遺伝性骨形成異常症と診断されてしまった。または、飼っているスコティッシュフォールドの歩き方がおかしい。
そういうことはありませんか?
遺伝性骨形成異常症、というと少し難しく感じますよね。簡単に言ってしまうと、スコティッシュフォールドなどの「垂れ耳」や、外見的特徴を持つ猫ちゃんたちに起こる骨の病気です。
猫の遺伝性骨形成異常症とは
スコティッシュフォールドの大きな特徴である「垂れ耳」は、軟骨の形成異常です。画像の通り、普通のピンと立った耳とは違いぺこんと垂れています。
その形成異常が耳以外の場所で起きてしまった場合「遺伝性骨形成異常症」となってしまいます。
遺伝性、という名前の通り、この病気は遺伝によって引き起こされます。スコティッシュフォールドという猫種は「垂れ耳」を特徴とした愛らしい外見から人気がありますが、このような病気を持つ子は決して少なくありません。
ですが、その結果、「遺伝性骨形成異常症」という病気を持った猫ちゃんが生まれてくるのです。
スコティッシュフォールドに限らず、ぺちゃっとした小さな鼻を持つペルシャや短い手足のマンチカン等の猫種でも発症の可能性がある病気です。
遺伝性骨形成異常症の主な症状
具体的にどんな症状があるの?というのは一番気になるところですよね。
症状は様々ですが、飼い主が気付きやすい特徴としては後ろ足や尻尾などの変形があります。
軽度な症状から重度な症状まで様々です。見た目にはほとんどわからない軟骨のちょっとした変形から、見た目が大きく変わってしまうような症状まで、猫ちゃんそれぞれなんです。
スコティッシュフォールドを飼われている方はペットショップ、ブリーダーからの子猫の時に購入されたかと思います。発症は成長期である子猫時代に多いです。歩き方などをよく見てあげてくださいね。
私自身も遺伝性骨形成異常症のスコティッシュフォールドを飼っていまして、その子が子猫時代の頃には、少し足をひきずって歩いている、撫でると痛がっていやがる、走り回らない、高いところへジャンプしたがらない(できない)などの症状がありました。
スコ座り
スコティッシュフォールドと言えば「スコ座り」ですが、このスコ座りも身体が痛いためにそういった座り方になっている可能性があります。後ろ足と尻尾を投げ出して座る座り方がいわゆる「スコ座り」です。
遺伝性骨形成異常症の主な診断方法
スコティッシュフォールドの代表的な病気とも言えるこの病気ですが、獣医さんに連れて行った場合の診断方法は触診、レントゲン等です。
レントゲンを撮ってしまえば骨が変形していることは明らかになります。猫ちゃんの様子がおかしいなと思ったらすぐに獣医さんへ連れて行ってあげてくださいね。
遺伝性骨形成異常症の治療方法
この病気の治療方法ってどんなものがあるんだろう……。飼い主なら、愛猫の病気を治してあげたいと思うのは当然ですよね。
でも、今現在のところ、この病気の完治は見込めません。そのため、猫ちゃんやその症状に合わせた対症療法になります。
軽度であれば経過観察、痛みが強いようであれば痛み止めが処方されます。
重度の場合は放射線治療なども実施されていますが、機器の都合でこの治療を実施できる動物病院はとても限られています。費用も高額なものになってきます。
遺伝性骨形成異常症発症猫の経過
遺伝性骨形成異常症を発症してしまったらどうなるの?
この病気は骨が変形したり、コブができてしまったりすることがあります。その進行具合によってはジャンプすることが難しくなってしまったり、歩行困難を招いてしまうこともあります。
身体の成長が止まり、成猫になると症状の進行も緩和することがあります。ですが、緩和されずに進行し続けたり、子猫時代に発症しておらずとも成猫になってから発症する子もいます。
【体験談】我が家のスコティッシュフォールドに実際に起きたこと
症状の進行と経過はそれぞれです。今回は私の飼っていたスコティッシュフォールドをモデルにさせていただきますね。
発症に気が付いたのは生後1年程の頃でした。その以前から走り回らない、撫でられるのを嫌がる、といった面はあったのですが特に気にしていませんでした。
足をやや引きずっていたようですが、その頃はまだ猫というものをあまりよく知らなかったため異変に気付けませんでした。
別件で動物病院に連れて行った際に獣医さんから指摘され、その時ようやく気付いたのです。同じ年の頃の猫と遊ばせてみれば、我が家の猫の異変は一目瞭然でした。
まず、そもそも手足が痛むため走りません。子猫と言えば元気が有り余っていて、何をするにしても興味津々で落ち着きなく動き回る印象ですが、我が家の猫はそうではありませんでした。
撫でれば痛がるので何か治療を、と思ったのですが先述しました通りこの病気を完全に治療してあげることはできません。費用の関係も踏まえて、私は経過観察を選択しました。
高さ30cm程度のベッドにのぼることができない、撫でると痛がるためスキンシップをとれない、等の困難はありました。
しかし、幸いなことに成長が止まると同時に症状は次第に落ち着き、そのうち痛みも消えたようで触らせてくれるようになりました。
症状が落ち着いてから、走り回ったりできるようにはなりましたが、骨が既に変形しているため高いところへのジャンプ・着地はできません。一度のぼったものの降りることができず鳴いて「降ろせ」と訴えられたこともあります。
比較的軽度で済んだ我が家ですが、参考になれば幸いです。
飼い主ができるケアの方法。しっかり観察して守ってあげよう
最後に、スコティッシュフォールドを飼われていれば、遺伝性骨形成異常症に悩まれている方は少なくないでしょう。
治療はもちろんですが、私たち飼い主ができるケアとはどのようなものがあるのでしょうか。
それでも高いところへの興味はあるので、ぜひ高いところへ行けるようにしてあげてください。ジャンプさせるのではなく、階段のように歩いて登れる段差になるものを設置してあげてください。
また、症状が酷い子の場合は歩くたびに痛みが走る子もいます。床に絨毯など、衝撃を吸収してくれるクッション性のあるものを敷くとやや軽減されるようです。
家庭でできる対策は本当に僅かなものでしかなく、苦しんでいる猫ちゃんを見るのは辛いことですよね。身体の病気ですので、撫でると痛がる、という症状があればスキンシップをとることもできません。
猫ちゃんが痛がっていても、痛いときに鳴いて教えてくれる猫ちゃんもいれば、痛いのをじっと耐えてしまう猫ちゃんもいます。
ご自身の飼われている猫ちゃんをよく観察して、異変を見逃さないようにしてあげてくださいね。猫ちゃんを守ってあげられるのは飼い主さんだけです。