猫の繁殖について、不幸な猫を増やさないために知ってほしい事

繁殖期になると外からアオーンアオーン、という独特な猫の鳴き声を聞くことがあります。

繁殖期とはいわば猫の恋の季節でありますが、特に静かな夜間に響くその声がうるさいと感じる人もいるようです。

猫の繁殖期はどういったものなのでしょうか。猫の繁殖に関する事をまとめてみました。

また猫を人の手で繁殖させ、生態販売をする人の事をブリーダーといいますが、近年のペットブームにより悪質なペットの繁殖をさせる業者が問題になっています。

なお、子猫が欲しいからと言って興味本位で猫を繁殖させるのは好ましくなりません。安易にペットを飼う事は結果的に不幸な猫を増やすことになります。

ペットは物ではなく命を持った生き物で感情もある事だけは、絶対に忘れてはならないことです。

猫の発情期は1月から9月頃が一般的

猫の繁殖期はいつでもやってくるというわけではなく、季節に関係すると言われています。

基本的には日照時間が長くなる、1月から9月に繁殖期を迎える猫が多いです。春先になると猫が発情期を迎える、といったイメージが強いのも、この日照時間から関係していることだと言えるでしょう。

ただ、近年は繁華街などは24時間明るいですし室内飼いの猫も増えてきました。人間の環境に慣れた猫は、必ずしも日照時間に合わせて発情するということはなくなってきているようです。

雌猫は生後1年ぐらいで繁殖できるようになる

雌猫は生後1年ぐらいから発情期を迎えるようになります。早い場合は生後6か月、遅いと2歳を迎えた頃に発情期に入る事もあります。

猫の場合は交尾をするとその刺激を受けて排卵をします。つまり、交尾をすれば100%妊娠するのです。

そのため、排卵されるまで雌猫の発情は続き、発情期の終わり頃になるまで発情し続ける事になるのです。

雌猫の場合はいつもと違う声で鳴いたり、体を地面にこすりつけたり、やたらに甘えてきたりといった行動が見られるようになります。大きな声で鳴くのは、自分が発情期に入っている事を雄猫に知らせる為でもあるのです。

発情期の雌猫はいつもと違う鳴き方や行動をするようになりますので、飼い猫の場合はどうしたのかと心配になってくることもあります。

雄猫に巡り合えないと強いストレスになることも

避妊手術をしておらず室内飼いにされて雄猫と巡り合えない場合、交尾が出来ないことで強いストレスになってしまうのです。

発情期は大事な子孫を残すという、猫の本能に従ったものなのです。自由に外へ行けない場合はずっと猫にとってストレスになるということ以上に、隙を見て外へ脱走としようとしたり、大きな声に悩まさせる飼い主も少なくありません。

特に脱走してしまった場合、事故にあったり迷子になってしまうケースもあります。また飼い猫が妊娠した場合、子猫も面倒も見る事になりますので、飼い主の負担も多くなります。

そのため、猫に繁殖させる予定がないのであれば、雌猫に避妊手術をさせる事で猫のストレスを減らすことが出来ます。

病気でもないのに避妊手術させるなんてかわいそうと感じることもありますが、避妊手術を受けることで子宮や卵巣などの病気にかかるリスクもなくすことが出来ます。

また、ホルモンの分泌による乳腺が刺激され悪性の腫瘍を形成してしまう、乳腺腫瘍の予防にもなります。

雄猫は攻撃的になりマーキングが頻繁になる

雄猫の場合は、発情した雌猫のフェロモンを嗅ぐことにより発情すると考えられています。顔がよりいかつくなり、いつもよりも攻撃的になったり、マーキング行動が頻繁になったります。

外に出ている猫の場合は、雌を取り合って雄同士で喧嘩をすることが頻繁に出てきますので、怪我をすることもあります。ソワソワと落ち着かなくなり、家の中を駆け回る事もあります。

猫の尿はかなり臭いが強い為、家の中にあちこちマーキングされてしまうと、掃除も大変になります。

外へ脱走してしまったり、他の猫と喧嘩する事で怪我をしたり病気をうつされてしまう事もあります。

基本的に猫は夜行性ですから夜中に騒ぐこともあります。飼い主が寝ていても、お構いなしに鳴き続けることもあるでしょう。

雌猫と巡り合えない事で、ストレスになることもあります。雌猫と同様、繁殖を考えていないのであれば去勢手術をした方が良いでしょう。

去勢手術を受けることで、生まれてきて殺処分される不幸な子猫達を減らすことにもつながるのです。また、生殖器や肛門の病気の予防にもつながります。

避妊・去勢手術の後は肥満になりやすくなることもある

最初の発情期が来る前に避妊・去勢手術をするのが好ましいとされますが、発情期には個体差もあり猫の体が健康である時に手術しますので、避妊・去勢手術を考えている飼い主さんは一度病院へ相談してみましょう。

病気の予防にもつながる避妊・去勢手術ですが、術後肥満になりやすくなるというデメリットもあります。

生殖機能をなくしてしまう為、その生殖機能に使われていたエネルギーが余ってしまう分、脂肪に蓄積してしまうからなのです。

避妊・去勢手術のあとは太らない様にダイエットフードを食べさせたり、運動をこれまでよりもするようにする、おやつの回数を減らすなどして体調管理に気を付けるようにしましょう。

我が家の猫も1歳過ぎたあたりに避妊手術を行いました。

元々野良猫だった猫を飼い猫として出迎えた為、最初の頃は外へ遊びに行ったりもしていました。そのため、運動は不足しなかったようで術後肥満になる事はありませんでした。

完全室内飼いの猫はどうしても運動不足になりやすいのです。猫にとっても肥満は病気の元になりますので、食事や猫の住む環境を整えてあげることが大事なのです。

猫を繁殖させるブリーダーという仕事

猫の繁殖を仕事にしている、ブリーダーと呼ばれる人達がいます。ブリーダーになるためには特に資格は必要なく、猫の繁殖や出産の知識があれば誰でもなる事が出来る職業です。

施設などの届け出も必要ない為、マンションの部屋などでも繁殖を行うことが出来ます。

ただし、猫や犬など動物を金銭で販売するのであればビジネスになりますので、行政への届け出が必要になります。

ビジネスとしてブリーダー登録を行うためには、経験や動物管理関連の資格が必要になってくるため、まったくの素人がブリーダーとして商売を始めるということは出来ないことになっています。

悪質なブリーダーが猫を不幸にしている

しかしここ最近の猫ブームが拍車をかけて、悪質なブリーダーも増えてきました。

悪質なブリーダーは猫の事は一切考えず物としてしか見ていません。繁殖のタイミングやその猫の体の状態も考えず、母猫の体がボロボロになっても無理やり子猫を産ませるのです。

最近、悪質ブリーダーの実態が暴かれニュースになりました。福井県にあるブリーダーの施設に行政処分が入ったのです。

そこでは犬や猫が狭いスペースに詰められ身動きが取れず、臭いが充満し食事もロクに与えられていませんでした。

前足を切られ妊娠させられる母犬や、病気になっている犬や猫も存在していたのです。福井県は繁殖する動物の数を減らす様に指導しましたが、このような施設は全国にいくつも存在していると考えられます。

アメリカなどでは繁殖させる動物の数は決まっているなど、ブリーダー施設に決められたルールがありますが、日本は動物愛護の面ではかなり遅れているというのが現状です。

買い手となる飼い主も好みの子犬や子猫をブリーダーに頼み、その好みの子が生まれるまで待っているという人もいるようです。

飼い主に好みに合わなかった子が生まれた場合はどうするのでしょうか。

悪質なブリーダーは、売れそうにない子は捨ててしまうこともあるようです。日本で殺処分がなかなか減らないのは、そのような悪質なブリーダーが存在しているからなのです。

またペットショップで売られている動物達も、無理やり繁殖させられて生まれてきた子供達がいます。

子猫や子犬たちは野菜のように小さなダンボールに入れられ、ペットショップへ搬送されるのです。

そのためストレスになり、搬送途中で命を落としてしまう事も多いのです。またペットショップで売れ残った子達は、悪質な業者に引き取られて繁殖に使われるのです。

勢いで動物を飼う事は無責任

飼い主はいつであっても、猫には命があり感情があることを忘れてはいけません。猫は動くぬいぐるみではなく、時には飼い主の意図しない事をやることもありますし、病気にもなります。

日本ではペットはもの扱いで、猫や犬をアクセサリと同じものと思っている飼い主も存在するのは、とても残念であるし悲しい事です。

現状、保護猫の里親になるには審査があり一人暮らしだと断られるなど、保護猫を引き取りたくても出来ない場合もあります。

だからどうしても猫が欲しくて保護猫の里親になれない人が、ペットショップで猫を買うことは仕方がない部分もありますが、ブリーダーやペットショップの中には悪質な業者も存在する事にも目を向けなければならない事です。

テレビで見たからとか、流行っているからといった理由で猫を引き取るのであれば、最後まで責任を持てる人でなくてはなりません。

ペットであれ命を預かることは、最後まで面倒を見る義務があるからです。

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