昔から猫にはイカをあげてはいけないイメージがありますよね。よく「猫にイカをあげると腰を抜かす」なんてことを目上の方から聞いたことがあるのではないでしょうか。
私自身、猫にとってイカは成分的にキツいんだろうと考えていたのであげたことはありませんでした。
でも、さきいかなどを食べている猫も見かけたりしますよね。あれも猫にあげて大丈夫なのか気になります。
猫にイカをあげても大丈夫なのか?その理由についても考えてみましょう。
イカに含まれている成分は猫の身体に悪影響を及ぼす
昔から言われている「猫がイカを食べると腰を抜かす」というのはどういうことなのでしょうか。
イカに含まれている成分の中に、チアミナーゼという酵素があるんです。この成分はビタミンB1を壊してしまう性質を持っているんですね。
このビタミンB1は、猫の身体に欠かせない成分なんです。しかも人間の身体に必要とする量と比べると7倍にもなるんですよ。この成分が足りなくなると、
- 元気・食欲がなくなる
- 嘔吐をする
- 明るい場所なのに目の瞳孔が開く
- 歩行が困難になる…脚気(かっけ)
- 立ち上がれなくなる
などという深刻な症状が表れたりしてしまいます。
猫がイカを食べることで、体内にあるビタミンB1が壊されてしまうので、猫の体調が突然悪化してしまう恐れがあるんですね。
最悪のケースでは猫が命を落とす場合もありますから、迅速な対応が不可欠だと言えるでしょう。
イカを猫が食べられるようにする方法がある
しかし、もともとイカ自体は栄養が豊富に含まれている食べ物だといえます。イカに含まれている栄養素はカルシウムやタウリンなどで、猫にとって健康を保つのに重要な食材でもあるんですよ。
猫にイカを食べさせる方法もあるのですが、それにはこれから提示する3つの方法に絞られることになります。
新鮮なイカを食べさせる
イカは、鮮度が悪くなるとチアミナーゼが含まれるようになります。つまり、一番いいのは海で泳いでいるイカなのです。
漁師さんが海で釣り上げたイカは、透明で透き通ったような体をしているのを見たことがあるでしょう。
釣り上げた瞬間のイカにはチアミナーゼはまだ含まれていません。とても透き通っていてキレイですよね。このあと、イカが古くなることでチアミナーゼ酵素の成分が発生してくるのです。
鮮度が少し落ちてくるとイカは茶色になってきます。朝獲れたばかりのイカでも、この色合いになるというので、いかに鮮度が大事か分かりますね。この茶色の時点でも猫にあげるのは問題ありません。
そこからさらに古くなると、白色になります。スーパーなどで売られているイカはこんな感じで真っ白になっていますよね。
イカが真っ白の段階になっているということは、チアミナーゼがたっぷり含まれているということです。ですから猫にあげるのはやめておきましょう。
加熱して食べさせる
イカに含まれているチアミナーゼ酵素は、加熱をすることで消すことができるんです。つまりイカをしっかりと焼いてからなら、猫に与えても大丈夫だということですね。
市販されているキャットフードの中にもイカが含まれていることがありますが、もちろんこの場合は加熱してあるイカが使用されていることでしょう。
猫缶の中には希に生のイカが使われていることもあるかもしれないので、購入する時にはしっかりと成分を確認しましょう。
加熱して干してある、スルメを食べさせる
市販されているスルメは加熱してから干してあるので、チアミナーゼの点から言うと猫が食べても大丈夫だと言えます。
しかし、スルメには塩分が大量に含まれている(100グラムにつき2グラムの塩を摂ることになります)ので、毎日あげるのはかなり危険ですね。
スルメは人間からしてみても、あまり消化の良い食べ物ではありません。それは猫にとっても同じですし、身体が小さな猫なら尚更深刻な状況になってしまうこともあり得ます。
それに加えてスルメは食べた後に胃の中で膨張してしまう性質があるので、猫が胃痛の症状に悩まされてしまう可能性もあります。
猫の健康のことを考えると、やはりスルメはあげないほうがいいかもしれませんね。
イカの他にもチアミナーゼが含まれている食べ物はある
イカにはチアノーゼ酵素が含まれているので気を付けなければいけませんが、実はイカ以外にもチアノーゼが含まれている食べ物というのは存在しているのです。
ちなみに、100グラムのイカに含まれているチアミナーゼは254mg程度です。
- ハマグリ…2640mg
- カツオ…1000mg
- キハダマグロ…265mg
- ギンダラ…124mg
- フリーズドライのマグロ…970mg
- キンメダイ…265mg
この中で一番チアミナーゼが含まれている食べ物はハマグリです。続いてカツオ、マグロと続いていますね。
イカよりもチアミナーゼが多いというのが意外でした。特にマグロの場合、通常の場合とフリーズドライで数値がかなり違うのも驚かされますよね。
どれも生の場合にチアミナーゼが含まれることになるので、加熱することで食べられるようになります。
ご飯を食べているときに猫が刺身を欲しがってくることがありますが、猫が喜んでも生ではあげないようにしましょう。
イカを猫にあげるとしても、量は極力おさえて
基本的に、猫の身体を形作ってくれる栄養素はキャットフードだけで補給することができます。
もちろんキャットフードにもさまざまなグレードがありますが、ある程度猫の健康を考えたフードであるなら問題ないでしょう(あまりにも安すぎるフードは心配です)。
イカが大好きな猫も結構いるようですから、あくまでご褒美やたまにあげるオヤツとして活用してみることをオススメします。
イカをあげる際には、飼い主さんがきっちり管理してあげる必要がある
イカは猫にとって必要な栄養素が豊富に含まれている食べ物ですが、古くなってしまったイカにはチアミナーゼという猫に危険な酵素が含まれています。
しかし新鮮なイカであったり、熱をしっかりと加えてあげることで猫も食べることは可能なんです。
猫にイカをあげる場合にはチアミナーゼによって体調悪化することがないように、飼い主さんがしっかりと管理してあげましょう。