犬や猫を飼った時、どこの動物病院をかかりつけにするべきかは重要な問題です。
気軽に通える距離の動物病院が近所に1件しかないという場合は否応なしにそこになってしまうのですが、選べる余地がある場合は必ずそれぞれの動物病院を比べてみるべきです。
実は、「なんとなく」で適当に動物病院を選んでしまうと、治療内容をはじめ、各種の対応に大きく差が出る場合があります。我が家での体験をもとに、動物病院の違いや選び方についてまとめました。
動物病院の善し悪しはいざという時になって初めてわかる
健康な犬や猫を飼っていれば、動物病院には予防接種や健康診断などでしか足を運ばないのが普通です。
特に猫の場合は犬のようにフィラリア予防などの機会もあまりなく、年に1回予防接種をしてそれで終わり、という飼い主さんも多いのではないでしょうか。しかし、ここに動物病院選びにまつわる大きな落とし穴が潜んでいます。
予防接種や健康診断はペットにとって基本中の基本ですから、どこの病院でもつつがなく終わることがほとんどです。しかも経過を見るために通院する必要もありません。
仮にその動物病院があまりよくない病院だったとしても、飼い主さんは「とりあえず近所の病院だし、獣医さんも親切にしてくれるから大丈夫」と病院の善し悪しに気づくことができないのです。
そしていざ、何らかの病気や怪我で受診した時に初めて、獣医さんの対応についてのちょっとした違和感から「ここの動物病院、もしかしてあまりよくないんじゃ……」と気づくことになります。
しかし、通院している間は飼い主さんにだって負担がかかりますから、なかなか他の病院を探す余裕もありません。
また、ほんの少しの不信感を感じたとしても、「ずっとお世話になってきた動物病院だから、今さら変えるのはちょっと……」とためらってしまうこともあります。
しかし、結局それでは疑問を抱え、納得のいかないまま治療を続けることになってしまいます。もしそれで愛するペットの病気が悪化してしまったら、結局は「あの時病院を変えていれば……」と飼い主さんも後悔することになるのです。
こんなことにならないためにも、あらかじめ動物病院の選び方を知っておき、最初から信頼してペットを託せる動物病院にかかりましょう。
コミュニケーションが鍵!いい動物病院の見分け方
専門家ではない飼い主さんに、獣医さんの施す治療が正しいのかそうでないのかという見分けはつきません。そのため、いい動物病院かどうかを判断するためにはコミュニケーションが非常に重要となります。
以下のポイントを参考に、自分に合った動物病院を見つけましょう。
問診、触診、検査を必ずしてくれる
動物病院によっては、
- 話をほとんど聞いてくれず、触診もせず、血液検査などの結果だけで診断する
- 話は聞いてくれるものの、ほとんど触診せず診断する
- 触診はしてくれるが、血液検査などはほとんどせず診断する
などの場合がありますがいずれもあまりよくありません。飼い主さんにとって一番ありがたいのは当然ながら、「ちゃんと話を聞いて、触診して、検査もしてくれる」獣医さんです。
もちろん症状によって検査を省く可能性はあります。しかし、少なくとも
- 問診や触診さえ省く
- 明らかに症状があるのに何の検査もしてくれない
というような獣医さんはやめておきましょう。
飼い主さんにとって怖いのは、実際に症状があって動物病院に来ているのに、ろくな検査もしないまま「原因不明です」とか「気のせいかもしれないですね」とか「様子を見て平気ですよ」と言われてしまうことです。
かといって話を聞いてくれず検査だけで診断するというのも怖いもの。いざという時疑心暗鬼にならないためにも、
- よく話を聞いてくれる
- 体重を計ったり、触診や目視で簡単な健康診断を最初に行ってくれる
- きちんと検査をしてくれる
動物病院を選びましょう。
もちろんそんなことはなく、その後結局ガンだと判明しました。こんなおそろしいケースもあるので気をつけましょう。
説明が丁寧
いい動物病院の条件として、非常に重要なのが「わかりやすく丁寧に、詳しく説明してくれる」ということです。
病気に関しては素人である飼い主さんにもわかりやすいよう、簡単な言葉で、たまにはたとえ話なども交えながらひとつひとつ説明してくれる獣医さんなら非常に安心といえるでしょう。
反対に、ほとんど説明がなかったり、専門用語ばかりが出てきたりする獣医さんはいくら腕が良かったとしても、意志の疎通が難しいのでおすすめできません。
また薬を処方される時の説明も、判断の目安になります。
・病院B「抗生剤と下痢止めを出しますね」
・病院C「「この薬は○○という名前の薬で抗生剤になります。この抗生剤を飲むことで~のような効果があり、また副作用として~というような症状が現れることがあります。その副作用を緩和するための薬がこちらで~」
どこまで説明がほしいかは飼い主さんによりますが、少なくともなんの薬が処方されているのかもわからない状態は避けた方がよいでしょう。
また、注射や点滴をする時も、同じように中身が何なのかくらいは教えてくれる動物病院の方がよいでしょう。
聞けば答えてくれる
多くの獣医さんはできるだけわかりやすくこちらに伝えようとしてくれますが、素人である飼い主さんが必ずしも理解できるとは限りません。飼い主さんがなにかわからないこと、不安に思うことがあった時、獣医さんに聞いてみましょう。
聞いたことに嫌がらず答えてくれる獣医さんであることが、動物病院を選ぶ上ではとても大事です。
例えば、手術の後には傷口を舐めないよう、エリザベスカラーや術後服を着せるのが一般的です。しかし、動物病院によっては消毒液をつけただけで特になにもなし、という場合があります。
なにもなかった場合、エリザベスカラーをつけるのが普通だと知っていたら、飼い主さんは不安になりますよね。そこで獣医さんに聞いてみるのです。
もし、「この子は特に舐めたりする様子がないので、つけなくて大丈夫です。その方がストレスもありませんからね」なんていう風に答えてくれる獣医さんは、飼い主さんにとってありがたい存在です。
一方で、「あー、これは大丈夫だから」なんていう風に、答えになっていないような返答しかもらえない場合は、注意した方がよいでしょう。
セカンドオピニオンを嫌がらない
簡単に治る病気や怪我であればともかく、ガンなどの重大な病気と診断された時、飼い主さんによってはセカンドオピニオンを希望する場合もあるはずです。
よい動物病院の選び方として、「セカンドオピニオンを嫌がらない」ということが挙げられます。飼い主さんの「愛するペットに最善の治療を受けさせてあげたい」と思う気持ちをくんでくれる獣医さんはよい獣医さんです。
ちなみに、こっそり別の病院へ行くと前の治療履歴などが分からないため、きちんとかかりつけの獣医さんに相談しましょう。治療内容の詳細やカルテのコピーなどをもらうことができます。
スタッフが入れ替わらない
意外なことですが、スタッフがあまり入れ替わらないというのも重要です。来る度に獣医さんが入れ変わっているとか、動物看護師さんが数人消えていくなどの場合、内部で何か揉めていて辞めていっているのかもしれません……。
「きちんと診察してしてくれているのであれば、内部の問題は飼い主に関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、辞めていく人が多いと連携が取れずに、担当の獣医さんが変わった時スムーズにいかないかもしれません。
また、お気に入りの獣医さんがあっさりといなくなってしまう可能性もあります。動物病院には最低十数年はお世話になるのですから、人員が安定している動物病院の方が安心です。
大きい動物病院?小さい動物病院?実際にこんなに違いがあった!
近所に大きい動物病院と、小さな動物病院がある場合、どちらを選ぶべきか迷うことがありますよね。大きい動物病院の方が設備も整っていて最新の治療が期待できそうですが、実は小さな動物病院もあなどれません。
実際に近所の大きい動物病院と、小さい動物病院にかかった時の経験をもとに、違いをまとめてみました。まずは大きい動物病院の方からご紹介します。
獣医さんを何人もの中から選べる!
大きい動物病院では、複数の獣医さんを抱えていることが普通です。そのため、指名制を導入している動物病院もたくさんあります。
指名制の場合、2人~時には10人近くいることもある獣医さんの中から、相性の良い獣医さんを指名して診察してもらうことができます。
いつも同じ獣医さんをかかりつけとして指名することもできますし、毎回違う獣医さんを指名していろいろな意見を聞くこともできるのです。
特に、獣医さんによっては「内科が得意です!」「外科が好きです」「最近は皮膚病の勉強をしています」というように得意分野があります。
そのため、「風邪気味だから内科の獣医さんにしよう」「なんだか歩き方が変!外科の獣医さんに見てもらおう!」というように症状に合わせて選ぶこともできます。
また、「この獣医さん、いつも怖い顔をしていてちょっと苦手だな……」なんていう時も、他の獣医さんを指名すればいいだけなので別の病院を探す必要がありません。
同じ病院内なら、病院内でカルテを共有しているため、獣医さんが変わっても説明する必要がなく安心です。
その一方で、日によって担当の獣医さんが変わることもあるため、指名したくてもできないということもあります。
「病院に行きたいけど、今日は火曜日でいつもの獣医さんがいないから、担当になる木曜日まで待たなきゃ……」と通院予定が組みにくいこともあります。
また、かかりつけの獣医さんに見てもらいたいあまりに病院に連れて行くのが遅れて、症状が進んでしまったりする可能性もあります。
ペット保険対応、クレジット支払いも可
大きい動物病院では、ペット保険の窓口清算やクレジットカードでの支払いに対応していることも多くなります。ペット保険への手動での請求作業は大変面倒なので、窓口で全てが完結するのは大きなメリットです。
また、手術や入院などで一度に高額な請求があった場合も、クレジット払いなら現金を用意する手間が省けます。
年中無休、夜間対応など細かい利便性が充実
大きい動物病院の場合年中無休、あるいは夜間の診療に対応してくれることも多く、飼い主さんにとっては非常に安心です。また、大きい動物病院だとトリミングサロンやペットホテルを併設していることもあります。
小さい動物病院でもこれらのサービスを行っている可能性はもちろんありますが、大きい動物病院に比べれば数は少ないでしょう。
最新の医療設備や、専門医による診療も!
内視鏡手術など難易度の高いものや、CTやMRI、その他各種の最新設備などは、やはり大きな動物病院の方が導入している可能性が高くなります。
また、大きな動物病院だと「眼科専門医」などのように特定の部位あるいは疾患に対応した獣医さんがいることがあります。
小さな動物病院は地域密着型!柔軟な対応で気軽に受診できる
一方で、小さな動物病院にも大きい動物病院にはないメリットがあります。マニュアル的な対応があまりなく、気軽に通院することができるんです。
年に1回しか来なくても覚えられている!?顔見知りの安心感
獣医さんが1人で切り盛りしているような小さな動物病院の場合、獣医さんと飼い主さんのコミュニケーションが密にできるのが大きなメリットです。
大きな動物病院ではそれだけ来院する人も多く、獣医さんも1匹1匹にあまり多くの時間をかけることができません。
一方で、小さな動物病院の場合は基本的にはその規模で賄える程度の人数しか来ませんし、特に個人経営の獣医さんにとっては1人1人の飼い主さんが大事なお得意様です。
他の飼い主さんが来院していない時であれば、じっくり時間をかけて話を聞いてもらったり、診察してもらったりすることができます。また、検査の結果が出るまで雑談していて思わぬアドバイスをもらえることもあります。
大きな動物病院では1匹に平均15分程度の診察時間で後も控えており、余計なことを聞く時間はありませんでした。
しかし、小さな動物病院では1時間近くかけて丁寧に説明してもらうこともあり、わからないことはなんでも聞くことができました。必然的に獣医さんとの信頼関係も高まり、安心して通院することができたのです。
緊急時の対応に融通が利く可能性
小さな動物病院では、獣医さんと仲良しだったせいか、あるいは動物病院が獣医さんの自宅を兼ねていたせいか、こちらが驚くほど融通の利いた対応をしてもらえることがありました。
緊急性の高い病気で受診した時に「明日は休診日ですけど、遠慮なく来てもらって構いませんからね」と言ってもらえたり、藁にもすがる思いで診療時間外に電話した時も「すぐに来てください!」と言ってもらえたり。
また、本来はそんなサービスなんてないのに、動物病院側のご厚意で自宅と病院を車で送迎してもらうことさえありました……。
もちろん全ての病院がこんな対応をしてくれるわけではありません。また、甘えすぎるのは動物病院に迷惑をかけてしまうことにもなります。
しかし、緊急事態で本当に困った時、あるいは普段の通院でのちょっとしたことでも、小さな動物病院の方が気さくな対応をしてもらえてありがたいと感じることがよくあります。
同じ治療でも料金が4倍!?動物病院の料金設定に気をつけよう
動物病院の規模に関わらず、動物病院を選ぶ上で特に注意しておきたいのが治療料金についてです。
動物病院の治療料金には、特に決まりがあるわけではありません。各動物病院が独自に設定しているため、全く同じ治療内容、全く同じ薬の処方でも料金が驚くほど違う場合があります。
例えば、点滴を1回打つだけでもある動物病院では1000円、ある動物病院では4000円だったということもざらです。
1回や2回の治療であれば、多少の料金の差は気にしない飼い主さんも多いかもしれません。しかし病気の中には長期の通院が必要になるものもあります。当然、長期になればなるほど病院によって料金の差が顕著に響いてきます。
特別にペット保険に加入していない限り、ペットの治療料金は全額自己負担です。大きな金銭的負担のある病気の治療では、最終的に数十万、数百万の差になることも当たり前なので、病院の料金設定は事前に確認しておいた方がよいでしょう。
獣医さんにとっていい飼い主さんはこんな人!
ところで、逆に動物病院側にとって、よい飼い主さんの条件とはどのようなものでしょうか。
動物病院の獣医さんにとって、よい飼い主さんとはずばり「どんな些細なことであっても、何かペットの様子がおかしいと思ったら、すぐに来院してくれる」飼い主さんです。
さらに、ペットの様子を普段からよく見ていて、問診にきちんと答えられる飼い主さんであればなお良いでしょう。
治療は遅れれば遅れるだけ、病状は悪化し、ペットへ負担がかかり、しかも治療方法が限られてきます。愛するペットのためにも、ペットの状態はしっかりと把握し、早めに受診しましょう。
そうすれば、ペットの命が助かるのはもちろん、獣医さんとより良い関係を築くことにも繋がります。
まずは比べてみるのが大事!一番信頼できる動物病院を選ぼう
動物病院の獣医さんは、いざという時愛するペットの命を託す相手です。犬も猫も言葉を話すことはできませんから、飼い主さんがよく確認して信頼できる動物病院を選ばなければなりません。
飼い主さんの多くは、近所の動物病院をかかりつけとして利用しているかもしれません。
しかし、「他の動物病院のことも知っていて、あえて近所の動物病院を選ぶ」のと、「家から一番近くて、特に不満がないからその動物病院にしている」のとでは全く違います。
不満がない=いい病院とは限りません。実はまだ、他の動物病院のメリットを知らないだけかもしれません。いざという時通える範囲で、できるだけ多くの動物病院を見てみましょう。
その上で、最も治療に納得できる動物病院を選ぶのがおすすめです。
みんなのコメント
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現在、2年ちょっとアトピー性皮膚炎で猫ちゃんが動物病院に通院しているのですが最近、その病院での治療費におかしな点を見つけてしまいこのまま通院すると大変な治療費を払い続けることになりそうなのでその病院に通院し続けて良いのか迷っています。
もし、転院をするとしたら転院先の獣医さんにはどんなふうに転院理由を伝えたら良いのでしょうか? -
長年通院している大手の病院にかかっていました。病気が多かったので特にお世話になりっぱなしでした。ただ、ショッピングモールに併設されているので入院をしても、夜はいませんので「夜は誰もいないので何かあっても責任を持てません」と事務的に言われます。最初は、近所ですし年中無休ということでこちらにしました。しかし、15歳になっていくつかの病気になり、あきらかに症状があって下痢が続いていてみるみるうちに痩せ細ってヨボヨボになりました。毎回下痢止めをもらい、薬が効かないと伝えるとフードを買えるように言われ、それでもなおらないというと違うフードに変えるように言われ、血液検査では大丈夫だと数値をみて説明してくれていたので安心していました。しかし、水下痢が激しくなりグッタリしてご飯を食べなくなり、連れていくとまた血液検査と点滴でした。その夜、急変しましたが電話をかけても20時には留守電になっていて、明日は休診日といいます。夜、もう倒れてしまう犬の側にいて、もう16歳老衰だろうから諦めようと覚悟しました。ですが、犬友に相談したらこの間までモリモリ食べていたのに急に食べなくなるのは病気だと思うと病院を紹介してくれました。タクシーを飛ばしていきましたが年は関係ない大きな病気でした。
シニア犬だから、環境や先生を変えると犬によくないとか、先生に悪いと思ってセカンドオピニオンを躊躇していた飼い主のミスだと確信しました。シニア犬は特に難しいけれど、今回のことでセカンドオピニオンの大切さをはっきりわかりました。 -
病院を変えて良かったです。
私は、今年の8月に15年いたトイプードルの子供を亡くしてしまいました。
病院を変えると言う選択肢が無く
3ヶ月ぐらい前から症状を伝えていたにもかかわらず何もしてくれなく検査無く一週間前に余りにもおかしいと思って連れて行ったら死の宣告でした。後悔ばかりでゴメンね、泣く毎日です。