猫が原因で統合失調症に?飼い主が気をつけたい猫ひっかき病の恐怖

統合失調症という病気を耳にしたことはありませんか?自分の考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、現在では約100人に1人がかかると言われている、身近な病気です。

この統合失調症の原因はまだはっきりとわかってはいませんが、2019年3月に原因解明に繋がるかもしれない研究結果が発表されました。その原因の一つとして「猫」が関係している可能性があるのだとか。

人間の精神疾患である統合失調症と、人間のよきパートナーであり癒しを与えてくれる猫、相反する2つの要素がどのように関係をしているのか?今回は統合失調症と猫の関係をご紹介しましょう。

統合失調症とは?

統合失調症という言葉を聞いたことはあっても、それが具体的にどのような病気なのかご存知ない方も多いのではないでしょうか?統合失調症とは、精神疾患の一つで「認知」「行動」「情動」などに障害が起こります。

人間は脳内の精神機能おネットワークを使い思考や感情をコントロールします。しかし、統合失調症に陥ると精神機能のネットワークが上手に働かなくなり、幻覚や妄想、意欲低下や判断力の低下などが発生します。

この統合失調症の原因はまだハッキリと解明されていません。現在のところストレス、遺伝性、性格、脳の萎縮などが言われていますが、2019年3月にある発表がされました。

その内容は、特定の細菌やウイルスが統合失調症やアルツハイマー、痴呆などのメンタルヘルスに影響を及ぼしているというものです。その細菌やウイルスというのが猫にひっかかれることで感染する、「バルトネラ細菌」だというのです。

猫が原因で統合失調症になった?

それは2015年10月のことでした。今まで社交的だった少年が、急に精神病を患ったのです。何人もの精神科医や医者に見てもらっても原因は特定できず、うつ状態に陥り、殺人や自殺願望を持つまでになってしまったのだとか。

さらに幻覚や妄想も激しくなり、遂には当時買っていた犬と2匹の猫が自分を殺しにくるという、ありえない妄想に囚われてしまったのです。当然、学校に行かせることはできなくなり、母親も仕事をやめて付きっきりで看病を続けました。

それでも、病状は悪化していくばかりでドンドンと精神的に追い詰められていき、わずか1年半の間に3度も入院生活を送ることになったのです。

その後、少年は統合失調症と診断をされ抗うつ剤を処方されると症状は少しずつ回復を見せていきました。そして症状が確認されてから1年以上経った2017年2月、両親が少年の太ももと脇の下に肉割れのような症状を発見しました。

この症状を受けある医者は、この肉割れのような症状と精神的疾患は同じ病気が原因となっているのかもしれないと考えたのです。その病気こそが、「バルトネラ」と呼ばれる細菌感染でした。

その後、少年は抗生物質の治療を行い長期間の療養と治療を行なった結果、少年は学校へ登校できるほどに回復をしたのです。

少年の精神を追い詰めた細菌バルトネラは、どのように感染をしたのか?調べてみたところ、当時飼育をしていた猫にひっかかれたことが原因である可能性が出てきたのです。

猫ひっかき病の恐怖

バルトネラ症とは猫ひっかき病とも言われている病気です。その名のとおり、猫や犬にかまれたり、ひっかかれたりすることで感染します。またバルトネラ菌を持ったノミに吸血されることによっても感染をします。

バルトネラ菌は猫や犬にとっては常在菌であり、特に影響を及ぼすことはありません。しかし、人間が感染をすると以下の症状が出ると言われています。

  • 傷口の化膿
  • 発熱
  • リンパ節の腫れ
  • 脳炎
  • けいれん発作
  • 意識障害
  • 視力障害

感染してもほとんどの場合は発熱や傷口の化膿、また無症状で終わるのですが、体質やその時の体調によってはリンパ節が腫れ長期間の体調不良に苦しむ場合もあります。

さらに、大変稀ではありますが、バルトネラ菌が脳に入り込み脳炎を引き起こした結果、けいれん発作や意識障害、さらには視力低下が起こりうる可能性もあるのです。

バルトネラ菌が統合失調症の原因となりうるのか、果たして本当に猫から感染したのか?真実は定かではありませんし、バルトネラ菌と統合失調症の関係はあくまでも研究段階であるため確証にはいたっていません。

ただ、猫と人間は違う動物であり、猫にとっては常在菌であるバルトネラ菌に感染をすると、人間にも何かしらの悪影響が及ぶのは間違いありません。

いくらかわいい愛猫だからと言って、あまりにも過剰なスキンシップを行うと、最悪の場合は死にいたる危険性もあるという事実は覚えておく必要があります。

猫ひっかき病(バルトネラ症)への予防法

統合失調症を突然発症した少年は、猫にひっかかれたことが原因で猫ひっかき病(バルトネラ症)を患いました。

その話を聞いて「じゃあ、猫と暮らすのは危険なことなの!?」「自分も統合失調症になる可能性が!?」と過剰に反応をする方もいらっしゃるでしょうが、必ずそうだとは言えません。

むしろ、猫ひっかき病(バルトネラ症)を発症したとしても、多くの人は発熱などの風邪とよく似た症状だけで完治をするため、猫ひっかき病に感染していても気がついていない可能性すらあります。

現に、猫ひっかき病(バルトネラ症)を発症していた少年は統合失調症以外には、ほとんど症状が出ていませんでした。その結果、精神的疾患の原因究明や治療が遅れたのです。

しかし、ほとんど危険がないとは言っても全く危険がないとは言えません。実際にバルトネラ菌の感染が原因で様々な症状に悩まされている人は多く存在していますし、少年のように統合失調症に苦しむ人の中には、猫ひっかき病が原因である可能性もあるのです。

また、猫にひっかかれていないとしても、猫と食べ物を共有したり、キスをすることで口の中にいるバルトネラ菌に感染をする可能性もあります。猫ひっかき病によって統合失調症などの症状が出ないとしても、何らかの悪影響を及ぼす可能性はあるのです。

愛猫と少しでも長く、幸せな日々を送るためにも、普段からバルトネス菌に感染をしないための予防をしっかりと行いましょう。予防法としては以下の点にポイントをおいてください。

  • ひっかかれないように爪は小まめに切っておく
  • 口の中に手を入れたら石鹸でよく洗う
  • 猫の食べ残しなどを口にしない
  • 猫に口移しで物を与えない
  • 猫が舐めたり盗み食いをした食べ物を口にしない
  • 知らない間に猫が舐めないように人間が口にするものは収納をする
  • ひっかかれたり噛まれた場合は、傷口をしっかりと消毒をする
  • 猫の糞は素手で触らない
  • 少しでも疑う症状が見られたら病院にて医師に相談をする

猫と暮らしていると、ひっかかれたり噛まれたりすることは多いです。しかし、そこで「いつものことだから」と軽く考えていては、重症化する可能性があります。感染をしたとしても、早めに対処をすれば重症化を防げる可能性がありますので、甘く見ずに早期治療を心がけましょう。

猫ひっかき病を予防して統合失調症のリスクを減らそう

統合失調症はある日突然発症する精神疾患です。いつも明るくて元気、精神疾患なんて無縁だと思う人でも、突然発症する可能性があるのです。その原因の一つに、猫の常在菌であるバルトネラ菌が関係している可能性は極めて高いと言わざるをえません。

「猫を飼っている=統合失調症になる」と言っている訳ではありません。飼育方法を誤ってしまうと、リスクが上がる可能性があるという話です。

もし統合失調症を発症したら、家族である愛猫と離れることになるかもしれません。大切な猫との暮らしを守るためにも、できる予防はしっかりと行いましょう。

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