悪質ブリーダーの実態。実際に出会ったときの断り方や通報先は?

これから犬や猫を飼いたいと思った場合、その入手方法にはいくつかの選択肢があります。大きく分けるとペットショップやブリーダー、また保護猫から選ぶ、知人から譲ってもらうという3つの選択肢になるでしょう。

ブリーダーも本来の目的である「犬猫の子孫を残していく」という意味では大必要なことだと言えますが、1部のブリーダーによる間違ったやり方によってあらゆる問題も実際に出てきていることは、まだあまり知られていないかもしれません。

悪質ブリーダーとはどのような実態があるのか、実際に起こってしまった事件を含めてご紹介していきます。そして、私たちが悪質ブリーダーを見分けられる方法や対処法についても知っておくべきです。

犬猫を愛するものとして、悪質ブリーダーを発見した際には即刻その行動を止めてもらうために行動することができますように。

そもそも、犬猫のブリーダーとは

ブリーダーとは、動物を交配させることで繁殖させたり、その種を改良させていく育種家のことを指しています。ブリーダーは大きく分けて次の4種類に分類されます。

  • 優良(シリアス)ブリーダー…犬猫のことをきちんと考えて繁殖している
  • 自称(バックヤード)ブリーダー…動物への愛情はあるけれど、優先されるわけではなく金銭目的での繁殖をしている
  • 素人(アマチュア)ブリーダー…普通の犬好きの人が趣味の範囲で副業として繁殖を行っている
  • パピーミル(繁殖工場)…人間の利益がとにかく最優先される。問題外の飼育とも言えないやり方に胸が痛くなる

1番上が優良ブリーダーで、下にいくほど劣悪な環境で繁殖をされています。むしろ、この中で信用できると言えるのは優良ブリーダーだけであるという見解も多いです。

やはり、ブリーダーから家族をお迎えするならばきちんと動物のことを考えた繁殖をしているブリーダーから選びたいものですね。

海外ではブリーダーになるためには免許が必要になりますが、日本においては特に必要になる資格というものはないというのが現状だと言えるでしょう。

動物を取り扱う業務を半年間仕事として行うことや、動物関連の学校に通うこと、通信講座で資格を取ることによってブリーダーになることができます。

ブリーダーは大切な命を取り扱う業務ですから、生き物の生態や出産、また繁殖や交配についての幅広い知識を身に付けておく必要があるでしょう。

ブリーダーとして繁殖させることができても、それらの動物を販売するためには、動物愛護法にもとづいて「動物取扱業」の届出をする義務があります。

ブリーダーとしていきなり個人で働く人は少なく、ブリーダー企業に努めるかブリーダーをしている人の元で働いて勉強をする、という人もいます。また、個人でブリーダーをしている人は趣味や副業として繁殖を行っている人(バックヤードブリーダー)が全体の7割ほどいます。

ブリーダーの中の8割ほどがペットショップやペット通販会社(ブリーダーと顧客との取り次ぎを行う業者がいます)などに卸していて、残りの2割が犬猫を望む人に直接販売しているということになります。

優良なブリーダーなら、犬猫の希望者がきちんと集まってから初めて繁殖を開始するといいますが、悪質ブリーダー(パピーミル)の場合はまったくそうではありません…。

そのため、大量に犬猫を増やしてペットショップに商品として卸され、大量に処分するという人道に外れたことも見えないところで実際に起こってしまっているのです。

悪質ブリーダーの実態。非道な行為は許せない…

それでは、実際に悪質ブリーダーが行っている実態行為にはどんなものがあるのか、紹介していきます。

  • 最低限のごはんや水を与えられない
  • メス犬は一生(赤ちゃんが生めるまで)狭いケージの中に入れられる
  • 病気になっても放置、治療してもらえない
  • 排泄物の掃除をしてもらえない
  • 1年に2回以上、人間によって無理矢理交配させられる
  • うるさい(よく吠える)犬は声帯を切り取られることもあるという
  • 人気のない犬猫、交配できなくなった親たちは口減らしのため処分される(引き取り屋以外にも動物実験として引き取られることもあると言われています)

このようにして文字で読むだけでもとても辛く、想像しがたいショッキングな内容になっています。狭いケージの中に犬猫が入れられ、ただ繁殖をするためだけに生きている間ずっと利用される…ということがこの日本で現実に起こっているのです。

なんと恐ろしいことなのでしょう。とても人間がやっている行動だとは思えません。発情期が来るごとに無理矢理交配させられるので母犬・猫は歯がすべて抜け落ちてしまうこともあるといいます。

さらに、遺伝的な病気なども考えずに交配をしていくため弱い子や病気の子が生まれてしまうこともあります。

そして、無計画・過剰に交配をさせるためペットショップなどで売れ残ってしまうと引き取り屋という業者に引き取ってもらったり、動物実験に使うために大学などに引き取られることもあるといいます。これは本当に恐ろしい事です…

悪質ブリーダーが原因で実際に起こった事件

悪質ブリーダーによって実際に起こった事件をご紹介します。2014年の11月に起きた、(栃木県の鬼怒川の河川敷にて)大量の犬が遺棄された事件は記憶に新しいのではないでしょうか。

この事件によってこれまではほとんど知られることのなかった引き取り屋の存在が公になり、世に知られることになった事件となりました。

衝撃的すぎますし、辛くなってしまうので画像掲載は控えますがこの時は初めの鬼怒川河川敷にて44頭が、そして翌日にも15キロ先の那珂川町で27頭の犬の遺体が発見されました(この中にいた8頭は、後に命をとりとめ、保護されました)。

これで逮捕された元ペットショップの男は、後に週刊誌からのインタビューに「愛知県のブリーダーから100万円で犬を引き取り、空気穴を開けた木箱を3つ作ってその中に入れて2トントラックで運んだ(犬たちの里親や保護先は決めていた)。途中に世話などはしなかった。静かになったと思い箱を開けてみたら死んでしまっていて、パニックになり遺棄した」と答えています。

この時は雄と雌がちょうど同じくらいの割合で、そのほとんどがミニチュアダックスやトイプードルという人気の小型犬種でした。

その犬たちの爪が伸びており、フィラリアに感染していたことからも、とても劣悪な環境で飼育されていたことが分かります。

雌犬の場合は何度も出産している形跡が見られ、それによって歯がボロボロになっていた…とのこと。

この事件と同様の事件が、群馬県や佐賀県でも同じ時期に起こっていて、この時の犬たちもやはり人気のある小型の犬種だったことから、悪質ブリーダーによる遺棄だろうと考えられています。

悪質ブリーダーは増えている?改正動物愛護管理法との関係

動物愛護法が改正される前までは、ペットショップで売れ残ったりした犬猫は自治体に引き取ってもらうことが可能でした(引き取られた犬猫は譲渡対象になることもありますし、残念ながら殺処分されてしまうこともあります)。

しかし、愛護法が改正されたことにより業者による持ち込みができなくなったのです。これによって犬猫の扱いに困ったブリーダーたちは、余っている犬猫をお金をもらうことで有料にて引き受ける、いわゆる「引き取り屋」の需要が増えてきてしまったのです。

引き取り屋自体は違法ではないのですが、その場しのぎの収入を得るために犬猫を引き受けている引き取り屋が多く存在しているのです。

そういった人の場合、お金をもらったらあとは「犬猫はどうなってもいい」という人も実際にいるのです。しかし、その引き取り屋が業務をやめてしまえば、売れ残ってしまった犬猫たちは殺処分されてしまうわけです。

動物愛護法が改正されて行政機関での引き取りができなくなったことにより、結局そのしわ寄せが犬猫たちに行ってしまっているのではないでしょうか。

動物を救うための動物愛護法なのに、そのせいで不幸な動物が出てしまうことは本末転倒とも言えます…。しかし、どちらにせよ殺処分か遺棄かという間での問題ではありますが。

やはり、日本では「誰でもブリーダーになれてしまう」という所に根本的な問題があると感じる方が多いのではないでしょうか。

海外のように、きちんとした知識や資格を取得した人のみがブリーダーになり、命を取り扱うことが許されるのだという仕組みになるべきなのです。

そして、動物愛護法を違反した時の罰則も以前に比べて2倍(動物の遺棄や虐待は100万円以下の罰金・殺傷した場合は200万円以下の罰金)にはなりましたが、まだまだ動物の命が軽視されていると感じざるを得ない状況です。これから先、もっと改正していってほしいものです。

悪質ブリーダーの見分け方

悪質ブリーダーを見分けるためには、いくつか方法があります。まずは、ブリーダーと連絡を取った時に質問をしてみてその反応を見ることができるでしょう。

  • 「動物取扱業者の登録番号を教えてください」
  • 「犬猫の飼育現場を直接見せていただけますか?」
  • 「子犬や子猫の親を見せてください」
  • 「どのくらいの月齢の犬猫を譲ってもらうことが可能ですか?」
  • 「犬猫を購入した後も、しつけなどについての相談などは受け付けてもらえますか?」

基本的に、ブリーダーとして動物の取扱行をしている人は「動物取扱業者の登録証」を持っています。その登録番号が答えられない場合には、素人である可能性もあるのです。

もし言い逃れをするような感じで信じられない場合には、保健所で検索して調べてみることをオススメします。

そして、実際にきちんとした飼育ができていれば、飼育現場を見せることができるはずです。2013年の9月に動物愛護管理法によって「動物の現物をきちんと確認すること」に加え、「対面して説明すること」がブリーダーに対して義務づけられるようになりました。

ですからもしも飼育現場を見せることをブリーダーが拒否する場合には、この愛護管理法から違反している可能性が高いのです(ただ、人間が立ち入ることによってウィルスが蔓延することを防ぐために見せられない、という場合もあるのでまずは理由を聞くようにしてください)。

また、子犬や子猫の親を見せてもらうことも大切です。親が病気などがない健康な犬猫であるかどうかをチェックしましょう。

特に犬の場合は、2歳に達していない犬は繁殖させてはいけないというブリーダー内での暗黙のルールがあるので(犬は2歳になるまでは性的に成熟しておらず、遺伝的な病気などもまだ確認できないからです)、親の犬猫の年齢も教えてもらってください。

さらに、平成28年から生後49日に達していない犬猫の販売は禁止されているので、そのあたりもしっかり確認しましょう。

そしてブリーダーから犬猫を購入する場合、特に何も質問などされない場合はどうでしょうか。良質なブリーダーならば自分の繁殖した犬猫を大切に思っていますから、譲る前にはしっかりと飼育がしていけるか細かい質問が行われます。

特にこういった事前の質問もなく、購入したあとのしつけ相談にも対応してくれないようなら悪質ブリーダーである可能性があるのではないでしょうか。

悪質ブリーダーと分かったら!断り方、通報はどこにする?

さて、上記の質問をして相手が悪質ブリーダーだと判明した場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。悪質ブリーダーから犬猫を購入した場合には、病気になったり死んでしまったりして後にトラブルに発展してしまう可能性もかなり高くなります。

そもそも、そんな劣悪な悪質ブリーダーが飼育している犬猫を購入してはいけません。ブリーダーには押しが強い人が多い傾向にありますが、悪質ブリーダーの場合、さらに押される可能性もあるので心してかかってください。

「しっかりと断る」ことを意識してください。その理由は何でも大丈夫ですが、なるべく無難なものにしておきましょう。

  • ブリーダーの住んでいる地域が遠すぎるため
  • 他のブリーダーさんも検討しているので…
  • 犬猫が自分の思い描いていたイメージと違ったので

さらに、悪質ブリーダーであることを地元の保健所や動物愛護センターに通報したいところですが、それをしてしまうと今悪質ブリーダーの元にいる犬猫は結局殺処分されてしまう可能性が高いでしょう。

保健所や動物愛護センターに通報すると、事前にそのブリーダーの人に連絡をしてから視察に来ることになるので、それまでに見られたらまずいと思う箇所は隠されてしまいます。

ですから、まずは同じ地域で活動している動物愛護団体の人に、まずは相談してみることをオススメします。絶対してはいけないのは、そこで直接文句を言ったりすることです。これをしてしまうととんでもないトラブルに発展することもあるので、やめておいてください。

動物愛護団体に相談すれば、あなたの話を聞いた上で現地を観察し、団体の方が警察へ通報するなどの対応をしてくれると信じています。

団体によって対応も様々かもしれませんが、あきらめずに犬猫を救うために行動してください。

犬猫を命と思わない悪質ブリーダーを少しずつでも減らすために、私たちができること

悪質ブリーダーについて色々考えてきましたが、もちろんすべてのブリーダーが悪いわけでもありません。日本のブリーダーの中でも、ちゃんと犬猫のことを第一に考えて、責任をもって繁殖活動をしているブリーダーも確かにおられます。

ペットに出会うためにブリーダーを利用したいなら、必ず良質なブリーダーさんを選ぶようにしてください。

現在の日本の法律では、犬猫に守るためのしっかりした法律があるとは残念ながら言えない状況です。

もっと日本の愛護法が犬猫の命や尊厳を守るべきものになることを願ってやみません。犬猫猫愛好家のみならず多くの人がこれらの悪質ブリーダーの闇の部分を知り、動物愛護法を根本から見直していくことがこれからの課題になるでしょう。

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