猫が癌になった時の食事のあれこれ。与えたい成分と食べさせるコツ

猫が癌になった場合、悩むのが日々の食事です。たとえ食欲があったとしても、癌という重大な病気を前に今までのフードでいいのかと悩んでしまいますよね。

また、癌が進行していけばどうしても食欲が落ちていきます。回復の見込みがある場合、闘病のための体力を維持するためにはより食べやすい食事を与えて、猫に十分なカロリーをとってもらうことが欠かせません。

癌と闘うためにいったいどんな食事を選べばいいのか、あるいはどのようにすれば食欲が落ちても食べてもらえるのか。猫が癌になってしまった時の、おすすめの食事の選び方や与え方をご紹介します。

猫が癌になった時の食事の重要性

猫が癌になってしまった場合、まだ初期の段階で猫に食欲や元気があるようであれば、より癌に適した栄養の食事を与えることが重要です。

癌細胞は猫の体の中の栄養を使って増えていきます。逆に言えば、栄養がなければ増えることができません。猫に与える食事の栄養素を調整することで、癌細胞の分裂を弱めることができるのです。

一方で、食欲が既にどんどん落ちて行ってしまっている場合、食事を選ぶ以前に食べさせることそのものに苦労するかもしれません。しかし、食べなければ必要なカロリーがとれず体力が落ち、癌と闘うことさえできなくなってしまいます。

猫に少しでも回復してもらうためにも、猫の食事選びや食べさせ方に対する工夫はとても重要です。

成分を選んであげよう。癌になった猫の食事を選ぶポイント

意外にも、猫の癌のためだけに作られた療法食というものは存在しません。

例えば腎不全なら腎不全用の療法食を与えるのが基本になりますが、癌の場合は癌用の療法食がないので飼い主さんが栄養を考え、より適したフードを選ぶことになります。そこで、具体的なフード選びのポイントをご紹介します。

穀物不使用(グレインフリー)の食事を与える

癌細胞が栄養として一番好むのはブトウ糖などの糖質です。そこで糖質を癌細胞に与えないよう、糖質の元となる食材ができるだけ入っていないフードを選ぶようにするのがおすすめです。

糖質の元となる食材とは、炭水化物。具体的には穀物です。人間でも、お米を噛むと甘く感じますよね。あれは炭水化物であるお米が唾液によって分解され、ブドウ糖などに変化していくからです。

猫の場合はもともと肉食なので、穀物は摂取しなくても問題ありません。穀物の使われているフードは多くありますが、フードの嵩増しなどのために使われていることがほとんどです。

値段は高くなることが多いですが、穀物不使用(グレインフリー)と記載のあるフードを選ぶとよいでしょう。

▼猫のグレインフリーのフードについては、こちらもご覧ください
グレインフリーのキャットフードが猫にとって良い理由。選んで納得!

高タンパク質の食事を与える

癌がもうひとつ必要とするのがタンパク質です。タンパク質の場合は、肉食の猫が活動するためのエネルギー源、また猫の体を構成する成分として非常に重要ですので、ブドウ糖とは違って減らすというわけにはいきません。

そのため積極的にタンパク質をとって、タンパク質が癌細胞に奪われてなお猫の体に充分に足りるようにしなければなりません。できるだけ良質で高タンパクなフードを与えてあげましょう。

▼高タンパク質なフード選びについては、こちらをご覧ください
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高脂肪の食事を与える

癌細胞が特に好まず、かつ猫のエネルギー源として有効なのが脂肪です。癌細胞に奪われることのない良質な脂肪をたくさんとることで、猫のカロリーを補うことができます。

脂肪の中でも重要なのは不飽和脂肪酸と呼ばれるもので、癌の場合特に気にしたいのがオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸です。

通常はこの2つの脂肪酸をバランスよく摂取することが重要なのですが、癌の場合は癌の対策に良い効果があるとされているのがオメガ3脂肪酸、逆に悪い影響があると考えられているのがオメガ6脂肪酸です。

そのため、できるだけオメガ3脂肪酸が多く、かつオメガ6脂肪酸が少ないフードを選ぶと良いでしょう。

どうしても食べてくれない時は?食欲減退した時の食べさせ方

一般的に、猫の食欲が減退した場合は、トッピングをしたり食事を温めたりすることで食いつきを改善することができます。

▼猫があまりごはんを食べないときにできることについては、こちらをご覧ください
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しかし、癌の猫の場合は健康な猫とは食べさせ方のコツがやや異なります。癌の猫の場合、健康な猫であればできるはずのことができない場合があります。

例えば力が抜けて食器の前に立ったり、首を近づけるのがつらかったり、口の中に腫瘍ができて食べたくても食べられなかったりなど、そもそも物理的な問題で食べたくても食べられないことがあるのです。

もしも、温めたり、猫の好みのトッピングをした食事を与えても猫が食べてくれないという場合、以下のようなことに気をつけると食べてくれやすくなります。

お皿の高さを変える

体力が落ち、体が思うように動かなくなってくると、使い慣れている普段の餌皿でさえ食べにくくなることがあります。体を持ち上げるのがつらそうな様子であれば、よりふちが低く浅いお皿に変えてあげると食べやすくなります。

猫用として売られている餌皿を探すのではなく、人間用のお皿や、お皿になりそうなものを流用するのも手です。

ちなみに我が家の場合は、お弁当箱の蓋や、タッパーの蓋が重宝しました。浅いため、寝たきりの状態でも顎の下に差し入れて使うことができるのでおすすめです。

流動食にする

ウェットフードでも食べないような場合、一切噛むことなく飲み込めるペースト状の流動食を与えると食べてくれる可能性があります。

ふやかしたドライフード、あるいはウェットフードをミキサーに数分かけ、ドロドロにした状態で与えて舐めとってもらいましょう。もしくは、はじめから介護用として流動食の状態で売られているフードもあります。

▼猫の流動食の選び方、手作り流動食のポイントについてはこちらをご覧ください
猫の流動食を選ぶときのポイント&食欲が低下した時の食事方法

口につけると食べることを思い出す

ウェットフードなどを指ですくい、猫の口元にちょんとつけてあげると、猫は反射的に舐めとります。すると、ウェットフードの味がして食欲が戻ることがあります。食事そのものを忘れているような猫には、一度試してもらいたい方法です。

特に嫌そうでなければ、すぐに目の前までフードを持ってきてあげましょう。食事の存在を思い出したついでに、そのまま食べてくれるかもしれません。

口の奥までシリンジで入れてみる

強制給餌に近い方法ですが、ペースト状のフードをシリンジでのどの方まで流し込んでみるという手もあります。特に口腔内にできる癌の場合、「食欲はあるのに、痛みで食べたくても食べられない」という状態になってしまうことがあります。

その場合は飼い主さんが、のどの奥までフードを入れてあげれば、猫は痛みのある部分を使わずに飲み込むことができるかもしれません。

興味はありそうなのになぜか食べないという場合は、口腔内になにか炎症などがないかチェックしましょう。

とにかくなんでも好きなものを与える

明らかに食欲が落ちて事態が切迫している時は、いっそどれでも食べてくれる食事を与えましょう。

体に悪いからとあまりあげずにいたおやつ、子猫用の高脂肪で美味しいフード、多くの猫が大好きなかつおぶしや煮干しなど、なんでも構いません。

癌で食欲が激減し、必要なカロリーさえ危ういような時期は、栄養にこだわっている場合ではなくとにかく食べてくれることが最優先です。愛猫の好きなものを好きなだけ食べさせてあげましょう。

食欲廃絶した時は、強制給餌が最後の命綱

癌など重大な病気にかかった時、猫が完全に食欲をなくし、一切食事をとらなくなってしまうことがあります。これを「食欲廃絶」と呼びます。

この食欲廃絶状態になってしまったら飼い主さんは、毎回の食事を強制的に猫に飲み込ませる「強制給餌」を行わなければなりません。かわいそうではありますが、猫に回復の見込みがある場合、この強制給餌が最後の命綱となります。

強制給餌の場合、多くを食べさせることは至難の業です。そのため少量でも高カロリーな専用のフード(ヒルズのa/d缶など)を使うことになります。

強制給餌の手順

  1. フードをすり鉢やミキサーでドロドロの完全なペースト状にします。(流動食)
  2. 流動食を人肌に温めます。(くれぐれも火傷しない温度に!)
  3. シリンジに適量とり、猫をうつ伏せ、あるいは上体を起こした状態で保定します。
  4. 猫の口の横からシリンジを差し入れ、少しずつ流し込みます。

強制給餌の場合、誤嚥(ごえん)を防ぐため猫にとって無理な体勢で行うことはやめましょう。特に寝たきりの場合、寝ていても起こしてからやる方がむせたりせず安全です。

食べたくない猫に無理矢理食べさせるわけですから、猫は当然嫌がります。しかし、焦ってたくさん注ぎすぎると猫が飲み込みきれず危険です。

また、飲みきれずにこぼれるとベタベタになって大変です。特に高カロリーのフードはにおいもかなりきつくなります。こぼれたフードが口元につくとドロドロとしているため落としにくく、また乾いたときにフードと一緒に毛が固まってしまいます。

ひどいとその部分の皮膚が炎症を起こすこともあるので、強制給餌は慎重に行いましょう。素早く丁寧に、が理想ではありますが、慣れないうちは難しいものです。

時間をかけてでも少しずつ注いで、猫のペースに合わせて食べさせることで猫にも飼い主さんにも負担がかからずに済みます。

▼猫の強制給餌については、こちらもご覧ください
癌になった愛猫の余命。後悔しないための心構えとお世話のポイント

何が愛猫のためになるのか。末期はどうするかよく考えよう

猫によって、癌の末期になっても食欲がある猫と、全くなくなってしまう猫がいます。

食欲がある場合はもちろん食べたいものを食べたいだけ与えて構わないのですが、もしも食欲廃絶状態になった場合、飼い主さんは強制給餌をするべきかどうか、一度よく考えてみることをおすすめします。

癌も末期になり、余命わずかとなった場合、猫に強制給餌することは治療ではなく延命行為です。

もし猫が強制給餌を嫌がって大暴れする場合、もうこれ以上猫にストレスを与えないために、あえて強制給餌を打ち切り、最期を見守るという選択肢もあるということを覚えておいてください。

もちろん、愛猫と一緒に諦めず闘い続けるという選択肢もあります。

どちらを選んだとしても、飼い主さんが愛猫のことを必死に考えて選んだのならば決して間違いではありません。

癌に有効な成分の食事を選び、いざとなったら食べてくれることを最優先にしよう

食べることは生きること。癌になってしまった猫にとって、十分な食事をとれることは最も大切なことのひとつです。

食欲がないからといって食べないままにしておくと、あったはずの体力がどんどん落ちていってしまいます。闘病生活を乗り切るためにも、食べられるうちにしっかり食べて体力をつけましょう。

選ぶ余地があるうちはしっかりと栄養素に配慮した食事を与え、そしてもし食欲が落ちてしまっている場合は、栄養などにこだわらず、食べてくれることを最優先にするのがおすすめです。

どんなものなら食べてくれるのか、どうすれば食べてくれるのか、愛猫をしっかりと観察し、できる限り愛猫の食べやすい食事を食べやすい環境で用意してあげましょう。

みんなのコメント

  • にょろ より:

    生きて欲しい。ただそれだけ。
    ごめんなさい助けてあげられなくって。

  • ひろ より:

    人間で言う小児がんと言われました。まだ1歳半です。
    まだ元気に動き回っていますが、いつか弱っていくことを想像します。
    少しでも元気でいてほしいので食事から変えてみます。

    • ドミママ より:

      猫ちゃんは、お母さん(飼い主さん)だけが頼りです。
      若い子だけに看病は大変ですが…
      お母さんだけが頼りなので
      しっかり看病してあげてくださいね♡

      私もうちの子の看病頑張ります!

  • きいちゃん より:

    いま、まさにご飯食べなくなってきてます。体も痩せて、息も荒くなってきてて…
    明日、獣医さんに連れていこうと思っています

  • 匿名 より:

    乳腺ガンになりました。手術しても再発するから負担になるみたいです。
    今はピュリナワンのグレインフリーをバクバク食べてますが今後肺とかに転移して
    弱っていく姿を想像するとかなしい

  • 白玉だんご より:

    顎の骨のがんになりました17歳の♂です、ぷくぷく太ってたのにみるみる痩せてきました。今は一進一退で毎日点滴しています!

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