猫が去勢・避妊手術をしたあと、まるまると太ってしまったという話を聞いたことがある方も多いと思います。
これまでと同じようにフードを食べさせていると、どんどん太ってしまうだけでなく、肥満によるさまざまな疾患を引き起こしてしまう可能性も高くなります。
今回は、飼い猫の去勢・避妊後の食事について、注意すべきポイントや工夫のしかたについてお話します。
猫の去勢後・避妊後の食事で気をつけるポイント
去勢・避妊後にもっとも気をつけたい症状は「肥満」です。手術後は食欲が増加し、これまでと同じフードを同じ量与えていると栄養の過剰摂取になってしまうことがあります。
去勢・避妊手術後に太りやすくなってしまう理由、これは生殖器官に使われるエネルギーが消費されなくなることが原因であるといわれています。
エネルギーが消費されていないにもかかわらず、食欲は増加するので太りやすくってしまうのです。
さらに下部尿路疾患という、膀胱から尿道に起こる病気にも気をつけてあげなければなりません。
これらの症状が出ないために、どのようなフードを与えればよいのでしょうか?
高タンパク質でカロリーや脂質を抑えたものを選んで
まず大切なのは「高タンパク質」であることです。猫は肉食なので、必要な栄養素としてタンパク質の高いものを選ぶ必要があります。
また、DHAやEPAが豊富に含まれている魚を使ったフードは、カロリーや脂質を抑えているので、肥満気味になりやすい手術後の猫に適しています。
去勢・避妊後のフードにはカロリーや脂質を抑え、タンパク質が豊富にふくまれたものを選びましょう。
さらに食物繊維を配合することで、代謝を促し、健康な体重をキープすることができます。
穀物が多く含まれているフードはダメ!
原材料で注意しなければならないものは「穀物」です。
猫の身体は
- 小麦粉
- トウモロコシ
- 米
などの穀物を消化することができません。
比較的安価なフードには、穀物が大量にふくまれ、肉や魚など、猫の身体をつくるための栄養素があまりふくまれていない場合があります。
添加物などと同様に、穀物が多く配合されているフードは避けましょう。
去勢後や避妊後の専用フードを利用してみる
手術後のキャットフードには、「去勢後から7歳までの猫用」や「避妊・去勢した猫のダイエットフード」など、さまざまな種類があります。
猫の性別、年齢、体調にあわせて、不安なら獣医に相談して選んでください。
下部尿路疾患を防ぐためにすべき工夫
膀胱や尿道に起こる病気の総称を下部経路疾患といいます。
早い時期に去勢・避妊することで尿路の成長が止まり、尿道が細いまま、つまりやすくなってしまうことで起こるといわれています。
また、太りすぎの猫には表れやすいとされているので、肥満と同じくらい注意が必要です。
健康的な尿の量を維持するためには、ミネラルのバランスを調整してくれるフードを選びましょう。
また、尿のpHを弱酸性(pH6.2~6.4)にすることで、尿結石の原因となるストルバイトとシュウ酸カルシウムの結晶が形成されにくくなります。
さらに、オメガ3脂肪酸は尿路の炎症をしずめてくれるといわれています。この脂肪酸は体内でつくることができないので、積極的にフードから摂取しましょう。
尿結石を防ぐためには、食事の管理が重要なポイントになります。おやつをたくさん与えたり、人間のご飯を与えることは控えてください。
新鮮な水を十分に与えることで、尿の量が増え、排尿の回数も増えます。
尿のpHに考慮したフードで、下部尿路疾患を防ぎましょう。
フードは少量からゆっくり与えて
手術後は、少量を1日に何回かに分けて与えて下さい。食欲が戻って1日の量を食べられるようになったら、通常通りの食事に戻しましょう。
手術の直後は麻酔が抜けるまでご飯は与えず、安静にしてください。
麻酔が残っているままご飯を食べると、嘔吐してしまうことも。
麻酔が抜けたらだんだん食欲をとりもどしていくので、一度にたくさん与えるのではなく獣医さんと相談しながら食事の時間をつくってあげてください。
手術後にフードを食べて吐いてしまう場合、「食事をしたい」という意思はあるのでゆっくりと様子を見てください。
そもそも何も食べなくなってしまう食欲不振が続くようなら、危険な状態です。点滴などの応急処置を受けましょう。
去勢・避妊手術の方法・費用・タイミング
猫の去勢・避妊後手術のタイミングは次のような期間がベストです。
メスの避妊手術のタイミング | 生後4~7ヵ月 |
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オスの去勢手術のタイミング | 生後6~8ヵ月 |
ある程度身体が大きくないと手術に耐えられないので、体重2キロ以上からと定めている獣医さんもあります。
手術は1回目の発情期がくる前に行うのがベストです。遅くても、2回目を迎える前までに行うのがよいと考えられているようです。
去勢・避妊の時期が遅いと、発情時期の癖が残るケースがあるので注意してください。
去勢手術の方法と料金
去勢手術は睾丸(こうがん)を摘出する手術です。
毛を剃る時間などをのぞけば、5分程度で終わります。1週間後に抜糸をし、すべての工程は終了です。
保険が適用されないため1万円ほどかかり、入院した場合さらに費用が上がる場合もあります。
自治体によっては補助制度があり、手術費用の助成金がもらえるところもあるので、自分が住んでいる自治体のホームページなどを調べてみてください。
避妊手術の方法と料金
避妊手術は、左右の卵巣と子宮を摘出する手術です。
約30分程度かかり、麻酔が抜けたあとの経過を観察するため、入院が必要となります。
病院によって変わりますが、手術費用は約2~3万円といわれています。
去勢手術と同じで、自治体によっては助成金をだす制度もあるので、ホームページを参考にしてみてください。
手術前はきちんと獣医さんの指示に従い、断食や絶水など、飼い主が気にかけてあげましょう。
結局リスクのある去勢・避妊はした方がいいの?
肥満や下部尿路など、去勢・避妊をすることで引き起こされるリスクはたくさんあります。また、小さな身体の猫にとって手術は負担の大きいものです。
しかし、去勢・避妊をすることのメリットも存在します。
去勢・避妊をすることで、オスは精巣腫瘍、メスは卵巣・子宮疾患(卵巣腫瘍、子宮蓄膿症、子宮水腫、内膜症)などの生殖器系の病気を防ぐことができます。
発症例は多くありませんが、9割が悪性といわれている乳腺腫瘍、つまり乳がんを抑えることができるといわれています。
さらに、去勢・避妊をせずにオスかメスを一匹だけ室内で飼った場合、子孫を残すこともできず発情だけを経験することは、猫にとって大きなストレスとなります。
肥満などのリスクがあることも確かですが、やはり去勢・避妊をすることによるメリットもあるので、家族や獣医としっかり相談し、猫にとって一番良い選択をしましょう。
去勢・避妊の手術後はしっかり食事に気をつけて
去勢・避妊後の食事は猫に大きな影響を与えます。手術後のフードをすぐに去勢・避妊用に変えることはやめましょう。
手術や入院は猫にとって非常に大きなストレスです。手術後一ヶ月くらいは以前のフードのまま与えてください。
体重が明らかに増えているようなら、以前のフード7割で新しいフード3割にするなど、だんだんと新しいフードに移行しましょう。
太りすぎを解消するため、身体が落ち着いたら積極的に遊んであげてください。
去勢・避妊後の身体はとてもデリケートです。家族みんなで協力し、ゆっくり元の生活に戻していきましょう。
みんなのコメント
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去勢後の食欲について教えて下さい。
保護猫・去勢済みの子と暮らしていますが、やはり食欲爆発中です。
ネットで対策を調べてぬるま湯でふやかしてカサ増しする方法でなんとかやってますが、夕食の支度時など食べ物の匂いがしたりすると鳴き出したりしてしまきます。
この食欲爆発期は落ち着いたり終わりがきたりするのでしょうか。??
よろしくお願いします。 -
9ヶ月のスコティッシュボールドの女の子を避妊手術しました。手術後活気がなくなり寝てばかりで食事量も減ってます。年末年始になるし心配です。
大丈夫でしょうか?