猫のチャームポイントでもあるかわいいらしいおひげ。ぴょんぴょんでていてかわいいですよね。
ついついさわりたくなってしまう長いひげですが、実は猫にとって「もっともさわってほしくない部分」なのです。
今回は猫の大切な器官であるひげについてご紹介します。
この記事の目次
猫のひげはどの部分の毛を指すの?
イラストでよく見る猫のひげは頬の毛が多いですが、猫のひげは頬だけではありません。
飼い猫の顔をよく見てみてください。頬だけでなく、両目の上や口の左右、あごにも生えていますよね。このひげには一つひとつ意味があります。
例えば、目の上のひげは目を守る役割があります。このひげに何かがあたると、猫は反射的に目を閉じ、異物を阻止するのです。
さらに顔だけでなく、身体にもひげが生えていることをご存知ですか?
前足の裏、親指のあたりにも長くて太い毛があります。
これは狩りのときに獲物をさわり、生きているかどうか確認するために役立てていたといわれています。ハンターの名残ですね。
また、歩くときに障害物を感知する役割もあるそうです。
ひげは猫の身体全体で60本ほど生えているといわれています。愛猫の顔や身体をよく観察すると、意外な場所に生えているひげに気づくかもしれません。
猫のひげには大切な機能がたくさん
猫がせまい場所にするすると入り込んでいく様子を見たことはありますか?
どうしてあんな隙間に入れるのだろうと疑問に思いますが、その動きを支えているのが実はひげなのです。
猫のひげは触毛とよばれる感覚器官で、人間のひげにはない重要な役割をもっています。
その働きはさまざまで、
- 距離をはかる
- 振動を感じ取る
- 平衡感覚を保つ
など、猫はひげによって周囲のあらゆる情報を集めています。
猫は人間の10分の1、0.1~0.2程度ともいわれるほど目の悪い生き物です。10メートル先くらいのモノしか認識できず、視界はぼんやりしています。
目の悪い猫は、視力で得られない情報を敏感なひげを使ってキャッチしているのです。
猫のひげの毛根のまわりには、神経細胞がたくさん集まっています。ひげの先端に何かが触れることで、その情報が素早く脳に伝わる仕組みになっているのです。
狭い場所を通るときも、ひげの当たり具合によって、この先が通れるかどうか測っているといわれています。
また、猫のひげは壁などの物体だけでなく、空気の微妙な振動も感じ取ることができます。
真っ暗な部屋のなかをぶつからずに動いたり、まだ目が見えない子猫の時期に母猫のおっぱいを見つけられるのも、この敏感なひげがセンサーとして働いているおかげです。
母猫のお腹の中で子猫は体毛よりまずひげが生えることからも、猫にとってひげはなくてはならない大切な器官であることがわかります。
猫がごはんを食べたあとに顔を洗うような仕草をすることがありますが、この仕草は本当に顔を洗っているのではなく、実はひげのお手入れをしているのです。
ごはんや水がひげについてしまい、センサーが反応しないなんてことにならにように、しっかりとぬぐっていつも清潔に保っています。
ひげには猫の感情がつまってる!ひげでわかる猫の気持ち
ひげから猫の気持ちがわかったらおもしろいですよね。
いつもそうであるとは限りませんが、ある程度の感情はひげから読み取ることができます。ぜひ参考にしてみてください。
ひげから読み取る猫の気持ち
猫のひげは感情によってさまざまに変化します。
普通の状態では自然に垂れ下がっていますが、寝ているときやリラックスした状態のときはさらに下を向いています。
あなたのひざの上で愛猫がひげを垂らしてボーっとしているとき、母猫のそばにいるような安心感に包まれているのかもしれません。
また退屈しているときもひげが下に垂れるといわれているので、ひげを下に垂らしながらうろうろしているときは一緒に遊んであげましょう。
怖いときや緊張しているときは、ひげが頬の後方へ引っ張られるように広がります。
もともと狩りをして暮らしていた猫は、敵や獲物と対峙したときに少しでも多くの情報を察知しようとひげを大きく広げるのです。
ごはんを食べているときも後方に広げることがありますが、これは大事なひげが汚れないよううしろに向けているといわれています。
おもちゃなどに興奮して興味をもっているときは、ひげが前を向きます。ひげの前方に寄せることで、そこに何があるのか確かめているのです。
さらに、ひげが上を向いているときは感情が高揚していてうれしいときにあらわれる動きで、ほめられたときやおやつをもらったときによく見られます。
同時にしっぽもピンっと立っているようならさらにご機嫌なサインなので、さらにほめてあげるなどコミュニケーションをとることで信頼関係を深めましょう。
ひげが敏感過ぎてストレスになることも
猫のひげはその敏感さからストレスにつながることもあります。
フードやお水をのむ器が小さかったり深すぎるとき、ひげが器にあたってストレスを感じ、食欲がなくなってしまう猫ちゃんもいるほどです。
お皿の深さや高さなどを調整し、食べやすい環境をつくってあげましょう。
また、ひげはとても繊細な器官なので、むやみにさわることはやめてください。
猫のひげを切るのも抜くのもNGな理由
犬のひげはトリミングなどで短くすることもあるようですが、猫のひげを抜いたり切ったりすることは絶対にNGです。
その理由についてご説明します。
猫のひげは大切な感覚器官
ひげは猫の生活にとってなくてはならないものです。
ひげによる敏感なセンサーがなくなると、棚から棚へ飛び移ったり、すばやく移動することが困難になることがあります。
また、身体全体を覆っている被毛にくらべて、ひげは3倍ほど深い皮膚の下で知覚神経につながっています。つまり、引っ張るとひどい痛みを感じるということです。
昔から「猫のひげを抜くとネズミを捕らなくなる」といわれることがありますが、これは猫にとってひげがそれだけ重要なものであるということを指しています。
ひげを無くすと猫は元気がなくなり、隅のほうでじっと落ち込んでしまういわゆるうつ状態になるともいわれています。
枝毛になっていたり、左右がそろっていないからといって、絶対に切らないようにしましょう。
生え変わりで抜けるのはOK
猫のひげがたまに床に落ちていることがありますが、心配はいりません。
猫のひげは私たち人間の毛と同じように毛周期があり、半年に一度ほど抜けて生え変わります。
しかし、猫のひげがあまりにも頻繁に抜けたり、一度に大量に抜けるようなら、身体に何らかの疾患が隠れている場合があります。
毛穴に炎症が起きて皮膚炎を引き起こしていたり、ストレスでひげが抜けてしまっている可能性も。
あまりにもひげが抜けるようなら、かりつけのお医者さんに相談してみてください。
猫のひげが幸福を呼ぶ?でも絶対抜いたり切ったりしないで
愛猫との生活のなかで、ふと床を見るとひげが落ちていたなんてこともあるかと思います。
猫のひげは、お財布に入れて持ち歩けば財運がアップするといわれるなど、縁起物としても大切にされています。ヨーロッパでは恋のお守りとしても重宝されているそうです。
筆者も愛猫のひげが捨てられず、ティッシュにくるんで大切にとっていたこともあります。
今ではなんと猫のひげ用のケースまで販売されているそうなので、大切に保管したい飼い主さんはぜひチェックしてみてください。
猫のひげは年齢を重ねると白から灰色に変化します。さらに若いときほど長く、年をとると短くなるそうなので、愛猫の幼少期の思い出としてとっておくのも良いですね。
もちろん、ひげがほしいからといっていたずらで抜いたり切ったりすることは絶対にやめましょう。
かわいくてついついさわってしまいたくなるひげですが、とても敏感で大切な器官なのであまりさわらないように注意してなでてあげてください。