ペットショップへ行くと、キャットフードの種類の多さにびっくりしてしまいます。
はじめて猫を飼うとき、どんなフードを選べばよいのかわからないですよね。
毎日食べるキャットフードは、猫の寿命を左右することもある重要なものです。
もちろん、年齢に応じたフード選びも大切ですが、原材料や成分など細かい点まで注意して選ぶことで、愛猫の健康な身体をつくることができます。
今回の記事では、キャットフードの選び方やあげてはいけない食べ物など、はじめて猫をお迎えした方にわかりやすくご紹介します。
キャットフードの種類
まずはキャットフードの種類からみていきましょう。
猫の健康を保つためには、その猫にあった正しい食事選びが大切です。バリエーションが豊富なキャットフードだからこそ、健康状態や好みに合わせて選びましょう。
キャットフードは含んでいる水分の量によってわけられます。その種類と特徴についてご紹介します。
キャットフードの種類:ドライフード
全体の質量に対して水分が10%以下のキャットフードをドライフードといいます。固形で乾燥した、いわゆるカリカリとよばれるビスケットのようなフードです。
大体どこのペットショップでも売られていて、湿気にさえ気をつけていれば長期の保存も可能です。
猫の基本食で、同じ重さのほかのフードと比べて、すべての栄養がバランスよく含まれているので経済的でもあります。
水分含有量が13%以上でカビがはえてしまうこともあるので、注意してください。開封すると酸化がはじまるので、開封後は直射日光をさけて密閉保存が必要です。
また、適度にかたいので歯垢がつきにくく、歯周病予防にもなります。
フードそのものの水分量が少ないので、水も一緒に与えてください。
猫はもともと腎臓が弱く、ドライフードだけを食べ続けると腎臓病になるリスクが高まってしまいます。ドライフードの近くにはたっぷりの水を用意しましょう。
各メーカーによって栄養素がちがうので、飼い猫にぴったりのものを見つけ、毎日の食事の軸としましょう。
キャットフードの種類:セミモイストフード
セミモイストフードはいわゆる半生のことで、ドライフードとウェットフードの中間です。
水分を25~30%含んだキャットフードで、しっとり感があり、やわらかくて食べやすいため、子猫や高齢の猫にも向いています。
食べやすい分、歯垢がつきやすいので注意が必要です。
品質保持のため、砂糖や防カビ剤などの添加物や、水分を保持するための潤滑調整剤が使用されることが多いので、原材料をきちんと確認し、添加物の少ないものを選びましょう。
キャットフードの種類:ウェットフード
ウェットフードは、水分含有量75%以上のキャットフードを指します。缶詰やレトルト、パウチタイプの商品です。
魚や肉をほぐした形状のフードで、においが強く、食感が残っているので猫の満足度も非常に高いです。
開封後の消費期限が短いので保存に向いておらず、価格もドライタイプに比べて高めです。
食べかすが残りやすいので歯石や口臭の原因になりやすいという欠点もありますが、味の種類が豊富で猫の嗜好性に適しています。
キャットフードの分類
キャットフードは、その目的に合わせて分類することができます。
上手に使い分けて、愛猫が楽しく食事できるよう心がけましょう。
キャットフードの分類:主食
毎日の食事のメインとなるものです。
猫の基本食はドライフードなので、年齢、嗜好、体調などを考慮して、毎日食べるフードを選びましょう。
このフードと水があれば、猫にとって必要な栄養素をきちんと満たすことができる食事となります。
成長段階における健康を維持できるようにバランスよく作られています。
キャットフードの分類:間食
おやつや気分転換のご褒美として、限られた量を与えることを目的としたフードです。
猫とのコミュニケーションの手段としても使われますが、これだけでは猫の栄養素を満たすことができません。
間食を与える場合は主食の量を少し減らすなど、栄養の摂りすぎにならないよう工夫して与えましょう。
キャットフードの分類:療法食
何らかの疾患を持っている猫に対して、栄養成分の量や比率を調節した食事療法として使用されることを目的として作られたフードです。
- 心臓病用
- 腎臓病用
- 肝臓病用
- 糖尿病用
- 肥満用
- 下痢用
- 泌尿器症候群用
- 結石用
- 低アレルギー用
などさまざまな種類があります。
一般的なドライフードから療法食へ変える場合は、だんだんと割合を増やしながら一ヶ月くらい様子を見て、猫のストレスにならないようにしましょう。
必ず獣医さんと相談して選んでください。
年齢に応じたフードを選ぶ
年齢に応じたキャットフードの選び方についてご説明します。
猫を飼い始めたとき、ペットショップなら年齢がわかりますが、拾った猫の場合、見ただけでは生後何ヵ月かわかりません。
必ず動物病院へ連れて行き、年齢だけでなくノミ・ダニのチェックなどもしてもらいましょう。
年齢に応じたフードを選ぶ:子猫
まだ身体が小さい子猫。発達段階なので、食べたものにダイレクトな影響を受けてしまいます。しっかり食生活を管理しましょう。
市販のキャットフードでも子猫用がたくさん売られていますが、ただ子猫という分類方法ではなく「0~6ヵ月」「1歳まで」など、生後何ヵ月たっているかによってフードの種類も変わってきます。
一度にたくさん食べることがむずかしい子猫には、できるだけ栄養価の高いフードを与える必要があります。
消化能力が低いので、猫が消化しにくい穀物や添加物がふくまれているものは避けてください。
動物性タンパク質である肉や魚がたくさんふくまれているものを選びましょう。
母乳や子猫専用のミルクからウェットフード、ドライフードへの切り替えは、子猫の体調を見ながらだんだんと行ってください。
歯が生えそろうのが生後2ヶ月くらいなので、その時期がウェットフードへの切り替えの目安です。
ウェットフードからドライフードへ移行するときは、まずドライフードをふやかせて与え、様子を見ましょう。
消化不良が起こらずに体重が順調に増えていけば、そこでドライフードへ切り替えてください。
1歳ごろまでにしっかり栄養をとって成長し、身体をつくってあげる必要があります。
年齢に応じたフードを選ぶ:成猫
成猫とは1~6歳ごろを指します。基本的に、キャットフードに記載されている量を目安に与えましょう。
妊娠中・授乳中の場合は回数を増やすなどして、しっかり栄養をとらせます。
1歳以上になると猫の成長は止まるといわれています。子猫の頃のような高カロリーのご飯をどんどん与えていると、すぐ肥満体型になってしまうので注意してください。
また、猫の去勢・避妊手術は1歳ごろまでにするべきであるといわれています。
去勢・避妊手術をしたあとの猫は肥満や尿路結石などの疾患にかかりやすいので、フードもあわせて変えていきましょう。
手術後すぐにフードを切り替えるのではなく、だんだんと切り替えてください。
また年齢に限らず、添加物の少ないフードを選びましょう。
年齢に応じたフードを選ぶ:シニアの猫
歳をとった猫のフードには、
- 低タンパク質
- 低脂質
- 低カロリー
がよいと思われがちですが、そうではありません。
シニアの猫には、高品質なタンパク質が豊富にふくまれているフードを選んでください。
タンパク質には猫に必要なアミノ酸や栄養素がたくさんふくまれているので、筋肉の維持や毛並みをきれいに保つために必要不可欠です。
高齢になれば食べる量も減ってしまうので、少量でも十分な栄養素を補うために、タンパク質や適度の脂質、カロリーが欠かせません。
8歳を越えたあたりから、様子をみながら高齢猫用のフードに切り替えましょう。
高齢になると、飲み込む力や噛む力が弱くなり、通常のドライフードを食べなくなることがあります。
無理にドライフードを与えず、獣医さんに相談してウェットフードへの切り替えも検討しましょう。
食事の回数や場所はどうすればいいの?
食事の回数は猫の年齢によって変わります。
子猫は一度にたくさん食べられないので、3~4回にわけて与えてください。
成猫は基本的に1日2回ですが、何度にもわけて食べる猫もいます。成長や嗜好によって調整してください。
食べ残しを放置すると好きなだけ食べて肥満になってしまうので、メリハリをつけた食事が大切です。
また食事場所は、トイレの近くや人がよく通る場所を避け、猫がリラックスして食べられる場所を選びましょう。
フード用と水飲み用の2種類の食器が必要です。
プラスティックでできた器は傷がつきやすく、その傷から菌が繁殖することもあるので、ステンレスか陶器がおすすめです。
食べるときにずれてしまわないように、ある程度重さのあるものを選びましょう。
食器の下にマットをひけば、ずれ防止にもなって食べこぼしも掃除しやすいのでおすすめです。
猫に与える水は、水道水よりも私たちが飲むようなミネラルウォーターの方が健康に良い気がしますが、それは間違いです。
硬度の高いミネラルウォーターは尿路結石ができやすく、猫には向いていません。
硬度がそれほど高くないものやペット用のミネラルウォーターなら大丈夫ですが、長時間置きっぱなしにしていると雑菌が繁殖することも。
水道水には塩素が入っているので雑菌は繁殖しにくいですが、できれば一度沸騰させて冷ました水をあげてください。
猫に必要な栄養素を考えたフード選び
キャットフードを選ぶとき、その原材料にふくまれる成分を理解することで、猫が1日に必要な栄養素をしっかりと摂取することができます。
一般的に猫にとって大切な栄養素は、
- タンパク質
- 脂肪
- ビタミン
- ミネラル
この4つだといわれています。
順に詳しくご説明します。
猫に必要な栄養素を考えたフード選び:タンパク質
動物に欠かせないもっとも大切な栄養素のひとつがこのタンパク質です。
タンパク質は、
- 筋肉
- 血液
- 内臓
- 皮膚
- 被毛
などを構成する基本の栄養素で、猫はヒトの5~6倍のタンパク質を必要とします。
タンパク質はいくつかのアミノ酸が組み合わさってできています。
猫には猫の必須アミノ酸があり、身体に必要なアミノ酸の種類は各動物によって異なります。
例えば、アミノ酸の一種であるタウリンは猫の体内で合成することができず、欠乏すると網膜変性による失明や心筋症などのリスクが高まります。
そのため、猫に必要なアミノ酸がバランスよく組み合わさってできているタンパク質をとることが重要です。
タンパク質は肉や魚にふくまれているので、キャットフードの原材料に鶏肉やマグロなどがふくまれているかチェックしてみましょう。
猫に必要な栄養素を考えたフード選び:脂肪
カロリーの高い脂肪は、エネルギー源になったり、ビタミンの吸収を助ける働きもあります。
猫はヒトより多くの脂肪を必要とし、私たちが体内でつくることができるリノール酸やアラキドン酸という脂肪酸は猫の体内ではつくることができないので、食事から摂取しなければなりません。
- マグロ
- カツオ
- アジ
- サバ
- イワシ
これらの青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれていますが、こればかり与えていると黄色脂肪症という病気になってしまうことがあるので注意してください。
キャットフードでバランスよく摂取することが大切です。
猫に必要な栄養素を考えたフード選び:ビタミン
ビタミンはタンパク質や脂肪の代謝を助け、さまざまな身体の機能をスムーズにしてくれる作用があります。
ビタミンには大きくわけて
- 脂溶性ビタミン
- 水溶性ビタミン
の2種類があり、
脂溶性ビタミンには、
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンK
- ビタミンE
水溶性ビタミンには、
- ビタミンB群
- ビタミンC
などがあります。健康な猫は体内でビタミンKとCを合成することができます。
しかし、ビタミンA、B1、B2、B6、Dなどは体内で作れないので、ビタミンがバランスよく配合されているキャットフードで摂取しなければなりません。
ビタミンB1はラム肉や鶏もも肉に、ビタミンEは鮭などの魚類にふくまれているので、原材料をチェックしてみましょう。
猫に必要な栄養素を考えたフード選び:ミネラル
ミネラルは骨格形成と体液のバランスの維持に必要な栄養素です。
ミネラルには、
- カルシウム
- リン
- カリウム
- ナトリウム
- マグネシウム
- 鉄
- 亜鉛
などがあり、特に骨をつくるカルシウムは大切です。
しかし、ミネラルの過剰摂取で結石ができやすくなり、下部尿路疾患などの病気にかかる可能性も高くなります。
ミネラルバランスを考慮したドライフードで、ほかの栄養素とのバランスに配慮しましょう。
絶対ダメ!与えてはいけない食べ物
飼い主が食事やおやつを食べているとき、おねだりする猫がいます。味付けが濃く、においも強い人間の食べ物は、猫にとってとても魅力的です。
しかし、私たちの食べ物は小さな猫の身体には塩分が高すぎます。
内臓に負担がかかるだけでなく、糖分過多で肥満の原因になってしまうことも。
猫には猫専用のフードやおやつを与えましょう。
特に今から紹介する食べ物は、猫にとって一口でも大きな影響をもたらすことがあります。参考にしてください。
絶対ダメ!与えてはいけない食べ物:ネギ類
- ネギ
- 玉ねぎ
- ニンニク
- ニラ
など、ネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物という物質が血液中の赤血球を壊し、さまざまな疾患を引き起こします。
赤血球のヘモグロビンが溶け出すことで腎臓に負担がかかり、急性腎不全になってしまうことも。
玉ねぎなど、冷蔵庫に入れずに保管しているものを食べてしまわないよう気を付けましょう。
また、子猫やシニアの猫が口にした場合急死してしまうこともあります。嘔吐などの症状が出たら、すぐ病院へ。
絶対ダメ!与えてはいけない食べ物:チョコレート類
カカオの成分が心臓や虫垂神経を刺激し、
- 嘔吐
- 痙攣
- 不整脈
などを引き起こします。
カカオの量が多くふくまれていればいるだけよくないので、ミルクチョコレートよりもビターチョコレートの方がより危険です。
子どものおやつなどを猫が誤って口にしないよう、きちんと管理しましょう。
絶対ダメ!与えてはいけない食べ物:牛乳
テレビや漫画などで、拾ったばかりの子猫に牛乳を与えるシーンがありますが、ミルクを与える場合は、人間用の牛乳ではなく、必ず猫用のミルクを与えるようにしてください。
私たちの飲んでいるミルクは下痢の原因になるので与えてはいけません。
消化できず、下痢や軟便になってしまうので注意しましょう。
食べ物だけでなく、花や観葉植物、人間用のサプリメントや薬など、口にすることで中毒を引き起こすものはたくさんあります。
危険なものは遠ざけて、基本的に人間の食べ物は与えないようにしましょう。
一度食べて「おいしい!」と思うと、食事時におねだりしたり、キッチンをあさるようになります。最初から与えないことが大切です。
注意!キャットフードの原料に気をつけて
キャットフードには、粗悪なものも存在します。
例えば「添加物」。着色料や保存料など、猫の身体には必要ないものがたくさんふくまれています。
できるだけ添加物の少ないフードを選んであげてください。
また、猫はもともと肉食なので、穀物にふくまれるたんぱく質を消化するアミラーゼという酵素をもっていません。
そのため、穀物を与え続けると、消化器官が弱り、アレルギーや疾患を引き起こす可能性があります。
ここでいう穀物とは
- 麦類
- とうもろこし
- コーングルテン
- 米(ライス)
- 玄米
などのことで、製造コストを削減し、カサを増す目的でキャットフードに使われることがあります。
穀物を一切使用していないグレインフリーのフードも販売されているので、チェックしてみてください。
さたに大豆は、猫にとって命に関わるほど危険な原料なのです。
キャットフードに使われる大豆は、人間用として食用加工された後に残った搾りかすで、カサを増すために使われます。
大豆は猫の胃腸内で異常発酵を促す性質があり、大量のガスを発生させることがあります。
このガスが血管を圧迫し続けた結果、脳に酸素が行き届かなくなり、ショック死に至ることも。
大豆をふくむフードは選ばないよう注意してください。
また、日本国内では遺伝子組み換え原料の栽培は行っていませんが、名前を知っている方も多いかと思います。
遺伝子組み換え原料とは、作物に別の作物の遺伝子を組み込んで、その作物にはない特徴をもたせたものを指します。
作物を害虫から守ったり、農薬に耐性をもたせるためにつくられましたが、米国では遺伝子組み換え食品が世に出はじめたころから、ガンをはじめとしたさまざまな疾患が急増しているといわれています。
外国産のフードには含まれている可能性もありますので、注意してください。
良質なキャットフードで健康な毎日を
キャットフードの原材料や成分が猫の身体にもたらす影響は、大変大きなものです。悪質なフードが害をもたらす一方、良質なフードは健康寿命にも効果があります。
表示をきちんと確認し、年齢や体質にあったフードを選びましょう。
猫を飼うと、私たちの生活も一変します。
「食べ物を出しっぱなしにしない」「こまめに水を変える」など、慣れるまでは大変ですが、意識して生活することが大切です。
新しい家族が長く健康に暮らすことができるよう、家族みんなで協力しましょう。