人間の生活には欠かす事の出来ない牛乳。猫用の牛乳も販売されており、猫にとっても身近な食品となっています。
牛乳を猫にも与える人も多いですが、猫にとってはよくないという意見もあり、一体どっちなのか判断が難しい所があります。
今回は猫にとっての牛乳がどんな影響を及ぼすのか、解説していきます。
牛乳を与えることはメリットよりもデメリットの方が多い
私達の生活では、最も身近で欠かせない飲み物の1つが牛乳です。
飲み物だけでなく、様々な食品にも使われている為忘れがちですが、本来は牛の赤ちゃんの飲み物です。
牛は草食動物ですから、雑食である人間はまだしも、完全な肉食動物の猫にとって影響としてはどうなのでしょうか。
栄養面では牛乳はすぐれている食品である
子供を育てるための牛乳なので、手っ取り早く水分と栄養を摂る事の出来る食品です。
また離乳前の子猫の場合は普通の牛乳ではなく、猫の体に合う様につくられた猫用のミルクを与える様にしましょう。
大人の猫の場合は牛乳は基本的に不要です。大人の猫にどうしても飲ませたいということであれば、やはり猫用のミルクを選ぶようにしましょう。
栄養が多い分カロリーが高め。肥満につながる事も
牛乳の栄養成分と言えば、まず一番にカルシウムがイメージされるでしょう。牛乳を飲んでカルシウムを沢山とって骨を強くしよう、という事を子供の頃に聞いた人も多いと思います。
離乳前の子猫ならともかく、大人の猫に頻繁に飲ませるのは肥満の危険性があるため、与える頻度は押さえたい所です。
牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できず、下痢になることも
猫のお乳と牛のお乳ではその成分も異なっており、ビタミンやカルシウムの多い牛乳に比べると猫のお乳はタンパク質や脂質が多く、炭水化物が少ないという成分となっています。
猫は肉食動物ですから、一番必要な栄養素はタンパク質のため、猫のお乳にもタンパク質が多く含まれています。
また、牛乳に一番多い成分は乳糖とよばれる炭水化物です。乳糖はラクトースと呼ばれることもあり、糖と名前がつく通り、食べ物として摂取するとエネルギー源となります。
タンパク質 | 脂肪 | 乳糖 | ミネラル等 | |
---|---|---|---|---|
牛乳 | 26% | 28% | 40% | 6% |
猫の乳 | 36% | 40% | 19% | 5% |
猫も同様にこの乳糖の分解が苦手であり、下痢になる事が多いと言われています。
猫の体質にも寄りますので、必ず下痢になるわけではありませんが、高齢の猫や下痢になりやすい体質の猫は要注意です。
便秘がちだからといって頻繁に牛乳を飲ませるのは良くない
便秘解消のために牛乳を飲ませる場合があります。人間では便秘解消に冷たい牛乳を飲む、という人もいますが、牛乳が猫にとっては人間以上に腸への刺激になってしまうこともあります。
これも個体差はありますが、下痢になってしまった場合は水分も一緒にでてしまいますので、かえって体に負担になる事も考えられます。またシニア猫にとって下痢は体力的にもかなりの負担になります。
便秘解消のために牛乳を与えることが絶対に悪いという事ではありませんが、あまり便秘が続くようであれば、動物病院に相談した方が良いでしょう。
最大のデメリットは結石を作ってしまう原因になる事
特にオス猫に多く発症する尿路結石の原因が、牛乳の与え過ぎの場合があります。メスよりオスに多く発症するのは、メスよりもオスの方が尿道が長く狭いからだといわれています。
尿路結石にも何種類かあり、主な結石はマグネシウムを主成分とした結石であるストラバイト、カルシウムを主成分としたシュウ酸カルシウムと呼ばれるものがあります。
牛乳にはこのカルシウムとマグネシウムが多く含まれているのです。たまに与える程度では影響がありませんが、頻繁に与えていると結石を生じやすくなってしまいます。
猫の先祖は砂漠に生息しているリビアヤマネコです。水の少ない砂漠という環境に適応するため、猫は水分を節約する体の機能をもっています。
なお、人間用のミネラルウォーターも牛乳同様、気を付けなければならない場合があります。
ミネラル、と名前につくだけあり、特にカルシウムが水道水よりも多く含まれている場合があります。上記で述べたとおり、ミネラルの取り過ぎは結石の原因になりえますので、水道水でも問題はありません。
大人の猫にとって牛乳は絶対に必要ではないので、普段の食事で栄養を摂取しよう
我が家の猫のかかりつけの獣医さんからは、メリットよりもデメリットの方が多い為、牛乳を猫に頻繁に与えることは獣医師の中ではあまりよくないという認識になっていると聞きました。
もちろん猫にもカルシウムやマグネシウムといったミネラルは必要なものですので、あまり取らな過ぎでは健康を害してしまいます。
必要なミネラルは、総合栄養食のキャットフードにも含まれていますので、普段の食事でバランスよく栄養を摂取するように心がけましょう。