少し不思議な猫の多指症の雑学。6本指の猫は幸せを運んでくる?

猫の多指症をご存知でしょうか。日本ではほとんど見かけませんが、通常より指の数が多いことを多指症といいます。

お宅の猫ちゃんの指は何本ありますか?かわいい肉球を見たり、爪切りをしたときに指の数を確認してみてください。

猫の多指症は幸せを運んでくると言われていますので、見かけたらラッキーですね。詳しく調べてみましょう。

生まれつき指の数が多いことを多指症といいます

猫は通常、前肢5本、後肢4本の指があります。まれに、6本指の猫が生まれてきたときは、多指症(たししょう)ということになります。

遺伝性があるので、限られた地域に多く発症する傾向があります。そのため日本ではほとんど見かけません。

アメリカ北東部などの一部の地域に多く発症しますので、日本でそのような猫を見た場合は、その地域から来た猫か、その子孫かもしれません。

多指症の猫だからといって、ハンデキャップがあるわけではなく、普段の生活には全く支障はありません。手術で切除することもありません。ただ、爪が研ぎにくいので、室内飼いの場合はまめに爪切りをしてあげるとよいでしょう。

と言っても、爪のお手入れも通常の猫と同じお世話の一環ですから、他の猫と同じような飼い方をすれば問題ありません。

認知度アップのきっかけはヘミングウェイが愛した多指症の猫

多指症の猫が有名になったのは、アメリカの文豪、アーネスト・ヘミングウェイが飼った猫が多指症だったことがきっかけと言われています。

友人から譲り受けた「スノーボール」(「スノーホワイト」という説もあります。)という名前の猫が多指症で、ネズミを捕ることが得意でかわいがられました。また、多指症の「スノーボール」は手先が器用で、船のマストに繋がれたロープにも楽々と登ることができました。

元々、船員の間では、多指症の猫は航海の守り神だと言い伝えもあったようです。それゆえに、「幸福の猫」というイメージがつきました。きっと、冒険家でもあったヘミングウェイと一緒に船旅を楽しんだのかもしれませんね。

現在は、その子孫たちを含めて、フロリダ州キーウエストにある自宅兼博物館に猫が54匹暮らしています。先ほど説明したとおり、遺伝性がありますので、多指症の猫も多く暮らしており、親しみを込めて「ヘミングウェイ・キャット」と呼ばれています。

きちんと交配の管理もされていて、猫好きの方や、文学好きの方などに人気の観光地となっています。ユニークなのは、猫に有名人の名前がつけられていることです。「マーク・トウェーン」や「チャーリー・チャップリン」という名前の猫が過去にいたようです。

私もいつか、生家のあるキーウエストを訪れてみたいと思っています。

実際にあったラッキーな話

昨年2017年に「イルマ」と呼ばれた大型ハリケーンがアメリカを襲ったニュースを覚えていますか?このハリケーンは、ちょうどキーウエストに上陸しました。

キーウエストがあるフロリダ州では、最大瞬間風速47メートル、250万戸が停電、630万人に避難命令、残念ながら3名の方が亡くなるという大きな被害を受けました。そんな状況のなか、ヘミングウェイ・キャットたちはどうなったのでしょうか。

地元のニュースによると「2017年9月の大型ハリケーンでヘミングウェイの自宅兼博物館のスタッフ10人と6本指の猫54匹は無事だった」と報道されました。

スタッフたちは、建物の補強や避難食を準備しました。避難命令が出ていましたが、過去のハリケーンでも無事だったという経験から、猫を心配したスタッフ10人がとどまりました。

猫たちは気圧の変化で家の中に逃げ込むすべを習得していたそうなので、ハリケーンが近づく前に、自分たちの直感で自ら避難したのかもしれません。

実際に、台風や雨などで気圧が変化すると、猫の体調が悪くなるという実例があります。人間も低気圧になると頭痛になる人もいて、「気象病」と呼ばれることもあります。

ヘミングウェイの家は、1851年に建てられました。なんと今から167年も前です。1851年は日本でいうと、江戸幕府の老中、水野忠邦が亡くなった年で、その2年後にはペリーが浦賀に来航し開国をせまった時期です。

そんな時代に建てられた家は、石灰岩のブロックで作られていて、これまで数十回もの大型ハリケーンから猫や人間たちを守ってきました。

日本では木造建築がメインですので、単純に比較することはできないかもしれませんが、そんなはるか昔の江戸時代の時期に作られた建物が、現在も安全に存在しているのは驚くべきことです。もしかしたら、本当に多指症の猫のパワーが後押しをしているのかもしれませんね。

体の特徴が魅力の1つとなることに

多指症を定義づけると「先天性の障害、奇形」ということになります。ただ、これまで説明したとおり、猫にとっては全く障害ではありません。多指症の大きな手は「ミトン・ハンド」と呼ばれることもあり、魅力の1つとして重宝がられています。

私の猫は、捨て猫でしたが、保護したときから目に傷がありました。幸い、視力に問題はなく、普通の猫と同じように生活しています。今では、多指症のように、目の傷も個性として魅力の1つととらえています。人間もそうですが、1人として同じ人間はいません。猫も同じだと思います。

見慣れていない体の特徴をマイナスイメージとしてとらえるのではなく、個性的な魅力としてかわいがってあげましょう。そうすることで、猫にも愛情が伝わり、お互いが幸せな気持ちになっていきます。

このことが、本当の意味で、幸せを運んでくるという逸話につながっているのかもしれません。

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