麗しのブルー御三家の魅力。三種類のブルーキャットを見分けるコツ

詩人萩原朔太郎は東京の美しさの陰に潜んで見る夢を青猫に例えて詠いましたが、猫の毛色でブルーキャットと言えば美しいグレーの光沢のある被毛を指します。

和猫にも存在する毛色なのですが、深いブルーはどこかノーブルな異国情緒を感じさせる魅惑的な毛色の一つですね。

今回は人気の高い三種類のブルーキャット、ブルー御三家にスポットを当ててご紹介します。猫好きたるもの一目でそれがロシアンブルーなのか、コラットなのか、はたまたシャルトリューなのかピタリと言い当ててみたいもの。見分けるポイントもまとめてみました。

ブルー御三家、三種類の猫たち

ブルーの毛色は特定の猫にのみ現れるというわけではなく、黒い毛の遺伝子にダイリュート(色を淡くする)遺伝子がかけあわされれば顕現します。そのためブリティッシュショートヘアー、ペルシャ、スコティッシュなど猫種を超えて多く見られる毛色です。

しかし、あまたある猫種の中でも公認色としてブルーの毛色一本で勝負しているのはロシアンブルー、コラット、シャルトリューの三種類のみ。日本では紀州・尾張・水戸の徳川家ビッグスリーを御三家と呼んだが如くになぞらえて、この三種類の猫はブルー御三家と呼ばれています。

一見するとどれもよく似たブルーの猫たちですが、その出自は遠く隔たっていて、それゆえに特徴も異なります。みんなちがってみんなかわいい、ブルー御三家それぞれの個性や歴史を順番に見ていきましょう。

海を渡ったエメラルド【ロシアンブルー】

ロシア出身のすらりとしたモデル体型の猫です。

瞳はアーモンド形でグリーン一色のみ。寒いロシアの気候にも耐えられそうな短く密集した毛並みはシルクのようなベルベットのような、またはアザラシのような手触りと称され、毛の一本一本が微妙なグラデーション(ティッピング)を持つためにシルバーの光沢を帯びて見えます。

1860年代にロシアの商船がネズミ除けのために載せていた猫がイギリスへ伝わり、出航していたロシアの港の名前に因んでアーケンジェル・ブルーと呼ばれました。現在ではしなやかでスリムな四肢と先の細い長いしっぽで知られていますが、当時はもっとずんぐりした体躯であったと言われています。

第二次大戦後に数が減少したため、フィンランドのブリーダーがブルーポイントのシャムと混血させて保護を図った結果、現在のようなフォーリンタイプのボディになりました。

鳴き声が小さく、あまり鳴かないためボイスレスキャットと称されます。性格は飼い主には愛情深く従順で犬っぽい猫とさえ言われますが、警戒心が強く、見慣れないお客さんには人見知りしてしまう一面も。クールで静かな環境を好みますが、運動するのは大好きです。

微笑みの国のお姫様【コラット】

タイのコラット地方出身のためこの名前が付きました。瞳はまん丸でグリーンが一番人気ですが、ヘーゼル、イエロー、ゴールドのカラーバリエーションがあります。

南国タイで過ごしやすいように被毛はアンダーコートが少なくほぼシングルコートで細やか。その繊細な毛並は中世のアユタヤ王朝時代に書かれた猫についての絵巻物で「毛の先端は雲の如く、つけ根は銀の如く」とうたわれています。

ブルー御三家の中でも青みの強い濃いグレーで毛先のわずかな銀色のために輝いて見えます。小柄ながらがっしりとしたセミコビータイプで筋肉質なので見た目よりも抱き重りして感じられるでしょう。

長年、タイの貴族階級の間で愛でられていましたが、1959年に一組のペアがアメリカのブリーダーの手に渡り、1960年代にかけてブリードが進んで広まっていきました。タイでは「シ・サワット(幸運の猫)」と呼ばれ、幸運や繁栄のシンボルとして花嫁の結婚祝いに贈る習慣もあったようです。

先祖代々愛されて数世紀、社交的で遊び好き、かしこさには定評がありますが、神経質で頑固で、飼い主がかまってくれないとすねてしまうようなお姫様気質も持ち合わせています。聴覚や嗅覚が優れているので静かな環境を好みます。

フランスの至宝【シャルトリュー】

フランス出身のボリューミーな猫です。瞳はゴールド、オレンジ、カッパーがあり、グリーン系にはなりません。

寒い地域で代々暮らしてきたため、毛の密度は撥水するほどぎっしりとしていて絨毯や羊毛のように柔らかな手触りです。頭も体も大きくがっしりとしているため、それを支える首や四肢は短く安定感を持ちます。

常にマズルがふんわりと持ち上がって見える口元のため「微笑みの猫」とも呼ばれています。見た目のボリュームに反して小さく高く特徴的な鳴き声をしています。

一説によればシャルトリュー派の修道士が北アフリカから連れ帰ったと言われていますが、その詳しい出自については謎が多く、名前に関してもシャルトリューズ(リキュール)の製法で名高いカルトジオ会の修道院で飼われていたからとする説や、18世紀スペインの羊毛に由来するなど諸説あります。

1920年代までに毛皮目的で乱獲されてしまい、一度は絶滅の危機に瀕しましたが、ブルターニュのレジェ姉妹がベル島の病院の庭にいた一匹のブルー猫と様々なブルー猫、特にブリティッシュショートヘアーとの交配を進めて今日の姿になりました。

人懐っこくて賢く、非常に温和なため、他の猫種とも仲良く暮らせる傾向にあるようです。最大で6kgを越す重量選手のため、運動量もごはんの量もたくさん必要とします。

ブルー御三家の見分け方と早見表

さて、ご紹介しました通り、いずれも銀色を帯びたブルーの毛皮と素晴らしい手触り、そして賢さと気立ての良さでは並び立ってひけをとらないブルー御三家の面々です。

通りすがりのブルーキャットを「もしもし、そこのロシアンブルーさん」と呼び止めようとしたら「いいえ?わたしコラットなんですけれど」と立ち去られてしまう事の無いように、見分けるポイントを表にまとめてみました。

目の形 目の色 耳の形 しっぽ 体格
ロシアンブルー アーモンド形 グリーンのみ 平べったい 先端が鋭角 長く先細り フォーリン/3~5kg
コラット 丸い グリーン・ヘーゼル・イエロー・ゴールド ハート形 先端が丸い 先端が丸い セミコビー/3~4.5kg
シャルトリュー 丸い ゴールド・オレンジ・カッパー 大きな台形 顔に対して小さい 先端が丸い セミコビー/4~6.5kg

ブルー御三家の猫たちの中で比べてみると、「その猫種だけ」という特徴がいくつかあるのがおわかり頂けるかと思います。

例えばロシアンブルーの頭は逆三角で小ぶり、横から見ると意外に扁平なためコブラヘッドと呼ばれています。しっぽの先が細くなっていくのもロシアンブルーだけです。

「アーモンド形のグリーンの目をしていて、四肢もしっぽも長くて細い。耳の付け根幅が広くて尖った大きな耳をしている」のであればそれはロシアンブルーです。

コラットの顔は眉の上から顎にかけてハート形をしていますし、耳の先端が丸いのもコラットだけです。

「毛色がブルーで目もグリーン、ロシアンブルーによく似ているけれど目の形も耳の先もしっぽの先も丸くて全体的にそこまでスリムで長くない」のであれば、きっとコラットです。

シャルトリューは頬がたっぷりした大きな顔で比較的目と耳がちっちゃく見えます。目のカラーバリエーションにグリーンを持たず、ブルー御三家内では最大の体格を誇ります。

「6kgクラスの大きな体で目が明るいオレンジ、なおかつなんだか微笑んでいるように見える」のであればシャルトリューと判断して良いでしょう。

いかがでしょうか。例えば絶対に負けられない借り物競争、開いた指示書には「コラット」の文字。台の上には悠然と佇む三匹のブルー御三家…でもここを読んだあなたなら、きっと素早くもしっかり三匹を一通り撫でてから、コラットを選んで抱き上げる事ができるはずです。

ブルー御三家は幸せのビッグスリー

似て非なる三種類の猫たちですが、最後に特筆すべき共通項をご紹介します。

コラットは”シ・サワット”と呼ばれる幸運の象徴、シャルトリューは見るものを幸せな気持ちにさせる”微笑みの猫”、そしてロシアではブルーをラッキーカラーとしてロシアンブルーを愛していたそうです。ブルー御三家はどれも幸せの象徴なんですね。

猫はただでさえ見ているだけで幸せな気持ちになれるもの。ラッキーに祝福されたブルー御三家をじっくりじっくり見比べて、私たちも幸福度を上げていきましょう!

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