猫はビニールやリボンなど、ひも状のものが大好きな生き物。そんな猫が時折興味を示すのが、なんと人間の髪の毛です。
特にロングヘアの女性の髪の毛などは対象になりやすく、興味津々で見つめるだけではなく、口に入れて舐めたり噛んだり、時には食べてしまうことさえあります。
飼い主さんによっては髪にトリートメントなどを塗っていることもありますし、元々食べ物ではないのですから、猫が口の中に入れてしまうのは心配ですよね。
いったい猫はどうして髪の毛を食べようとしてしまうのでしょうか。また、止めさせる方法はあるのでしょうか。猫が髪の毛を食べる場合の原因や対策についてまとめました。
やみつき!?猫が髪の毛を食べる理由
猫が人間の髪の毛を口に入れたり食べてしまったりして困っているという場合、原因として考えられるのは以下のようなことです。
グルーミングのついでに飲み込んでしまう
猫は親しい相手には信頼や親愛の証としてグルーミングをしてあげます。毛皮を着ていない飼い主さんに対しても同様で、猫は飼い主さんの指や手を舐めたり、時には髪の毛を舐めたりしてくれるのです。
そのため、その時に猫が普段自分の毛を舐めて飲み込んでしまうように、飼い主さんの髪の毛も抜けたものを飲み込んでしまう場合があります。
猫がもしグルーミングするように飼い主さんの手を舐めてから髪の毛を食べているのであれば、きっと猫は飼い主さんの頭をグルーミングしてあげているつもりなのでしょう。
猫が飲み込む前にそっと口元から髪を外してあげたり、あまりに激しい場合はそもそも髪の毛を舐めさせないようにしたりする方がよいでしょう。
髪の毛の感触が気に入った
髪の毛を口の中に入れて噛むと、シャリシャリ、サリサリと言う独特の感触がします。猫によってはこの感触を気に入って、わざと口に入れているという可能性もあります。たまたま噛んだ時に味をしめたのかもしれません。
何か猫が気に入る匂いがしていた
頭は汗をかくため、飼い主さんの匂いが強くする場所でもあります。飼い主さんのことが大好きな猫なら、髪の匂いを嗅いだり、時に髪の毛を噛んだり食べてしまったりすることで、より強く匂いを感じたいと思っているのかもしれません。
あるいは、何か髪の毛にトリートメントなどを塗っていた場合、シャンプーの匂いが残っていた場合など、匂いが気になる時に猫は髪の毛を口の中に入れて、それがいったい何なのか確かめようとします。
おもちゃ代わりにして遊んでいるうちに食べてしまう
特にロングヘアの場合、長い髪の毛は猫にとって格好のおもちゃです。
もし猫が髪の毛を食べる際に、前足で髪の毛にじゃれついていたり、しっぽを獲物を狙う時のように興奮させてパタパタと振っていたりすると、おもちゃ代わりにしている可能性が高くなります。
他のもっと関心を寄せるおもちゃを探して、そのおもちゃで積極的に遊んであげるようにすると、そちらに興味が移るかもしれません。
髪の水分を舐めとっている
特にお風呂上がりの髪の毛が好きという場合、髪の毛に残っている水分を求めているのかもしれません。
水飲みボウルが置いてあったとしても、猫は蛇口の水や花瓶の水など、変な所から水を飲みたがる場合も多くあります。そのため、髪の毛から水分補給しようとしても、おかしくはありません。
あるいは、普段から猫草を噛んでその水分を得ている猫の場合、髪の毛を猫草代わりにしているのかもしれません。
水飲みボウルを増やしたり、猫草をさらに置いてみたり、給水器を設置したりして、猫の気を引く水飲み場を増やしてあげるとやむ事があります。
猫が髪の毛を食べる時の注意点
猫が髪の毛を食べて困ると悩む飼い主さんがいる一方で、飼い主さんの中には有害でなければ噛むぐらいはよいのではと考える人もいるかもしれません。実は、猫が髪の毛を食べてしまうことには大きなリスクがあります。猫が髪の毛を食べる場合は、以下のようなことに注意しましょう。
髪の毛が胃腸の中で絡んでしまう可能性
猫が髪の毛を食べてしまう場合、一番困るのが万が一にでも胃腸の中で絡んでしまう可能性があるということです。髪の毛のように細く柔らかいものであっても、決して油断はできません。
特に、1本や2本ならまだしも、大量に食べていたり、日常的に食べていたりすると、胃腸の中で詰まって手術することになるケースもあるので注意が必要です。
また、長い髪の毛だと排泄される時に猫の便と便を繋いでしまう場合があります。
猫が排泄し終わった後も、お尻から髪の毛や便が垂れ下がっていたり、猫の腸内にまだ残っている便にまで繋がっているなど、髪の毛を食べる猫にはよく見られる現象です。
もし、このような状況になった場合、お尻から出た髪の毛を飼い主さん自身が引っ張ってしまってはいけません。
トイレは生理現象ですから、飼い主さんが寝ている時間に排泄し、飼い主さんが気づかないうちにお尻から出ている髪の毛を引っ掛けてしまう可能性もあります。
猫の体は小さいものの、腸管は曲がりくねって驚くような長さがあります。甘く見ていると大変な目にあうかもしれませんので気をつけましょう。
もし、長い髪の毛のうち先端だけがお尻から出て垂れ下がっていた、というような場合は絶対に引っ張らず、そのまま病院へ連れていく必要があります。獣医さんの慎重な判断のもと髪の毛を抜いてもらいましょう。
また、もし出ている髪の毛が長すぎるという場合は、獣医さんが処置できるよう3センチ程度残してハサミでカットしておくと良いでしょう。
ただし、獣医さんがお腹に残っている分の長さを把握できるように、カットしたものは捨てずに袋などに入れて獣医さんに見せるのがベストです。
トリートメントやアロマオイルなどに注意
もう1つ注意しておきたいのが、シャンプーやトリートメント、あるいは髪に塗るアロマオイルなど、猫に有害な成分です。人間にとってはごくわずかな量であっても、体重が人間の1/10以下しかない猫にとっては大変な量です。
特に、洗い流さず洗い終えた髪に塗り込むタイプのトリートメントなどには十分に注意しましょう。髪の毛ごとこれらの有害な成分を食べてしまった事で中毒症状に陥る場合もあります。
最悪死に至る場合もありますので、トリートメントなどを塗った髪には断固として猫を触らせないようにしましょう。あるいは、トリートメントなどを塗るのをやめるというような選択が必要です。
髪の毛を食べた瞬間におもちゃなどで気を引いてはだめ
猫が髪の毛を食べるのをやめさせたいあまり、食べようとしている時におもちゃなど猫の好きなもので気を引く飼い主さんもいるかもしれません。しかし、このようなことは絶対にやめましょう。
悪循環になってしまいますので、くれぐれも注意して下さい。
もし、猫が髪の毛を食べることを防ぎたい場合は、これからご紹介するような対策をとると良いでしょう。
猫が髪の毛を食べるのを防ぐ3つの対策
猫が髪の毛を食べるのを防ぐためには、物理的に食べられないようにするか、もしくは猫が進んで食べなくなるようにするかのどちらかです。具体的には、以下のような方法を取ると良いでしょう。
髪の毛をまとめる、短く切る
猫が戯れることができる程度に髪が長い場合は、猫を抱っこする時など髪をまとめておくのが一番です。ヘアピンやターバンなどで軽く止めておくだけでも、だいぶ違う場合があります。
髪が必要以上に揺れたり、猫の目に入ったりしない環境を作ることで、猫が髪の毛への興味を失うでしょう。
髪の毛に猫が好きではない匂いをつける
猫は柑橘系の匂いが嫌いですので、柑橘系の匂いのするシャンプーやトリートメントなどに変えるというのもおすすめです。
また、お風呂から出る時に頭からレモン汁を溶かしたお湯をかぶるという方法もあります。ちなみにレモン汁は酸性なので、石鹸のアルカリ性に対してリンス代わりに使っている人も意外と多くいます。
このように少し匂いを変えるだけで、猫が髪の毛を食べなくなることもあります。猫は匂いに敏感ですので、香水のように強い匂いをするものをふりかける必要はありません。
食べた瞬間に抱っこするのをやめる
猫が髪の毛を食べた時、おもちゃなどで釣ると逆効果になるとお話ししました。このことを利用して逆に髪の毛を食べた瞬間に、ちょっとしたペナルティを与えることで猫が髪の毛を食べなくなる場合があります。
例えば、抱っこした時に髪の毛を食べると言うのであれば、猫が髪の毛を食べた瞬間抱っこするのを止め、猫を下に下ろすという方法があります。
寝ている時に頭の方に来て髪の毛を食べるのであれば、食べた瞬間に猫を寝室から追い出すというような方法も有効です。
このような行為を続けていると、猫が髪の毛を食べると自分の大好きなことがなくなってしまうとわかり、髪の毛を食べるのをやめることがあります。
また、いくらペナルティと言っても、直接叩くような体罰は厳禁です。あくまでその場で抱っこをやめるというような、軽いものにしてください。
猫が嫌な思いをするようなものではなく、猫の好きなものがなくなってしまうというようなペナルティを与えることで、猫は学習し、髪の毛を食べなくなる可能性が高くなります。
猫が髪の毛を食べるときは、できるだけやめさせるようにしよう
猫が飼い主さんの髪の毛を食べるという場合、髪にダメージがあるだけでなく、猫自身の健康にも影響する場合があります。
最悪の場合命に関わることにもなりかねませんので、髪の毛を食べるような行為はできる限りやめさせるようにしましょう。猫が髪の毛に興味を持ちにくくなるような環境を作ることで、猫が髪の毛を食べる行為をやめさせることができます。
猫によって髪の毛を食べる理由は様々です。猫の様子をよく観察し、猫に合った方法を取りましょう。またどうしても猫の髪の毛を食べる行為が止まず困るようであれば、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。