猫好きの天国、猫島は問題が山積み!?観光客が注意すること

みなさんは猫島とよばれる場所をしっていますか?

テレビや雑誌で紹介されることも多く、海外から猫好きの観光客がわざわざ訪れることも。

この天国のような場所を一度は訪れてみたいものですが、実はさまざまな問題を抱えている猫島もあるようです。

今回は有名な猫島スポットや、訪れるときに注意することなど、猫島のあれこれについてまとめました。

猫好きの楽園!猫島ってどんな場所?

島のなかを歩いているとあっちにもこっちにも猫だらけ!みんなで寄り添って、のんびりと道の真ん中でお昼寝しています。

このように猫ちゃんがあふれているような島を通称で猫島といいます。

猫島は島に住んでいる人たちよりも猫の数が多く、そのかわいらしい姿を一目見ようと多くの猫好きが訪れる人気スポットです。

猫島にどうして猫が住み着いたのか

ではその島に住む大量の猫は、どこから来たのでしょうか。

これにはさまざまな説がありますが、主なものをご紹介します。

島にネズミが大量発生し、田畑や農作物を食い荒らしてしまう被害があり、島民たちが生活できない状況まで追いやられてしまったことがありました。

そこでネズミ対策に猫を放したところ、ネズミは猫を恐れていなくなり、そのまま猫が繁殖したといわれています。

海に囲まれている島々では漁業が盛んなことが多く、交通量も少ないので猫にとって住みやすい環境であったことも猫が増えた理由のひとつです。

実は日本各地に存在している猫島

猫島は沖縄から最北端は宮城県まで、全国に20か所以上あるといわれています。まだ発見されていない未開の猫島もあるかもしれませんね。

離島は船の運搬が少ないので、生きていくうえで食料の確保がとても大切です。

蓄えた食料をネズミに食べられてしまわないためにも、猫はとても重要な役割を果たしてきました。

住んでいる人よりも猫の数の方が多い島もあり、猫と住民たちが共存することで成り立っています。

島で漁業を営んでいる住人たちからごはんをもらうことが多く、人に慣れている猫が多いので、猫が大好きな人たちにとってはまさに天国のような島でしょう。

一度は訪れてみたい猫島ベスト3

今や日本だけでなく、外国でも観光名所として知られている猫島。

猫島のなかでも特に有名な3つの島についてご紹介します。

島民15人に対して猫は100匹!?愛媛県 青島

人間よりも猫の数が多いのは猫島の特徴ですが、青島の「人間15人に対して猫100匹」というフレーズは衝撃的ですね。

愛媛県の青島は猫の楽園として広く知られています。ガイドブックにも乗っているので、観光に訪れる人は後を絶ちません。

しかし、青島は観光スポットというよりも住宅地です。島に暮らす住民たちは高齢の方が多く、自動車や自転車は一台もありません。

住宅地なので宿泊施設や食堂、自動販売機もないので、訪れる人たちは事前の準備が必要 です。

青島に行くための船は1日2便ほどの運航なので、そもそも島へ行くことが簡単ではないでしょう。

公共の水道も少なく、島で水はとても貴重なものです。水を持っていくか、ウエットティッシュを持参してください。

自分で持ってきたゴミは必ず持ち帰るなど、島のルールをきちんと守って行動しましょう。

青島では、ネコの健康や島の環境保全のため、観光客がごはんを与えすぎないようにあげる場所を限定しています。

ごはんをあげなくても、猫と遊べるおもちゃを持っていけば、島をうろつくたくさんの猫と遊ぶことができます。ぜひ猫じゃらしなど、猫ちゃんのよろこびそうなおもちゃを持って行ってください。

猫は神さま?田代島で猫が増えたわけ

海外から猫好きの観光客が連日訪れる田代島。この島は日本にある猫島のなかで最先端といわれている宮城県に位置する島です。

冬でも比較的暖かく、漁業が盛んなので、猫たちにとってもとても住みやすい島です。人口は約60人で、猫の数は100匹を超えるといわれています。

漁業を中心に生活していた田代島は、2011年3月11日の東日本大震災で大きな打撃を受けました。

地元の漁師と有志たちによって立ち上げられた「にゃんこ・ザ・プロジェクト」(現・社団法人田代島にゃんこ共和国)というプロジェクトでは、3カ月で目標金額の1億5000万円を集めて注目を集めました。

支援金のなかからキャットフードや薬などを購入し、震災後に猫たちが飢えないよう助けるなど、田代島では猫がとても大切にされています。

なぜこれほどまで猫に優しい島なのでしょうか。

田代島では昔から養蚕が盛んなため、蚕を荒らす猫が重宝されました。

また、田代島には昔から「犬は飼わない。入れるべからず。」という不文律があり、島の中央には猫神社が祀られるなど、古くから猫とのつながりが深い島なのです。

田代島の南にある網地島にもさまざまな猫伝説があり、野良猫が多く生息しています。

このように猫と住民は古くから共存し、助け合って生きてきたのです。

男木島は猫と住民に優しい島?

香川県の男木島も、人間より猫の多い島として有名です。

動物写真家の岩合光昭さんが『世界ネコ歩き』という番組で男木島の猫を紹介したことから、さらに猫島としての知名度が高まりました。

観光客も多く訪れるこの男木島では、増えすぎてしまった猫たちによる排せつ物の被害や、厳しい冬の寒さから秋生まれの子猫のほとんどが死んでしまうなど、たくさんの問題を抱えていました。

排せつ物だけでなく、農作物を荒らしたり、漁で使う網を破るなど、その被害に島民たちから苦情が相次いだのです。

ついに2016年、香川県で活動している「BONにゃん」というNPO法人が、島の猫たちへ去勢・不妊手術を実施しました。

これにより猫同士のけんかによる怪我の被害も減り、マーキングなど住民への被害も減ったそうです。

去勢・不妊手術の前には体力をつけさせるため栄養のあるごはんを与えるなど、猫たちへの負担を減らすことまで考えて行われたこのプロジェクトは、猫と住民が共存するうえで必要なものではないでしょうか。

また、男木島は猫だけでなくアートな島としても有名な島で、瀬戸内国際芸術祭にも参加しています。ぜひ足を運んでみてください。

猫島が抱えるさまざまな問題とは

テレビや雑誌で楽園のように紹介される猫島ですが、実は多くの問題を抱えている場合もあります。

去勢・避妊手術もせず敵も存在しない島で、猫はどんどん増えていきます。

増えすぎた猫が近親交配を繰り返すことで、生まれつき身体が不自由な猫が増えてしまったり、弱い猫が縄張り争いに負けて怪我を負い、そのまま死んでしまうことも。

また、猫島を知った人が「ここなら仲間がいるから安心だろう」という安易な考えで猫を捨てにくることもあるそうです。

観光地としても知られている神奈川県江ノ島は、人口約400人に対して1000匹もの猫が住む猫島ですが、この猫たちは島の外から人間が持ってきた捨て猫だといわれています。

「猫仲間がたくさんいるから安心」「観光客にごはんをもらえるから生きていける」という甘い考えで捨てに来る飼い主も多いかと思いますが、それはまったく逆です。

猫は縄張り意識がとても強い生き物です。

家のなかでごはんや寝床もすべて人間の手にゆだねられて暮らしていた猫にとって、猫島は過酷な場所です。

縄張り争いに負けた弱い猫は、自分で食べるものをとることもできないので、飢えて死んでしまいます。

当たり前のことですが、一度飼うと決めた猫ちゃんは最後まで面倒をみることを前提で引き取り、命を無責任に扱うことはやめましょう。

また島では、猫の排せつ物だけでなく、観光客によるゴミ被害も深刻です。

猫を追っているうちに島民の敷地に侵入するなど、島に住んでいる人たちの暮らしを脅かすものになりかねません。

さらに猫が増えすぎた島では、発情期の鳴き声にも島民の苦情が寄せられています。

猫島での問題はとても大きく、なかなか解決に進まないのが現状です。

猫島を訪れるときに注意すること

猫島を訪れるとき、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

猫島は、基本的にペットの持ち込みは禁止です。

田代島のように、島の人たちは猫をとても大切にしています。犬は猫の天敵とされているので、原則として持ち込まないようにしましょう。

また、自分たちで持ってきたゴミは自分で持って帰ってください。どんな場所でも観光マナーは大切です。

ネットやメディアに猫島と紹介されることで、突然増えてしまった観光客に戸惑っている住人の方もたくさん存在します。島に住んでいる人たちへの配慮も必要です。

もっと猫と触れ合いたいという思いからご飯を大量にあげると、食べすすぎで体調を壊してしまうこともあります。嘔吐や排せつ物の被害も大きくなるので、あげすぎには注意してください。

ここで覚えておいていただきたいのは、島に暮らす猫は野良猫ではなく、島全体で飼っている猫だということです。

その島にもよりますが、ボランティアさんが猫の健康状態を考え、ある程度のごはんを毎日あげている場合もあります。

観光客がむやみにごはんをばらまくことで猫の体調が悪くなり、結果として住んでいる人たちに迷惑をかけてしまうことになるのです。

さらに、ばらまいたごはんにカラスなどが反応し、子猫が連れ去られてしまうことも。

本当に猫たちのことを思うなら、禁止されている島での勝手なごはんやりは控えてください。

猫好きの人たちは島のなかをうろうろしている猫ちゃんたちをたくさんさわりたいかもしれませんが、やはり猫島の猫は外で生きている野生の猫です。

家のなかだけで飼っている猫や、猫カフェにいるような猫とはちがうということを覚えておきましょう。

爪が伸び放題の猫に引っかかれたり、噛まれてしまうこともあるので注意が必要です。猫をさわったあとは必ず手を洗うか、ウエットティッシュを持参してください。

もしも噛まれたり引っかかれたときは、すぐに消毒してください。菌が入って化膿してしまうと大変です。

長くさわられることが猫にとってストレスになることもあるので、無理やり捕まえることはやめましょう。

猫たちの写真を撮るときは、フラッシュをたかないでください。

1度だけのフラッシュで失明する可能性は低いのですが、強い光は網膜に障害を引き起こすこともあります。

野生で生きる猫たちにとって、身体のどこかを負傷するということはそのまま死につながります。

猫と住民が気持ち良く過ごせるように、十分な注意を払いながら観光しましょう。

これからの猫島を支えるために

猫島は猫好きにとっての楽園ですが、同時に島の人たちにとっては生活していく場所です。

猫島でたくさん猫と触れ合いたい気持ちはわかりますが、ごはんを大量にばらまくなど、結果として猫ちゃんの体調を悪くしてしまうと、猫と住民どちらにも迷惑がかかります。

猫と島に住む人との共存を、観光客が邪魔してしまっては意味がありません。

島にすむ猫ちゃんたちにどうしても何かしてあげたいときは、島の人たちやボランティアさんたちへ猫のごはんやおやつなど物資を送るのも一つの手です。

また、不妊手術など猫の愛護活動を行う団体へ寄付をしてもいいかもしれません。

島を訪れるときは猫だけでなく、住んでいる住民の方たちへの配慮も忘れないようにしましょう。

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