猫のために会社を休むのはあり?なし?双方の意見と法的な問題

愛猫家にとって、飼い猫はかけがえのない家族です。人によっては実際の家族よりも大切な存在であると感じている人もいるかもしれません。そんな大切な家族である猫が体調不良となった場合、飼い主としては心配で会社に行っていられないと感じる人は多いのでは?

家族で飼っていたり、同居人が家にいるのであれば心配でも看病をしてくれる人がいるのでまだ大丈夫でしょうが、一人暮らしの場合や、会社や学校に出かけるため日中は一人でお留守番をさせないといけないという場合、会社を休んで看病をしたいと思うのは当たり前のことです。

しかし、愛猫家にとって猫はとても大切な家族ではありますが、世間的にみると猫はあくまでペットであり家族ではないと言われることも。

果たして猫の体調不良が理由で仕事を休むのは問題ないのでしょうか?そして法律的には問題はないのでしょうか?猫の体調不良で会社を休むのは有りか、無しかを考えてみましょう。

猫のことで会社を休むのは有り?無し?

猫好きからすれば同僚が「猫の体調不良が心配なので休みます」と言えば、心配をしますし「猫ちゃんの体調がよくなるといいね」と気を使った言葉をかけますよね。しかし、ペットを飼ったことがない人や、猫嫌いな人にとっては猫はあくまでもペットです。

「たかが猫の体調が悪いからって会社を休むなんて・・・」「急に会社を休まれると周囲に多大な迷惑がかかるのに、猫ごときで休むなんて・・・」と呆れてしまったり、モヤっとした気持ちになったりする人もいます。

これは考え方の違いであり、人によって「猫」をはじめとしたペットという認識が違うため仕方がないことですよね。

筆者は無類の猫好きであり、猫や犬をはじめとしたペットは大切な家族だと認識しているため、「猫の体調不良で会社を休むのは仕方がないこと」と思います。しかし、全ての人がそのような考えを持っているとも、理解をしてくれるというわけでもないのが事実。

猫のことで体調不良で会社を休むのは世間的に有りなの?無しなの?気になる本音を、今回は筆者のリアルな友人や知人、元同僚や現在の同僚に本音を聞いてみました。

なお、今回は猫を実際に飼育している人と、していない人、猫好きな人、猫を始めとした動物類が苦手な人、ペットと暮らしたことがない人など、様々なタイプから話を聞きました。

あくまでも筆者の周囲にいる人の意見であるため、偏りがあるかも知れませんが一つの意見として参考にして頂ければと思います。

「猫のことで会社を休むのは有り派」の意見

猫のことで会社を休むのは有りだという人は、全体の6割ほどでした。有りと答えた方は、猫好きや実際に猫を飼っている人はもちろん、猫嫌いな人も「有り」だと答えたのが意外でした。

猫嫌いだけれども、猫のことで会社を休むのは有りと答えてくれた理由は一体なんなのでしょう?有り派の意見はこちらです。

  • 猫は家族であり、大切な存在だから会社を休むのは当然
  • 子供が熱を出して会社を休むのが許されているのだから、我が子同然の猫が体調不良でも休ませてもらえるはず
  • 会社に行っても猫のことが気になって仕事にならないだろうから休むのは有り
  • 同僚にとってはただのペットかも知れないけれど、本人にとっては大切な存在なのだから休むのは有りだと思う
  • 周りに迷惑をかけないのであれば有り
  • 休んだ分を後で取り返せるのであればいいと思う
  • 普段仕事を真面目に頑張っているのであれば良いと思う
  • 猫の体調が悪いと精神的に疲弊するため休んでもいいと思う
  • 最近はペット=家族という認識が高まっているので、猫が理由で仕事を休むのは有りなのかも

猫好きにとっては「猫=子供・家族」という認識を持っている人が多いため、「家族の看病のために会社を休むのは仕方がないこと」だと思っている人が多い印象です。

また猫嫌いだったり、ペットを飼ったことがないという人でも「その人にとってその猫が大切な存在であるならば仕方がない」と理解を示してくれる意見がちらほらありました。また「いい気持ちはしないけれど、周囲に迷惑をかけたり、仕事を押し付けたりしないのであれば有り」と考える人も。

仕事を休むということは、それだけ周りに仕事のしわ寄せが行くということです。猫が理由で仕事を休むにしても、休む日にやるべき仕事や急ぎの業務を調整できるようならば、自己責任で休むのは有りだという意見が多い印象でした。

「猫のことで仕事を休むのは無し派」の意見

猫のことで仕事を休むのは無しと考える人は、全体の4割ほどでした。やはり猫嫌いな人や、ペットを飼ったことがない人は、「猫なんかのために会社を休むなんてとんでもない」という意見を持っている傾向があります。

また、猫好きの人でも「猫は大切だけれども、会社を休むのは話が別」と考えている人も意外に多かったです。そんな、会社を休むのは無し派の人の意見はこのようになりました。

  • 急に会社を休むと周りい迷惑がかかるから無し
  • 猫は大切だけれども、仕事を休む理由にはならないと思うから
  • 社会的には無しだと思うから
  • 子供のことで会社を休むのも気を使うのに猫のことで休むなんてとんでもない
  • 気持ちはわかるけれども同僚が猫が理由で欠勤をしたら、何となくモヤっとした気持ちになる

ペットは家族として認めている風潮が広がりつつある現代でも、やはり猫はペットであり家族が体調不良になったというわけではないから休むべきではないと考える人も多いようです。

中には「実際に同僚が猫の体調不良が原因で急に欠勤したため、結局自分が深夜まで残業を強いられた」という苦い経験から、猫のことで会社を休むべきではないという考えを持つようになったという人も。

また、会社によっては子供が熱を出したという理由で欠勤をするのも、いい顔をされないのに、猫が理由で休むなんて何を言われるかわからないと思っている人もいるようです。

実際に会社によっては、一人欠勤をするだけで周囲に迷惑をかけてしまう場合もあるでしょうし、どのような理由があろうと会社を休むのは許されないという社風の会社もあります。中には、本人が病気になったり怪我をしても欠勤できない雰囲気のある会社すらあるのだとか。

そんな会社にお勤めの方は猫に限らず、家族の看病のために会社を休むことすら難しいようです。気持ち的には、猫の体調不良で会社を休むのは有りと言いたいけれど、社風的にそれは有り得ないという人もいるのが現状のようです。

猫の体調不良などで会社を休むのは法律的にみると有り?無し?

猫のことで会社を休むのは有りか、無しか。そこには様々な意見や考えがあるようですが、ここで気になる点は「猫が理由で会社を休むのは法的に問題はないのか?」という点ですよね。猫が理由で会社を休むのは法的に有りなの?無しなの?

ペットのための休暇制度は法的に整備されていない

会社には緊急時のために様々な休暇制度があります。代表的なものでいうと「介護休暇」「看護休暇」「慶弔休暇」「リフレッシュ休暇」などです。これらの休暇は法的に定められている「法定休暇」と、会社が独自に設けている「任意休暇」の二通りがあります。

介護休暇、看護休暇、育児休業などは、一定の要件を満たす場合には必ず付与する必要がある「法定休暇」に当たります。家族の看護や介護や育児にはこれらの法定休暇を利用することになります。

しかし、この家族の看護や介護という要件には「家族と同等な存在である猫」には該当しません。つまり法的には「猫のことで会社を休むのは認められていない」と言えます。

ペットは人間社会において大変重要な存在となりつつありますが、法律的には家族として認められていないと考えると少し寂しい気もしますね。

任意休暇として「ペット休暇」を設けている企業もある

ただ、会社によっては会社の就業規則等に基づき任意休暇の一つとして「ペット休暇」を設けている場合もあるようです。

代表的な企業でいうとネット通販でお馴染みの「アマゾンジャパン」です。猫や犬の体調不良はもちろん、予防接種や介護などの理由で休暇を申請取得することが可能なのだそうです。

またペット保険を取り扱っている企業、「アイペット損害保険株式会社」では2016年7月からペットに関する休暇制度を導入し、1年につき2日間ペットと過ごすための休暇「ペット休暇」を認めているとのこと。

実際に多くの社員が、このペット休暇を利用し大切な家族とのかけがえのない時間を過ごしているとのこと。

その他にも、ペットが死亡した場合に1日の特別休暇が取得できる制度を導入している会社や弔慰金が支給される会社、逆にペットの飼育開始時に祝い金を支給してくれる会社などもあります。

また、介護や看病のために会社を休むことは認めていないものの、会社に猫を連れてくるのを認めている企業もあります。

有給休暇を使うのは有り

ペットについて様々な休暇や制度を設けている会社が増えているのは事実ですが、それでも多くの会社は「猫のために会社を休む」という行為を認めてはいません。しかし、年次有給休暇を使って休むのであれば話は別です。

年次有給休暇は法的に求められた休暇であり、有給を使うのであればその休む理由がどうであろうと会社は認めないといけません。もちろん、「猫が体調を崩したので有給休暇を使いたい」という場合でも同じです。

もし、猫が急に体調不良に陥ったとしても、有給休暇が残っているのであれば法的に休めるということです。ただし、有給休暇を当日申請しても認められない場合がありますので注意が必要です。

というのも年次有給休暇の申請は、原則として前日までに行うことが労働基準法上のルールとなっているのです。つまり、猫の体調が悪いからと当日の朝、会社に有給休暇を申請しても拒否をされる可能性があるということです。

有給休暇の当日申請を認めるかどうかは会社が決めることです。逆をいえば有給休暇を申請する理由が「猫の体調不良」であった場合は、拒否をされる可能性が高くなるということです。

企業によっては、当日の有給休暇の申請は急病時だけと定め取得をした場合は、医療機関の領収書などの提出を求めることで、虚偽の取得を予防している会社もあります。

当日以降の有給休暇は必ず認めないといけませんが、当日の有給休暇については企業によって認めるか認めないかは違いますので注意をしましょう。

欠勤は契約違反になる可能性も

「有給休暇や法的休暇が認められていなくても、猫のために会社を休む」という人もいるでしょうが、会社を「欠勤」するのは厳密に言うと契約違反に当たります。というのも、会社と従業員の間には「労働契約」が結ばれています。

この労働契約は簡単に言うと「会社の指示に従い仕事を行い、その対価として従業員には賃金を支払う」という契約です。

つまり、会社に就職をするということは、会社の指示に従い働くことで対価を得るという契約を結んだということになります。しかし、欠勤をしてしまうと、その日は「会社の指示に従い働くことができない」ということ。つまり契約違反になるというわけです。

「でも、時給制で働いているなら欠勤をした分は給料が出ないし契約違反にならないのでは?」と考える人もいらっしゃるでしょうが、そんなことはありません。

たとえ、欠勤をしたり遅刻や早退をした時間の給料が支給されないとしても「会社の指示に従って労働していない」ため契約違反に該当するのです。

もっとも、自分の体調不良により欠勤や早退をするのは誰にでも起こりうることでしょうし、一度や二度の欠勤で「契約違反だ!」と、責められ解雇になることはほとんどありません。しかし、あまりにも会社を休む回数が多かったり、早退や遅刻が多い場合は、解雇をされる可能性もありえます。

猫の体調不良を理由に欠勤をするのは、ある意味仕方がないことですし、会社によっては休むことを認めてくれるかもしれませんが、何度も繰り返してしまうと、解雇理由となる場合もありますので十分に気をつけましょう。

猫のことで会社を休む時に気をつけるべきこと

猫のことで会社を休むのは有りか、無しか。それは本人の考え方と、会社の状況や、休むことで起こりうる問題や、同僚にどれだけ迷惑をかけるか、仕事に支障をきたすかなどによっても変わってくるかと思います。

しかし、有りだとしても、無しだとしても、会社を休むということは周囲に多かれ少なかれ迷惑をかけるということです。

猫のことで会社を休むことが周りの同僚から歓迎されていようと、歓迎されていなかろうと、やるべきこと、気をつけるべきことはしっかりと行い、これからの人間関係や会社での立場などに影響を与えないようにしましょう。

当日やらなければいけない仕事内容を誰かにお願いする

猫の体調不良は急に訪れます。体調不良になるということを事前に予測できればいいのですが、そのような予知能力を持っている方はいらっしゃらないと思います。

当然、次の日も仕事に来るつもりでいる人がほとんどでしょうから、やるべきことを片付けていないのにも関わらず急に休むことになるパターンも多いはずです。そんな時に気をつけてもらいたいのが、同僚や上司に急ぎの業務の引き継ぎをするということです。

これは筆者の実体験なのですが、体調不良で急に欠勤をした同僚が、取引先とアポを取っていたらしく、終業間際にお叱りの電話が掛かってきたことがあります。

当然、「担当者が急病で欠勤をしているため・・・」なんて言い訳が通用するわけもなく、筆者が慌てて取引先まで上司と共に謝罪をしに行くハメになりました。

散々叱られて、なんとか許してはもらえましたが会社に戻り報告書やら何やら作成していたら終電になってしまいました。

欠勤をすると連絡してきた時に「本日取引先と○時にアポイントを取っています」と一言言ってくれればこんな思いをしなくてもよかったのにと、思わずにはいられなかったのを数年経った今でも忘れられません。

その時は、本人の体調不良が欠勤の理由だったため、そこまで強く本人に注意はできませんでしたが、これが「猫の体調不良」が理由だったら、もっとモヤっとした気持ちになったと思います。筆者のような思いをする人がこれ以上生まないためにも、休む時は業務の引き継ぎを忘れないでください。

出勤をしたら同僚に謝罪とお礼を述べる

会社を休んだ後、次に出勤をする時に忘れてはいけないのが、同僚に欠勤をしたことを謝罪とお礼を述べることです。急に会社を休無ということは多かれ少なかれ、同僚になんらかの迷惑をかけているということです。

欠勤後の出勤はとても気まずい気持ちになってしまいますし、周りからの視線が痛いと感じてしまうでしょう。しかし、そこで何も言わずにいれば余計に気まずい気持ちになってしまいます。出勤をしたら同僚に急に欠勤をしたことを謝罪し、自分の代わりに業務をしてくれた人にお礼を言いましょう。

それだけで心象が良くなります。前述したように、猫の体調不良を理由に欠勤する人のことを良く思わない人もたくさん存在しています。そのような人に、「猫=家族」と、どれだけ訴えかけても理解をしてもらうのは少々難しいかもしれません。

しかし、休んだことを謝罪されお礼を述べられたら悪い気になる人はいないはずです。実際に会社を急に休み迷惑をかけたのであれば、謝罪と感謝は伝えるようにしてください。

嘘をついたなら貫き通す

「猫が体調不良のため休みます」なんて会社にとても伝えられない。しかし、体調不良の愛猫を置いて会社になんて行けない!そんな人の中には欠勤理由を偽る人もいるでしょう。嘘をつくことはよくありませんし、決してそれを推奨するつもりはありません。

しかし、どうしても嘘をついてしまった場合は、できるなら本当の理由を誰にも言わないようにしましょう。

これは筆者の経験ですし、筆者の主観が入るので参考程度に聞いていただければと思うのですが、休みを繰り返していた女性が同僚に「体調が悪いと言って休ませてもらっているけれど、実は飼い猫の体調が悪くて仕事に行けない」と本当の理由を話してしまいました。

女性は、その同僚を信頼しているからこそ秘密の話として真実を語ったのでしょうが、その同僚は「猫のために仕事を休むなんてありえない!」と、怒りをあらわにし社内で噂を流してしまいました。

この話は上司の耳にも入りましたが、上司は「猫も大切な家族だし、業務に支障が出ないのであれば仕方がない。今度からは体調不良と嘘をつかずに本当のことを言うように」という注意だけで済んだのですが、社内にその女性の噂が広まってしまい、結果的に気まずくなって退職をしてしまいました。

そもそも嘘をつくのが悪い、という意見もあるでしょうし、それはごもっともですが、時には思わず嘘をついてしまうこともあるかもしれません。そのときに、罪悪感から思わず誰かに秘密を話したくなる気持ちもわかります。

しかし、その後どのような展開になるのかはわかりませんし、筆者の同僚のように退職にまで追い込まれる可能性もあります。「猫が理由で休む」とは言いにくいかもしれませんが、嘘をついたならその後の責任はしっかりと取るようにしましょう。

大切な家族である猫のためにも会社を休む時は十分に気をつけよう

猫は家族であり、猫のために会社を休むのは当然の権利!と、言いたいところですが、そう言えないのが現実です。それでも仕事を休みたい、それでも愛猫と一緒にいたい、そう思うのであれば、今回ご紹介した記事を踏まえた上で会社を休むようにしましょう。

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