猫と暮らしていると、獣医さんからエリザベスカラーをつけるように指示されることがあります。
健康な猫であっても去勢・避妊手術の際に傷口を舐めないよう、初めてエリザベスカラーを経験する飼い主さんも多いのではないでしょうか。
嫌がっているのはわかるのに外してあげることはできない、でもなんとかしてあげたい!というジレンマ……。
そもそも、何故猫はエリザベスカラーを嫌がるのでしょうか?
また、どうしたら猫が嫌がらずエリザベスカラーをつけてくれるのでしょうか?
猫がエリザベスカラーを嫌がる理由
当然ながら、猫には治療のためにエリザベスカラーがついているなんてわかるはずもありません。
いきなり首に変なものを巻かれたらそれは猫が驚いて嫌がっても仕方のないことです。
時間が経っても猫がエリザベスカラーを嫌がり続ける場合、代表的な理由としては以下のようなものがあります。
重い
普段ないものが首回りについている状態なので、当然重みは感じますし、それが猫にとって我慢できないレベルであれば取り外そうと大暴れしてしまいます。
軽いものに取り替えた途端ぴたりと嫌がらなくなる猫もいるので、病院でつけてもらったエリザベスカラーが見るからに重そうだという場合は、ぜひ軽いものに取り替えてあげてください。
視界が遮られる
エリザベスカラーによって左右の視界を遮られることによる閉塞感も猫が嫌がる理由のひとつです。
普段は見えているはずのものが、いくら首を振ってみても見えないというのはストレスそのもの。
できればエリザベスカラーを透明なものに替えてあげると良いでしょう。
ひげに当たる
猫にとってひげは周囲の様子を探る大事な器官です。
もしあちらこちらにふらふら歩き回ってまっすぐ歩けないような場合はエリザベスカラーにひげが当たっているのが原因かもしれません。
止め位置を調整できるエリザベスカラーであれば、少しエリザベスカラーを広げて止めてあげるとひげに当たりにくくなります。
動きにくい
猫自身はいつもどおりに動いているつもりでも、
- エリザベスカラーのせいでいつもはぶつからないはずの場所にぶつかる
- 登ろうとしたところに登れずに落ちる
- エリザベスカラーが食器にぶつかって上手く飲み食いできない
などの状態が続くと当然猫はストレスを溜めてエリザベスカラーを嫌がるようになります。
ぶつかってしまった家具等を一時的に撤去したり、飲食しやすい食器に取り替えてあげるなど、猫がいつもどおりの生活を送れるように飼い主さんが配慮してあげましょう。
猫がエリザベスカラーを嫌がる時の対策
ちっともとれないエリザベスカラーに猫がパニックになっているのを見ると、飼い主さんもついはらはらしてしまいますよね。
そんな時飼い主さんが猫にしてあげられることを3つご紹介します。
まずは猫がエリザベスカラーに慣れるまでそっと見守る
病院から家に帰って来て以来、ずっとエリザベスカラーを嫌がって外そうと動き回っている……という場合、実は単純にエリザベスカラーに慣れていないだけということがほとんど。
- 頭を床にこすりつけながら後ろにずりずり下がっていく
- まっすぐ歩けずになんとなくふらふらしている
- 固まって動かない
といった状態は初めてエリザベスカラーをつける猫であればよくあることです。
飼い主さんは慌てず、猫に危険がないかどうか注意しながらそっと見守ってあげましょう。
興奮して走り回り激突を繰り返す、異常な声で鳴きわめくなど明らかにおかしい場合は別ですが、少なくとも一晩くらいは様子を見てみてもよいでしょう。
そのまま何事もなければ一週間も経つ頃には完全に慣れるはず。
猫によってはふちで水をすくって遊んだり、寝床でエリザベスカラーを枕代わりにして絶妙な角度で寝ていたりと興味深い一面を見ることができるかもしれません。
猫に合うエリザベスカラーを購入する
何日経ってもどうにも動きにくそうだったり、邪魔そうにして嫌がる場合はエリザベスカラーの形や材質が猫にとって気に食わないのかもしれません。
エリザベスカラーは病院で借りる以外にも、大きめのペットショップで市販されています。
各社から「軽い」「クリアタイプ」「柔らかいソフトタイプ」など、猫に優しくしかも可愛いエリザベスカラーが多数出ていますので、お財布に余裕があれば、あるいはエリザベスカラーの装着が長期化しそうであれば購入してあげるのも手です。
猫に合うエリザベスカラーを手作りする
市販のエリザベスカラーを購入する以外に、手作りという方法もあります。
手作りのいいところはなんといっても試行錯誤が可能なところです。
猫に合わせて何度も試作を重ねて改良していくことで、大事な愛猫にとって最も負担の少ない世界にひとつだけのエリザベスカラーを手に入れることが可能です。
まさに飼い主の愛情の見せどころといって良いでしょう。
市販のエリザベスカラーを選ぶ時のチェックポイント
市販の猫用エリザベスカラーを購入する場合、1000~3000円はしてしまいます。
そこで猫が嫌がりにくいエリザベスカラーを選ぶポイントをいくつかご紹介します。
重量をチェックしよう
意外と見落としがちですが、重量はエリザベスカラーを購入する際ぜひチェックしておきたい部分です。
特に病院でつけてもらうエリザベスカラーは頑丈にできていて重いことが多いです。
市販のエリザベスカラーの中でも軽さを売りにしている商品は本当に羽根のように軽いので、せっかく購入するのであればできるだけ軽いものを選んであげましょう。
透明なものを選ぼう
病院から貸りたエリザベスカラーは、色がついていたり半透明だったり傷だらけだったりして、猫にとって左右が全く見通せない場合がほとんどです。
そこでできるだけ閉塞感を感じさせない無色透明なものに取り替えてあげることで、猫のストレスを軽減できます。
透明感を売りにしたエリザベスカラーが各社から出ていますので要チェックです。
材質やデザインから動きやすさを想像しよう
エリザベスカラーをつけた時に、猫が普段と変わらない動きができるかどうかという点はとても重要です。
反対に「柔らかさ」を売りにしている場合も「柔らかすぎてエリザベスカラーが曲がり傷口に口元が届いてしまう」というような問題が出る場合があります。
また、「デザインは可愛いのに、食事のたびにふちが汚れて拭き取りにくい」というような飼い主側のデメリットも考えられます。購入の際は細かい部分などもよく見て検討しましょう。
サイズをしっかりと計ろう
一番重要なのがサイズです。エリザベスカラーの中には「首回りが何cmか」だけを基準にサイズを分類している製品がありますが、実は首回りと並んで重要なのが「カラー幅(高さ)」です。
1cm違うだけでも猫にとっては自由度が大違いです。
無理なく飲食でき、かつ患部を舐めることのできない最適な幅を調べましょう。
ちょっと手間はかかりますが、大きく厚手の紙を扇状に切ってエリザベスカラーに見立て、実際に猫の首に巻いてサイズを計ると確実です。
また6cmでは今度は患部を自由に舐めることができてしまったので、この場合最適なカラー幅は7cm以外ありませんでした。
中には多少合わないサイズのエリザベスカラーでも無理なく食事できる器用な猫もいますが、できない猫もいます。
最初につけてもらった病院のエリザベスカラーの使用感を参考に首回りを優先するかカラー幅を優先するか決めましょう。
なお、首回りとカラー幅両方を満たすサイズがどうしてもない場合は、エリザベスカラーを手作りするか、食器の方を変えてしまうという手もあります。
飼い主さんの愛情たっぷり!エリザベスカラーを手作りしてみよう
エリザベスカラーを手作りする場合、どんな素材を使ってどんな作り方をしようとも飼い主さんの自由です。とはいうものの、初めて手作りする場合は勝手がわからずに困ってしまいますよね。
そこで飼い主さんたちの間でも人気の、代表的な素材と作り方を3種類ご紹介します。
パターン1:カップラーメンの容器
カップラーメン?と思うかもしれませんが、なんとこれがエリザベスカラーの代わりになります。
作り方はとても簡単です。普段食べているカップラーメンのプラ容器の底を丸くくり抜いて、猫の頭にすぽんと被せます。これだけ!
穴の大きさは猫の頭が通るギリギリにしないとすぐ抜けてしまうので、最初は小さくくり抜いて調節しながら徐々に広げていくと良いでしょう。
また軽いのもいいところのひとつです。ただし、カップラーメンの容器はニオイが残りやすいので、よーく洗ってから使ってくださいね。
パターン2:子供用シャンプーハット
エリザベスカラーはシャンプーハットでも代用できます。
用意するもの:
- シャンプーハット1つ
- はさみ
- ビニールテープ
- 外周から中心に向けて1カ所切り込みを入れて切り離す
- 猫の首に巻いてサイズを確認し、余った分を「のりしろ」を残して切り離す
- 猫の首に巻きながら、のりしろ部分にビニールテープ(マジックテープ、ハトメなどでも可)を巻いて、シャンプーハットの端同士をくっつけて完成!(猫の毛を巻き込まないように注意)
材料が100均で簡単に購入でき、不器用な人でも作りやすいのがシャンプーハットエリザベスカラーのいいところです。
ただ、シャンプーハットによっては意外と重いことがあるので気をつけて選びましょう。
パターン3:クリアファイル
一番のおすすめはこのクリアファイルを使った作り方です。上記2つの方法よりも手間はかかりますが、その分軽く、洗いやすく、長持ちで猫の負担も少ないといいことづくめです。
- 型紙用の紙数枚
- クリアファイル(A4~A3)1つ
- カッター
- はさみ
- コンパス
- 鉛筆
1.型紙を作る
大きな紙(子猫でA4~成猫でA3程度)に、病院で借りてきたエリザベスカラーを置いて鉛筆でなぞり、だいたいで構わないので写し取ります。
それを切り取り猫に巻いてみて、首回りや高さなど、印をつけながら微調整していきます。
最終的なサイズが決まったら、コンパスを駆使して大きな紙に清書します。これで型紙のできあがりです。
2.クリアファイルを切る
型紙の上にクリアファイルを置き、型紙に従ってカッターやはさみで丁寧にクリアファイルを切り取ります。
3.ビニールテープで保護・補強する
エリザベスカラーの形に切り離したクリアファイルの、猫の首に当たる部分にビニールテープを巻いて保護します。
外周部分については鋭くて危険であればビニールテープを巻きますが、そうでなければ巻かない方が便利ですし衛生面でも安心です。食事の際に外周が汚れるとビニールテープにも汚れが付着して落ちません。
4.猫に巻いて固定し、完成!
猫の首にくるりと巻いてあげたら、端同士が重なった部分にビニールテープを貼り付け固定します。
この時くれぐれも猫の毛にビニールテープがつかないように注意してあげてください。長毛種等で難しい場合は、ビニールテープではなくマジックテープ、ハトメなどを使って固定しても構いません。
クリアファイルを使ったタイプは特に子猫専用の小さなエリザベスカラーが欲しい場合に重宝します。
型紙だけ最初にしっかり作っておけば、型紙に合わせて切るだけで量産できるので治療が長期化しても安心。気軽に使い捨てできる点でもおすすめです。
猫にエリザベスカラーをつけてあげる時の注意点
試行錯誤の末に猫がエリザベスカラーをつけても嫌がらなくなってくれたら、飼い主としては感無量です。
しかしそこで気を抜いてはいけません。猫にエリザベスカラーを嫌がることなく付け続けてもらうためには、飼い主が注意しなければならない点がいくつかあります。
常に清潔に保ってあげよう
猫がエリザベスカラーをつけている最中は、常にエリザベスカラーが清潔かどうか気を配るようにしましょう。
エリザベスカラーは顔の周囲にあるものなので、餌を食べればふちが汚れますし、トイレで砂をかけば便がついてしまうこともあります。
長時間そのままにしておくと猫ニキビなど新たな病気になりかねません。
食事やトイレの直後といった汚れやすいタイミングを中心に気をつけて見てあげましょう。
猫の代わりに毛繕いをしてあげよう
エリザベスカラーをつけている間、猫は自分の毛繕いを一切することができません。
猫は元来綺麗好きな生き物です。
ブラッシングの他、自分の毛を舐めることのできない猫の代わりに人肌程度まで冷ました蒸しタオルや、市販されているお手入れシートなどで優しく拭いてあげるのも有効です。
特に治療が長期に渡る場合、拭いてあげないとフケが出てきてしまうことがあるので気をつけて。
猫の安全を確保しよう
治療のためにつけられるエリザベスカラーは、猫が自力で外してしまわないようテープやホックなどでしっかりと装着できるようになっています。
普段と違う環境に猫が戸惑うのは当然のことです。猫が自由に動けるようになるまで、飼い主さんはできるだけ猫の傍で見守ってあげましょう。
また、慣れた後でも万一のことを考え、周囲に危険なものがないかどうかチェックしましょう。
それでも猫がエリザベスカラーを嫌がる時は?
エリザベスカラーを嫌がる猫のため、できるだけのことはした、市販のも試した、手作りもしてみた、それでも猫がどうしてもエリザベスカラーに慣れてくれない……。
中にはそんな猫もいるかと思います。そんな時の最後の手段は、「エリザベスカラーをつけない」という選択肢です。
といっても、もちろんただ外してしまうわけではありません。獣医さんに相談しながらにはなりますが、以下のような方法があります。
症状によってはエリザベスカラーの代わりに術後服を利用する
エリザベスカラーをつける主な目的は、猫が患部を舐めないようにすること。
視界が遮られず、ものにぶつかる心配もないのでエリザベスカラーより嫌がりにくく安全なのがポイントです。
しかし猫、あるいは着せる服の構造によっては着せてからものの数十分~数時間でスルリと「脱皮」してしまう場合も……。
またサイズが合っていないとトイレの時に汚れてしまうので、飼い主さん側のハードルはエリザベスカラーよりやや高め。
症状によっては推奨されない場合もあるので、一度獣医さんに術後服を着せてもよいかどうか相談してみると良いでしょう。
エリザベスカラーをつけない方針の獣医さんもいる
実は同じ怪我や病気でも、獣医さんによってエリザベスカラーをつける場合とつけない場合があります。例えばわかりやすいものとしては多くの飼い主さんが経験するであろう、去勢・避妊手術の後です。
ある病院ではエリザベスカラー、ある病院では術後服、ある病院では大きな絆創膏を1枚貼っただけなど、病院によって術後の処置はまちまちです。
絆創膏すら貼らない方針の病院もあります。
エリザベスカラーを工夫して猫のストレスを減らしてあげよう
綺麗好きな猫にとって、エリザベスカラーは異物であり負担以外のなにものでもありません。
猫にとってエリザベスカラーが嫌なのは当たり前。
嫌なものを無理矢理つけていてもらうのですから、少しでも負担を少なくしてあげるべく飼い主は猫の様子をよく観察し、猫が過ごしやすいように最善を尽くしていきましょう。
みんなのコメント
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六歳の猫が肥満細胞の手術後に舐めない様病院からエリザベスカラーを借りたのですが威嚇して付ける事が出来ず自分で舐めていてその後診察して頂いたら腫れていて軟膏の薬と飲み薬を頂きました。病院からエリザベスカラーを今度は着けて帰宅したのですが重すぎで辛そうで 皆様に聞きたいのですが簡単にタオルで出来る背中のキズを舐めない様なタオルで作るものを教えてください