猫の食欲にムラがあるのは自然なこと。野生時代から息づく3つの本能

愛猫が元気にごはんを食べていることが飼い主の幸せ、美味しそうにごはんを食べているのを間近に見られるのも、猫と一緒に暮らす醍醐味のひとつです。

うみゃうみゃ鳴きながらがつがつと一心不乱に皿に向き合っている姿を見つめていると、猫様にごはんを届けるために、今日も一日頑張ろうという気力がわいて来ようというものです。

しかし、いつもと様子が違う朝もあります。猫の食欲のふり幅の広さったら、これは単なる気まぐれなのか、それとも具合が悪いのか…飼い主としては心配でやきもきしてしまいますよね。猫の食欲のムラはどうして起こるのでしょうか?

食欲にムラがあるのは本能

昨日はご機嫌で完食していたフードを今日は何故か残している、あるいは、もそもそとやる気なく口をつけただけで後はお皿をカリカリかいて遊んでいることがあります。

ではこのフードはもう飽きてしまったのかな?と思って他の銘柄を出してみても食べず、しばらく両方出しておいたら、結局もとのフードの方がいつの間にか無くなっているなんてことも。

猫はとにかく食べ物の好き嫌いが多く、また「すぐ食べたい」「今は食べたくない」などの気分にもうるさい生き物です。

しかしこの激しい食欲のムラ、実は猫としては自然なことでした。以下、三つの理由からご説明します。

本能によるムラ食い

猫が野生動物で狩猟生活を送っていた頃を想像してみて下さい。毎日確実に誰かが目の前にごはんをお届けしてくれるわけではありません。自分で狩りをして獲物をとらないと日々のごはんは食べられません。

首尾よく太ったねずみにありつける日もあれば、とかげ一匹捕まえられないという日もあったでしょう。そうなると食べられる日は食べるけど、一日くらいは何も食べなくても大丈夫なように栄養を少し温存しておく、というライフスタイルが必要になってきます。

つまり、かつて野生だった生き物として猫を見た時に、毎日決まった時間に決まった量のごはんが安定的に目の前に出てくる事は自然な事ではないのです。

単に満腹になった、というだけでなく「今は食べなくても平気」と体が判断していれば、食欲のスイッチが入らないようにできています。

そもそも猫は食べ始めて結構早いうちに「満腹」を感じる生き物でもあります。すべての野生動物に言えることですが、「げっふー!おなかいっぱいでもう動けないや」状態ではいざという時俊敏に動けませんからね。

季節性のサイクル

季節によっても食欲は変動します。食欲は春から夏にかけて暑くなってくると低下し、秋が近づくにつれて増してきて、冬には旺盛になり、また春が来る頃には落ち着いてくる、といったサイクルを一年ごとに繰り返します。

確かに、私たちも春先や秋口は何を食べても美味しいですし、夏があんまり暑いと食欲が湧きませんし、冬はついつい食べ過ぎちゃいませんか?冬の寒さを越すためにたくさん食べて脂肪を蓄えるのは生き物として正しいことなのです。そう、猫も、そして私たちも。

獲物は独り占めできる前提

このムラ食い、例えば群れで狩りをする生き物の場合は自分以外にも参戦した仲間がいるわけですから、自分の取り分をしっかり確保するためにもムラ食いをしている余裕はありません。

しかし、ソロプレイで狩りをする猫は他の仲間に獲物を取られる心配は少ないため、残した分は後で食べればいいや、といった発想に繋がります。

食欲のない時の猫は、餌皿の周りをカリカリ引っ掻いて時にはひっくり返したり、飼い主の服を引きずってきて残っていたフードにかぶせ、ご丁寧にも端を織り込んでしっかり埋めたりする事があります。

これは飼い主からすると「気に入らなくてちゃぶ台返しのつもりかしら」「視界に入れたくないほど嫌なのかしら」と思ってしまいますが、残った食べ物を埋めて隠しておいて後で食べたい、という気持ちのあらわれです。むしろある意味で食に対する欲がありますね。

しかし、一旦猫が口を付けたフードをそのまま放置してしまうと、付着した唾液から雑菌が増殖したり、酸化、乾燥して風味が変わってしまいます。

残してしまったり、隠してしまったフードはそのままにせず、一度片付けて頃合いを見てまた出す、あるいは食欲がなさそうな時は一度に出す量を少なめに調整するなど工夫してあげましょう。

いつもの食事のタイミングで完食しなくても一日のうちにちょこちょこと食べて、結果、一定した量を摂取していればまず心配ありません。

好みか本能か体調不良か

猫はムラ食いする生き物だからちょっとくらい食べなくても大丈夫、とはいえそれが本能からくる体調管理のための食欲不振なら問題ないのですが、24時間を超えて一口も食べない、これは明らかに異常事態です。

慢性的に食事の量が落ちている、水も飲みたがらない、やせてきている、その他目に見えて具合が悪そうであればそれは本能ではなくて病気の兆候が疑われます。

病気ではなく、ストレスなど心因性の理由による食欲不振だったとしても、食べないまま36時間を超えてしまうと、肝臓の細胞が脂肪に変わってしまい、正常な代謝が行えなくなる肝リピドーシスという病気になってしまいます。

ストレスなのか、病気なのか、単に好き嫌いなのか、判断がつかずとも24時間を超えるようでしたら獣医さんで診てもらって下さい。

また、子猫の食欲にはまずムラがないのが普通です。どんどん食べて栄養を付け、ぐいぐい成長しなければならない時期、食欲の低下は生命の危機に直結しますので早めに対処したいものです。

限界は大人の猫よりずっと早く、生後1ヶ月の子で8時間、3ヶ月の子で12時間が限度です。

自然な食欲のムラなのか、体調不良なのかストレスなのか、その見極めは長く一緒に暮らしていても難しいものがあります。

「今までのフードに飽きてしまった」もしくは「餌皿、あるいはその周辺が気に入らない」さらには「外の音がうるさい」「発情期で今それどころじゃない」猫は様々な理由で簡単に食欲を無くしますし、何なら命に係わるレベルでハンストする子もいます。

しかし単にわがままを言っているわけでもなく、与えられたフードに含まれる栄養素が体に合わない場合もまた自分で判断して食べないことを選ぶようです。

猫は炭水化物が多くてたんぱく質が足りていないフードを好まない傾向にありますので、いまいち気乗りしないフードと喜んで食べるフードの原材料を見比べてみるのもいいかもしれません。

また、嗅覚の低下したシニア猫は食べ物の匂いに鈍感になり、食欲にムラが出がちです。温めることで匂いを高めたり、小分けパックに個装されたフードを利用して、常に風味の落ちていないフードを出すことで、少しでも食が進むようにしてあげたいものです。

逆に、わんぱく盛りの若い猫の場合は運動不足からいまいち食欲がわかないなんてこともあります。思いっきり遊んであげましょう!

愛猫のムラのサイクルを知ろう

我が家の猫は食欲不振でたびたび獣医さんにお世話になりましたが、いずれも原因は不明で、その時の見立ては「季節のほか、1ヶ月サイクルで食欲の波があるのではないか」という事でした。

その時おすすめされたのが記録を付けること。よく食べる時期、食べない時期、残すフードの傾向や量、毎日でなくても良いので体重の変動を記録し、愛猫の食欲のムラのくせを把握することで、自然な食欲不振なのか、体調不良なのかの判別がつけやすくなります。

猫の食欲のムラは自然なことで、あまり心配しなくても大丈夫!…とはいえ、何か変化があった時には早め早めに気付けるようにしていたいものです。

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