猫が自分の体をなめたり、他の猫の体をなめたりしている場面はよく見かけますよね。暇さえあれば、一日中グルーミングしているんじゃないかな?と思えるほどです。
そんなに汚れているようにも見えないのに、もしかして、猫って潔癖症なのでしょうか。いえいえ、実はグルーミングには、体をきれいにすること以外にも目的があるのです。
また、グルーミングをし過ぎる場合や、反対に、しない場合に猫に起こっていることを説明していきます。
この記事の目次
猫がグルーミングをする4つの大事な大事な理由
グルーミングとは、毛づくろいのことです。猫は1日の約3分の2を睡眠に使い、残り3分の1の活動時間のうち、10~30%の時間はグルーミングをしています。
自分で自分の体をなめることを「セルフグルーミング」、2匹以上の猫がお互いの体をなめ合うことを「アログルーミング」といいます。猫がグルーミングをするのには、いくつかの理由があります。
体をきれいにするため
猫の舌にはブラシ状の突起がついているので、グルーミングすることで細かな汚れやほこりを取り、毛玉や皮膚炎を予防することができます。
また、猫の唾液には殺菌作用が含まれているため、体を清潔に保ちます。体についた他のにおいを自分のにおいに置き換えるという意味もあります。
自分のにおいを消すため
猫は、狩りをする際に獲物に気づかれないように、自分のにおいを消すためにグルーミングをしていました。
狩りをする必要のない飼い猫でも、本能的に自分のにおいを消そうとします。それは、トイレで砂をかけて自分のにおいを消すのと同じです。
気持ちを落ち着かせるため
飼い主に怒られたときなど、緊張やストレスを感じたときや、驚いたときにもグルーミングをして気持ちを落ち着かせようとします。精神的な不安を取り除くためのグルーミングです。
体温を調節するため
汗腺がほとんどない猫は、あまり汗をかきません。そのため、暑い時期はグルーミングして唾液を蒸発させることで体温を下げようとします。
反対に寒い時期は、グルーミングすることで体毛の間に空気の層ができ、体温を逃さないようにします。
猫同士の毛づくろい、アログルーミングは信頼している証拠
アログルーミングとは、猫どうしが毛づくろいすることです。猫の行動パターンは、「親和行動」「敵対行動」「序列行動」の3つに分けられますが、アログルーミングはそのうちの「親和行動」にあたります。
親和行動は、信頼関係が結ばれた猫どうしや、飼い主さんに対してだけ行う愛情表現です。
アログルーミングを行うのは基本的にメスどうし、またはオスとメスの組み合わせです。オスどうしはお互いに縄張り争いの相手とみるので、普通は愛情を示す相手になりませんが、兄弟などは例外です。
アログルーミングの際によくなめるのは、頭の周りなど、自分ではできない部分です。お互いに、自分が気持ちいいと思う場所をなめてあげるのでしょうね。
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普段よりペロペロしすぎ?過剰グルーミングの原因
しょっちゅうグルーミングをする猫ですが、それ以上に同じ部分ばかりなめて、脱毛してしまうことがあります。
あまりにも激しくグルーミングしていたら注意しましょう。
炎症や虫が原因の場合
グルーミングをし過ぎる原因として、アレルギー性皮膚炎、外部寄生虫、ノミ、ダニなどがあります。その場合は、炎症や発疹が見られたり、かゆそうにしていたりしますので、見た目でわかります。
病院に連れて行けば、皮膚炎や寄生虫は注射や薬で治ります。ノミやダニの場合は、「フロントライン」を処方してもらって駆除することになりますが、普段からブラッシングして予防しましょう。
ストレスが原因の場合
心因的なものが原因の場合には、病院ではわかりませんので、治すのは飼い主さんしだいになります。
考えられる原因として、引っ越し、トイレが汚い、飼い主さんがかまってくれない、同居している他のペットとの相性が悪い、運動不足などが挙げられます。
グルーミングは猫にとって気持ちを落ち着かせる行動でもあるので、ストレスを抱えた猫は、しつこくグルーミングをするというわけです。
原因がわかれば、ストレスを取り除きましょう。猫と遊んでやる、反対に構いすぎていた場合には離れる時間を持つ、ひとりになれる場所を作ってやる、運動できる場所を作る、などです。
体をなめようとしたらおもちゃなどで気をそらすという手もあります。エリザベスカラーをしてなめさせないという方法もありますが、エリザベスカラー自体がストレスになるのであまりおすすめではありません。
最近グルーミングしてない…?というときの原因と対策
最近グルーミングをしなくなったという場合に考えられる原因は、
- 老化
- 病気
- 太り過ぎ
です。
異常があれば病院へ
高齢の猫は体力が落ち、体を気遣う余裕がなくなりがちです。また、求愛や狩りの必要がないことも、原因のひとつです。
さらに、老化とともに腎臓や心臓の病気にかかりやすくなるため、腎不全などが原因で弱っていることも考えられます。腎臓の病気は症状が出にくいので、普段から定期的に診てもらうことが重要です。
また、太り過ぎると、体に脂肪がついているために体を思うように曲げることができなくなります。病気かな?と思ったら、病院に連れて行きましょう。
幼いうちから親猫と離れて暮らしている猫も、グルーミングをしてもらう機会がなかったために習慣として身についていないことも考えられます。
こまめにブラッシングを
異常がない場合でも、飼い主さんが拭いたり、ブラッシングしたりしてください。グルーミングをしないためにできた毛玉は、その下にはさみを入れた後にブラッシングで取ることができます。
汚れがひどいときにはシャンプーをしましょう。ノミ取り対策のためにも、普段から定期的にブラッシングすることをおすすめします。
室内で一匹飼いしている場合は、猫は他の動物と接することがありません。そのため、飼い主さんと自分以外のにおいがしないので、あまりグルーミングをしないということもあります。
また、一匹飼いで穏やかな性格の猫の場合はほとんどストレスを感じることもないために、グルーミングをしないことも。その場合にも、飼い主さんがまめにブラッシングやシャンプーをしてやることが必要です。
異常がないか普段から見守って
猫のグルーミングには、ブラッシング、シャンプー効果の他にも、消臭効果、リラックス効果、そして冷暖房効果も。
そんな優れた効果のあるグルーミングですが、異常がないかどうかは、日ごろから飼い主さんが気をつけておいてくださいね。