句は、日本に限らず世界中にたくさんあります。

ことわざや慣用句からは、長い間にその国の人々がどのように暮らしてきたかがわかる歴史が見えてきます。そのため、その国で猫がどんな存在だったのかを垣間見ることができます。

猫が出てくることわざ・慣用句(日本編)

まずは日本から見ていきましょう。有名な「猫に小判」以外にも、こんなにあるんです!

鰹節を猫に預ける

「猫のそばに大好物の鰹節を置くと、いつ食べられるかわからないことから、少しも油断できないことのたとえ。また、過ちが起こりやすいことのたとえ」。
目の前に置いたとたんにかじられそう。

鳴く猫はねずみを捕らぬ

「ペラペラとよくしゃべるものに限って、口先だけで実行に移さないという意味。よく鳴いている猫は、あまり鳴かない猫に比べてねずみを捕まえないことから」。ねずみ捕りの名猫は、口数が少ないのですね。

窮鼠猫を嚙む(きゅうそねこをかむ)

「絶体絶命の窮地に追い詰められれば、弱い者でも強い者に逆襲することがあるというたとえ」。猫とねずみがセットになったことわざは、たくさんありますね。

猫を追うより魚をのけよ

「問題が発生したら、その場しのぎのことをせず、根本から正すべきという意味。類義語に『猫を追うより皿を引け』『猫を追うより鰹節を隠せ』」。執念深い猫を追い払うより、魚を隠したほうが正解。

犬は人に付き猫は家に付く

「犬は家人になつき、引っ越しにもついて行くが、猫は人よりも家の建物・場所になじむという意味。犬は飼い主である人間から受けた恩を一生忘れないというたとえ」。猫は犬より劣っているように言われがち。

あってもなくても猫のしっぽ

「あってもなくても影響のないもののたとえ」。そうは言っても、感情を表したり子猫を遊ばせたり、猫にしっぽは必要ですよね。

猫にまつわることわざは、日本国内だけでも100個近くあります。その多さから、日本においては、猫は昔からなじみ深い動物だということがわかります。

中国との交流が盛んになった奈良時代、中国から日本にやってくる船には猫が乗せられていました。船の中でねずみに仏教の経典を食い荒らされないようにするためです。

平安時代には、ペットとして貴族に飼われるようになりますが、江戸時代初期までは繁殖することがありませんでした。

日本人にとっては、大昔から身近な存在だった猫。長い歴史の中で、猫が出てくることわざがたくさん生まれたのも、自然なことですね。

猫が出てくることわざ・慣用句(英語編)

英語のことわざや慣用句にも、猫が出てくるものがたくさんあります。

enough to make a cat laugh
(猫さえ笑うほど、猫を笑わせるのには十分)

「猫も笑ってしまうほどおかしいという意味」。猫が笑ったところを見てみたいですね。

curiosity killed the cat
(好奇心は猫を殺す→好奇心は身を誤る)

「他人のことを過剰に詮索するとひどい目に遭うという意味」。イギリスの音楽グループの名前にもなりました。

キプロス島にある約9,500年前の遺跡から、飼い猫と思われる猫の骨が見つかっています。当時、穀物を食い荒らすねずみを捕るために猫が飼われていたようです。ヨーロッパの人々にとっても、猫は昔からとても身近な動物だったのですね。

like the cat that got the cream
(クリームを得た猫)

「自分の目的を達成して大満足な様子。たいてい自分が満足するために傍若無人に振る舞う人を指す」。満足げにぺろぺろしている猫が想像できます。

bell the cat
(猫の首に鈴を付ける)

「進んで危険なことを引き受けるという意味」。ねずみたちが猫に鈴を付けて猫が来たことを知ろうとするが、その鈴を誰も付けたがらなかったという童話が元になっています。

猫が出てくることわざ・慣用句(フランス語編)

フランスのことわざ・慣用句でも、猫は大活躍です。

être(vivre)comme chien et chat
(犬と猫の仲)

「非常に仲が悪いことのたとえ」。日本では「犬と猿」ですが、フランスでは「犬と猫」なのですね。

c’est de la bouillie pour les chats
(さっぱりわけがわからない)

「『猫用の粥のようだ』。つまり、話や文章がさっぱりわからない、さらには無駄なことだという意味」。猫用のお粥って、よっぽどぼんやりした味なのでしょうか。

éveiller le chat qui dort
(眠っている猫を目覚めさせる)

「余計なことをして、かえって悪い結果をまねくことのたとえ」。つまり「やぶへび」。

Le chat parti, les souris dansent.
(猫の留守中にねずみが躍る)

「鬼の居ぬ間に洗濯。怖い人やうるさい人がいない間に、くつろいで息抜きをすることのたとえ」。英語でも同義のことわざがあります。

猫が出てくることわざ・慣用句(その他の国編)

世界中のいたるところに、猫が現れます。

猫を嫌う人には気をつけろ(アイルランド)

「猫を嫌う人は、人を支配したり、思い通りに動かしたりするのが好きだからという意味」。自由を好む猫を支配しようとするのが間違いなのですね。

魚を焼くと猫が来る(イタリア)

「いい話があると、それに便乗(横取り)しようとする人があるから気をつけろという意味」。泥棒猫ということでしょうか。

白猫であれ黒猫であれ、ねずみを捕るのが良い猫である(中国)

「どんな方法でも結果を出せればそれで良いという意味」。もともとは四川省の古いことわざですが、中国の政治家、鄧小平が言ったことで有名になりました。

蒸し器の中で寝ている猫のように正直(タイ)

「正直なふりをすること。見た目は蒸し器の中で寝ている猫のように誠実そうだが、本当はずるい」。

蒸し器の中は狭くて動けないからということですが、狭い場所のたとえに「蒸し器」を出すところが、日本人にはない発想でおもしろいですね。

猫はどこでも親しみやすい存在

ことわざ・慣用句に登場する猫は、気ままだったりちっぽけな存在だったりして、良い意味ではないことも多々あります。

だけど結局は、古今東西を問わず、すぐそばにいる親しみやすい生き物として愛されてきたのですね。

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