犬に対して、「ワンワン吠えてうるさい」というイメージをお持ちのかたは多いでしょう。逆に、「猫なら吠えないし、寝てばかりいるから静か」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ですが、一般的なイメージで決め付けるのは、ちょっと待ったほうがいいかもしれません。
犬や猫は、長生きをする個体では20年も生きることがあります。先入観から飼い始めてしまい、あとで困ったことにならないように、猫の実態について正しく知っておきましょう。
実はうるさい猫との生活。本当のことを知っておこう
「猫は静かで飼いやすい」というイメージは、それほど間違ってはいません。猫は「寝子」とも言われるくらい、寝ている時間が多い生き物です。散歩を要する犬とは違い、運動量も多くはなく、犬に比べると手間はかからないかもしれません。
ですが、猫もやはり生き物です。人間の思い通りには動いてくれないこともありますし、生きている以上はうるさく騒ぐこともあります。
まずは、猫と暮らすことで発生する、騒音の実態を知っておきましょう。
こどもはやんちゃな暴れん坊
猫だって、こどもの時分はやんちゃでワンパクです。いろいろなことに興味をもち、走っては転びます。大人になって落ち着くまでは、人間のこどもとも同じように、慌ただしく走り回ったり、いろいろなものをオモチャにして遊んだりします。
なかには、自分の体の大きさがつかめないのか、棚に載せてあるものを落として壊してしまう猫もいます。高いところに乗ろうとして落ちたり、テーブルに飛び移ろうとしてテーブルクロスごと引きずり落としてしまったりすることもあります。
子猫は寝ている時間も多いですが、起きている時はそれなりに、やんちゃでワンパクな暴れん坊です。もちろん個体にもよりますが、子猫が多少暴れん坊でも、「そういうものだ」と思っておきましょう。
猫がたてる生活上の騒音
猫が大人になったとしても、生きてる以上、やはり物音をたてないわけにはいきません。どんなに大人しい猫と暮らしていても、どうしても騒音をたててしまうことがあります。
そのひとつが、トイレの始末です。猫は排泄をしたあと、自分のウンチやオシッコの臭いを隠すために、ザクザクと砂をかけて排泄物を埋めようとします。猫用トイレに猫砂を入れてトイレにしている場合、この砂をかく音はけっこう響きます。
また、つめとぎの音もけっこうな騒音です。激しい猫は、つめとぎがバタンバタン音をたてるくらいに爪を研ぎます。壁掛けタイプや床置きタイプの爪とぎを使用している場合は、床板や壁を通じて、隣や階下へと音が響きますよ。
そして、猫は高いところから飛び降りるのが得意な生き物です。遠回りして歩いて降りるより、飛び降りるほうが楽なのでしょう。高いところに飛び乗る時には音を立てませんが、飛び降りるときにはやはり、大きな音をたてて着地することになります。
どんなに大人しい猫と暮らしていても、大抵の場合はこの程度の騒音は発生します。
猫の習性がおこす騒音
猫は基本、「抜き足・差し足・忍び足」ですが、時には何事かと思うほどの騒音を立てて走り回ることがあります。それが、トイレの時と、運動会の時です。
猫はいつでも外敵に襲われることを警戒しているので、無防備になるトイレの時は命がけです。トイレの臭いは、自分の住処を知られる危険にもつながります。だから猫のトイレ後は、ハイテンションで走って逃げ、身を守ろうとするのです。
猫の運動会は、猫を飼った経験がある方なら、高確率で遭遇していることでしょう。
夜、おとなしく寝ていたはずの猫が、なぜかいきなりスイッチが入り、運動を始めることがあります。猫自身には理由はあるのでしょうが、人間にはわかりません。
また、去勢や避妊をしていない場合には、発情期の声も騒音になります。オス猫を飼っている場合、発情した野良猫のメスが近所にいたりすると、釣られて騒ぎ出すこともあります。去勢や避妊をすれば解決することでもあります。
それから、猫が飼い主さんを親だと思っている場合、親離れできておらず、やたらと鳴く猫になる可能性があります。子猫が親を呼ぶのは、自分の身を守り生きていくための習性です。賢い猫は、飼い主の足音を聞きつけて鳴いたりもしますね。
騒音を防ぐ方法を知って、対策を立てよう
今すでに猫を飼っていて、「こんなに騒がしいと思わなかった」「近所からうるさいとクレームが来てしまった」という場合は、すぐに対策をたてましょう。
生きていれば音をたてるのは自然なことですから、共に暮らす人間のほうが、適切な対策をたててあげましょう。
床の防音性を高めよう
まずやっておきたいのは、床の防音性を高めることです。
フローリングになっている多くの木造集合住宅は、フローリングの下に空洞があり、その下が階下の住宅の天井になっています。音が階下に響くのは、当然のことなのです。場合によっては、人間の足音でさえ「うるさい」と苦情になることがありますよね。
そんな騒音の対策には、床に何かを敷いて、音が階下に伝わりにくくする工夫をしましょう。
太鼓をイメージするとわかりやすいでしょうか。太鼓を叩くとドンと音が響きますが、厚手の毛布を太鼓に被せた上から叩くと、あまり音が響きません。
厚手のじゅうたんや、クッション性のあるフローリングカーペットでも良いですが、吸音性のある防音用ものも販売されています。
昼間にしっかり遊ぼう
騒音で問題となりやすいのは、夜間の物音です。昼間は誰もが起きて活動していますが、夜間は寝静まっていますからね。ちいさな物音でも響きやすく、カンに障りやすいものなのです。
猫の夜間の騒音を押さえるためには、なんといっても、昼間よく運動してもらうことです。猫は本来夜行性の生き物ですが、夜間に活動する必要がなければ、飼い主の生活リズムに合わせて夜寝るようになる猫もいます。
ただし、昼寝をしているのを無理やり起こして遊ばせたりしてはいけません。間違いなく、猫に嫌われてしまいますよ。
周辺への気配りをしよう
猫は、完全室内飼育であれば、飼い主と猫だけの関係で生活をしています。犬よりは行動範囲が狭い分、周囲に迷惑をかけることは少ないかもしれません。ですが、「だから部屋のなかで何をしていても関係ない」という態度はやめましょう。
集合住宅では、ペット可の物件でも、騒音や臭いなどで迷惑をかけている場合があります。戸建の住宅でも、鳴き声で迷惑をかけたり、脱走した時に迷惑をかけたりすることはあるかもしれません。
ペットは、その種類の生き物が好きでない人からは、否定的な目で見られることが多くあります。あいさつ程度はきちんとおこない、ペットが迷惑をかけているようなら対策をとりましょう。どんな場合も、コミュニケーションは大切です。
猫と一緒に暮らす意識を持とう
動物と一緒に暮らせば、それなりの騒音はたてることになります。猫と人間とでは、生活習慣も常識も習性も違いますから、説得して静かにしてくれる訳もありません。
覚えておいて欲しいのは、「猫がうるさいのは、猫のせいではない」ということです。
猫を飼い始める前には、あらかじめ「多少の騒音はたつものだ」と思っておきましょう。事前の覚悟と準備さえあれば、いざ猫を飼い始めたときには、「なんだ、うるさいといってもこの程度のものか」と拍子抜けする程度かもしれません。
そして、すでに猫を飼っている場合は、今からでも周囲への騒音対策をたてておきましょう。特に階下への騒音は、あなたが思っているよりも、ずっと大きく響いているかもしれません。
若い猫は活発ですが、ご老体になれば、多くの時間を寝て過ごすようになります。その頃にはきっと、うるさく活発だった頃を懐かしむようになりますよ。
みんなのコメント
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我が家にも生後5ヶ月になる雄の子猫が居ます。
ペット可マンションですが…
イタズラや、運動会はもちろん先住猫との追いかけっこ。
階下の方にはどれくらい騒音が響いて居るのかと心配です。
まだ乳歯なのでかなり鋭い牙で寝ている時に噛まれる事もしょっちゅうです。ドット疲れがでますが、散々暴れまわった後にポテッと寝てしまう所がありそんな、ところに全てが許されてしまう……猫って不思議です。