フェレットと猫は仲良くなれる?一緒に飼うときの注意点とメリット

にょろにょろボディとくねくね尻尾。ちょっと小生意気な顔つきにつぶらな瞳、ひょこひょこ歩いて時には踊っちゃう、フェレットは犬と猫の両方の魅力を併せ持つ生き物です。

猫とフェレット、どちらもお肉が大好きで遊ぶことが大好き!一緒に飼う相性が良いと言われていますが、本当に仲良く一緒に暮らす事は出来るのでしょうか。

似ているところと似てないところ、仲良くできるところとできないところ、実際に一緒に暮らしていた二匹の例を交えてご紹介します。

フェレットはどんな生き物?

フェレットはヨーロッパケナガイタチを家畜として改良した種で、ヨーロッパでは古くからペットとして以外にも配線工事や穴に住む小動物の狩りの際に人間の手伝いをしてきました。

大きさはファーム(繁殖地)や性別により個体差がありますが、大体大人の指先から肘までほどの長さです。大きすぎず、あまり鳴き声をたてず、ケージでも飼育できて、犬のように懐き、猫のように遊ぶため、マンション住まいでも飼えるペットとして20年ほど前から都市部を中心に人気が広まりました。

フェレットの写真

名前の語源となったfuroは泥棒の意味を持つラテン語で、その名のごとく、お部屋で放牧しておくと、様々な場所にするっと潜り込み、気に入ったアイテムをこっそり持ち出しては蒐集する性質があります。

飲み込んでしまうほど小さなものから自分より断然大きなものまで、棚下の隙間などに勝手にしつらえた「マイ宝箱」へとご機嫌な足取りで運んでいきます。こんなところは犬っぽいですよね。

好奇心が旺盛で遊びが大好き。テンションが上がるとクッカクッカと歌いながら激しく踊ります。(ウィーズルウォーダンスと呼ばれ、本来は狩猟前の本能行動ですが、嬉しい時や楽しい時にも行います。宅のフェレはインド音楽が流れると踊っていました)

ゆらゆら揺れる紐や、毛布の下で蠢く飼い主の足先に飛び掛かるさまは猫にそっくり。基本的に警戒心が薄くて人見知りをせず、好奇心の強い子猫のような性質とテンションが生涯キープされます。

フェレットの写真2

なんでも飲み込んでしまったり、自分の限界を顧みない行動をしたりと事故のおそれが多いため、ケージでの飼育が推奨されていますが、とかく遊ぶのが好きなので、多くの飼い主さんはお部屋の中で時間を決めて「放牧」したり、リードを付けてお散歩に出かけたりしています。

フェレットと猫の共通点

フェレットと猫は食べ物や気質、遊び方がよく似ています。

フードの互換性について

どちらも完全な肉食動物で、それぞれの専用フードの成分もよく似ています。先の震災の折、被災地で一時フェレットフードが入手できなくなった場合はキャットフード(できれば子猫用のもの)で代用できる、とした情報がフェレット飼いのネットコミュニティで流布されました。

しかし、キャットフードの多くはフェレットフードに比べてたんぱく質が低いため、恒常的に与えることは望ましくありません。逆もしかり。それぞれ必要とする栄養素は微妙に異なるため、日頃からそれぞれのフードを常備しておくことが肝要ですが、万が一の時にはある程度互換できそうです。

トイレ砂の在庫は共有できる

フェレットは猫のようにトイレトレーニングができます。一度覚えてしまえば決まったところでしか排泄しません。体の太さは違えど、長さにおいては猫とほぼ同じ。ウサギなどの小動物用のトイレよりも猫用トイレが適しています。

固まる猫砂は誤飲した時に体内で詰まってしまうおそれがあるので、フェレットにはおから製のトイレに流せる猫砂などがおすすめです。

猫と同じくらい賢い?

フェレットは猫と同じく自分の名前を認識でき、名前を呼ぶとちゃんと近寄ってきます。また、「ごはん」「ダメ」など、簡単な単語を覚えて反応を返してくれます。11匹のフェレットを飼っていた飼い主さんのお話では、11匹がそれぞれ自分の名前と他の仲間たちの名前を認識できていたそうです。

フードをストックしてある場所や以前に開けて楽しいものが入っていた場所もきちんと覚えています。犬や猫と同じくらい、付き合いがいのある子たちです。

しかし、何故か危機意識が低く「前回痛い目に遭った場所」や「ここでこういうことをすると危ない」といったことはあまり覚えてくれません。そういうところもまた可愛いのですが、猫よりはやや認知の幅が狭いようです。

フェレットと猫の相違点

フェレットはイヌ型亜目、猫はネコ亜目、似ているところがあってもやっぱり違う生き物です。

高い所からの落下は苦手

するすると高いところへ登っていくため、猫のように高いところから落ちても大丈夫そう、と思われがちですが、フェレットの四肢は落下の衝撃に強くありません。

それにもかかわらず、視力があまり良くなく、高さの感覚もあまりないため、本人は「わたし高いところ得意だし。平気で飛べるし」と思っており、臆することなく高いところへ登り、平気で飛び降りて骨折や脱臼などを起こします。

特に猫と一緒に遊ばせている時は、猫の真似をして一緒に高いところに登っていたりするので要注意です。ちなみに宅のフェレットは寝ぼけてハンモックから落ちて肩を脱臼したことがあります。

爪の出し入れが出来ない

フェレットの手足はぷにぷにの肉球も、にゅっと生えた爪の形も猫のそれによく似ていますが、爪の出し入れはできません。

かといって猫のように自分で研いだりはしないため、爪が伸びすぎると寝床のハンモックに引っかかって宙吊りになったり、ひっかけた時に爪が根元から折れて出血したり。また、飼い主や一緒に遊ぶ猫などを傷つけたり…思わぬ事故に繋がるため、こまめにカットする必要があります。

この時の爪切り用具は猫用のものでOKです。

耳掃除と入浴が必要

フェレットもグルーミングをしますが、猫のように毛を吐き出せないために毛球症を起こしやすく、また体臭も強く皮脂の分泌も多いため、こまめなブラッシングと猫以上の頻度で定期的な入浴が欠かせません。

ちんまりした耳は、大きな猫の耳とはまた違った趣があって大変可愛らしいのですが、内部構造が入り組んでいてなかなかフェレット自身ではきれいにお手入れできません。と耳垢が溜まってダニの温床となることもあるため、飼い主が綿棒でお掃除する必要があります。

ワクチン・投薬の違い

猫の場合は三種、または五種のワクチンの接種が毎年推奨されていますが、フェレットにはジステンパーワクチンの接種とフィラリアの投薬が必須です。どちらも発症すれば死に至る怖い病気ですので、欠かせません。暖かい時期になればノミ駆除薬の投薬(滴下)が必要になるのは猫もフェレットも同じです。

一緒に飼育する場合の注意点

似ているところもあり、違うところもあるフェレットと猫ですので、一緒に飼う場合は双方に配慮する工夫が必要になってきます。

温度管理

フェレットの原種はヨーロッパの寒い地域の出身。そのため日本の暑さには弱く、27度を超えると熱中症の危険があります。対して猫にとっての快適な温度は26~30度。部屋をフェレットの適温に保っていると猫にはやや寒すぎるようです。

基本的にケージ住まいのフェレットに室温を調節した場合は、猫が自由に他の部屋と行き来できるようにしてあげた方が良いでしょう。うちでは夏場の日中はエアコンを27度に設定し、凍らせたペットボトルでフェレットのケージを包囲してから出かけていました。(万が一の急な停電対策のためでもあります)。

臭い対策

フェレットはイタチで、スカンクの親戚であり、大変に強い体臭を放ちます。メジャーなファームから日本に輸入されてくるフェレットは去勢避妊とともに臭腺を除去する手術を受けてきていますが、それでもそこそこ臭います。

一緒に暮らしているとむしろその臭いがクセになってきて、出先で夏場の公園のお手洗いの臭いがほのかに漂ってくるとフェレットの事を思い出すくらいになりますが、とどのつまり、臭いのです。人間でも臭いと感じるのですから、人間のよりはるかに臭いに敏感な猫にとってはいわずもがな。

餌場やトイレの位置に配慮する、空気清浄機を導入する、フェレットをこまめに入浴させるなど、臭いの軽減に配慮して猫のストレスになりにくい環境づくりをしてあげましょう。

フェレットがいた場所の臭いが気に入らず、自分の臭いで上書きするために、猫がマーキングの粗相を繰り返してしまう事もありますので、家庭内の平穏の為にも臭い対策は大切です。

フェレットと猫は一緒に遊べる?

フェレットも猫も狩猟本能のある肉食動物です。お互いを捕食対象としてみなすことはまず稀ですので、ある程度は一緒の空間に放つことが可能です。

しかし猫には優れた身体能力と鋭い爪や牙があり、対するフェレットにも噛むことに特化した強い本能と、自分より大きな獲物を狩る狩猟スキルがあります。遊んでいるうちにどちらかが本気になり、片方が大怪我をするリスクは充分にあるため、放牧中は常に見守っていた方が安全です。

以下の動画では4:19ごろ、フェレットが猫の首回りを執拗にいじくっています。

フェレットも甘噛みの様子で(本気噛みの時は鼻筋の表情が変わります)猫のほうもされるがままになっていたので自由にさせていましたが、これはイタチが自分より体の大きな獲物の耳の後ろの動脈を噛み切って失血死させる時のスタイルだそうですよ。

宅のフェレットと猫の様子です。

▼YouTube動画

5:33あたりから、激しくバトルしたり自主的に空き箱を使ってモグラたたき遊びをしたりする様子がご覧いただけます。こうやって一緒に遊ぶこともあれば、てんでばらばら気ままにそれぞれで遊んでいることも多く、自由奔放さにおいては甲乙つけがたい生き物たちです。

この時、フェレットは2歳、猫は1歳、お互いに気力と体力のバランスが釣り合っていたため、一緒に遊んでいても大きな事故は起きませんでしたが、どちらかが幼かったり老いていたり、体力や体格に差がある場合は注意が必要です。

フェレットと猫、どちらか一方でも一緒に過ごすことに積極的でなかった場合は隔離する方が良いでしょう。他家の子猫やウサギを預かった折には、親しげにすり寄っていく猫に対し、フェレットは普段見せないハンターの目で、隙あらばといった様子を見せ、とても近寄らせられませんでした。

楽しい一匹と一本のいる暮らし

フェレットと猫は一緒に暮らす事も遊ぶことも基本的には可能です。しかし、宅の二匹も一緒に遊んではいましたが、仲良く寄り添ってくつろぐことはまずなく、お互いを「ワタシのオモチャ」ぐらいに思っていたようです。

高いところに置いてあったフードストッカーを猫が床に落とし、フェレットが器用に開けて中のものを一緒に盗み食いしたり、猫が侵入できなかったところへフェレットが登ったりこじ開けたりして道筋を示し、猫がそれに続いたり。

猫とフェレットの写真

一匹と一本のタッグは毎日が思わぬ相乗効果の連続です。これからフェレットと猫を一緒に飼おうとされる飼い主さんのペットライフも相乗効果で楽しいものになりますように。

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