猫の死因のトップでもある慢性腎不全という病気をご存知ですか?
高齢の猫に多くみられますが、若くから発病することもある腎臓の病気です。
初期段階ではほとんど臨床症状がなく、血液検査でも異常が発見できないため、気づいたときには腎臓が10%ほどしか機能していないことも。
初期の慢性腎不全のもっとも重要な治療は、食事療法です。
今回の記事では、食事療法を中心に、愛猫が慢性腎不全になってしまったときの対処方法をご紹介します。
慢性腎不全になってしまったら?キャットフードを選ぶポイント
どれだけ気をつけていても、加齢によるネフロンの減少は防ぎようがありません。
早期に腎臓病に対応したキャットフードを与えることで、病気の進行を抑えることができます。
腎臓病用フードはさまざまなメーカーから種類豊富に販売されているので、必ず獣医さんと相談して、症状にあった飼い猫にぴったりのフードを探しましょう。
(ここでご紹介するのは2017年6月30日現在に発売されているものです)
慢性腎臓病の療法食代表! ロイヤルカナン/腎臓サポートドライ
ロイヤルカナン「腎臓サポート ドライ」は慢性腎臓病の療法食としてつくられたキャットフードです。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)など、複数の抗酸化物質をふくんでいます。高消化性のタンパク質を配合しているので、腎不全に伴う尿毒症やタンパク尿への配慮もあります。
腎不全よる食欲低下を改善するため、猫が好む香りで食欲を刺激するなどの工夫がされています。
種類が豊富な ヒルズ/腎臓ケア
ヒルズ「腎臓ケア」はドライ、チキン・ツナ缶詰、シチューの缶詰など、種類の豊富さが特徴です。
リンを制限し、高レベルのオメガ3脂肪酸が含まれています。血圧と腎臓へのストレスに配慮するためナトリウム(塩分)とタンパク質を制限。
筋肉を生成する能力をサポートする成分も含まれています。
厳しい安全基準をクリアした アニモンダ/ニーレン腎臓ケア
アニモンダ「ニーレン 腎臓ケア」はドイツ製のキャットフードです。
原材料の厳しい安全基準をクリアした高品質なフードで、すべての材料に人間用と同じ食材を使用するという徹底ぶり。
腎臓機能が低下することで必要となるビタミンD3を多めに配合し、味と消化の良さにこだわってつくられています。
粒が小さくて食べやすい ドクターズケア猫用/キドニー ケア
ドクターズケア猫用「キドニー ケア」は、慢性腎不全の猫の食事管理を目的に開発された療法食です。
高品質のタンパク質を使用しているので、製品中のタンパク質含量は低減しています。
リン・ナトリウムを低減し、オメガ3脂肪酸やビタミンB群を強化。粒が小さく食べやすいことも特徴です。
慢性腎不全にかかり食欲が落ちてしまったら?食事の工夫
慢性腎不全の症状のひとつに食欲不振があります。
尿毒素の影響で口内炎や胃炎になりやすくなり、口の痛みや吐き気などから食欲が落ちてしまうのです。
痛みの治療を進めると同時に、少しでもおいしく食べられるよう工夫しましょう。
フードを温めるとにおいと風味が増す
猫は熱い食べ物が基本的には苦手ですが、キャットフードをすこし温めることで、においと風味が増し、食欲が回復することがあります。
ウェットフードを少しだけレンジで温めたり、ドライフードの場合はドライヤーで温めるなど、熱くなりすぎないよう注意してください。
食事にストレスを感じさせないことも大事
入院中や退院直後にフードを切り替えると、その嫌な記憶と味を結びつけて覚えてしまうことがあります。
病院で治療した日は、家でいつものフードを食べて安心してから、療養食へ切り替えましょう。
獣医さんに相談してトッピングを加える
嗅覚で食欲を刺激し、食べてもらう方法です。好みの食材を少量加えることで食べてくれる可能性が高くなります。
高栄養の缶詰や栄養補給用のサプリメントなどをトッピングすることで、栄養も補給できます。
トッピングする食材や量については、獣医さんと相談して決めてください。
流動食の利用も検討してみましょう
固形の食べ物を受け付けない場合や、口内炎などの痛みで食べづらい場合には、液体状粉上のものを水で溶かして与える流動食も一つの手です。
腎臓病専用の流動食もあります。獣医さんに相談してみましょう。
慢性腎不全による脱水を防ぐ。飼い猫に水を飲ませる方法
慢性腎不全になると必要以上の水分が尿として排出されるため、脱水をおこしやすくなります。
少しでも水を飲んでもらうためのポイントをご紹介します。
ウェットフードの割合を増やすと水分補給の足しになる
いわゆるカリカリとよばれるドライフードを与えている飼い主が多いと思います。
水を飲んでくれないときは、75~80%が水分でできているウェットフードを適量あたえることで、少しですが水分不足が解消できます。
また、ドライフードをふやかせて与えるのもおすすめです。あまり水を混ぜすぎると食べてくれなくなることがあるので、スプーン一杯からはじめてみましょう。
常に新鮮な水を用意してあげる
猫は新鮮な水が大好きです。
ほこりが浮いているようなぬるくなった水は飲みません。できるだけこまめに水をかえましょう。
寝る前に飲水する猫も多いので、就寝前には必ず新しい水にかえてください。
器の材質の好みを見て、ひげが当たらない器にかえてあげる
神経質な猫の場合、ひげに何かがふれると食事や飲水をやめてしまうことがあります。猫のひげが当たらないように表面積の広い器を使いましょう。
陶器・ガラス・金属・プラスティックなど、猫によって器の材質の好みがちがいます。どのタイプでよく水を飲むか試してみてください。
また、多頭飼いの場合、ほかの猫のにおいがついている器では水を飲まないケースもあります。専用の器を用意しましょう。
猫の行動から器を置く場所を変える
猫がよくいる場所や、立ち寄る場所を観察し、あらかじめ水を置いておくと、スムーズに飲んでくれることがあります。
また、トイレの近くに水を置くと、臭いが気になって飲まない場合も。できるだけ離しましょう。
味や温度に敏感な猫のために、いろいろな水を試す
猫は水の温度や味に敏感です。
どんな水が好きかは、猫によってちがいます。冷たい水が好きだろうと決めつけるのではなく、お湯を冷ましたぬるい水など、いろいろと試してみてください。
それでも飲んでくれないときは
どうしても水を飲んでくれないときや病院から脱水症状であると判断された場合など、強制的に水を飲ませなくてはならないこともあります。
かわいそうですが、怖がらないように声をかけながら優しく水をあげてください。
薬局や文房具店で売っているスポイトは、先が丸くなっているので、飼い猫の歯茎を傷つけずに水分を与えることができます。
哺乳瓶も最適ですが、最初は嫌がることが多いので、口の横からそっと入れてあげてください。
慢性腎不全を食事で予防する方法
人間と同じで、猫にとって食事は毎日の大切な習慣です。
慢性腎不全は、動物病院での治療や投薬ももちろん大切ですが、食生活など、普段の環境が重要な役割を果たします。
健康な腎臓を維持するため、正しい食事を心がけましょう。
腎不全を悪化させるリンを制限する
腎不全を悪化させてしまう栄養素に「リン」があります。
歯や骨をつくるために必要な栄養素ですが、腎臓機能の低下によって余分なリンを排出する力も低下してしまい、過剰にたまったリンが慢性腎不全を悪化させてしまいます。
多飲多尿だけでなく、高血圧にもなりやすいので、リンを制限した療法食を与えましょう。
リンを制限した食事を与えていた場合と普通の食事を与えていた場合では、リンを制限した食事を与えていた猫の方がおよそ3倍も長生きしたという報告もあります。
リンを軽減することで腎臓病の進行を抑えられることが期待されています。
タンパク質の摂りすぎを避ける
腎臓の機能が低下すると、体内でうまく分解できずに残ってしまったタンパク質が老廃物となり、腎臓機の能をさらに悪化させてしまうことがあります。
適度なタンパク質が含まれているフードを選び、必要以上にタンパク質を摂取しないことで老廃物の量を減らし、腎臓への負担を軽減しましょう。
アミノ酸のバランスが悪い植物性のタンパク質を減らし、動物性タンパク質を適量摂取するよう心がけてください。
オメガ3脂肪酸を摂取するために、魚類や植物類を多めに
脂質には
- 飽和脂肪酸
- 不飽和脂肪酸
があり、オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸のひとつです。
飽和脂肪酸が多く含まれるのは、主に動物性の脂(バター・ラード・牛脂など)で、常温で固まる脂質です。多量に摂りすぎることで中性脂肪やコレステロールの増加など、健康に被害が出ることもある脂質です。
オメガ3脂肪酸は身体に欠かせない油ですが、体内でつくることができないので、食品から積極的に摂取しなければなりません。
また、オメガ3脂肪酸には、血流改善、高血圧や酸化ストレスを抑える作用があるので、腎臓の血液の流れも改善され、炎症に巻き込まれて腎臓がさらに壊れてしまうのを防いでくれる作用もあります。
とにかく食べてもらうことが一番大切
慢性腎不全による食欲不振が長く続いてしまうと、体力が落ちてしまうだけでなく、生命維持にタンパク質が利用され、さらに腎臓に負担をかけてしまうことになります。
腎臓に優しい食事が一番ですが、療法食を受け付けない場合、とにかくなんでも食べられるものを与えましょう。
また、慢性腎不全は、とにかく早期の発見が大切です。
ほとんど腎臓が機能していない状態で診断されると、できる治療が限られてしまいます。 明らかな症状がでていなくても、定期的に診断を受けましょう。
腎臓機能の低下は、猫が高齢になるにつれ避けてはとおれません。
猫によって身体に合う治療・合わない治療があるので、特に療法食を与える場合は個人の判断で選ぶのではなく、かかりつけの獣医さんと相談をして取り組んでください。
みんなのコメント
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今16歳(♂)ミックスですが、慢性腎臓病と言われもう2年立ちました。食欲にムラが有り欲しいと声を出し、あげると吐いては食べ、時には知らんぷりです。最近マグロやささみには見向きもしなくなりました。
もちろん療食(ヒルズやロイヤルカナン)も混ぜたりしてもあまり食べません。まだ痩せてはいないようですが、毎日薬は飲んでいますがこの先不安です。昔は何でも食べてくれたので(特に野菜・果物等)
やはり高齢という事でしょうか? -
ペットフード業界の療養食なんて
飼い主の悲しみと不安に
つけこんでるだけ少量で、品質もいまいち
効果なんてないですよ?人間用なら誰も買わないけど
猫の病気で錯乱した飼い主は
お布施をしてしまう
お金をかけたから治ると思い込みたい繰り返しますが
費用対効果を冷静に考えてください
効きもしないものにお布施しても
愛猫はよくなりません