愛猫の身体をつくるキャットフード。毎日口にするものだから、安全・安心なものを食べてほしいですよね。
キャットフードには肉や魚などの主原料のほかに、たくさんの添加物がふくまれています。もちろん、添加物のなかには猫の栄養バランスを考えて使われているものもあります。
しかし、防腐剤で賞味期限を長くしたり、質の悪い原材料を着色料で美味しそうに見せたりと、毒性の有無を問わず多く用いられることもあるので注意が必要なのです。
このの記事では、キャットフードに含まれる添加物の役割や危険性、購入時にみるべきパッケージの記載についてお話しします。
知らない間にかわいい愛猫に「毒」を食べさせていた…なんてショックなことにならないように、是非参考にしてくださいね。
添加物の本来の役割と、猫の身体にたいする危険な面
そもそも添加物はなぜ入っているのか、先ほどもお話したように猫のためを思って配合されているものもあります。すべてが悪!というわけではないのです。
添加物の種類や、本来の必要性について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
「身体に良くない」という点ばかりが目立ちがちですが、本来は、
- 見た目を良くする
- 保存性を上げる
- 香りづけをする
- 栄養分を強化する
などの目的で使われ、加工・保存の工程で必要になるものです。
添加物が入っている食品を食べると、すぐ身体に影響が出る!というわけではありません。
私たちが口にする添加物は、有害な不純物がふくまれていないかどうかについての厳しい検査はもちろん、使用基準についてもきちんと定められています。
しかし、これは人間の食品の場合で、ペットフードは必ずしも当てはまりません。
ペットフードにふくまれる添加物の基準は、一般社団法人ペットフード協会が「添加物使用に関する自主規準」で定めています。
アメリカ・ヨーロッパで使用可能な添加物や日本における食品添加物、飼料添加物が使用可能なため、添加物の種類も幅広く、完璧な安全性が確立されているとはいえません。
さらに、人間より何倍も小さい猫の身体は、添加物を体内から排出・中和する能力が弱いので、添加物の影響もダイレクトに受けてしまいます。
添加物は、長期保存や見た目の向上に重要な役割を果たしてきましたが、猫の健康を第一に考えると必ずしも必要なものであるとは限りません。
キャットフードのパッケージは原材料名を確認しよう
では、キャットフードのどこを確認すれば、添加物の有無を確認できるのでしょうか。
日本国内では、長い間ペットフードの表示に関する規制がありませんでした。
しかし、平成21年に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が施行され、ペットに悪影響を及ぼすペットフードの製造、輸入や販売が禁止されたことにより、一定の基準が設けられたのです。
この法律によって、キャットフードのパッケージで名称や賞味期限、原材料名などを確認できるようになっただけでなく、有害な物質をふくむペットフードの製造禁止、さらに基準・規格にあわない、あるいは有害な物質を含むペットフードが販売された場合、事業者に対してそのペットフードの廃棄・回収を命令することもできるようになりました。
では表示を確認してみましょう。
キャットフードのパッケージには以下のような記載があるはずです。
名称 | ペットフードの商品名だけでなく犬用か猫用かわかるように記載 |
---|---|
賞味期限 | 年月日または年月を表示 |
原材料名 | 使用した原材料を添加物も含めすべて記載 |
原産国名 | 最終加工工程を完了した国 |
事業者名及び住所 | 事業者の種別と名称、住所を表示 |
添加物は原材料名で確認ができます。
ペットフード安全法は、総合栄養食だけでなく、おやつやスナック、ガム、サプリメント、ミネラルウォーターなども対象となります。
また、日本語で表示することが義務付けられているので、きちんとチェックしてから購入しましょう。
注意すべきキャットフードに含まれる添加物:着色料
キャットフードにふくまれる添加物には次のものがあります。
- 着色料
- 保存料
- 酸化防止剤
- 香料
なんと添加物のなかには発がん性のリスクを指摘されているものも!
愛猫の身体をつくる毎日のフード。添加物は小さな身体にどのような影響を与えるのでしょうか?
まずひとつめ、添加物の一種である着色料は、フードの見た目を良くするために使われます。
いわゆるカリカリとよばれるドライフードは、製造過程でさまざまな材料を混ぜて加熱・乾燥させることで茶色や灰色などの地味な色になります。
しかし、市販のドライフードには赤・緑・黄色など、色鮮やかなものがたくさん。原材料にお肉がふくまれていないフードでも、着色料で赤くすることによってまるでお肉がふくまれているかのように見えるのです。
おいしそうな色になったフードで愛猫の食欲が増進されるならそれでいいのでは…と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、実は、猫は視覚で食べ物を選ばないといわれています。
猫が食べ物をおいしそうかどうか判断する基準は、視覚よりも嗅覚です。
それは、私たち飼い主へのアプローチに他なりません。カラフルな着色料につられて購入しても、猫にはまったく意味がありません。
また、着色料はドライフードだけでなく、ウェットフードにも添加されているので、しっかり表示を確認しましょう。
香料をつけないと食べてくれないほど原材料の食材が粗悪なものもありますので、香料が使われているフードには要注意です。
猫はにおいに敏感なので、粗悪な素材を使ったフードは警戒して食べないことがあります。猫の嗅覚をだますようなフードではなく、無香料の安全なものを選びましょう。
合成着色料と天然着色料のちがい
キャットフードに使われている着色料には次の2種類があります。
- 合成着色料
- 化学合成によって生産された着色料のことです。比較的安いフードに使われ、添加しても基本的に味が変わりません。
- 天然着色料
- その名の通り、植物性・動物性の自然由来のものを原料とした着色料です。
合成着色料ほどの強い着色力はなく、添加することでフードの味が変わってしまうこともあります。
名前を見れば、合成着色料よりも天然着色料のほうが身体に悪くないイメージをもちますが、発がん性などの健康リスクが危険視されている天然着色料もあります。
どちらにしても、不要な着色料は避けてあげましょう。
合成着色料の赤・青・黄色系。それぞれの危険性
合成着色料には赤・青・黄色系とよばれるものがあります。
主に使われるものについてご説明します。
赤色2号・赤色3号とよばれる着色料には発がん性があるといわれ、アメリカでは食品の使用が禁止されています。
赤色40号は、私たちの駄菓子や清涼飲料水に使われている着色料です。発がん性・甲状腺の異常・アレルギーの原因になるといわれています。
赤色102号はすでにカナダ・ベルギー・アメリカで食品への使用が禁止されている着色料です。アレルギーの原因になるといわれています。
一部の研究者の間では、青色1号には発がん性が、青色2号には遺伝子損傷性を報告しています。
黄色4号は蕁麻疹との関連が危ぶまれていて、現段階では影響するかも知れないので注意が必要とされています。
黄色5号は健康に悪影響を及ぼすかどうかまだ不明な点が多い着色料です。アレルギーを引き起こす可能性があるとされ、EUの数か国では食品への添加が禁止されています。
もちろん、これらの着色料はキャットフードの製造時に使用量を調節しているとは思いますが、このような害が報告されていることを頭におきながらキャットフードを選びましょう。
安心できない!キャットフードにふくまれる天然着色料
天然着色料は着色力があまり高くないので、合成着色料に比べて添加されているフードは少ないようですが、天然だからといって安全なわけではありません。
天然着色料のひとつにカラメル色素とよばれる着色料があります。
カラメル色素は砂糖と水を煮詰めることでつくることができますが、食品やペットフードに使われているカラメル色素はアンモニア・亜硫酸塩・糖類を反応させて、工業的に生産されたものです。
カラメル色素には複数の系統があり、発がん性が疑われているものもあります。
酸化鉄とよばれる天然着色料は、化粧品やインク、ペンキなどに使われる着色料です。過剰に摂取することで鉄中毒を引き起こす可能性があります。
合成着色料に比べてマイナーな天然着色料ですが、猫に必要な添加物ではありません。それでも残念なことに、着色料を使用したキャットフードはペットショップにあふれています。
きちんと表示を確認し、無着色のフードを選ぶよう心がけましょう。
今回紹介した以外にも、キャットフードにはさまざまな着色料が使われています。また、研究が進むにつれ、その添加物の危険性が発見されることもあります。
例えば、白色に着色できる酸化チタンは、日本で食用添加物としての認可を受けていて、食品や化粧品、キャットフードにも使われていました。
しかし、酸化チタンの粉塵を吸い込んだ場合の発がん性の可能性があると報告があり、今は人に対して発がん性の可能性があると変更されています。
最新の情報をきちんと知ることで、安全・安心なごはんを選びましょう。
注意すべきキャットフードに含まれる添加物:保存料
保存料は、開封後のキャットフードが痛んだり腐ったりすることのないように添加されているものです。
すぐに痛まないフードは飼い主にとって便利なものですが、猫には決して身体に良いとはいえません。発がん性のリスクが指摘されている酸化防止剤なども保存料の一種です。
保存料の種類・性質についてご紹介します。
合成保存料と天然保存料のちがい
保存料にも、着色料と同じように合成のものと天然のものがあります。
天然保存料は自然由来の材料でできているので、単に賞味期限をのばすことだけを目的につくられた合成保存料より、その安全性に期待されています。
天然保存料が使われているフードには「合成保存料無添加」などの表記がありますので、確認してみてください。
良質なプレミアムフードにも使われる天然保存料は、猫が摂取しても最後は尿になって身体の外へ出るものが多く、比較的に安全だとされています。
しかし、合成保存料に比べて天然保存料の研究はまだ少ないのが現実です。天然のものだからといって身体に良いというわけではありませんので注意してください。
また、フードの容器に脱酸素剤を入れることで、酸化を防ぐことができます。消費期限をしっかりと守り、おいしくて安全なフードを食べさせてあげてください。
食品を長持ちさせる添加物、合成保存料
フードに含まれる合成保存料にはさまざまな種類がありますが、大きくわけて次の2つに分けられます。
- 酸化防止剤
- 防腐剤
酸化防止剤の代表的なものに、
- BHA
- BHT
- エトキシキン
などがあります。
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)は、フードの酸化による変質を防ぐための添加物です。強い毒性や発がん性があり、人間への使用を禁止している国もあります。
BHT(ブチルヒドロキシトルエン)にも発がん性のリスクが指摘されています。食品だけでなく、私たちが使う化粧品などにも使われている添加物です。
エトキシキンは、なんと殺虫剤に使用されることもある添加物です。発がん性だけでなく、アレルギーを引き起こす可能性があると報告されています。
防腐剤の代表的なものには
- 硝酸ナトリウム
- 亜硝酸ナトリウム
などがあります。
硝酸ナトリウムと亜硝酸ナトリウムは主にお肉に添加される防腐剤です。カビや細菌の発育を抑制し、食品の保存性を高めてくれます。
キャットフードの赤色着色剤や保存料として広く用いられ、お肉の色素に化学反応を起こして、鮮やかな赤色に発色し、肉が黒ずむのを防ぎます。
亜硝酸ナトリウムは、魚卵、魚肉などにふくまれているアミンという物質と胃の中で化学反応を起こし、ニトロソアミンと呼ばれる強力な発がん性物質が発生します。
大腸がんを引き起こす原因ともいわれているので、注意が必要です。
食品を長持ちさせる添加物、天然保存料
天然保存料はキャットフードのなかの油脂の酸化を防ぐ酸化防止剤として使われ、主にドライフードに添加されます。
合成保存料と比べて種類が少なく、合成保存料よりも効果が強力ではないので賞味期限が短い場合があります。
天然保存料の代表的なものに、
- アスコルビン酸
- TCP
- ローズマリー抽出物
などがあります。
アスコルビン酸は食品の酸化を防ぐ添加物です。水溶性なので、過剰摂取しても多くの割合が尿で排出されます。
アスコルビン酸の多くはビタミンCとして機能するので、身体の免疫力を高める効果があるといわれています。
TCP(トコフェロール)は、植物性油脂からとることができる添加物です。ビタミンEとして機能しています。
ローズマリー抽出物は食用ハーブのローズマリーから抽出したものです。フードの酸化を防いでくれます。
合成保存料に比べて保存期間の短い天然保存料ですが、怖い添加物がたくさん添加されているフードよりも、安全・安心に食べられるものを選びましょう。
添加物の摂りすぎから飼い猫を守るために、あなたができること
今回ご紹介した以外にも、キャットフードにはたくさんの添加物がふくまれています。
すべてが身体に害を与え、悪影響を及ぼすものとは限りませんが、猫の成長を阻害するような添加物はたしかに存在します。少量ずつでも、毎日摂取するうちに毒性が発見される添加物もあります。
すべての添加物が悪いというわけではありませんが、不要な添加物は使わないにこしたことはありません。
飼い猫の健康と安全な食生活を守るため添加物についてきちんと確認し、安心できるキャットフードを選びましょう。