子猫に成猫用フードはダメ!子猫には専用のフードが必要な理由

生まれてからミルクだけだった子猫さんも、数週間する頃には歯が生えてきてドライフードが食べられるようになってきます。子猫専用のフードもありますが、先住の大人の猫さんがいる場合には同じフードでも良いかなと思ってしまうかもしれません。

しかし結論から言うと、子猫さんに成猫用のフードをあげるのはやめておいてください。子猫さんには子猫専用のフードが必要なのです。その理由を説明していきましょう。

子猫時代は成長期、たくさんのエネルギーが必要

子猫は生まれてから1年で成猫になり、これは人間の18歳くらいに相当します。子猫時代は成長期で、骨や筋肉などがスムーズに発育するためにもたくさんのエネルギーが必要になります。

大人の猫さんにとって必要な1日のカロリーは体重1kgあたり80kcalです。活発に動き回る子では1kgあたり90kcal、逆にあまり動かない子では1kgあたり70kcalになります。

それに対して子猫さんに必要なカロリーはもっと多くなります。生後2ヶ月ころに必要な体重1kgあたりのカロリーは、なんと大人の猫さんの3倍にもなるのです。

週齢(体重) 体重1kgあたりの必要カロリー
8週齢(0.6−1.0kg) 260kcal/kg
14週齢(1.2−1.6kg) 200kcal/kg
20週齢(1.8−2.5kg) 150kcal/kg
40週齢(2.9−4.0kg) 100kcal/kg
52週齢(3.0−4.3kg) 80kcal/kg

『誠文堂新光社 ネコの食事百科』より

このように、大人の猫さんに比べて成長期の子猫さんはたくさんのエネルギーが必要になります。

子猫用フードと成猫用フードは栄養価が違う

当り前ですが、子猫用のフードと成猫用のフードは内容が少し違っていて栄養価も違います。

子猫用フードには成猫用フードに比べてタンパク質、脂肪、そしてカルシウムなどのミネラルが多く含まれています。逆に炭水化物は成猫用フードの方が多くなっています。

そして同じ量あたりのカロリーは子猫用フードの方が高くなっています。

タンパク質は体を構成する材料であり、筋肉などを作ります。猫にとってタンパク質は大切な栄養素で、他の動物よりも必要量は多くなります。猫は肉食動物のため、他の動物よりもタンパク質をうまく利用できるのです。

タンパク質の必要量は子猫の方が高く、成猫になるにつれて少しずつ減ってきます。タンパク質はアミノ酸が集まってできたものですが、アミノ酸の中でも「タウリン」は猫にとって非常に重要で、もちろん猫用フードにも配合されています。

脂肪は猫にとって大切なエネルギー源であり、体内で合成できない必須脂肪酸の「アラキドン酸」を得るためにも重要な栄養素です。免疫機能や皮膚の健康、そして正常な生殖能力のためにも必要で、さらに食事を美味しいと感じるためにも大切な栄養素です。

カルシウムなどのミネラルも必要です。カルシウムは骨を作るため、不足すると骨が弱くなってしまいます。他にもいろいろなミネラルがバランスよく必要ですが、猫にとってマグネシウムは必要のないミネラルになります。

これらの栄養素はもちろん大人の猫さんにも必要ですが、成長期の子猫にとってはとても大切な栄養素になるのです。

もしも子猫さんに成猫用フードしか食べさせないでいると、栄養が不足して健やかに成長できなくなってしまいます。

子猫には子猫専用のフードを。与える時の工夫も大事

このように子猫用フードと成猫用フードは栄養価が違います。ですから、子猫さんには子猫専用のフードを用意するようにしてください。成猫用では必要な栄養が不足してしまいます。

また子猫は日に日に成長していきます。成長していくにつれ必要なフードの量も変わっていくため、子猫の間はまめに体重を測って必要なフードの量も計量して食べさせてあげましょう。

できれば体重は毎日測ってください。そして1週間に100gくらいを目安に、体重が増えているか確認してください。増えていないようなら、何か問題があるのかもしれません。

ミルクからドライフードへ切り替えるときには少しずつ行いましょう。1ヶ月半たった頃から、まずはドライフードを水でふやかしウェットフードと混ぜてあげてみてください。食べられるようなら、少しずつ水分の量を減らして硬くしていきます。

ドライフードを少し細かく砕いたりしてあげてもよいでしょう。成長するにつれ、砕き方を少しずつ大きくしていってください。途中、下痢をしたり吐いてしまったりしないかといった様子もみていってください。

食事の回数は始めのうちは1日5−6回、成長するに従って減らして1日3−4回、そして1日2回にしていってください。子猫はたくさんのエネルギーが必要なのですが、一度にたくさん食べられるわけではないため回数を増やさなくてはいけないのです。

大人の猫さんと一緒に住んでいる場合には大人のものを食べたがったり、大人の猫さんがいつもと味の違う子猫用フードを食べたがるかもしれません。

もちろん多少なら食べてしまっても大きな問題はないですが、それが毎日続くのは良くありませんから気をつけてあげてください。大人の猫さんの体重が増えたときなどは、もしかすると子猫用フードを横取りしてしまっているかもしれません。

産まれてから1年経つ頃には、子猫も立派な成猫になります。1年くらいを目安に、フードは子猫専用のものから成猫用へと切り替えていってください。

みんなのコメント

  • クリスまま より:

    ありがとうございました、とても参考になりました。亡くなったった愛猫のドライフードがたくさん残っているし、その子に子猫用をあげた記憶がないので、新しく迎えた子猫に残ったドライフードをあげていいか迷っていたのです。新しい子も子猫用よりも成猫用の方が食いつきがいいし。でも、子猫用をあげます。

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