猫にとって、毎日のお水はフードと同じくらい大切なものです。
私たち人間は浄化された水やミネラルウォーターを飲んでいるにも関わらず、家族同然である猫ちゃんへ水道水を与えることに抵抗がある飼い主さんも多いかと思います。
では愛猫へ与える水はどのようなものがベストなのでしょうか。
今回は、水道水の安全性や飼い猫への影響についてご紹介します。
そもそも猫は一日にどれくらいの水が必要なの?
私たちが家で飼っているいわゆるイエネコの祖先は、リビアヤマネコとよばれる砂漠に暮らす種類の猫です。砂漠の生活では、朝と夜の寒暖差や厳しい気候にも耐えなければなりません。
こういった厳しい環境に耐え抜くため、リビアヤマネコの身体は、水分が失われにくく、汗をかきにくい体質になっています。
このリビアヤマネコのDNAを受け継いだイエネコも、あまりのどの渇きを感じないといわれています。意識して水分を与えなければなかなか飲んでくれないことも。
しかし、のどが乾かないからといって、猫に水分が不必要なわけではありません。
これはあくまで必要な水分量なので、水分が多くふくまれているウェットフードなどを与えている場合、食べ物から補うこともできます。
また、乾燥しているドライフードには水分がふくまれていないように見えますが、実は10%ほどふくまれているのです。
必要な水分の量は食事によって異なります。必ずフードと一緒に新鮮な水も与えましょう。
飼い猫に水道水を与えても問題ないの?
猫の身体は、質の良いフードと新鮮な水によってつくられます。
では、毎日の飲み水に水道水を与えても問題はないのでしょうか。
日本の水道水は世界一!?その安全性とは
日本の水道水は、厚生労働省が定める水質基準項目と基準値に従って51もの項目をクリアしなければ家庭に運ぶことはできないと定められています。
この基準は世界的にみてもとても厳しい基準値なので、日本の水道水の安全性は確立されているといってよいでしょう。
また、水道水は塩素によって病原微生物の消毒をしているので、お腹を壊すような菌なども除かれていて清潔です。
これは人間が一生にわたって水道水を飲んでも健康に影響がないといわれている濃度なので、結論として、水道の水を猫ちゃんが毎日飲んでも身体に悪い影響がでることはないということです。
日本では水質の管理が厳しく、私たち人間が飲んでも害がないほどきれいなため、水道水の危険性は低いといえます。
水道水は猫にうれしい軟水!
みなさんは軟水や硬水という言葉を聞いたことがありますか?
軟水や硬水とは、水質をあらわす指標のひとつである硬度を意味します。
水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンがふくまれていて、水1000ミリリットルのなかに溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を硬度とよぶのです。
硬度は、(カルシウムmg/L×2.5)+(マグネシウムmg/L×4)で計算されます。
- 軟水→0~60
- 中程度の軟水→60~120
- 硬水→120~180
- 超硬水→180以上
とされていて、日本の水道水はミネラルを1リットルあたり40~70ミリグラムほどふくんでいるので軟水です。
後ほどご説明しますが、ミネラルウォーターなど硬水の水は尿結石にかかりやすく、水道水などの軟水は猫にも悪い影響を与えません。
しかし地方によっては水道水の硬度が高いケースもあるので注意してください。
水道水の危険性は完全にゼロなのか
先ほどご説明したとおり、水道水の安全性は高い基準値のクリアと塩素による消毒によって高いレベルで守られています。
しかし、安全性が確立されている水道水も、ある側面からみると危険な場合があるのです。それは、水道水を供給する配水管の老朽化です。
日本では1980年代後半まで、鉛をつかった配水管が使われることが多かったのですが、この鉛からつくられた給水管に問題があります。
給水管は約40年使うことができるといわれていますが、40年を過ぎても使われている水道管は全国で多くみられます。
鉛だけでなく、古い給水管のなかで発生した赤さびが水道水を汚染し、それを飲んだ飼い猫や私たちの身体に気づかないうちに汚染物質が溜まっていくという恐ろしいことも。
老朽化した配水管を交換するべきですが、点検や工事に時間がかかるので、すぐには対策できないのが現状です。
またマンションなどで使用される給水タンクも、給水管と同じように危険な場合があります。
給水タンクは、給水管と同じ老朽化だけでなく、蓋の閉め忘れによる異物の混入など、その危険性はさまざまです。
水道水は確かに安全で、健康にも問題ありませんが、水道局から蛇口まで運ばれる給水方法を考えるとその安全性に多少の疑問が残ります。
飼い猫に水道水を与えるメリットとは
飼い猫に水道水を与えるメリットとはなんでしょうか。
水道水を飲み続けて病気になってしまったというニュースもありません。
さらに、水道水は市販のミネラルウォーターなどと比べて経済的です。蛇口をひねればすぐに出てくるので、買い忘れなどの心配もありません。
また、仕事などで家を留守にしがちな飼い主さんは、朝にお水をかえて夕方まで帰らないなんてこともあるかと思います。
水道水は塩素消毒されているので、雑菌が繁殖しにくく清潔なままきれいなお水を保つことができます。
ミネラルウォーターは長期間そのままおいておくと雑菌が繁殖してしまったり、夏場はカビが生えてしまうことも。
もちろん、こまめにお水を変えてあげることが一番ですが、できないときも水道水ならある程度の衛生状態を保つことができるのです。
水道水とミネラルウォーター、どちらが良いの?
水道水を与えることに抵抗がある飼い主さんは、私たち人間も飲むことできるミネラルウォーターを飼い猫に与えることもあるかと思います。
しかし、ミネラルウォーターは、その成分をしっかり把握してから与えないと猫にとって恐ろしいデメリットがあるものも存在します。
一体そのデメリットとは何でしょうか。
ミネラルウォーターは硬水が多い
私たちが普段飲んでいるミネラルウォーターは、カルシウムやマグネシウムが多くふくまれている、いわゆる硬水のものが多いといわれています。
硬水のミネラルウォーターは、私たち人間にとっては便秘改善など、健康にも良いとされています。
もちろん、ミネラルウォーターにも種類があるので、軟水や中軟水のものもありますが、一般的に出回っているヨーロッパなどでつくられたミネラルウォーターには、硬水が多いといわれています。
硬水のミネラルウォーターはなぜ猫に良くないの?
人間にとってはダイエット効果もみられる硬水ですが、猫にとっては大きなデメリットがあります。
主な尿結石の種類として、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石のふたつがあげられます。
マグネシウムの過剰摂取によってストルバイト結石に、カルシウムの過剰摂取によってシュウ酸カルシウム結石になってしまう恐れがあるのです。
しかし、猫の身体をつくるうえでカルシウムやマグネシウムが必要ないわけではありません。
カルシウムもマグネシウムも、栄養バランスを考えてつくられたキャットフードに必要量がふくまれています。
ミネラルウォーターを与えるときはきちんと表記を確認し、硬水のものを与えることはやめましょう。
地域によって尿結石の発生率が異なるのは、その地域に住む猫の水道水の軟水・硬水が関係しているのかもしれません。
どうしても水道水を与えることに抵抗がある飼い主さんは
それでもやはり水道水を与えることに抵抗がある飼い主さんもいらっしゃるかと思います。
また、水道水を一度沸かすことで塩素を除くことができます。
浄水器で塩素を取り除いてくれるものもありますが、浄水器によってはマグネシウムを添加するなど、猫には良くない機能がついているものもあるので注意してください。
猫にとって毎日の飲み水はとても大切
水道水の安全性についてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
ミネラルウォーターもすべてが猫にとって危険というわけではなく、特に硬水のミネラルウォーターに注意してください。
軟水のミネラルウォーターを用意しておけば、災害時に水道水が出なくなっても、愛猫に新鮮な水を与えることができます。
猫にとって毎日のフードと飲み水は、ダイレクトに健康へ影響する大切なものです。
こだわってもこだわりすぎることはありませんし、常に清潔で新鮮なものを用意するよう気をつけてあげましょう。
みんなのコメント
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とても参考になりました!
ありがとうございます! -
安心しました❗️ありがとうございます🎵
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とても参考になりました❗
ありがとうございました❗😃 -
とてもよい参考になりました❗️ありがとうございます😊