日本では珍しいバーミラの特徴や性格。新しい猫種の飼い方は?

ぱっちりしたアイラインに、ほんのりグロスを乗せたようなピンクの口元の女優顔にバランスの取れた体、繊細で美しい被毛を纏った美人猫族のバーミラ。

作出や登録も比較的新しく、日本国内ではまだあまり目にすることはありませんが、原産国のイギリスをはじめとする海外では人気の高い猫種です。

そんなバーミラの歴史や魅力、特徴についてご紹介します。

バーミラの歴史

バーミラをはじめとするエイジアングループの猫種は1981年、イギリスで偶発的に誕生しました。

当時、作出者のミランダ・フォン・キルヒベルク女史のお宅ではオスのチンチラペルシャ(チンチラはペルシャの毛色の一つですが、バーミラのカラーの由縁になっているため、以後チンチラと表記します)と、メスのライラックカラーのバーミーズを別室に隔てて飼育していました。

本来なら出会うはずのなかった2匹ですが、ある時、扉の閉め忘れによって飼い主も予期せぬ交配に至ります。数か月後、彼らから生まれたのは均整の取れたバーミーズの体に、チンチラの豊かなシルバーの被毛を持つ4匹の子猫たちでした。

この偶然にして生まれた美しい子猫の飼い主である女史が、これまた偶然にもロシアンブルーのブリーダーとしてのノウハウを兼ね備えた人物であったことが、新たな猫種の誕生につながりました。

ミランダ女史は、稀有で美しいこの毛色の猫たちを品種として固定したいと考え、イギリス最大手の猫種登録団体であるGCCF、遺伝学者、そしてブリーダーたちの協力を仰ぎ、この4匹を第一世代とする新しい猫の育種に乗り出しました。

コンセプトはバーミーズの体に、今までになかったカラーと長さの被毛を備えた猫であり、望ましい特徴を固定化するために主にバーミーズとの交配を中心に世代を重ねて誕生したのがエイジアングループと呼ばれる猫たちで、毛色や長さによって5つに分類されます。

  • シェーテッド…淡色の毛の先1/2~1/4に濃色が入る。
  • セルフ…単色。ブルー、チョコレート、ライラック、レッド、ブラックなど。
  • スモーク…黒いトップコートにシルバーのアンダーコートが透かし見えてスモーキー。
  • タビー…毛が一本ごとに縞模様になるティックドやサバ模様、斑紋などの柄がある。
  • ティファニー…セミロングであれば模様は問わない。

この5つのうち、よりチンチラのようなカラーリングが特徴的なシェーテッドが最も初期にスタンダードとして確立してバーミーズ(Burmese)の前半とチンチラ(Chinchilla)の後半を取ってバーミラ(Burmilla)と名付けられ、1985年に猫種としてGCCFの公認を得ました。

当初はバーミラだけだった公認も、2003年までにはすべての被毛のパターンが公認され、現在では独立品種ではなくエイジアングループとして猫種登録されています。(1994年にはフランス最大手の登録団体FIFeの公認も受けていますが、こちらはミランダ女史宅の4匹とは血統が異なります。)

1985年のGCCFの公認年にはエイジアングループ愛好家協会(The Asian Cat Association)も設立、後には同協会がミランダ女史からブリーディングを引き継ぎました。2000年代からは海外への輸出も始まり、今ではイギリスを中心に世界中で愛されています。

バーミラの特徴や性格

バーミラの写真

エイジアングループのうち、短毛でシルバーかクリーム色の毛の先端1/2~1/4にブラックやライラックカラーが入るシェーテッドの被毛をもつ猫をバーミラと呼びます。

目の周りの短い毛は黒く、鼻の両脇もノーズシャドーを入れたように色味がかかるため、まるでフルメイクをしているようにはっきりとした顔立ちが特徴的です。

大きめの耳はやや外向きで離れてつき、丸みを帯びた頭にフェイスラインはゆるやかなV字型。目は吊り上がりすぎず、丸とアーモンドの中間の形をしていて、色はゴールド系、黄色系、緑系と濃淡様々に顕現します。

四肢もしっぽもほっそりと中くらいの長さで、爪先は卵型、しっぽの先も丸みを帯びています。平均体重は4~7kgと全体的に中型でバランスの良いバーミーズの体型をそのまま受け継ぎ、一見小ぶりに見えますが、筋肉質なので抱いてみると意外にずっしりと持ち重りして感じられるようです。

短い被毛は色の美しさもさることながら、チンチラのように繊細で毛量が豊かなため、シルクのような光沢や手触りと称されます。

平均寿命はGCCFによると16~18歳とされていますが、まだ猫種としての歴史が浅く頭数も他の猫種ほどには多くないため、これからデータ数が上がって変化する可能性もあります。猫種のうちでは比較的長命なチンチラの血を引いていますので、長生きを期待したいところです。

性質はバーミーズの人懐っこさを受け継ぎつつもそれよりは大人しく、チンチラの落ち着きを兼ね備えつつもそれよりは社交的、両猫の良いところを持ち合わせています。キャットショーにおいてこういった気質をも審査対象に含まれたのはバーミラが初めてでした。

飼い主に強い関心を示し、ほめられたり注目されるのが大好きな反面、依存心よりは独立心が強く、かまわれたい時はかまって欲しいけれど独りでいたい時はそっとしておいて欲しい、という猫らしい性格の子が多いようです。

独りの時間も大切にしたいタイプなので、ある程度のお留守番もストレスになりにくいと言えるでしょう。

バーミラを飼うときに気を付けたいこと

物覚えが良く、ほめられるのが好きなのでしつけのしやすい猫と言えます。大人しい性格ですが遊び好きで好奇心も旺盛、運動や探検が出来るタワーなどを用意してあげたいところです。

飼い主に対して深い愛情を抱きますが、かといって一方的にベタベタされるのはあまり好みません。お膝に載ってきた時には思いっきりかまって、離れて行ったら深追いしない方が嫌われません。

同様に、多頭飼育や他のペットとの同居においても社交的にふるまい、うまく付き合っていけますが、みんなとずっと一緒にいるとストレスを感じてしまうため、独りだけで寛げる空間を用意してあげて下さい。

体質面では見た目以上に毛が多いために2、3日おきの小まめなブラッシングと、暑さ対策が必要です。次項で詳しく述べますが、腎不全を起こしやすい遺伝的な傾向がみられるため、水を飲みやすい環境を心掛けましょう。

また、鳴き声が大きいので集合住宅では隣への影響も気がかりとなり、バーミラ自身も工場や自動車の大きな音などの騒音が苦手なため、あまり都会ではない土地柄での一軒家での飼育が向いているとされ「田舎暮らしの猫」とも呼ばれています。

バーミラが気を付けたい病気

バーミーズとチンチラからたくさんの良いところを受け継いでいるバーミラですが、遺伝的に起こりやすい病気の因子も受け継いでいる場合があります。

バーミラに起こりうるチンチラ由来の病気としては多発性嚢胞腎(PKD)や網膜変性症(PRA)が挙げられます。

PKDは腎臓の中にたくさんの水泡ができて本来の腎臓の働きを阻害し、腎不全に至ります。チンチラに好発し、両親のうちのどちらかが発症していればその子供にも50%の確率で発症するほど遺伝的要因の強い病気です。

PRAは加齢とは無関係に網膜の萎縮が進み、早ければ生後数ヶ月で発症してほどなく失明してしまいます。猫には稀な病気ですが、アビシニアンやチンチラ(ペルシャ)には好発例が多くあります。

バーミーズ由来の病気としては低カリウム血症が挙げられます。血液中にあって神経や筋肉の制御を司っているカリウムが低下すると生命の維持に関わる心臓を始めとする臓器の働きなどにも影響が現れて重篤化すれば死に至る病です。

極端にカリウムが乏しい食生活が原因となりますが、遺伝子の変異によって起こる可能性もあり、バーミーズやバーミラはそのリスクが高い遺伝傾向にあると考えられています。

GCCFではこれまで、繁殖予定の猫に対し、低カリウム血症のDNA検査を行うか否かはブリーダーの判断に委ねていましたが、2018年からは既に検査済みの個体を登録すると共に今後生まれてくるすべての子猫に検査を義務付けるとしています。

これらの病気は今現在、確たる治療法が無く、いずれも遺伝的な要因とあって予防法も無く、進行性にして不可逆の難病です。少しでも発症のリスクを減らすために、バランスの良い良質な食事や充分な水分を欠かさず、定期的に検査を受けることが大切です。

そしてバーミラに限らず、猫は全般的に歯周病やアレルギー、皮膚疾患、そして腎臓病のリスクの高い動物です。少しでも様子がおかしいと感じたらすぐに受診するようにしましょう。

バーミラをお迎えする方法

現在、日本国内での飼育頭数は極めて少なく、ブリーダーも皆無に等しい状態です。そのため海外(主にイギリス)のブリーダーと直接交渉する、あるいは輸入代行業者に依頼するといった方法になります。

現地でのバーミラ本体のお迎えの価格は大体20万円ほどであることが多いようです。生体を輸入する際、条件によっては空港や港湾に置かれた所轄の動物検疫所で最長180日間の係留検査を受けなければならず、この間の預かり費用など輸入に関するコストも考えておく必要があります。

Asian Cat AssociationのFacebookページではバーミラを含むエイジアングループのブリーディング情報が逐次更新されていますので、興味のある方は覗いてみて下さい。エイジアンの愛くるしい子猫や親子の画像は見ているだけで癒されますよ!

いつかは撫でてみたいバーミラ

ネットは便利なものでして、こうしてバーミラとキーボードで打ち込むだけで、ぱっちりした目の印象的な愛らしいお顔も、もけぶるように色味の差した美しい毛色も、トコトコと音を立てて歩きそうな体つきも、存分に見て楽しむことが出来ます。しかし画像、触ることはできません。

シルクのような手触り、サテンのような光沢と称されるその毛並みをいつかは撫でてみたいものです。

世界中はネットのみならず生き物や物の行き交いでも繋がっているのですから、誰かがバーミラを日本にお迎えして、国内で数を増やす日が来るかもしれません。いつかモフれるその日を楽しみに待ちましょう。

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