子供の頃に誰もが一度は遊んだことがあるであろう、「だるまさんがころんだ」。実は最近、人間だけではなく猫までこの遊びをするということで話題を集めています。
飼い主さんが物陰に隠れ、「だーるーまーさーんーがー、……ころんだっ!」と顔を出すと、なんと猫はしっかりと止まっているのです。
何回繰り返しても、ルールそのままに飼い主さんが顔を出す時だけぴたりと止まりつつ、徐々に飼い主さんに近づいてくる猫。いったいどうなっているの?と摩訶不思議な気持ちになりますよね。
テレビに出られるような芸達者な猫だけができるのかと思いきや、意外や意外。実はこれ、どんな猫でもできることなんです。
だるまさんがころんだで遊べるのは、猫の習性を利用しているから
どんな猫でも「だるまさんがころんだ」で遊ぶことができる理由は、「だるまさんがころんだ」が猫の習性や体の仕組みを上手に利用した遊びだからです。
とはいえ、あくまで飼い主さんから見た猫の行動が「だるまさんがころんだ」に似ているというだけで、もちろん猫にしてみれば「だるまさんがころんだ」で遊んでいるという自覚はないでしょう。
いったい猫がつい「だるまさんがころんだ」をしてしまうのはなぜなのでしょうか。実は2つの理由があります。
「だるまさんがころんだ」は猫の狩猟本能を利用している!
猫が獲物を狙う時、
- 遠くにいる獲物を見つける
- 獲物に悟られないように静かに近づく
- 獲物を確実に仕留められる距離で、静かに身を潜める
- 隙を見て一気に襲いかかる
という過程があります。「獲物に悟られないように静かに近づく」のあたりが「だるまさんがころんだ」にとても似ていると思いませんか?
そう、猫にとって「だるまさんがころんだ」は、擬似的な狩りです。
「だるまさんがころんだ」で猫が狙っているのは飼い主さん自身。飼い主さんを狙ってじりじりと近づいていく様子が、人間にとって「だるまさんがころんだ」と酷似しているのです。
しかし、人間が突然振り向いてこちらを見るという行為は、猫にとって「獲物に気付かれた可能性がある」という重大な事態です。
そのため猫は自分の動きをぴたりと止めて、「私あなたなんて狙ってません、追いかけてません。ただの置物ですからお気になさらず」というポーズを見せます。そして人間の視線が外れた瞬間に、再び狙って動き出すのです。
人間にしてみれば「だるまさんがころんだ」は立派な遊びですが、猫にとっては飼い主さんを獲物に見立てた狩りそのもの。もっとも、人間に飼われている猫にとっては、狩り=遊びと言っても過言ではありません。
そういう意味では「だるまさんがころんだ」=猫にとっても遊びである、と言えなくもないかも?
「だるまさんがころんだ」は猫の視力を利用している!
人間がものを見る時、動いているものと止まっているものなら、断然止まっているものの方が見やすいですよね。でも猫は逆なのです。猫の場合は動体視力>静止視力。
人間が猫じゃらしを激しく振っている時、人間には猫じゃらしがぼやけて見えますが、猫には猫じゃらしが動く様子がパラパラ漫画のようにはっきりと見えています。
一方で、止まっているものに対しては、猫は人間の10分の1程度の視力しかありません。一度動きを止め、首を傾げてじっくり見ないと、そこになにがあるのかわからないのです。
「だるまさんがころんだ」は、猫のこのような習性を利用した遊びです。獲物が動いたり隠れたりしている間は、猫は獲物を認識しているので遠慮なく近づいていくことができます。
しかし、獲物=飼い主さんが突然振り向いてぴたっと止まると、猫は飼い主さんの姿がよく見えず、止まって確認せざるを得なくなるのです。
誰でも簡単!猫とだるまさんがころんだで遊ぶコツ
「だるまさんがころんだ」、ぜひとも実際に愛猫と遊んでみたいですよね。そこで、愛猫と一緒にだるまさんがころんだを成功させるための5つのコツをご紹介します。
1.遠くから始める
当たり前のことですが、ある程度の距離がある状態でだるまさんがころんだを始めないと、すぐに終わってしまいます。遊ぶことそのものは距離がなくても問題なくできますが、距離があった方がより楽しめるでしょう。
だるまさんがころんだを仕掛ける時は、できるだけ猫が遠くにいる時にしましょう。もしくは、猫から十分離れたところに飼い主さんが行きましょう。
ただし、あまり遠すぎる、あるいは近すぎると一気に近づかれてしまうことがあります。中距離から始めて徐々に距離を伸ばしていくのも手です。
家の中の構造や愛猫の反応を確認しつつ、
- 部屋の隅から隅
- 廊下
- 階段
- 家具の陰
などやりやすそうな場所を見つけてみてください。
2.目が合った時が最大のチャンス
だるまさんがころんだを始める上で最も理想のタイミングは飼い主さんと目が合ったその時です。
もしも偶然目が合ったら、そのままじっと見つめた後、素早く物陰に隠れましょう。そして素早く顔を出しましょう。あるいは、隠れずに振り返って猫を見るだけで遊べる場合もあります。
この間、猫の意識を飼い主さんから離さずにいられれば、だるまさんがころんだが成功する確率は限りなく高くなります。
3.猫がこちらに興味を持っている時に始める
「だるまさんがころんだ」は、飼い主さんを獲物に見立てた遊びです。すなわち、獲物である飼い主さんに興味がある時にしか始めることができません。猫は、もしも飼い主さんより他に興味を引くものがあればそちらに行ってしまいます。
また、眠いので寝ていたいとか、遊ぶよりごはんがほしいという時に「だるまさんがころんだ」で遊ぼうとしても上手くいきません。
猫が退屈していて遊びたいと思っている時、そして猫が自分から飼い主さんの方を見た時を狙って始めましょう。
4.最初のうちはおもちゃで釣ってみるのもアリ
理想は飼い主さんとのアイコンタクトで、だるまさんがころんだが突如として開始されることです。
しかし現実はそう上手くいきません。まずはおもちゃなどで釣ってみるのがおすすめです。物陰から素早くおもちゃを出し入れしてみてください。猫の気を引くことができたら、物陰に隠しているおもちゃを突然にゅっと出現させます。
猫がビクリと止まったら、また物陰におもちゃを隠して猫が近づいてくるのを待ちます。これを繰り返すことでひとまず「だるまさんがころんだ」を実現できるでしょう。
もし、見慣れたおもちゃで「だるまさんがころんだ」をする暇もなくすぐに近づかれてしまうという場合は、新しいおもちゃを使ってみましょう。
ちなみにわざわざおもちゃを購入する必要はなく、紐やティッシュなどで猫の気を引くものを作れば十分です。
おもちゃで気を引く時、おもちゃと一緒におもちゃを動かしている飼い主さんも顔を出すと、飼い主さんの方に興味が移ることがあります。そんな時はおもちゃではなく、飼い主さんの視線を使って遊べるチャンスです!
おもちゃに固執せず、そのまま飼い主さんが物陰から出入りして遊びましょう。
5.猫を止めたいタイミングで顔やおもちゃを出す
普通、猫じゃらしで遊ぶ時は猫じゃらしを動かして猫の気を引きますよね。しかし、だるまさんがころんだの場合は、猫の前でおもちゃを「動かす」のではなく突然「止める」ということを意識して下さい。
おもちゃを止めれば猫は止まります。おもちゃが動く(隠れる)と猫も動きます。最初は突然止まって、猫をびっくりさせるくらいのつもりでやるといいかもしれません。
上手くできなくても諦めないで。「だるまさんがころんだ」で遊ぼう!
猫の習性を利用した遊び「だるまさんがころんだ」。活発で遊び好きどうか、警戒心が強いかどうかなど猫の性格によって多少の向き不向きはありますが、飼い主さんとの呼吸が合えば子猫から老猫まで幅広く遊ぶことができます。
運が良ければ試したその日のうちに楽しむことができるでしょう。少なくとも猫に「待て」や「おすわり」を教えるよりはるかに簡単です。
甘えん坊な猫など、飼い主さんと目が合った瞬間に飼い主さんまっしぐらで、ちっとも「だるまさんがころんだ」してくれない!という場合もありますが、諦めないで何度か試してみて下さい。
ある日、何気なく目と目が合った瞬間に、突然遊べるかもしれませんよ。