猫の血液型で多いのはA型、O型はいない!性格は血液型で決まるの?

猫にも人間と同じように血液型が存在することは、実はあまり知られていないことなのかもしれません。

血液型があるのであれば、猫の性格も血液型によって「A型であれば真面目」とか「B型なら気まぐれ」など変化がでてくるの?と思われがちですが、実は人間とは全く違う猫の血液型の世界があるのです。

猫に一番多い血液型はA型で8割!O型はいません

人間の血液型はA、B、O、AB型の4種類ありますが、猫の血液型はA、B、AB型の3種類だけ。O型の猫は存在しないのです。

3種類しかないのに圧倒的なまでにA型が多く、A型は猫の全体の血液型の80%以上を占めています。次に多いB型。20%前後のB型猫がいるので、残りのAB型の血液を持つ猫は殆ど存在しないと言われています。

その3種類の血液型は、母猫と父猫が持つ血液型遺伝子の組み合わせで決まります。

A型になる組み合わせ A型×A型
A型×B型
A型×AB型
B型になる組み合わせ B型×B型
AB型になる組み合わせ AB型×B型
AB型×AB型

血液遺伝子には優性と劣性があり、A型の遺伝子がA,B、ABの3つの中で一番強く、次がAB型、最も弱いのがB型なのです。なのでA型の猫とB型の猫が赤ちゃんを産めばA型の遺伝子がB型の遺伝子よりも勝りA型の猫が生まれる確率が高くなるのです。

人間のように、猫も血液で性格も違うの?

猫の血液型は3種類しかないとは言え「血液型がある」と聞いたら、思わず人間の血液型占いに当てはめてしまいがちですが、猫に血液型による性格の違いというのは、そもそもないのです。

もしも血液型によって性格が違うという理論が現実にあるとしたら、日本にいる80%以上の猫がA型なのですから同じ性格の猫ばかりになるところですが、実際は違いますよね。

ひとりでいるのが好きなマイペースな猫もいれば、何をするのも飼い主と一緒がいい甘えん坊の猫もいたり、神経質でこだわりも強い猫もいます。猫という大枠での本質は一緒でも、A型だから性格も似てるということはないのです。

猫の性格を決めるのは、実は血液型でなく、生まれた時の母猫や父猫、兄弟猫との関係性や、人と暮らすなかでの生活環境といった後天的な理由が、猫の性格を形成するのに大きな影響を与えると言われています。

性格に影響を与える先天的なものでは、毛色による性格の違いがあります。「白だと神経質、黒だと人懐っこい」などはよく聞くお話ですよね。

これらも「毛色=性格」と、そう単純なことではなく、例えば茶色の猫であれば遺伝子の関係で雄の割合が多いので、雄猫全般の気質である「おっとり」「甘えん坊」という性格がそのまま茶色の猫の性格に反映されているのです。

逆に、三毛猫は遺伝子的に雄が産まれず雌猫ばかりなので、雌猫の性質が三毛猫の性格に反映されて、白猫などは自然の中では「白」は敵に見つかりやすいために、警戒心や神経質さが現代にもそのまま引き継がれているのです。

そのように、生まれ持った遺伝子の違いから生じる本能や、生活習慣、家族構成での立場など様々な理由が複雑に関連しあって、猫の性格はできあがるのです。

万が一、輸血するときの注意点

普段の生活で猫の血液型が必要になることはあまりありませんが、事故や病気などで大量に血液を失った際には輸血をしなければなりません。その時は自分の猫がどの血液型を持っているのかが重要になってきます。

なぜなら、猫は自分と異なる血液型に対して抗体を持っているため、誤って違う血液型を輸血してしまうと拒絶反応(急性溶血反応)を起こしてしまい、命を救うための輸血が、逆に命を奪ってしまう可能性があるからです。

違う血液型の輸血で「拒絶反応(急性溶血反応)」が起こる仕組み

猫の血液には、違う血液型が体内に入ると異物とみなして攻撃する自然抗体というものがあるのです。特に、血液型B型の猫が持つA型抗体の威力がすごく、B型の猫にA型の血液を輸血すると強い拒絶反応を起こして死を招く恐れもあります。

血液型の抗体反応を解説するイラスト

同じ血液型でも緊急の場合を除いてすぐに輸血を行うわけではありません。輸血を受ける猫の血液と提供する猫の血液を混ぜて、溶血・凝集などの危険がないか検査が行われます。これを交差試験(クロスマッチテスト)といいます。

また、輸血を伴う手術はどこでもできるわけではありません。医療が進んだとはいえ、まだ動物の血液の確保というのは難しい問題があり、小規模な動物病院では輸血の対応が難しい場合もあるのが現状です。

血液型が違う母子猫に潜む危険性

雑種同士だとA型ラA型で赤ちゃんを生む割合が多いので危険性は少ないのですが、純血種になるとB型が多い猫種も存在するので注意が必要となります。

例えば、B型母猫×A型父猫でA型の子猫が産まれたとします。そのままB型母猫の初乳を子猫に飲ませると、A型の子猫の赤血球が壊れて拒絶反応を起こしてしまいます。

これを新生猫溶血現象といい、この拒絶反応を起こした子猫はほぼ命をおとしてしまいます。

それは血液不適合と同じ原理で、母親猫の母乳の中にある自分の血液型以外に反応する抗体が、初乳を通して子猫の体内に入り、子猫の赤血球を異物と判断して壊してしまうことで拒絶反応が起こるのです。

生まれたばかりの命を守るためにも、交配をさせる時には血液不適合を起こさないように注意が必要なのです。もしもB型の母猫からA型の子猫が生まれることがあれば、すぐに母猫から離してあげる必要があります。

けれども、初乳は色んな病気に対する抗体も入っている大切なものです。初乳を飲めなかった子猫は病気に対する免疫がないので、早めに病院でワクチンを打ってあげる必要があります。

ちなみにB型の血液型を持つ割合が多い猫はブリティシュショートヘア、ソマリ、アビシニアン、スコティッシュフォールド、 ラグドールなどが主です。

ブリーダーさんや、子供産ませようと考えている飼い主さんは、あらかじめ愛猫の血液検査をしておいた方が安全でしょう。

血液型を調べる検査方法と費用

猫の血液型は動物病院で行えます。血液型検査キットを常備している大きな動物病院であれば、採血をして約10分で結果がでてくるでしょう。価格は病院によって異なりますが5,000円から1万円が相場となっています。

他に飼い猫の血液型を知る方法としては、血液を必要としている猫にボランティアで血液を提供する供血猫としてドナー登録を動物病院で行えば、その流れで血液型を知ることになります。

供血猫という言葉は聞きなれないことばかもしれませんね。その供血猫のことについて少しご説明しましょう。

猫の献血「供血猫」を知っていますか?

人間の血液とはちがい、維持や管理が難しい猫の血液は大量に保管している血液バンクがありません。その上、同じペットでも犬の輸血は完全に血液を一致させる必要はありませんが、猫の場合は完全に一致しないと輸血を行うのが難しいのです。

なので、病院で保護されたけれども里親が見つからなかった猫が、緊急の場合に血液を分けれくれる「供血猫」として、そのまま病院で先生やスタッフさん達に可愛がられながら生活をしていたりするのです。

また、一般の飼い猫からも輸血用の血液をわけてくれるよう、供血猫としてのドナー登録を飼い主さんにお願いしている病院もあります。ただし、どんな猫でもできるわけではなく、いくつかの条件があります。

供血猫のドナー登録の主な条件

  • 年齢は1~7歳まで
  • 体重は4kg以上
  • 健康体であること
  • 混合ワクチン接種を毎年受けている猫
  • 病院での採血時におとなしくできる猫
  • 輸血を受けたことがない
  • 妊娠、出産したことがない
  • 猫免疫不全(猫エイズ)、猫白血病など血液媒介性の感染症にかかっていない

(※日本動物高度医療センター/献血のお願い より)

これらの条件に合って、供血猫としてドナー登録をしたいとおもわれる飼い主さんは、お近くの動物病院へご相談ください。

猫の血液型は、性格の違いなどを楽しむことはできませんが、命にかかわる重要なものなのです。今後、どんなタイミングで訪れるかわからない病気や怪我、出産時のことを考えると、健康な状態のうちに知っておくことが大切なのかもしれません。

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