「猫はどんなに遠くまで行っても帰ってくることができる」というニュースや都市伝説を聞いたことがあると思います。
私たち人間でも、まったく知らない場所に地図や携帯電話もなく一人ぼっちにされてしまったら、どうやって元の場所へたどり着けばいいのかわかりませんよね。
本当に猫は、どんなに遠い場所からも帰ってくることができるのでしょうか。
今回は猫の帰巣本能についてまとめました。
そもそも帰巣本能(キソウホンノウ)って何?
帰巣本能とはどういう意味でしょうか。
一定以上離れた場所から、元いた場所へ帰る性質を帰巣性といいます。
帰巣性に従って、動物が自分の住んでいる場所から遠く離れてしまっても自力で戻ることができる能力を帰巣本能とよぶのです。
帰巣本能は猫だけでなく、さまざまな動物に確認されています。
鳥が世界中を飛び回って元の場所へ戻って来たり、鮭が海から元の川へ戻って産卵することも帰巣本能のひとつです。
もはや伝説!?猫の帰巣本能はこんなにすごい
猫ちゃんを家のなかだけで飼っているとわかりませんが、外に出すこともある飼い主さんの話によると「2~3日姿を見なかったが帰ってきた」「夜になると必ずいつもの場所に戻ってくる」など、猫には確かに帰巣本能があるようです。
猫の帰巣本能について、驚きのエピソードが世界中のいたるところで確認されています。
アメリカのフロリダ州で、ある夫婦が飼っていた三毛猫のホーリーと一緒にドライブに行きました。
自宅から320キロほど離れた場所で車を開けた途端、ホーリーが飛び出してしまい、そのまま行方不明に。
飼い主さんは周囲を必死で探し回りましたが見つからず、家へ戻ることにしました。
ホーリーがいなくなってから2か月後の大みそか、もう諦めかけていた飼い主さんの元に吉報が届きます。なんと自宅から1.5キロ離れた場所でホーリーが見つかったのです。
爪や肉球がぼろぼろだったことから、320キロの距離を歩いて帰ってきたことがわかりました。
夫婦はマイクロチップを確認して、自分たちの猫であることを確かめ、よろこびました。
このような印象深いエピソードを聞くと、やはり猫には帰巣本能があると言わざるを得ませんが、逆にめったにないことだからこそ、伝説のように語り継がれているのかもしれません。
猫が元の場所へ帰ってくることができるのはなぜ?
では、猫は遠い見知らぬ場所から、どうやって帰ってきているのでしょうか。実は猫の帰巣本能についての研究は進んでいるわけではなく、これといった断定はできません。
猫と同じように帰巣本能をもっている渡り鳥は、太陽の位置で方向を決めるといわれています。同じように猫も、太陽の位置で家の方向を割り出しているという説もあります。
またもともと動物は身体の中に自然の磁石をもっているといわれています。
この磁石によって、自分がいる位置や目的の方向がわかるそうです。地場で方向を割り出せるともいわれていますが、自然のナビゲーションのようなものでしょうか。
さらに不思議なことに、引っ越しをする家族が元の家に猫ちゃんを残して行ってしまったところ、置いて行かれた猫が新しい引っ越し先にあらわれたなんてこともあるそうです。
嗅覚が優れている猫ですが、飼い主に会いたい一心で探し当てたのでしょうか。まったく訪れたことのない場所へたどり着くこともできるなんて、奇跡のような話ですね。
このような話を聞くと、猫はどこからでも帰ってくることができるのではと思いますが、すべての猫に当てはまるわけではないので注意してください。
すべての猫に帰巣本能があるわけではない!迷子猫にならないために
すべての猫が遠い場所から自宅へ戻ってくることができるわけではありません。
育てられた環境や個体差にもよりますが、帰巣本能があまりない猫もいます。
もし本当にすべての猫に帰巣本能があるなら、電信柱やSNSにこれほど迷い猫があふれているはずはありません。
猫は帰ってくることができると信じ切るのではなく、いざというときに飼い主さんと離れ離れになったときの対策を立てて備えましょう。
迷子猫の実態を知ろう
家から脱走したり、災害で離れ離れになってしまった猫ちゃんが迷子の猫として行政機関に収容されてしまうと、6割以上が殺処分されてしまう現状をご存知でしょうか。
愛猫が迷子猫になってしまったときにどういった対策を立てるのか、私たち飼い主はいつでも危機意識をもって事前の準備をすすめていくべきです。
家のなかでごはんや寝床もすべて人間の手にゆだねられて暮らしていた猫にとって、外の世界はとても過酷な場所です。
猫は縄張り意識の強い生き物なので、家のなかでぬくぬく育った猫は縄張り争いに負け、自分で食べるものをとることもできないので、飢えて死んでしまいます。
帰巣本能があるからと甘く考えるのではなく、脱走や迷子は直接愛猫の死に通じることもあるということを意識して生活しましょう。
完全な室内猫として育てることで愛猫を危険から守る
外を自由に出歩く猫ちゃんは、家のなかだけで飼われる猫ちゃんより短命であることがわかっています。
交通事故やほかの猫との喧嘩、感染症や寄生虫による病気など、外は危険がいっぱいです。
何日かいなくなってまた帰ってくることもありますが、間違えて遠い場所まで行ってしまうと、帰巣本能が働かなくなり帰れなくなってしまうことも。
やはり完全な室内飼いが、さまざまな危険に対するリスクを減らしてくれます。
外へ出たいと鳴く猫ちゃんのストレスが心配かもしれませんが、網戸にして外を眺めさせてあげたり、飼い主さんがしっかり遊んで運動不足を解消するなど、家のなかでの暮らしを充実させてください。
どうしても外へ出すことがある猫ちゃんなら、その子が散歩をするテリトリーや行動のパターンを知っておくことで、いなくなったときに探す場所を決めておきましょう。
マイクロチップや迷子札を活用する
まだなじみがないかもしれませんが、迷子になったとき一番役立つのがマイクロチップです。
マイクロチップを装着することで、災害や迷子によって行方が分からなくなってしまった猫ちゃんを保護し、飼い主さんのもとまで届けることができます。
マイクロチップのなかには飼い主さんの情報がはいっているので、自分で名前や住所を伝えることができない猫ちゃんの保護に役立ちます。
猫ちゃんと一緒に海外へ移動する場合は、多くの国でマイクロチップが義務付けられています。
また、迷子になってしまった猫ちゃんには迷子札も有効です。
飼い主さんの連絡先のほかに、猫ちゃんの
- 名前
- 年齢
- 性別
- 去勢・避妊済み
など、迷子札に詳しい情報を書いておくことで離れ離れになった猫ちゃんが自分の元に帰ってくる確立も上がります。
二度と会えないようなことにならないためにも、逃げてしまったときの対策を考えておきましょう。
迷子猫にならないために飼い主としてできること
猫は、何キロも歩いて飼い主さんの元へ帰る話のように、想像を超える力を発揮することもありますが、すべての猫がその能力を絶対にもっているは限りません。
愛猫の脱走で二度と会えないなんてことにならないよう、常に注意を払う必要があります。
窓が開けやすくなっていたり、玄関のドアを開けたとき飛び出してしまわないよう、日ごろから気をつけましょう。
私の猫は玄関を開けた瞬間に飛び出してしまったことがあるのですが、完全な室内飼いの猫なので、1メートルも走らないうちにかたまって動けなくなっていました。
このように逃げてしまっても家の近辺にいてくれたらいいのですが、遠くまで行ってしまうと大変です。
帰巣本能はすべての猫にあるわけではないので、飼い主として今できる準備をすすめ、いざ迷子になってしまったとき後悔しないように対策をたてましょう。