猫の社会性とは。ペットショップの猫は社会性がないって本当?

猫は自由を愛する動物というイメージが強いため、社会性があると言われても疑いたくなりますよね。自己中心的でワガママで気分屋で孤独を愛する。

そんなイメージから社会性という言葉からかけ離れているイメージがありますが、実は猫は社会性を重んじる動物なのです。

今回は猫の意外な一面があきらかに?猫の社会性とはどのようなものかご紹介しましょう。この記事を見たら今日から猫を見る目がほんの少しだけ変わるかもしれませんよ。


猫の社会性は、犬や人間の社会性とちょっと違う

社会性とは社会で生きていく中で必要とされるスキルのことをいいます。人間で言えば会話だったり、他人に対する態度だったり、モラルだったりという、社会で生きていく中で最低限守らなければいけない常識のことを言いますよね。

そんな人間世界で行うような社会性を猫が持っているの?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょうが、猫にとっての社会性とは人間の社会性とは違ったものになってきます。

縄張りの確保

猫の社会性とは「共に暮らす猫同士がいかにストレスをお互いに感じることなく過ごせるか」ということが重要になってきます。

そのために必要なのが、自分の縄張りの共有と最低限のマナーです。

同居猫がいる飼い猫にしても、野良猫にしても縄張りとできるスペースは限られていますので、どうしても自分の縄張りに他の猫が入ってくることもありますし、縄張りが少々被ってしまうこともあります。

猫は元々縄張り意識が強い動物ではありますが、自分の縄張りに他の猫が入ってきたからといちいち怒っていては大変ですよね。そこで、ある程度のコミュニケーションをとることでお互いを認識し縄張りを共有することを認め合っているのです。

これも立派な社会性が身についている為といえますよね。さらに、この縄張りが近い、または被っている猫同士で一定のコミュニティを作り一か所に集まっては情報交換をする「猫集会」を開催しています。

これも猫が社会性を身につけている為、見られる行動だといえますよね。

猫社会のルールがある

猫は自由奔放で毎日のんびりと自分勝手に生きているイメージが強い動物ですが、猫社会には猫同士の仲で最低限のルールが存在します。

  • 鼻と鼻をくっつける
  • お互いのニオイを確かめあって挨拶をする
  • 正面から目と目を合わせない
  • お気に入りの場所は取ったもの勝ち
  • 喧嘩は降参したら終わり

このように、猫社会には猫なりのルールが定められているのです。これも社会性が存在しているからこそ、成り立っているルールといえますね。

その中でも、あいさつであるお互いのニオイを嗅ぎ合うという行為は、お互いに敵意が無いことを確認し合うためにも大変重要な行為です。

また、猫は縄張りを共有しあって生きていますが、その縄張り内にある休憩できる絶好の人気スポットは早いもの勝ちです。

どれだけ自分がその場所でのんびりと休みたいと思っていても先客がいたらあきらめるか、先客が移動するまでジッと待ちます。

決して無理矢理どかせたり、場所の取り合いで喧嘩をしかけたりしないところも社会性があるためだと言えますよね。

無用な喧嘩を避ける

猫は自分の縄張りを決まった時間に巡回するのがルーティーンですが、その巡回ルート上にどうしても馬が合わない、仲の悪い猫がいる場合どうすると思いますか?出会ったが百年目!と言わんばかりに喧嘩をすると思いますか?

実は縄張りが被っている、または縄張りの近くに気が合わない猫がいる場合、猫は無用な喧嘩を避けるためにお互いに気を使って巡回時間をずらしたり、巡回ルートの順番を変えたりたりといった工夫をして、仲の悪い猫に合わないようにするのです。

これも猫が社会性を持っているがためにできることですよね。ただ縄張りが重なるくらいに近くに住んでいるのですから、巡回時間以外でもたまたま鉢合わせをしてしまう場合もあります。

その時は喧嘩をするのか?というと、必ずそうではありません。

猫は無用な争いを避ける動物なので、もしお互いに鉢合わせをしてしまった場合は視線を合わせることなくお互いに気を使いながら足早にその場を去るのです。

これもお互いが極力ストレスを感じることなく暮らす為の社会性だといえますよね。

人間社会に溶け込むための社会性

猫の社会性は猫の社会に適応するためだけではなく、人間社会で共に暮らしていくために身につけた社会性も存在します。

飼い猫を見ているといつも自由気ままでのんびりしていて、自分勝手な動物だなと思ってしまいますよね。

しかし、飼い猫が人間たちの中で暮らしているということ自体がよく考えてみたら社会性を身につけているということになるのです。

  • 猫用トイレで排泄する
  • 家具や壁ではなく爪とぎで爪をとぐ
  • 飼い主様に甘える
  • 室内が自分のテリトリーと認識している
  • 他の同居猫と喧嘩することなく生活をしている
  • 餌がどのように与えられるか知っている
  • 猫だけで留守番が出来る

これだけのことを出来るというのは、人間社会に適応できるだけの社会性を身につけているためだといえます。また、人間が餌をくれると認識し人間に甘えてくる、餌をおねだりするのも社会性があるからこそといえますよね。

ペットショップの子猫は社会性がない?

ペットショップで売られている子猫は社会性が身についていないから、何らかの問題を抱えていることが多い。

そんな話をきいたことがありませんか?これは幼いころから母猫から離されて生活をしているために言われている言葉なのです。

猫の社会性が身につく時期

猫は社会性をどのように身につけるかご存知ですか?猫が社会性を身につける時期は生後2週間~生後3ヶ月くらいの間と言われています。

この時期に、母猫や兄弟猫と過ごしながら猫社会のルールや他の猫との接し方や猫社会のマナー、猫にとって危険な物などを学びます。

この時期を猫の社会化期といい、この社会性を身につける時期にどのような経験を積みどのようなことを学ぶかによって、その猫の人生や性格は大きく変わってきます。

ペットショップで過ごす社会化期

生後3ヶ月の間は、通常母猫からたっぷりの愛情を受け、たくさん兄弟猫と遊ぶことで猫は社会性を身につけて、猫らしい性格の猫となっていきます。

しかし、ペットショップの猫を見ていると生後3ヶ月未満の子猫がショーウィンドウの中で一匹だけで入れられて過ごしている姿を見ますよね。

このように、社会性を身につける時期である社会化期に一匹だけで過ごすことこそ、ペットショップの子猫が社会性を身につけていないと問題視される所以なのです。

その子猫の人生や性格を大きく決定付けるとされる、社会化期に他の猫と過ごすことなく、人間とも最低限の触れ合いしかできずに孤独に育ってしまった子猫はどうなると思いますか?

  • 他の猫を怖がる
  • 人間を怖がる
  • 遊び方がわからない
  • 精神不安定で情緒不安定になる
  • 怖がりで臆病な性格

このような性格の猫となってしまう可能性があるのです。また、本来なら身につけないといけない猫が持っている社会性を全く身につけていないため、購入された家庭に先住猫がいた場合は同居をするのが困難になる場合もあります。

ただ、最近のペットショップでは猫の社会性のことを考えて生後3ヶ月未満の子猫は母猫と共に過ごさせるようにしたり、同じくらいの子猫同士で触れ合えるように工夫されているところもあります。

その他にも、ペットショップ店員やブリーダーが母猫の代わりとなって遊んであげたり、たくさん愛情を注いであげたりしている店舗もありますので、一概にペットショップの猫は社会性を身につけていないとは言い切れないのです。

猫に社会性を身につけさせてあげる方法

猫の社会性は生後3ヶ月までに、どのような経験をしてどのようなことを学んだかによって変わってきますが、もし生後3ヶ月未満の小さな子猫があなたの元に来たとしたら?

猫に社会性を身につけさせてあげるのは、飼い主となったあなたがしないといけません。

でも、具体的に猫に社会性を身につけさせるってどうしたらいいの?そんなお困りの方も、これから子猫を迎え入れる予定のある方も、ない方も、社会化期の猫に社会性を身につけさせるためにできることをいくつかご紹介しましょう。

兄弟猫のようにたくさん遊んであげる

社会性を身につける時期の猫は兄弟猫とたくさんじゃれ合って遊びながら、攻撃をする力加減を学びます。

猫が甘噛みをするのもこの時期で、兄弟猫同士で甘噛みをし合う事でどれだけ痛いか、どれくらいの力を入れたら痛いと怒られるのかということを、身を持って知るのです。

そのため、社会性を身につける時期の子猫を育てる場合は、猫が甘噛みをして痛かったら痛いと教えてあげる必要があります。そうでないと、じゃれ合っている途中で興奮して力いっぱい噛まれて痛い思いをすることになってしまいます。

また、猫はこの時期に爪の立て方などを学びますので遊んでいる途中で思いっきり引っかかれることもあるかもしれません。その時も社会性を身につけてもらうためにしっかりと駄目なことを教えてあげるようにしましょう。

この時期は、兄弟猫とたくさん遊ぶことで猫本来の明るさや、自由奔放さを身につける時期でもありますので、スクスクと育ってもらうためにも兄弟猫の代わりとなってたくさん遊んであげるようにしましょう。

母猫のようにたくさんの愛情を注いであげる

生後3ヶ月未満というと、本来ならば母猫にたくさんの愛情を注いでもらいながら、ゆったりとした子猫時代を過ごすべき時代です。

そのため、この時期の子猫には母猫からうけるべきだった愛情をしっかりと飼い主が注いであげる必要があります。

でも、猫に愛情を注ぐって具体的にどうしたらいいのかわからないという方、そんなに難しく考える必要はありません。

できるだけ一緒に過ごすようにし留守番をさせる時間を短くしたり、たくさん抱っこしてあげたり、甘えてきたら思う存分甘えさせてあげたりとたくさん可愛がってあげるだけでいいのです。

たくさん可愛がってあげるだけで猫は社会性を育むだけではなく、精神的にも安定した猫に成長します。ぜひ母猫の気持ちになって、子猫に社会性を身につけさせてあげるためにもしっかりと愛情を注いであげましょう。

人間社会のルールを覚えさせる

人間と共に生活するには、人間社会に適応した社会性を身につけさせる必要がありますよね。その点からいえば、生後3ヶ月未満の子猫を迎え入れるのはいい方法だといえます。

生後3ヶ月未満の子猫は社会性を身につけている真っ最中なので、この時期に人間と共に暮らすための社会性を覚えさせるのは、比較的簡単です。

例えば、爪とぎのやり方や、トイレの位置、ご飯、猫が生活するテリトリーの把握など、共に生活するうえで守ってほしいルールをこの時期に覚えさせることで、猫も人間も快適に過ごせるようになります。

もちろん、人間社会に適応させたいと考えるがあまり、猫がストレスをため込んでしまうようなルールを作るようなことはしてはいけません。社会性とはお互いがストレスなく過ごせることを言います。

人間の都合だけを考えたものは、お互いが快適に過ごせる社会性のルールとはいえませんので、その部分だけはしっかりと注意をするようにしましょう。

猫は社会性を重んじる動物

社会性を重んじる動物といえば犬。というイメージがあるかもしれませんが、実は猫も猫なりに社会性を重んじる動物なのです。

猫が社会性を身につける時期である社会化期にどのような経験を積み、どのようなことを学ぶかによってその猫の性格は大きく変わります。

猫にとっても生きやすいように、社会性を身につけて伸び伸びと穏やかに猫らしい生活を送れる幸せな猫となってもらうために、社会性を身につける社会化期の過ごし方には十分注意をしてあげるようにしましょう。

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