猫とビニール袋にひそむ思いがけない危険。便利な使用法にも注意!

猫は好奇心の強い生き物です。危機意識の低い飼い猫は、特に、危険なものと安全なものの区別もつけられません。なんでもオモチャにしてしまいます。

そんな猫のターゲットになりやすいのは、ビニール袋です。

人間にとっても便利なアイテムですが、猫飼いの方には、特に覚えておいてほしいことがあります。ここでは、ビニール袋が持つ特徴についてお話しましょう。

猫にとってビニール袋は魅力的。その理由を知ろう

猫がとかくオモチャにしやすい、ビニール袋。ビニール袋のどこに、それほどに猫を惹きつける魅力があるというのでしょうか。

ビニール袋の特徴から、その理由を見てみましょう。

もぐって良し、隠れて良しな形状

ビニール袋は、人間の生活では、とてもありふれていて身近なアイテムです。コンビニやスーパーで買い物をすれば、品物をビニール袋に入れてくれます。ビニールの種類も、透明なものや、炭酸カルシウム入りの白いものもありますね。

人間にとってはただの便利な袋ですが、猫にとっての魅力は便利さ以外のところにあります。

猫がビニール袋を好む理由のひとつは、その袋状の形です。猫は隠れるのが好きなので、体をすっぽりと覆い隠してくれる袋状ものが好きです。これは、紙袋などにも言えますよね。

袋の中からは、外が見える

ビニールを広げて、ビニール越しに、世界を見てみてみましょう。完全にクリアとはいきませんが、ある程度、ビニールの向こうの様子が見えるはずです。

ビニール袋をかぶった猫は、体がビニールに包まれているので、体を隠しているつもりになっているでしょう。

隠れられているのに外が見えるというのは、猫にとってはとても嬉しいことです。実際は隠れられてはいないのですが、猫にはそんなことは分かりませんからね。

ビニールの中はとってもあたたか

ビニールには、保温性があります。

ビニール袋は、風を通しません。風を通さないということは、空気の出入りがないということです。

ビニール袋の中に猫が入ると、ビニール袋の中の空気は猫の体温であたたまります。あたたまった空気は逃げていくことはなく、猫をほんわかと包んでくれます。

あたたまった空気を逃がさないビニール袋の中は、とってもあたたかいのです。猫はあたたかいところを好みますからね。

カシャカシャ楽しい音が鳴る

もうひとつの理由に、ビニール袋特有の音があります。すこし固めのビニール袋は、踏んだりこすったりするたびに、カシャカシャと小気味の良い音が鳴ります。この音が、猫を惹きつける要素のひとつなのです。

ビニール袋で遊ぶ猫の写真

こんな特徴を持つビニール袋が、猫にとって魅力的でないわけがありませんよね。中には、ビニールの音を聞きつけただけで飛んでくる猫もいるほどです。

魅力ばかりを見てはダメ。ビニール袋の危険も知ろう

ここまでで、猫がビニール袋に惹かれる理由はお知りいただけたでしょう。猫が好きなものは、できるだけ与えてあげたいですよね。

ですが、安易に猫にビニール袋をあげるのは、ちょっと待ってください。ビニール袋には、思いもかけない危険が潜んでいるのです。

窒息の危険

ビニール袋をよく見てみると、注意書きが書いてある場合があります。特に見てみてほしいのは、「かぶって遊んだりしてはいけません。窒息の危険があります」という文章です。

これは人間のこども向けに書かれた文章なのでしょうが、猫にも同じことがあてはまります。猫には、危険を察知する能力が欠けています。楽しく遊んでいているうちに、うっかり窒息してしまうかもしれません。

ビニール袋は、細く裂けます。ビニール袋に入って遊んでいるうちに、爪でビニールが裂けて紐状になったりして、猫にからまってしまう危険もあるのです。

ビニールは意外と強靭な素材です。裂くのは簡単なのに、引きちぎるのは難しいのです。ですから、一度からまってしまうと、なかなかほどくことができません。実は、結構危ないものなのです。

ビニール袋を食べてしまう危険

ビニールを食べてしまう猫は、意外と多いものです。これには、何かの理由がある場合もありますが、理由がわからない場合もあります。

理由のひとつとして、「栄養バランスが崩れているから、異食をしてしまう」というものが考えられます。ミネラルなどが不足し、ビニールを食べることでそれを補おうとしてしまうのです。

その他の理由としては、噛み心地が良かったり、噛むのが楽しくなってしまうというものがあります。人間のこどもと同じように、口に入れて食べ物かどうか確かめようとする場合もありますね。

食べ物ではないものを食べてしまうことを、異食や誤飲といいます。少量ならば、吐き出したりウンチと一緒に出せたりしますが、量が多かったり出せなかったりすると、胃や腸などの消化管に引っかかっておなかが詰まってしまう場合もあります。

異食は、ビニール以外にも、発泡スチロールや毛糸などでも頻発します。「今まではそんなことがなかったのに、ある日、気が付いたらビニールをかじるようになっていた」なんて場合もあります。

ビニールや毛糸などの異食は、命にかかわる事態にもなり得ます。普段から、猫の様子に気を配っておきましょう。

猫が誤って食べ物以外のものを食べてしまった時は、緊急の手当てが必要な場合もあります。「もしかしたら」と思ったのなら、すぐに対処しましょう。詳しい対処方法が知りたい方は、是非こちらの記事をご参照くださいね。

猫が誤飲したときの症状&よく食べる物一覧。こんなサインは病院へ!

また、猫が吐く原因は、異食や誤飲だけではありません。「うちの猫は、もともとよく吐く猫なのよ」と思っている方もいるでしょう。ですが、猫が吐くさまざまな理由について気になる方は、こちらも見てみてくださいね。

猫が吐くのは放置厳禁の危険なサインかも!吐き癖の原因となる病気

ビニール袋の便利な使い方。でも落とし穴に気をつけて

ビニール袋を猫のオモチャにするのはオススメできませんが、それ以外の便利な使い方はいくらでもあります。ただし、どのような使い方をするにせよ、猫の身近にビニール袋を置いておくというのは、何らかのリスクを伴います。

猫それぞれの個性にもよるので、便利さとリスクの両方の観点から考えて、「自分の場合は使えるかな?」と考えてみましょう。

システムトイレの掃除を便利にする方法

システムトイレでは、猫トイレの底が、すのこ状になっています。猫がおしっこをすると、そのおしっこがすのこを通して下に落ちていきます。下には引き出しがあり、そこにペットシーツを敷く仕組みです。

システムトイレ専用のペットシーツは、多少値が張ります。ですが、お値段にふさわしく臭いをよく吸ってくれますし、専用の猫砂もそれほど飛び散ることはありません。きれい好きな方にはオススメです。

さらにきれいにトイレを使うために、「このトレイの部分に、ビニールをかぶせておく」という方法があります。トレイごとビニール袋に入れて、その上にペットシーツを敷きます。ペットシーツを捨てるときは、ビニールでくるんで捨てられます。

災害などで水があまり使えないときに、お皿をラップでくるんで使い、お皿を使った後はラップだけ捨てる方法がよく知られていますよね。それと同じ原理です。

この方法は、トイレ掃除のときに手を汚すこともなく、一見するととても便利に思えますよね。ですが、ビニール大好きな猫を飼っている方は、ちょっとだけ待ってください。

トレイごとビニールで覆ったあと、トレイを猫トイレに納めたとき、引き出し部分からビニールがちょろりと出てきてしまうのです。ビニール大好きな猫の場合、このビニールをいたずらしてしまうリスクが大きくあります。

普通の猫トイレに、あらかじめビニールをかぶせておく方法

これは、燃やせるゴミに出せるタイプの猫砂を使っている、普通の猫トイレの場合です。からっぽの猫トイレに、猫トイレの底がすっぽり覆えるくらいのビニールをかぶせておきます。ゴミ箱にビニールを設置する要領ですね。

ビニールの口は、猫トイレの縁にかぶせるようにして、くるり折り返しておきます。すると、ビニールの口を縛りさえすれば、そのまま猫トイレに入っている猫砂を、まるごとすべてゴミに出せるという寸法なのです。

この方法では、猫砂をまるごと捨てなくてはいけないというデメリットがあります。「汚れた部分だけ捨てて、他のきれいな部分は再利用する」ということはできませんね。

そして、自治体によっては、「ペットのウンチなどは、新聞紙にくるんでください」など指定をされている場合があります。まとまった量の猫砂を、そのままビニール袋に入れて捨ててよいか、お住いの地域のゴミ収集ルールを確認をしたほうがいいでしょう。

そして当然、この方法も、ビニールを猫がいたずらしてしまうリスクがあります。

猫の特性や、飼い主さんの生活スタイルによっては、便利に使える方法です。ですが、「よし、やってみよう」と思ったのなら、しばらくは猫の様子をしっかり観察してあげてください。でないと、見ていないところで事故がおこるかもしれません。

ビニールがなくても猫は満足できる。猫用オモチャのすすめ

「でも、猫はビニールが好きだし、楽しませてあげたい」と思う方もいるでしょう。そんな方には、猫用のオモチャを使用することをお勧めします。

ペット用品の開発は、日々研究がされています。開発研究に携わる方は、猫の好みだって、熟知しているものなのです。

その証拠に、猫用オモチャのラインナップを見てみましょう。

狩猟本能をくすぐる鳥の羽やネズミを模したオモチャや、本物のエノコログサのようなねこじゃらしなどが売られています。その中に、ビニールの特徴を上手にとらえたオモチャが、いくつも並んでいるはずです。

この画像は、ビニール特有のカシャカシャした音が鳴るトンネルです。

ビニールのトンネルで遊ぶ猫の写真

その他にも、固めのビニールやセロハンのような羽根がついた虫型の猫じゃらしなど、猫心をくすぐるアイテムが満載です。

ビニール袋は身近な素材かもしれませんが、気軽に猫に与えるには、その危険が大きいものです。安易に手に入るからといって、ビニール袋を猫に与えてしまうのはやめましょう。専用のアイテムを使って、安全に遊ぶことをお勧めします。

安全に気を付けながら、楽しい猫ライフを満喫しましょうね。

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